「鳥頭」はバカにできない? カラスやオウムの小さな脳には、サル並みの数の神経細胞が詰まっていた

読む前に予想してみよう!
大型のカラスやオウムの前脳には、脳がずっと大きいサルと同じくらいの神経細胞がある
鳥の脳は神経細胞の詰まり方(密度)が高い。28種を調べた研究で、同じかそれ以上という結果が出た。
- 対象
- 鳥28種
- 規模
- 各種数個体
- 研究の種類
- 脳細胞の計数研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
オウムや鳴き鳥の脳は小さいが、同じ重さの霊長類の脳の平均約2倍の神経細胞を詰め込んでいた。大型のオウムやカラスの前脳は、脳の大きなサルに匹敵する。
ひとことで言うと鳥の脳は小さいけど、中身はぎっしり。カラスはサル並みかも!
すぐに物事を忘れる人を「鳥頭」と言ったりします。でも、カラスが道具を作ったり、オウムが言葉の意味を理解したりする話を聞くと、「本当に鳥はおバカなの?」と思いませんか?
鳥の脳はとても小さく、カラスの脳はクルミくらいの大きさしかありません。こんなに小さな脳で、なぜ賢いのか。これは長年の謎でした。
01鳥の脳の神経細胞を「数えて」みた
分かったのは、次のようなことです。
- オウムや鳴き鳥(カラスもこの仲間)の脳には、同じ重さの霊長類の脳の平均約2倍の神経細胞があった
- つまり、鳥の脳には神経細胞がぎっしり高い密度で詰まっている
- さらにカラスやオウムでは、脳の神経細胞のうち、考えることに関わる前脳(終脳の外套)にある割合が高い
その結果、大型のオウムやカラスでは、前脳の神経細胞の数が、脳がずっと大きいサルと同じか、それ以上でした。

02鳥の脳は「原始的」と思われていた
実は昔、鳥の脳は「本能で動く原始的な脳」と考えられていました。哺乳類のような、層になった大脳皮質がないからです。
見方が変わったのは2005年です。国際的な研究者グループが、鳥の脳の各部分の名前を見直しました。そして、鳥の前脳の多くは哺乳類の大脳皮質と似た働きをする部分だと提案したのです。形は違っても、「考える場所」はちゃんとあったのです。
03カラスは「未来の計画」もできる?
カラスの仲間の賢さを示す研究も、次々に出ています。
- ワタリガラスは、あとで使う道具や、交換に使う品を選んでとっておくことができた。研究者は、類人猿に匹敵する計画性だと報告しています(2017年)
- ハシボソガラスに、見えるか見えないかギリギリの光を見せる実験もあります。カラスが「見えた」と答えたかどうかに合わせて活動する神経細胞が見つかりました。感覚の「意識」に関わる脳の活動の手がかりかもしれない、とされています(2020年)
04小さくても高性能なのはなぜ?
鳥は空を飛ぶため、体をできるだけ軽くしなければなりません。頭が重いと、飛ぶのに不利です。
そこで鳥は、脳を大きくする代わりに、小さな神経細胞をぎっしり詰め込む方法をとったのかもしれません。神経細胞どうしが近ければ、信号を伝える配線も短くてすみます。
研究チームは、前脳にぎっしり集まった多くの神経細胞が、鳥の賢さを大きく支えている可能性を指摘しています。
05まとめ
鳥の脳は小さい。でも中身はぎっしり。大型のカラスやオウムの前脳には、サル並みの数の神経細胞が詰まっていました。
次に公園でカラスと目が合ったら、思い出してみてください。「カラスの仲間の頭の中には、サル並みの数の神経細胞があるらしい」と。ちょっと見る目が変わるはずです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPeople sometimes call a forgetful person a "bird brain," but crows can make tools and parrots can…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
A crow's brain is only about the size of a walnut. But crows can make tools and solve puzzles. How is this possible? In 2016, scientists counted the nerve cells in the brains of 28 kinds of birds.
Bird brains were small, but the cells were packed very tightly. Large parrots and crows had as many cells in the forebrain as some monkeys with much bigger brains. Small brains can be very powerful.
73 words ・ CEFR A2
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カラスの脳は、クルミくらいの大きさしかありません。それでもカラスは道具を作ったり、パズルを解いたりできます。どうしてそんなことができるのでしょうか。2016年、科学者たちは28種類の鳥の脳の神経細胞を数えました。
鳥の脳は小さいのですが、細胞がとてもぎっしり詰まっていました。大型のオウムやカラスは、ずっと大きな脳を持つサルと同じくらいの数の細胞を前脳に持っていました。小さな脳でも、とても高性能になりうるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
小さな鳥の脳に細胞がぎっしり詰まっていて賢い理由、が中心なので C。
Q2. How many kinds of birds did the scientists study?
the brains of 28 kinds of birds とあるので B。2016は年。
Q3. In this passage, "packed very tightly" means the cells were ...
pack tightly は「ぎっしり詰める」。細胞がすき間なく詰まっていることなので D。
People sometimes call a forgetful person a "bird brain," but crows can make tools and parrots can understand the meaning of words. In 2016, an international team counted the neurons in the brains of 28 bird species. They found that the brains of parrots and songbirds, which include crows, held on average about twice as many neurons as primate brains of the same weight.
In addition, in crows and parrots, a large share of these neurons were in the forebrain, which is involved in thinking. As a result, large parrots and crows had as many forebrain neurons as monkeys with much larger brains, or even more. Scientists think birds may pack tiny neurons tightly because they need light bodies for flight.
