ジャンケンは「勝った人は同じ手」を出しやすい。中国の大学が数百人で見つけたクセ

読む前に予想してみよう!
ジャンケンを繰り返すと、勝った人は次も同じ手を出しやすい傾向がある
浙江大学などの実験で「勝ったら続け、負けたら変える」というクセが見つかった。人は完全にはランダムになれない。
- 対象
- 中国の大学生
- 規模
- 360人(6人×60グループ、各300回)
- 研究の種類
- 実験室実験(実験経済学)
- 確かさ
- ★★★☆☆
ジャンケンを何百回も繰り返す実験で、勝った人は同じ手を続け、負けた人は手を変えやすいというクセが見つかった。完全にランダムではなかった。
ひとことで言うとジャンケンで勝つと、つい同じ手を出したくなっちゃう!
ジャンケン。運だけの勝負だと思っていませんか?
もし相手が完全にランダムに手を出しているなら、どんな作戦を立てても勝率は3分の1。それ以上にはなりません。
でも人間は、サイコロのようにランダムにはなれない生き物です。中国の浙江大学などの研究チームが、数百人の学生に何百回もジャンケンをさせたところ、はっきりしたクセが浮かび上がってきました。
01300回のジャンケン大会
ゲーム理論の教科書どおりなら、賢いプレイヤーはグー・チョキ・パーを3分の1ずつランダムに出すのが最善です。そうすれば誰にも読まれないからです。
でも、実際の人間はそうはしませんでした。
02勝ったら同じ手、負けたら変える
見つかったのは、こんなクセです。
- 勝った人は、次も同じ手を出しやすい
- 負けた人は、次は別の手に変えやすい
これは「勝ったら続け、負けたら変える」(英語で win-stay, lose-shift)と呼ばれる行動パターンです。
人間に限らず、動物の学習でもよく見られるシンプルな戦略で、「うまくいったことは繰り返し、ダメだったことはやめる」という、ある意味とても自然な考え方なんですね。
じつは、人間が「ランダム」を作るのが苦手なことは、昔から知られています。たとえば「デタラメに数字を並べて」と頼むと、多くの人は同じ数字の連続を避けすぎたり、かたよりを嫌いすぎたりして、かえってランダムっぽくない並びを作ってしまいます。ジャンケンのクセも、そんな「人間らしさ」の表れなのかもしれません。

03集団全体では「流行の波」が回っていた
さらにおもしろいのは、グループ全体で見たときのことです。
一人ひとりのクセが積み重なると、グループの中で「今はグーが多い」→「次はパーが増える」→「次はチョキが増える」というように、手の流行がぐるぐる循環する様子が観察されました。
研究チームは、これが物理学の「非平衡統計力学」(たくさんの粒子が全体としてどう動くかを考える学問)の考え方でうまく説明できることも示しています。ジャンケンが物理学の研究テーマになるなんて、ちょっと意外ですよね。
04じゃあ、どうすれば勝ちやすい?
このクセを逆手にとると、こんな作戦が考えられます。
- 相手が勝った直後:相手は同じ手を出しやすい → その手に勝つ手を出す
- 相手が負けた直後:相手は手を変えやすい → 少なくともさっきと同じ手は来にくいと考える
ただし、これは多くの人の平均的な傾向です。相手がこのクセを知っていたり、わざと裏をかいてきたりすれば通用しません。あくまで確率の話なので、「必ず勝てる」わけではないことに注意しましょう。
05まとめ
ジャンケンは運の勝負に見えて、じつは人間の心のクセが出るゲームでした。
「勝ったら続ける、負けたら変える」。それは、私たちが毎日の生活でも無意識にやっていることかもしれません。次のジャンケンで、相手のクセを観察してみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf your opponent plays rock-paper-scissors completely at random, you cannot win more than one third of the…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Is rock-paper-scissors just luck? Researchers in China asked 360 students to play the game 300 times in small groups. They found a clear habit. Players who won often used the same hand again.
Players who lost often changed to a different hand. This is called "win-stay, lose-shift." Humans try to be random, but we are not very good at it. So watch your friend's habits!
65 words ・ CEFR A2
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じゃんけんは運だけでしょうか。中国の研究者たちは、360人の学生に小さなグループでじゃんけんを300回してもらいました。彼らははっきりしたクセを見つけました。勝ったプレイヤーは、また同じ手を出すことが多かったのです。
負けたプレイヤーは、ちがう手に変えることが多かったのです。これは「勝ったら続け、負けたら変える」と呼ばれます。人間はランダムになろうとしますが、それがあまり得意ではありません。だから、友達のクセをよく見てみましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
じゃんけんを繰り返したときに見られる人のクセについての話なので D。
Q2. What did winners often do?
Players who won often used the same hand again. とあるので A。
Q3. In this passage, "random" means ...
random は「でたらめな・規則性のない」。without any pattern が最も近いので B。
If your opponent plays rock-paper-scissors completely at random, you cannot win more than one third of the time. But people are not truly random. In a 2014 study, researchers from Zhejiang University and the Chinese Academy of Sciences divided 360 students into groups of six. Each group played 300 rounds, with partners changing randomly, and players earned money based on their points.
The researchers found a pattern called "win-stay, lose-shift." Winners tended to repeat the same hand, while losers tended to switch to a different one. Even so, each hand was chosen about one third of the time. When all the players were viewed together, the popular choice moved in a cycle, for example from rock to paper to scissors.
