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リスニングは「聞き方」を教わると伸びる? 効果は中くらい、でも"効きやすいレベル"があった

リスニングは「聞き方」を教わると伸びる? 効果は中くらい、でも"効きやすいレベル"があった

読む前に予想してみよう!

「聞き方」を教えるリスニング指導は、どのレベルの学習者にも同じように効く

研究カード(どんな研究?)
対象
第二言語・外国語の学習者
規模
45本の研究(51グループ)
研究の種類
メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

予測→確認→ふり返りという「聞き方」を教える指導は、45研究のメタ分析で中くらいの効果。ただし日本の初級大学生では伸びが確認できず、効くレベルには幅がありそう。

ひとことで言うと「どう聞くか」を考える練習は効く。でも単語や音の力がないと空回りするかも。

もくじ
  1. 同じ教材・同じ回数でも差がついた
  2. 45研究をまとめると「中くらいの効果」
  3. どんでん返し:日本の初級大学生では伸びが確認できなかった
  4. まとめ

学校のリスニングの授業というと、「音声を流す→問題を解く→答え合わせ」のくり返しになりがちです。でもこれ、よく考えると毎回テストをしているだけで、「どうやって聞けばいいか」はあまり教わっていません。

そこで生まれたのが、聞き方そのものを教える指導です。聞く前に内容を予測し、聞きながら「今わかっているか」を点検し、聞いた後に「どこでつまずいたか」をふり返る。自分の理解を一段上から眺めるこの力は、メタ認知と呼ばれます。

では、聞き方を教えると、リスニングは本当に伸びるのか。研究をたどると、「伸びる。ただし効きやすいレベルがある」という答えが見えてきました。

01同じ教材・同じ回数でも差がついた

この研究が説得力をもつのは、教材も聞く回数も先生も同じだった点です。違うのは「聞き方を意識させたかどうか」だけ。それでも差がついたのです。

0245研究をまとめると「中くらいの効果」

その後、同じような研究は世界中で行われました。Dalman と Plonsky(2022年)は、リスニングの方略指導に関する45本の研究(51グループ)をまとめたメタ分析を発表し、平均の効果量を d = 0.69、つまり中くらいの効果と報告しています。

「中くらい」は地味に聞こえるかもしれませんが、授業の工夫ひとつで得られる効果としては、十分に意味のある大きさです。ただし、効果の大きさは学習環境や指導のやり方、測り方によってばらついていました。

「今どこまでわかっているか」を確かめながら進むのが、メタ認知的な聞き方
「今どこまでわかっているか」を確かめながら進むのが、メタ認知的な聞き方

03どんでん返し:日本の初級大学生では伸びが確認できなかった

ここで気になる研究があります。日本の大学で、英語力がCEFRのA2レベル(初級)の学生129人に、聞き方を教えるプログラムを実施したところ、学生の受け止めは好意的で、リスニングへの自信は少し上がったものの、リスニングの成績がはっきり伸びたという強い証拠は得られませんでした(Milliner & Dimoski, 2021)。

研究者たちは、方略指導が効きはじめるには一定の英語力(しきい値)が要るのではないか、と考えています。音がまだ単語として聞き取れない段階では、「予測して、点検して」と言われても、点検する材料そのものが足りないのかもしれません。

逆に、上の方のレベルでも効果が小さくなる可能性があります。日本人の上級学習者20人を対象にした小規模な研究では、聞くのが比較的苦手だった4人中3人がはっきり伸びた一方、得意な4人で伸びたのは1人だけでした(Cross, 2011)。

さらに、中国の初級大学生80人を比べた実験では、聞き方の指導だけのグループは伸びず、音の聞き取り練習(ボトムアップ)と組み合わせたグループが最も伸びました(Yuan & Tang, 2024)。

04まとめ

リスニングは、ただ聞く量を増やすだけでなく、「どう聞くか」を意識すると伸びることが、研究で確かめられてきました。効果は中くらい、そして聞くのが苦手な人ほど伸びやすいようです。

一方で、まだ音が単語として聞き取れない段階では、聞き方の作戦だけでは空回りしがち。音の練習で土台を作りながら、予測・点検・ふり返りの習慣をのせていく。この二段構えが、いちばん手堅い近道になりそうです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerListening lessons often just test students. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

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この研究を英語で読もう

Listening lessons often just test students. They hear a recording and answer questions. Metacognitive instruction is different, because it teaches learners how to listen. Before listening, they predict what they will hear. While listening, they check whether they understand. Afterwards, they reflect on what went wrong.

