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「英語を話している未来の自分」を思い描くと勉強が続く? 3万人超のデータが示した意外な弱点

「英語を話している未来の自分」を思い描くと勉強が続く? 3万人超のデータが示した意外な弱点

読む前に予想してみよう!

「英語を使う理想の自分」を思い描く人ほど、テストの成績がはっきり高い

研究カード(どんな研究?)
対象
世界の外国語学習者
規模
32報告・計32,078人のメタ分析ほか
研究の種類
メタ分析+介入研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

「英語を使いこなす理想の自分」を思い描く人ほど「がんばる気」は強い。でも3万人超のデータでは、実際の成績との関係は弱かった。イメージは計画とセットで効く。

ひとことで言うとなりたい自分を思い描く人はやる気が強い。でも行動に変えないと成績は上がらない!

もくじ
  1. 3つの「自分」が、やる気をつくる
  2. 3万人超のデータが示した「意外な弱点」
  3. イメージを「行動」につなげると効く
  4. まとめ

海外の空港で、ペラペラと英語で道を聞いている自分。オンライン会議で、堂々と英語でプレゼンしている自分。

そんな「英語を使いこなしている未来の自分」を、思い描いたことはありますか。

ハンガリー出身の応用言語学者ゾルタン・ドルニェイは、この「理想の自分」のイメージこそが、外国語学習を続ける原動力になると考えました。この理論は世界中で研究されています。では、実際にイメージするだけで英語力は伸びるのでしょうか。

013つの「自分」が、やる気をつくる

ドルニェイの「L2動機づけ自己システム」は、やる気を3つの要素で説明します。

  1. 理想のL2自己:英語を使いこなしている、なりたい自分
  2. 義務的L2自己:親や先生、社会の期待に応えて「こうあるべき」と思う自分
  3. L2学習経験:授業や先生、仲間など、今の学びの環境

カギは「今の自分」と「理想の自分」のギャップ。その差を埋めたいという気持ちが、学習を前に進めるというのです。

日本・中国・イランの英語学習者を比べた2009年発表の大規模な調査でも、どの国でも理想のL2自己は「努力しようとする気持ち」と強く関係していました。

鏡の向こうの「なりたい自分」との差が、やる気のエンジンになる
鏡の向こうの「なりたい自分」との差が、やる気のエンジンになる

023万人超のデータが示した「意外な弱点」

つまり、理想の自分が鮮明な人ほど「やる気はある」と答える。でも、それがそのまま成績に表れるとは限らないのです。

「がんばるつもり」は自己申告で、実際の勉強時間とは別物。理想を描くだけでは、行動に変換されないことがあるわけです。

たとえば「英語が話せたらいいな」と強く思っていても、毎日の予定に英語の時間が入っていなければ、成績は動きません。ビジョンと行動の間をつなぐ工夫が必要なのです。

03イメージを「行動」につなげると効く

では、理想の自分を思い描くのは無駄なのでしょうか。そうではありません。

イギリスと香港の大学で、中国人学生を対象に理想のL2自己を鮮明にする授業プログラムを行った研究では、どちらのプログラムでも学生のやる気と英語への自信が高まり、目標がより具体的になったと報告されています。

ドルニェイ自身も、ビジョンが効果を持つには、具体的で、現実味があり、それに向けた行動計画とセットになっていることが大事だと述べています。

04まとめ

「英語を話す理想の自分」を思い描く人ほど、やる気は強い傾向があります。でも、3万人超のデータは、イメージだけでは成績につながりにくいことも教えてくれました。

ビジョンはエンジン、計画はハンドル。描いたら、今日の一歩に落とし込む。それが、理想の自分に近づく一番の方法です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Hungarian applied linguist Zoltán Dörnyei believed that language learners are pushed forward by a… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Hungarian applied linguist Zoltán Dörnyei believed that language learners are pushed forward by a picture of the person they want to become. He called this the ideal L2 self. His model adds the ought-to L2 self, shaped by what other people expect of you, and your current learning experience.

The gap between who you are now and your ideal self keeps you moving. In 2018, Al-Hoorie combined 32 reports covering 32,078 learners. The ideal L2 self was closely linked to intended effort, or how hard learners planned to work.

Its link with real achievement, such as test scores, was weak. Planning to try hard is not the same as improving. The ought-to self, built on other people's expectations, had almost no link with achievement at all.

127 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ハンガリー出身の応用言語学者ゾルタン・ドルニェイは、言語学習者を前へ進ませるのは「なりたい自分」の姿だと考えました。彼はこれを理想のL2自己と呼びました。彼のモデルにはさらに、他人があなたに期待することによって形づくられる義務的L2自己と、今の学習経験が加わります。

今の自分と理想の自分の差が、人を動かし続けるのです。2018年、アル=フーリーは32の報告、32,078人の学習者のデータをまとめました。理想のL2自己は、努力の意図、つまりどれだけがんばるつもりかとは強く結びついていました。

しかし、テストの点数のような実際の達成との結びつきは弱いものでした。がんばるつもりでいることは、上達することと同じではないのです。他人の期待の上に成り立つ義務的自己は、達成とはほとんど関係がありませんでした。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the "ought-to L2 self"?

Q2. Which relationship was the strongest?

Q3. What does the result suggest?

重要単語

  • ideal selfB2
    名詞(句)理想の自己Imagine your ideal self speaking English with confidence. ideal(理想的な)+self(自己)。actual self(現実の自己)との差が動機づけになるという考え。
  • ought-to selfC1
    名詞(句)義務的自己(〜すべきと思う自分)My ought-to self studies because of my parents. ought to ~「~すべきだ」から。should とほぼ同義の助動詞表現。
  • intended effortC1
    名詞(句)努力の意図(がんばるつもり)Intended effort is not the same as actual effort. intend to do「~するつもりだ」の過去分詞が形容詞化。intention(意図)も頻出。
  • visionB2
    名詞将来像・ビジョンA clear vision keeps you going. 「視力」の意味もある多義語。have a vision of ~「~の将来像を持つ」。
  • visualizeC1
    動詞思い描くVisualize yourself giving a speech in English. visual(視覚の)+-ize。イギリス綴りは visualise。imagine の言い換えとして出る。
  • achievementB2
    名詞達成・学業成績Motivation and achievement are related, but not the same. academic achievement「学業成績」。動詞 achieve は achieve a goal「目標を達成する」で頻出。
  • correlationC1
    名詞相関(関係)There was a weak correlation between the two. r は相関係数で、1に近いほど強い。correlation does not imply causation(相関は因果を意味しない)は研究系長文の定番。

動画でもっと知る

「英語を話している未来の自分」を思い描くと勉強が続く、という有名な理論がある。3万2千人分のデータをまとめると、理想の自分が鮮明な人ほど“がんばるつもり”は強かった。ところが実際の成績との関係は、ぐっと弱かった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Dörnyei (2009) The L2 Motivational Self System, In Motivation, Language Identity and the L2 Selfdoi.org
  2. Taguchi, Magid & Papi (2009) The L2 Motivational Self System among Japanese, Chinese and Iranian Learners of English: A Comparative Studydoi.org
  3. Al-Hoorie (2018) The L2 motivational self system: A meta-analysis, Studies in Second Language Learning and Teachingdoi.org
  4. Magid & Chan (2012) Motivating English learners by helping them visualise their Ideal L2 Self: lessons from two motivational programmes, Innovation in Language Learning and Teachingdoi.org