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洋画を「吹替」で見る国と「字幕」で見る国、英語力に差は出る? 各国のデータで検証

洋画を「吹替」で見る国と「字幕」で見る国、英語力に差は出る? 各国のデータで検証

読む前に予想してみよう!

字幕の国の英語力が高いのは、字幕だけが理由だと証明されている

研究カード(どんな研究?)
対象
各国の成人・ヨーロッパの児童
規模
国別比較データ、374人の児童調査など
研究の種類
国際比較・観察研究・実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

外国のテレビ番組を字幕で放送する国は、吹替の国より英語力が高い傾向がある。子どもの調査でも字幕付きの映画はプラス。ただ原因は字幕だけではない。

ひとことで言うと字幕で洋画を見る国は英語が得意な傾向あり。でも理由はそれだけじゃない!

もくじ
  1. 国別に見ると「字幕の国」は英語が得意
  2. 字幕付きの英語番組をよく見る子ほど、英語の成績が良い
  3. でも「字幕だけ」では説明できない
  4. まとめ

ヨーロッパには、海外の映画やドラマを「字幕」で放送する国と、「吹替」で放送する国があります。

オランダや北欧の国々は字幕派。ドイツ、フランス、スペイン、イタリアなどは吹替派。そして英語が得意な国として名前が挙がる国には、なぜか字幕派が多いのです。

これは偶然でしょうか、それとも字幕のおかげなのでしょうか? 研究を見てみると、「字幕は効いていそう。でもそれだけじゃない」という答えが見えてきました。

01国別に見ると「字幕の国」は英語が得意

字幕の国では、テレビを見るだけで、子どものころから英語の音を耳にする機会が多くなります。吹替の国では、同じ番組を見ても英語の音はほとんど聞こえません。

02字幕付きの英語番組をよく見る子ほど、英語の成績が良い

国単位だけでなく、子ども一人ひとりの調査もあります。

ベルギーのオランダ語圏(フランデレン地方)で、小学校最後の学年の374人を調べたクッペンスの研究(2010年)では、字幕付きの英語のテレビ番組や映画をよく見る子ほど、英語の翻訳テストの成績が良かったといいます。英語のゲームも、英語からオランダ語への翻訳テストではプラスでした。

ヨーロッパ7地域の子どもを追った大規模プロジェクト(リンドグレンとムニョス、2013年)でも、学校の外で外国語に触れる方法の中で、成績と最も強く結びついていたのは「映画を見ること」でした。多くは字幕付きです。

字幕の国の子どもは、テレビでふだんから英語の音を耳にしている
字幕の国の子どもは、テレビでふだんから英語の音を耳にしている

03でも「字幕だけ」では説明できない

ただし、注意点もあります。

リンドグレンとムニョスの研究では、成績を最も強く予測したのは、映画ではありませんでした。母語と学ぶ言語で、単語がどれくらい似ているかだったのです。オランダ語やスウェーデン語などは、英語と同じゲルマン系の言語で、単語がよく似ています。

また、字幕の国の多くは人口が少ない国です。吹替を作るコストが見合わないから字幕になる、という事情もあり、国の大きさや国際的な仕事の多さなども英語力に関わっている可能性があります。

さらに、テレビを見るだけで覚えられる単語の量は、読書よりも少なめという分析もあります(ウェッブら、2023年)。見た直後のテストで覚えていた単語は、映像を見た場合で平均7%ほど、文章を読んだ場合で17%ほどでした。だから視聴は、たくさんの量を見てこそ効く学び方です。

04まとめ

「字幕の国は英語が得意」は、傾向としてはホント。字幕で英語の音を浴び続けることは、確かにプラスになっていそうです。

でも、言語の近さや国の事情も重なっているので、英語が得意な理由は字幕だけではありません。私たちにできるのは、今日の1本を英語音声で見ること。小さな「字幕の国」を、自分の部屋に作ってみましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn Europe, some countries show foreign films and TV programs with subtitles, while others dub them into the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In Europe, some countries show foreign films and TV programs with subtitles, while others dub them into the local language. The Netherlands and the Nordic countries use subtitles, whereas Germany, France, Spain and Italy mostly use dubbing. Countries that use subtitles are often known for good English. A 2019 study compared countries around the world and found that those using subtitles had considerably higher English scores, especially in listening.