In a 2010 study, 106 university students learning French were taught by the same teacher with the same recordings, but only one group practiced these steps. That group did better on the final test, and weaker listeners gained the most. A 2022 meta-analysis of 45 studies found a medium effect overall.

However, when the method was tried with 129 beginner-level students in Japan, their confidence rose slightly but their scores did not clearly improve. Learners may need basic sound and word skills first.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

リスニングの授業は、生徒が録音を聞いて問題に答えるだけの、単なるテストになりがちです。メタ認知的な指導は違います。学習者に聞き方を教えるからです。聞く前に何が聞こえるかを予測し、聞きながら理解できているかを確かめ、その後で何がうまくいかなかったかをふり返ります。2010年の研究では、フランス語を学ぶ106人の大学生が、同じ先生から同じ録音で教わりましたが、これらの手順を練習したのは一方のグループだけでした。

そのグループは最終テストで成績が良く、聞くのが苦手な学生が最も伸びました。2022年の45本の研究のメタ分析は、全体として中程度の効果を見つけました。

しかし、この方法を日本の初級レベルの学生129人で試したところ、自信は少し上がったものの、成績ははっきりとは伸びませんでした。学習者には、まず基本的な音と単語の力が必要なのかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. What do learners do before listening in metacognitive instruction?

Q2. Why is the 2010 study convincing?

Q3. What can we infer from the Japanese study?

重要単語

  • metacognitiveC1
    形容詞メタ認知のMetacognitive training teaches you to think about how you listen. meta-(一段上の)+cognitive(認知の)。名詞は metacognition。教育心理学の重要語。
  • predictB1
    動詞予測するPredict the topic before you listen. pre-(前に)+dict(言う)。dictionary, dictation と同じ語根 dict。
  • monitorB2
    動詞点検する・監視するMonitor your understanding while you listen. 名詞のモニター(画面)と同じ語。研究では「自分の理解をチェックし続ける」意味でよく使う。
  • reflect onB2
    句動詞〜をふり返る・よく考えるReflect on what you missed after each listening. reflect は「反射する」が原義。reflection(ふり返り)は授業改善のキーワード。
  • thresholdC1
    名詞しきい値・境目There may be a threshold below which strategies do not help. もとは「敷居」。the threshold of ~ で「〜の入り口・始まり」。
  • confidentB1
    形容詞自信があるThe students felt more confident about listening. 名詞 confidence。be confident of / about ~ / that 節で使う。
  • universalB2
    形容詞普遍的な・万人に当てはまるThere is no universal method that works for everyone. uni-(一つの)+verse(向く)。universe(宇宙)と同語源。
リスニングは「聞き方」を教わると伸びるらしい。45研究のメタ分析で効果は中くらい。ところが日本の初級大学生129人で試すと、自信は少し上がったのに点数ははっきり伸びなかった。効くには“土台”が要るのかも。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Vandergrift & Tafaghodtari (2010) Teaching L2 Learners How to Listen Does Make a Difference: An Empirical Study, Language Learningdoi.org
  2. Dalman & Plonsky (2022) The effectiveness of second-language listening strategy instruction: A meta-analysis, Language Teaching Researchdoi.org
  3. Cross (2011) Metacognitive instruction for helping less-skilled listeners, ELT Journaldoi.org
  4. Milliner & Dimoski (2021) The effects of a metacognitive intervention on lower-proficiency EFL learners' listening comprehension and listening self-efficacy, Language Teaching Researchdoi.org
  5. Yuan & Tang (2024) Which approach best promoted low-proficiency learners' listening performance: metacognitive, bottom-up or a combination of both?, International Review of Applied Linguistics in Language Teachingdoi.org