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なまりのある英語は「信じてもらえない」? 有名な実験と、その後の追試の結末

なまりのある英語は「信じてもらえない」? 有名な実験と、その後の追試の結末

読む前に予想してみよう!

外国なまりの英語で話すと、内容が信じてもらえなくなることが、くり返し確かめられている

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・一般成人の聞き手
規模
数十〜数百人規模の実験を複数
研究の種類
実験研究(追試・事前登録追試を含む)
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

外国なまりで話された雑学は「本当らしくない」と判断された、という2010年の実験が有名。でもその後の追試では同じ結果が出ないことが多かった。

ひとことで言うとなまりで「うそっぽい」と思われる説は、まだ決着していない!

もくじ
  1. 2010年:なまりで「うそっぽく」聞こえた
  2. ところが、追試では差が出なかった
  3. 「偏見がない」わけではない
  4. まとめ

英語を話すとき、「日本人っぽい発音」が気になって話しづらい。そんな人は多いと思います。

そこに追い打ちをかけるような研究があります。外国なまりで話すと、話の内容まで信じてもらいにくくなる――2010年に発表された、とても有名な実験です。

でも、この話には続きがありました。その後の追試で、同じ結果が出ないケースが相次いだのです。

012010年:なまりで「うそっぽく」聞こえた

研究者たちは、これを処理流暢性で説明しました。なまりがあると聞き取りに少し手間がかかる。その「わかりにくさ」を、聞き手が無意識に「内容のあやしさ」と取り違えてしまう、というのです。

処理流暢性とは、情報が頭に入ってくるときの「スムーズさ」のこと。読みやすい文字で書かれた文の方が本当らしく感じられる、といった現象が知られており、なまりもその一種だと考えられたわけです。

この研究は数百回引用され、「なまり差別」を説明する代表的な研究になりました。

02ところが、追試では差が出なかった

ところが、ほかの研究者が同じような実験をくり返すと、結果は揺らぎ始めます。

スイスで約380人を対象にした研究(シュトッカー、2017年)では、なまりによる信頼度の差は見られませんでした。イタリアのロレンツォーニらの2024年の研究でも、真偽の判断にはなまりの影響が見られなかった一方で、話し手の印象(社会的な評価)は外国なまりで低めに出ました。

さらに、なまりに慣れると偏りが減るとした2021年の研究を、イギリス英語の話者を対象に事前登録してほぼそのまま追試した研究(バーロウら、2024年)でも、なまりの影響そのものが再現されませんでした。

なまりは「内容の信頼」を下げる? 天秤はまだ揺れている
なまりは「内容の信頼」を下げる? 天秤はまだ揺れている

03「偏見がない」わけではない

ここで注意したいのは、「なまりは何の影響もない」ということではない点です。

ハーバード大学のキンズラーらは2007年、乳児でさえ母語を話す人を好んで見ること、幼児はなまりのない話し手を友だちに選びやすいことを報告しています。人が話し方で相手をグループ分けする傾向は、早くから見られるのです。

つまり、「内容が信じてもらえない」効果は不安定だけれど、「話し手の印象」には影響しうる。研究の現在地は、そのあたりにあります。

04まとめ

「なまりのある英語は信じてもらえない」は、半分ホント・半分まだわからない。有名な実験はあるものの、追試ではくり返し揺らいでいます。

なまりを恥じる必要はありません。大切なのは「伝わること」。それを支えるのは、ネイティブっぽさより、わかりやすさです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCan a foreign accent make people doubt what you say? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Can a foreign accent make people doubt what you say? In a 2010 study at the University of Chicago, native English speakers heard trivia statements such as "Ants don't sleep" and rated how true each one seemed. Native speakers and speakers with mild or heavy accents read the same sentences.

The stronger the accent, the less true the statements seemed. This happened even though listeners knew the speakers were just reading. The researchers explained this with an idea called processing fluency. Speech that is harder to process may feel less believable.

But later studies in Switzerland, Italy and the UK often failed to find the same effect. So an accent might affect how listeners see the speaker, but there is little evidence that it makes them doubt the facts.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

外国なまりがあると、人はあなたの言うことを疑うのでしょうか。シカゴ大学で行われた2010年の研究では、英語のネイティブが「アリは眠らない」のような雑学を聞き、それぞれがどれくらい本当らしいかを評価しました。ネイティブと、軽いなまりまたは強いなまりのある話し手が、同じ文を読みました。

なまりが強いほど、文は本当らしくないと感じられました。聞き手は、話し手が文を読んでいるだけだと知っていたのに、そうなったのです。研究者はこれを「処理流暢性」という考え方で説明しました。処理しにくい話し言葉は、信じにくく感じられるのかもしれない、というのです。

しかしその後、スイス、イタリア、イギリスでの研究では、同じ効果が見つからないことがよくありました。つまり、なまりは聞き手が話し手をどう見るかに影響するかもしれませんが、内容そのものを疑わせるという証拠はほとんどないのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the listeners in the 2010 study do?

Q2. How did the researchers explain their result?

Q3. What can we infer from the last two sentences?

重要単語

  • accentA2
    名詞なまり・話し方の特徴Everyone speaks with some kind of accent. 「アクセント(強勢)」の意味もあるが、speak with an accent は「なまりがある」。have a strong / slight accent の形で頻出。
  • credibilityC1
    名詞信頼性・信じてもらえる度合いClear explanations build credibility. cred-(信じる)は credit・incredible と同語源。形容詞 credible「信頼できる」とセットで。
  • replicationC1
    名詞追試・再現Replication is how science checks itself. 動詞 replicate「再現する」。fail to replicate「再現できない」は研究紹介の定番。replica(複製)も同じ語源。
  • biasB2
    名詞偏り・偏見Hidden bias can affect our judgments. bias against ~「~への偏見」、bias toward ~「~びいき」。前置詞で向きが変わる点に注意。
  • processing fluencyC1
    名詞(句)処理流暢性(情報の頭への入りやすさ)Processing fluency can make statements feel true. SLAで言う「話す fluency(流暢さ)」とは別概念で、心理学の用語。処理が楽だと「正しい・好ましい」と感じやすい現象を指す。
  • intelligibilityC1
    名詞聞き取りやすさ・伝わりやすさIntelligibility matters more than a native-like accent. intelligible「理解できる」の名詞形。発音指導の世界では「ネイティブらしさ」より重視される目標。

動画でもっと知る

「アリは眠らない」みたいな雑学を外国なまりで読むと、ネイティブが読むより「うそっぽい」と判断された――2010年の有名な実験。ところがその後、スイスやイギリスでの追試では差が出なかったらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Lev-Ari & Keysar (2010) Why don't we believe non-native speakers? The influence of accent on credibility. Journal of Experimental Social Psychologydoi.org
  2. Stocker (2017) The impact of foreign accent on credibility: An analysis of cognitive statement ratings in a Swiss context. Journal of Psycholinguistic Researchdoi.org
  3. Lorenzoni, Faccio & Navarrete (2024) Does foreign-accented speech affect credibility? Evidence from the illusory-truth paradigm. Journal of Cognitiondoi.org
  4. Barlow et al. (2024) The effects of exposure and explicit stereotypes on veracity judgments of Polish-accented English speech: A preregistered close replication. Studies in Second Language Acquisitiondoi.org
  5. Kinzler, Dupoux & Spelke (2007) The native language of social cognition. PNASdoi.org