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リスニング試験の「設問の先読み」は本当に効く? 研究が示した“効く読み方・危ない読み方”

リスニング試験の「設問の先読み」は本当に効く? 研究が示した“効く読み方・危ない読み方”

読む前に予想してみよう!

リスニング試験で選択肢を先に読むと、聞こえた単語と同じ語を含む選択肢を選んで間違えやすくなることがある

研究カード(どんな研究?)
対象
日本人大学生、英語学習者など
規模
数十〜数百人規模
研究の種類
テスト形式の比較実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

設問を先に見ると点が上がる場合がある一方、選択肢だけを見る形式では正答が減ったという日本人学習者の研究も。受験者は先読みの効果を実際より高く感じやすい。

ひとことで言うとリスニングの先読みは、選択肢より「質問文」を読むのがコツ!

もくじ
  1. 選択肢「だけ」の先読みは逆効果?
  2. 受験者は「先読みが効く」と思い込みやすい
  3. 聞くことは「推論」でもある
  4. まとめ

共通テストや英検、TOEICのリスニング対策で必ず言われる「先読み」。音声が流れる前に設問や選択肢に目を通しておく、あのテクニックです。

でも、先読みは本当に点数を上げるのでしょうか? 研究を調べると、「何を先読みするか」で結果が変わることが見えてきました。

01選択肢「だけ」の先読みは逆効果?

テスト作成者は、聞こえた単語をそのまま含む選択肢を「ひっかけ」に使うことがよくあります。正解は、音声の内容を言い換えた(パラフレーズした)選択肢であることが多いのです。

選択肢だけを頭に入れて聞くと、「あ、今の単語、選択肢にあった!」と飛びついてしまう。これが先読みの落とし穴です。

02受験者は「先読みが効く」と思い込みやすい

シャーマンの1997年の研究では、78人の被験者が4つの形式のリスニングテストを受けました。①設問を先に見る、②設問を聞いた後に見る、③1回目と2回目の音声の間に設問を見る(サンドイッチ型)、④設問なし。

結果、正答数が最も多かったのは③のサンドイッチ型でした。一方、アンケートでは受験者は「設問を先に見る形式」に強い愛着を示しました。研究者は「先読みの設問は、実際より役に立つように感じられる」と結論づけています。

先読みの「安心感」と、実際の「効果」は別もの
先読みの「安心感」と、実際の「効果」は別もの

03聞くことは「推論」でもある

バックの1991年の研究では、受験者に考えていることを声に出してもらいながらリスニングテストを解かせました。そこから見えたのは、リスニングが単語を拾う作業ではなく、状況や知識から意味を組み立てる「推論」だということです。

先読みで「何が聞かれるか」がわかれば、注意を向ける先が決まり、推論がしやすくなります。一方で、先読みに頭を使いすぎると、音声そのものへの注意がおろそかになる可能性も指摘されています。

つまり、先読みは「聞く目的を決める」ために使うのが本筋で、選択肢を暗記して照合するためのものではない、と言えそうです。

04まとめ

先読みは「何を聞けばいいか」をつかむ道具としては役立ちます。でも、選択肢を照合するための先読みは、ひっかけに引っかかる原因になりかねません。

次の模試では、選択肢より先に設問文を見る。そして「聞こえた単語そのまま」の選択肢には要注意。これだけで、先読みの使い方がぐっと上手になります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerReading the questions before the audio starts is a popular tip for listening tests. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Reading the questions before the audio starts is a popular tip for listening tests. But what you read first makes a difference. In 2008, Yanagawa and Green tested Japanese university students in three ways. Some saw both the questions and the answer options in advance.

Others saw only the options, and a third group saw only the questions. Scores were clearly lower when students saw only the options. The researchers think these students simply picked options that contained words they had just heard.

Test writers often use such repeated words as traps. In another study, 78 learners scored best when they saw the questions between the first and second playing of the audio. Even so, the same learners said they liked seeing the questions first.

125 words ・ CEFR B1

和訳を見る

音声が始まる前に設問を読むのは、リスニングテストでよく知られたコツです。しかし、先に何を読むかで結果は変わります。2008年、柳川とグリーンは日本の大学生に3つのやり方でテストを受けさせました。設問と選択肢の両方を事前に見る人たち、選択肢だけを見る人たち、そして設問だけを見る3つ目のグループです。

選択肢だけを見たとき、点数ははっきりと低くなりました。研究者たちは、この学生たちが、聞こえたばかりの単語を含む選択肢を単純に選んだのだと考えています。

テスト作成者は、そうした繰り返しの単語をひっかけとしてよく使います。別の研究では、78人の学習者が、1回目と2回目の音声の間に設問を見たときに最も高い点をとりました。それでも、同じ学習者たちは、設問を先に見るほうが好きだと答えました。

4択リーディングクイズ

Q1. In the 2008 study, which format led to clearly lower scores?

Q2. When did the 78 learners score best?

Q3. What can we infer about learners' feelings toward previewing?

重要単語

  • previewB2
    動詞・名詞先に見る・下見(する)Preview the questions before the audio starts. pre-(前に)+ view(見る)。review(見直す)と対で覚える。映画の「予告編」の意味もある。
  • answer optionB1
    名詞(句)選択肢Read the answer options carefully. choice とも言う。multiple-choice test「多肢選択式テスト」。テスト研究では option がよく使われる。
  • question stemC1
    名詞(句)設問文(問いの部分)The question stem tells you what to listen for. stem は「幹」。選択肢(枝)に対して問いの本体を指すテスト作成用語。
  • paraphraseB2
    名詞・動詞言い換え(る)Correct answers are often paraphrases of the audio. para-(そばに)+ phrase。共通テスト・TOEIC の正解は本文の言い換えが基本。読解・リスニング共通の最重要戦略語。
  • distractorC1
    名詞ひっかけの選択肢(誤答肢)The distractor repeated a word from the audio. distract(注意をそらす)+ -or。テスト理論の専門用語で、正解でない選択肢のこと。
  • inferenceC1
    名詞推論Listening is largely a process of inference. 動詞 infer「推論する」。make an inference「推論する」。B1/B2 の読解問題で「推論問題」として頻出。
  • multiple-choiceB1
    形容詞多肢選択式のThe exam has 30 multiple-choice questions. multiple(多数の)+ choice。名詞の前に置いて multiple-choice test / question のように使う。
リスニング試験の「先読み」、選択肢だけ先に見ると、正答が減り、聞こえた単語と同じ選択肢に飛びついたせいでは、と考察された日本の研究があるらしい。先読みするなら「何を聞かれるか」をつかむのが先。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Yanagawa & Green (2008) To show or not to show: The effects of item stems and answer options on performance on a multiple-choice listening comprehension test. Systemdoi.org
  2. Sherman (1997) The effect of question preview in listening comprehension tests. Language Testingdoi.org
  3. Buck (1991) The testing of listening comprehension: an introspective study. Language Testingdoi.org