121 words ・ CEFR B1
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忘れっぽい人を「鳥頭」と呼ぶことがありますが、カラスは道具を作れますし、オウムは言葉の意味を理解できます。2016年、国際的なチームが28種の鳥の脳の神経細胞を数えました。その結果、オウムや、カラスを含む鳴き鳥の脳は、同じ重さの霊長類の脳と比べて、平均で約2倍の神経細胞を持っていることがわかりました。
さらに、カラスやオウムでは、それらの神経細胞の多くが、考えることに関わる前脳にありました。その結果、大型のオウムやカラスは、ずっと大きな脳を持つサルと同じか、それ以上の数の神経細胞を前脳に持っていたのです。科学者たちは、鳥は飛ぶために体を軽くする必要があるので、小さな神経細胞をぎっしり詰め込んでいるのかもしれないと考えています。
4択リーディングクイズ
Q1. Compared with primate brains of the same weight, how many neurons did parrot and songbird brains have?
about twice as many neurons as primate brains of the same weight とあるので B。
Q2. Why is it important that many neurons were in the forebrain?
the forebrain, which is involved in thinking とあり、考える部分に多いことが賢さにつながると読めるので A。
Q3. Why might birds have small, tightly packed neurons?
they need light bodies for flight とあるので C。重い頭は飛ぶのに不利という理由。
Calling someone a "bird brain" implies stupidity, yet corvids make tools and parrots grasp the meaning of words, all with brains far smaller than ours. A 2016 study helped resolve this puzzle. By counting cell nuclei in the brains of 28 bird species, an international team showed that parrot and songbird brains contain on average about twice as many neurons as primate brains of the same mass.
In corvids and parrots, a high proportion of these neurons lie in the pallium, the part of the forebrain linked to cognition. Consequently, large parrots and corvids possess as many forebrain neurons as monkeys with considerably larger brains, or more. This finding fits a 2005 proposal that much of the avian forebrain functions like the mammalian cortex despite lacking its layered structure.
Behavioral work points the same way: ravens selected and saved tools for later use, and crows showed neural activity tracking whether they reported seeing a faint stimulus. One explanation is that flight favors light bodies, so birds evolved small, densely packed neurons. However, neuron count is only a proposed measure of processing capacity, its link to behavior is still being tested, and the crow consciousness study involved very few animals.
199 words ・ CEFR B2
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人を「鳥頭」と呼ぶことは愚かさをほのめかしますが、カラス科の鳥は道具を作り、オウムは言葉の意味を理解します。しかも、どれも人間よりずっと小さな脳で、です。2016年のある研究が、この謎の解明に役立ちました。国際チームは28種の鳥の脳の細胞核を数え、オウムや鳴き鳥の脳は、同じ質量の霊長類の脳と比べて平均で約2倍の神経細胞を含むことを示しました。
また、カラス科の鳥やオウムでは、これらの神経細胞の高い割合が、認知に関わる前脳の部分である外套にあります。その結果、大型のオウムやカラス科の鳥は、かなり大きな脳を持つサルと同じか、それ以上の数の神経細胞を前脳に持っているのです。この発見は、鳥の前脳の多くは層構造を持たないものの哺乳類の皮質のように働く、という2005年の提案とも合致します。
行動の研究も同じ方向を示しています。ワタリガラスは後で使う道具を選んでとっておき、カラスでは、かすかな刺激が見えたと報告したかどうかに合わせて変化する神経活動が見られました。一つの説明は、飛ぶためには体が軽いほうが有利なので、鳥は小さく密に詰まった神経細胞を進化させたというものです。しかし、神経細胞の数は処理能力の指標として提案されているにすぎず、行動との結びつきはまだ検証中であり、カラスの意識に関する研究はごく少数の個体しか対象にしていません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
小さな鳥の脳に高密度で神経細胞が詰まっていて、それが賢さを説明するかもしれない、が主旨なので D。
Q2. What did the 2005 proposal suggest?
much of the avian forebrain functions like the mammalian cortex despite lacking its layered structure とあるので A。層構造はないので B は誤り。
Q3. Which is mentioned as a limitation?
its link to behavior is still being tested と最終文にあるので C。2016年の研究は28種なので A は誤り。
重要単語
- densityB2名詞密度The neuron density in bird brains is very high.
形容詞 dense(密な)。population density「人口密度」は地理・社会の長文でも頻出。 - forebrainC1名詞前脳The forebrain is important for complex behavior.
fore-(前の)+brain。forehead(額)、forecast(予報)と同じ fore-。 - corvidC1名詞カラス科の鳥Corvids are known for solving puzzles.
カラス・ワタリガラス・カケスなどを含む。crow(カラス)、raven(ワタリガラス)も一緒に。 - primateB2名詞霊長類Humans, apes and monkeys are primates.
prime(第一の)と同語源。「動物の中で第一位」という発想の命名。 - plan aheadB1熟語前もって計画するRavens seem to plan ahead for future tasks.
ahead は「前もって」。think ahead、look ahead も同じ発想。 - packB1動詞詰め込むBirds pack many neurons into a small brain.
pack A into B「AをBに詰め込む」。densely packed「ぎっしり詰まった」は科学記事で頻出。
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「鳥頭」ってバカにしてたけど、オウムや鳴き鳥の脳は、同じ重さのサルの脳の平均約2倍の神経細胞を詰め込んでいたらしい。大型のオウムやカラスの前脳は、脳がずっと大きいサルと同じかそれ以上。小さくても高性能だった。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Olkowicz et al. (2016) Birds have primate-like numbers of neurons in the forebrain, PNASdoi.org
- Jarvis et al. (2005) Avian brains and a new understanding of vertebrate brain evolution, Nature Reviews Neurosciencedoi.org
- Kabadayi & Osvath (2017) Ravens parallel great apes in flexible planning for tool-use and bartering, Sciencedoi.org
- Nieder, Wagener & Rinnert (2020) A neural correlate of sensory consciousness in a corvid bird, Sciencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













