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親知らずが生えない人がいるのはなぜ? 世界の2割以上の人は、少なくとも1本が「最初から無い」

親知らずが生えない人がいるのはなぜ? 世界の2割以上の人は、少なくとも1本が「最初から無い」

読む前に予想してみよう!

親知らずが生えてこない人は、歯の芽が歯ぐきの中に隠れているだけである

研究カード(どんな研究?)
対象
親知らずが最初から無い人を調べた世界の調査
規模
92研究・6万3314人をまとめて分析
研究の種類
研究をまとめた分析/あごや歯の形の比較
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

親知らずが1本以上「もともと無い」人は世界で約23%。歯の大きさは前の歯の大きさで決まる単純なルールに従い、ヒトでは一番奥の歯(親知らず)が小さくなりやすい。

ひとことで言うと親知らずが1本以上もともと無い人は世界で2割以上。歯の大きさには法則がある。

もくじ
  1. 世界の約23%の人は、親知らずが1本以上ない
  2. なぜ、いちばん奥の歯が小さくなる?
  3. あごが小さくなった? 農耕と歯並びの話
  4. 抜いたほうがいい? 抜かなくていい?
  5. まとめ

親知らずは、いちばん奥に生える3番目の大臼歯(第三大臼歯)。10代後半から20代に出てくることが多く、痛みや埋伏(歯ぐきに埋まったまま)でトラブルを起こしがちです。

一方で、「自分は生まれつき親知らずが1本以上ない」という人もいます。これは珍しいことなのでしょうか?

答えは、かなりよくあること。しかも、その理由には、歯の進化と、歯ができるときのルールが関わっています。

01世界の約23%の人は、親知らずが1本以上ない

欠けている本数は「1〜2本」がいちばん多く、「3〜4本」は少なめです。

02なぜ、いちばん奥の歯が小さくなる?

歯の大きさには、とても単純なルールがあるようです。

ヒトでは、このルールのもとでいちばん後ろの歯(第三大臼歯)がもっとも小さくなりやすいのです。極端に小さくなれば、形成されない(欠如する)方向にもつながりうる、と考えることもできます。ただし、この研究が親知らずの欠如そのものを調べたわけではありません。

歯の大きさは「前の歯」との関係でおおよそ決まる
歯の大きさは「前の歯」との関係でおおよそ決まる

03あごが小さくなった? 農耕と歯並びの話

「昔の人には親知らずが生えるスペースがあったのに、現代人は小さいあごに無理に生えるからトラブルになる」という説明をよく聞きます。これはどこまで正しいのでしょう。

04抜いたほうがいい? 抜かなくていい?

親知らずは必ず抜くものではありません。英国NHSは、痛みや感染などの問題を起こしている場合に抜歯を検討するという考え方を示しています。

一方で、横向きに生えて手前の歯を押す、虫歯や歯ぐきの炎症をくり返す、歯ブラシが届かないといった場合は、抜いたほうがよいこともあります。

05まとめ

  • 親知らずが1本以上もともとない人は、世界平均で約23%(地域差は大きい)
  • 歯の大きさは「前の歯が次を抑える」単純なルールに従う
  • 下あごの形は、食事(農耕か狩猟採集か)と関係することが示された
  • 抜歯の判断は人それぞれ。歯科医と相談するのが正解

親知らずのトラブルや欠如には、歯ができるときのルールや、食生活とあごの変化が関わっているようです。その1本に、人類の歯とあごの歴史のヒントが隠れています。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWisdom teeth, or third molars, usually appear in the late teens or twenties, and they often cause pain when… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Wisdom teeth, or third molars, usually appear in the late teens or twenties, and they often cause pain when there is not enough space. However, many people never develop some of them at all. In 2015, Carter and Worthington combined data from 92 studies involving more than 63,000 people. They estimated that about 23 percent of people worldwide lack at least one wisdom tooth from birth, although the figure varied from about 5 to 56 percent between studies.

Another study in 2016 found a simple rule. Each tooth affects the growth of the next one, so the last molar tends to be the smallest. This may help explain why it is sometimes missing.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

親知らず、すなわち第三大臼歯は、ふつう10代後半か20代に生えてきて、十分なスペースがないとしばしば痛みを引き起こします。しかし、多くの人はその一部がまったく形成されません。2015年、カーターとワージントンは、6万3000人以上が参加した92の研究のデータをまとめました。彼らは、世界の人々の約23%が生まれつき少なくとも1本の親知らずを欠いていると推定しましたが、その数値は研究によって約5〜56%と幅がありました。

2016年の別の研究は単純なルールを見つけました。それぞれの歯が次の歯の成長に影響するので、最後の大臼歯が最も小さくなりやすいのです。これは、それがときどき欠けている理由を説明する助けになるかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. How many studies did Carter and Worthington combine?

Q2. What simple rule did the 2016 study find?

Q3. What can we infer from the range of 5 to 56 percent?

重要単語

  • wisdom toothB2
    名詞(句)親知らず(第三大臼歯)My wisdom tooth never came in. 「分別がつく年齢で生える歯」から。複数形は wisdom teeth。
  • molarC1
    名詞大臼歯(奥歯)The third molar is the last to appear. ラテン語 mola(石臼)から。すりつぶす歯のイメージ。
  • agenesisC1
    名詞先天欠如(もともと形成されないこと)Third molar agenesis is quite common. a-(否定)+genesis(発生・起源)。Genesis は旧約聖書の「創世記」。
  • impactedC1
    形容詞(歯が)埋まっている・埋伏したAn impacted tooth can cause pain. impact(衝撃・影響)の形容詞形だが、歯科では「詰まって出てこない」の意味。
  • jawB1
    名詞あごOur jaws became shorter over time. upper jaw(上あご)/ lower jaw(下あご)。jaw-dropping は「あぜんとするような」。
  • inheritB2
    動詞受け継ぐTooth patterns are partly inherited. inherit A from B「BからAを受け継ぐ」。名詞 inheritance(遺産・遺伝)。

動画でもっと知る

親知らずが1本以上「生まれつき無い」人は、世界平均で約23%。研究ごとの推定値には5%から56%まで差がある。しかも歯の大きさは「前の歯の大きさ」で決まる単純な法則に従い、ヒトでは一番奥がいちばん小さくなりやすいらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Carter & Worthington (2015) Morphologic and Demographic Predictors of Third Molar Agenesis, Journal of Dental Researchdoi.org
  2. Evans et al. (2016) A simple rule governs the evolution and development of hominin tooth size, Naturedoi.org
  3. von Cramon-Taubadel (2011) Global human mandibular variation reflects differences in agricultural and hunter-gatherer subsistence strategies, PNASdoi.org