120 words ・ CEFR B1
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相手が完全にランダムにじゃんけんをするなら、あなたは3分の1より多く勝つことはできません。しかし、人は本当の意味でランダムではありません。2014年の研究で、浙江大学と中国科学院の研究者たちは、360人の学生を6人ずつのグループに分けました。各グループは対戦相手をランダムに替えながら300回戦を行い、プレーヤーは得点に応じてお金をもらいました。
研究者たちは「勝ったらそのまま、負けたら変える」と呼ばれるパターンを見つけました。勝った人は同じ手をくり返し、負けた人は別の手に変える傾向があったのです。それでも、それぞれの手が選ばれた割合は、ほぼ3分の1ずつでした。プレーヤー全体で見ると、人気のある手は、たとえばグーからパー、パーからチョキへと、ぐるぐる移り変わっていました。
4択リーディングクイズ
Q1. How were the students organized in the study?
divided 360 students into groups of six. Each group played 300 rounds とあるので B。
Q2. What does "win-stay, lose-shift" mean?
Winners tended to repeat the same hand, while losers tended to switch to a different one. とあるので C。
Q3. What can we infer from the sentence "each hand was chosen about one third of the time"?
each hand was chosen about one third of the time とあり、クセがあっても全体では各手がほぼ同じ割合で出ていたと推論できる。A が正解。
Game theory says the safest way to play rock-paper-scissors is to choose each hand with equal probability, one third each, so that no opponent can exploit you. Real people do not play that way. In a 2014 study published in Scientific Reports, researchers from Zhejiang University and the Chinese Academy of Sciences divided 360 students into 60 groups of six.
Within each group, players were randomly matched and played 300 rounds, earning money according to their points. When the researchers analyzed every move, they found a conditional habit known as "win-stay, lose-shift." Winners were more likely to repeat their previous hand, and losers were more likely to change. The same simple rule is common in animal learning, since repeating what works is often sensible. The findings are easy to overstate.
Overall, each hand was still played about one third of the time, and an opponent who knows about these habits can easily turn the tables. At the group level, though, these individual habits produced a cycle in which the most popular hand rotated over time, and the researchers modeled the pattern with ideas from non-equilibrium statistical physics.
187 words ・ CEFR B2
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ゲーム理論によれば、じゃんけんで最も安全な戦い方は、どの相手にもつけ込まれないように、それぞれの手を3分の1ずつ等しい確率で選ぶことです。実際の人間はそうは戦いません。『サイエンティフィック・リポーツ』誌に発表された2014年の研究で、浙江大学と中国科学院の研究者たちは、360人の学生を6人ずつ60のグループに分けました。
各グループの中でプレーヤーはランダムに組み合わされて300回戦を行い、得点に応じてお金を得ました。研究者たちがすべての手を分析すると、「勝ったらそのまま、負けたら変える」として知られる条件つきの癖が見つかりました。勝った人は直前の手をくり返しやすく、負けた人は手を変えやすかったのです。この単純なルールは動物の学習でもよく見られます。うまくいったことをくり返すのは、多くの場合理にかなっているからです。ただし、この結果は誇張されやすいものです。
全体で見れば、それぞれの手はやはりほぼ3分の1ずつ出されており、こうした癖を知っている相手なら簡単に形勢を逆転できます。それでも集団のレベルでは、こうした個人の癖によって、最も人気のある手が時間とともに移り変わる循環が生まれ、研究者たちはこのパターンを非平衡統計物理学の考え方を使ってモデル化しました。
4択リーディングクイズ
Q1. According to game theory, what is the best strategy?
the safest way to play rock-paper-scissors is to choose each hand with equal probability, one third each とあるので D。
Q2. What happened at the group level?
a cycle in which the most popular hand rotated over time とあるので B。
Q3. Why does the author say the findings are "easy to overstate"?
Overall, each hand was still played about one third of the time とあるので A。
重要単語
- randomB1形容詞無作為の、でたらめなHumans are bad at being random.
at random「無作為に」。randomly(副詞)、randomized trial「ランダム化試験」も研究系長文で頻出。 - strategyB2名詞戦略Win-stay, lose-shift is a simple strategy.
形容詞 strategic。tactics(戦術)より大きな長期計画を指す。 - equilibriumC1名詞均衡Game theory predicts a mixed equilibrium.
equi-(等しい)+libra(天秤)。Nash equilibrium「ナッシュ均衡」はゲーム理論の基本語。 - cycleB1名詞循環The choices moved in a cycle.
cyclical「周期的な」、recycle「再利用する」。bicycle の cycle(輪)と同語源。 - patternB1名詞型、傾向Players showed a clear pattern.
behavior pattern「行動パターン」。follow a pattern「型に従う」。 - deviateC1動詞(基準から)それる、逸脱するReal players deviate from the ideal strategy.
deviate from ~ の形で使う。de-(離れて)+via(道)=「道からそれる」。名詞 deviation。 - exploitC1動詞つけ込む、利用するA smart player can exploit your habits.
「(資源を)開発する」と「(人を)搾取する」の両方の意味がある。名詞 exploitation。
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中国・浙江大学の研究で、学生たちにジャンケンを何百回もさせたら「勝った人は次も同じ手」「負けた人は手を変える」というクセがはっきり出たらしい。人間はランダムに出してるつもりで、完全にはランダムじゃなかった。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Wang, Xu & Zhou (2014) Social cycling and conditional responses in the Rock-Paper-Scissors game, Scientific Reportsdoi.org
- Xu, Zhou & Wang (2013) Cycle frequency in standard Rock-Paper-Scissors games: Evidence from experimental economics, Physica Adoi.org
- Zhou (2015) The rock-paper-scissors game, Contemporary Physicsdoi.org
- Batzilis et al. (2019) Behavior in strategic settings: Evidence from a million rock-paper-scissors games, Gamesdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