A study of 374 Belgian children found that those who often watched subtitled English programs did better on an English translation test. However, other factors also matter. Many subtitle countries speak languages similar to English and have small populations, which makes dubbing expensive. So subtitles probably help, but they are not the whole story.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ヨーロッパでは、外国の映画やテレビ番組を字幕で放送する国もあれば、その国の言葉に吹き替える国もあります。オランダや北欧の国々は字幕を使い、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアはおもに吹替を使います。字幕の国は、英語が得意なことで知られていることが多いのです。2019年の研究は世界の国々を比べ、字幕を使う国は英語の点数がかなり高く、特にリスニングでそうであることを見出しました。

ベルギーの子ども374人を対象にした研究では、字幕付きの英語番組をよく見る子どもほど、英語の翻訳テストの成績がよいことがわかりました。しかし、ほかの要因も関係しています。字幕の国の多くは英語に似た言語を話し、人口が少ないため、吹替は費用がかかります。ですから、字幕はおそらく役立っていますが、それがすべてではないのです。

4択リーディングクイズ

Q1. Which countries mostly use dubbing, according to the passage?

Q2. In which skill was the subtitle effect especially large?

Q3. Why might small countries choose subtitles?

重要単語

  • subtitleB1
    名詞・動詞字幕(をつける)I watch dramas with English subtitles. 通常は複数形 subtitles。同じ言語の字幕は captions と区別されることもある。
  • dubC1
    動詞吹き替えるMany films are dubbed in Germany. double の短縮形が語源とされる。dubbed into Japanese「日本語に吹き替えられた」。
  • exposureB2
    名詞(言語への)接触・触れる量More exposure leads to faster learning. out-of-school exposure「学校外での接触」はSLA研究の重要変数。
  • incidental learningC1
    名詞(句)偶発的学習(ついでに学ぶこと)TV can lead to incidental learning. 楽しみながら結果的に身につく学習。意図的学習(intentional learning)と組み合わせると効果的。
  • reverse causationC1
    名詞(句)逆因果(原因と結果が逆である可能性)Researchers must rule out reverse causation. 「字幕→英語力」ではなく「英語力→字幕を選ぶ」かもしれない、という発想。相関研究を読む基本。
  • correlationC1
    名詞相関Correlation does not prove causation. correlation is not causation(相関は因果ではない)は研究リテラシーの合言葉。
  • lexicalC1
    形容詞語彙のDutch and English have high lexical similarity. lexicon(語彙)の形容詞。lexical similarity「語彙の類似度」は言語間距離の指標の1つ。

動画でもっと知る

世界の国を比べると、テレビの外国番組を字幕で流す国の方が、吹替の国より英語が得意な傾向があるらしい。ベルギーの小学生でも、字幕付きの英語番組をよく見る子ほど英語のテストの成績が良かった。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Rupérez Micola et al. (2019) TV or not TV? The impact of subtitling on English skills. Journal of Economic Behavior & Organizationdoi.org
  2. Kuppens (2010) Incidental foreign language acquisition from media exposure. Learning, Media and Technologydoi.org
  3. Lindgren & Muñoz (2013) The influence of exposure, parents, and linguistic distance on young European learners' foreign language comprehension. International Journal of Multilingualismdoi.org
  4. Peters & Webb (2018) Incidental vocabulary acquisition through viewing L2 television and factors that affect learning. Studies in Second Language Acquisitiondoi.org
  5. Webb, Uchihara & Yanagisawa (2023) How effective is second language incidental vocabulary learning? A meta-analysis. Language Teachingdoi.org

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