脳と心理ホント

【共通テストに出た】人は起きている時間の約半分「上の空」だった。ハーバードのスマホ調査

【共通テストに出た】人は起きている時間の約半分「上の空」だった。ハーバードのスマホ調査

読む前に予想してみよう!

楽しいことを空想している時は、目の前の作業に集中している時より幸せを感じやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
18〜88歳の成人
規模
約2,250人・約25万回の回答
研究の種類
スマホによる経験サンプリング(観察研究)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

スマホで2,000人超の「今なに考えてる?」を集めたら、約47%は目の前と関係ないことを考えていた。しかも上の空のときほど幸福感が低かった。

ひとことで言うと人は起きている時間の半分くらい、ぼーっと別のことを考えているらしい!

もくじ
  1. スマホが突然「今なに考えてる?」と聞いてくる
  2. 「上の空」のときほど、幸せを感じていない
  3. ぼんやりしている脳は、実は忙しい
  4. じゃあ、上の空は悪者なのか?
  5. まとめ

授業中、気づいたら全然関係ないことを考えていた――。誰にでもあるこの「上の空」、実は起きている時間のほぼ半分を占めているかもしれません。

ハーバード大学の心理学者が、スマホを使って多くの人の「頭の中」をのぞき見た研究があります。2026年度の大学入学共通テスト(本試験)英語リーディングでも、この「マインドワンダリング(心のさまよい)」がテーマの長文が出題されました。今回は、その元になった研究の世界を紹介します。

01スマホが突然「今なに考えてる?」と聞いてくる

ポイントは、実験室ではなくふだんの生活の真っ最中に聞いたこと。通勤中も、仕事中も、テレビを見ている時も。ほとんどの活動で、少なくとも3割ほどの時間は心がどこかへ出かけていました。

02「上の空」のときほど、幸せを感じていない

もっと意外だったのは、幸福感との関係です。

  • 心がさまよっているときは、集中しているときより幸福度が低かった
  • 楽しいことを空想している時でさえ、今に集中している時より幸せというわけではなかった
  • 嫌なことや、どうでもいいことを考えている時は、はっきり幸福度が下がった

さらに、「何をしているか」より「何を考えているか」のほうが、その瞬間の幸福度をよく説明していました。研究チームは時間のズレを使った分析から、「上の空だから不幸になる」方向の影響がありそうだと考えています。

心は気づかないうちに「今ここ」から旅に出ている
心は気づかないうちに「今ここ」から旅に出ている

03ぼんやりしている脳は、実は忙しい

「ぼーっとしている時、脳は休んでいる」と思いがちですが、これも違いました。

脳科学者のレイクルらは2001年、何もしていない安静時にむしろ活発になる脳の領域のまとまりがあることを報告しました。これが「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」。過去を思い出したり、未来を想像したり、他人の気持ちを考えたりする時にも働くとされています。

つまり上の空は、脳の「故障」ではなく、脳がもともと持っているモードなのです。

04じゃあ、上の空は悪者なのか?

そう単純ではありません。研究をまとめたレビュー(Smallwood & Schooler, 2015)では、マインドワンダリングにはコスト(読解ミス、気分の落ち込みなど)とメリット(将来の計画、創造的なひらめき)の両面があると整理されています。

大事なのは「いつ」さまようか。運転中や試験中はマイナスですが、散歩やシャワー中にさまよう心は、アイデアを温める時間(インキュベーション)になるかもしれません。

05まとめ

起きている時間の約半分は「上の空」。でもそれは脳の仕様です。

勉強中に心がさまよったら、責めずに「あ、今さまよったな」と気づいて戻ってくればOK。そして、散歩やお風呂の時間は、心を自由に旅させてあげましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerHave you ever realized that you were thinking about something else in the middle of a class? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Have you ever realized that you were thinking about something else in the middle of a class? Psychologists at Harvard University studied this with an iPhone app. At random times, the app asked about 2,250 adults how happy they were, what they were doing, and whether they were thinking about something else.

The researchers collected about 250,000 answers from everyday life, not from a laboratory. In about 47% of the answers, people's minds were wandering. People were also less happy when their minds wandered, and even pleasant daydreams did not make them happier than staying focused. In fact, what people were thinking about explained their happiness better than what they were doing.

112 words ・ CEFR B1

和訳を見る

授業の途中で、別のことを考えていたと気づいたことはありますか?ハーバード大学の心理学者たちは、iPhoneのアプリを使ってこれを研究しました。アプリはランダムなタイミングで約2,250人の大人に、どれくらい幸せか、何をしているか、そして別のことを考えているかを尋ねました。

研究者たちは、実験室ではなく日常生活の中から約25万件の回答を集めました。回答の約47%で、人々の心はさまよっていました。また、人々は心がさまよっているときのほうが幸福度が低く、楽しい空想でさえ、集中しているときより幸せにはしませんでした。実際、人々が何をしているかよりも、何を考えているかのほうが、その人の幸福度をよく説明していました。

4択リーディングクイズ

Q1. What was special about the way the data were collected?

Q2. Which statement is true according to the passage?

Q3. Which piece of advice best fits the findings?

重要単語

  • mind wanderingC1
    名詞(句)心のさまよい、上の空Mind wandering is common during boring tasks. wander(さまよう)は wonder(不思議に思う)と綴り・発音を混同しやすい。daydreaming とほぼ同義で共通テストに出題。
  • default mode networkC1
    名詞(句)デフォルト・モード・ネットワーク(ぼんやり時に働く脳のネットワーク)The default mode network becomes active when we daydream. 略称 DMN。default は「初期設定」。脳科学系の長文で頻出のキーワード。
  • sampleB1
    動詞・名詞(一部を)抽出して調べる/標本The researchers sampled people's thoughts at random times. 名詞の a small sample(小さな標本)は研究の限界を述べる定番表現。experience sampling は「経験サンプリング法」。
  • incubationC1
    名詞孵化、(アイデアを)温める期間A short break can act as an incubation period for new ideas. incubate(卵を温める)から。創造性の長文で incubation period として出る。
  • well-beingB2
    名詞幸福、心身の良好な状態Good sleep supports our well-being. happiness より広く「心身ともに良い状態」。入試の幸福・健康系テーマで頻出。
  • attributeB2
    動詞(原因を)〜のせいにするThey attributed the mistake to a lack of focus. attribute A to B「AをBのせいにする」は入試頻出の語法。名詞では「特性」の意味もある。
  • correlationalC1
    形容詞相関的なCorrelational data cannot prove cause and effect. correlation(相関)の形容詞形。correlation is not causation(相関は因果ではない)は研究系長文の決まり文句。

動画でもっと知る

4コマでわかる

【共通テストに出た】人は起きている時間の約半分「上の空」だった。ハーバードのスマホ調査の4コマ漫画
ハーバード大がスマホで2,000人以上に「今なに考えてる?」と聞き続けたら、約47%の時間は目の前と関係ないことを考えていたらしい。しかも上の空のときほど幸せを感じにくい。2026年の共通テスト英語のテーマにもなった話。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Killingsworth & Gilbert (2010) A wandering mind is an unhappy mind, Sciencedoi.org
  2. Raichle et al. (2001) A default mode of brain function, PNASdoi.org
  3. Smallwood & Schooler (2015) The science of mind wandering: empirically navigating the stream of consciousness, Annual Review of Psychologydoi.org