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サウナ週4回以上で心臓突然死が少なかった? フィンランド研究の「すごさ」と「落とし穴」

サウナ週4回以上で心臓突然死が少なかった? フィンランド研究の「すごさ」と「落とし穴」

読む前に予想してみよう!

フィンランドの研究で、サウナに入ると心臓病が防げることが証明された

研究カード(どんな研究?)
対象
フィンランドの中年男性
規模
2,315人・約20年追跡
研究の種類
前向きコホート研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

フィンランドの中年男性約2300人を約20年追うと、サウナに週4〜7回入る人は週1回の人より心臓突然死のリスクが63%低かった。ただし因果は不明。

ひとことで言うとサウナ好きに長生きが多かった。でも「サウナのおかげ」かはまだ分からない!

もくじ
  1. 2315人の男性を約20年追跡
  2. サウナで体の中では何が起きている?
  3. 「落とし穴」:元気な人ほどサウナに行ける
  4. まとめ

「サウナで、ととのう」。ここ数年、日本ではちょっとしたサウナブームが続いています。

そのブームでよく引用されるのが、サウナの本場フィンランドの研究です。「サウナに週4回以上入る人は、心臓の病気で亡くなるリスクが低い」——。

この研究、たしかにすごいデータです。でも同時に、読み方を間違えやすい落とし穴もあります。両方を見ていきましょう。

012315人の男性を約20年追跡

心臓や血管の病気による死亡や、あらゆる原因による死亡でも、サウナの回数が多いほどリスクが低いという同じ方向の関係が見られました。1回あたりの時間でも、19分を超えて入る人は、11分未満の人より心臓突然死のリスクが低い傾向がありました。

同じ研究グループは、その後、認知症(2017年)や、女性も含めた集団での心血管死(2018年)についても、似た関連を報告しています。

02サウナで体の中では何が起きている?

80〜100℃ほどのフィンランド式サウナに入ると、体温が上がり、皮膚の血管が広がって、心拍数が上がります。軽い運動をしているときに近い状態です。

2018年のレビューでは、こうした反応をくり返すことで、血管がしなやかになる、血圧が下がるなど、心臓や血管にとって良い変化が起こる可能性が整理されています。ただし、その多くは短期間の小規模な研究に基づくものです。

サウナの熱で血管が広がり、心臓は軽い運動のときに近い働き方をする
サウナの熱で血管が広がり、心臓は軽い運動のときに近い働き方をする

03「落とし穴」:元気な人ほどサウナに行ける

ここからが大事な話です。この研究は、観察研究です。サウナに入る回数を研究者が決めたわけではなく、もともとの生活習慣を記録して、その後を追いかけただけです。

すると、こんな可能性が考えられます。

  • もともと健康な人ほど、サウナに頻繁に通える(体調が悪い人はサウナに行かない)
  • 週4回以上サウナに行ける人は、時間やお金に余裕があったり、友人との交流が多かったりする
  • 対象はフィンランドの中年男性で、文化も入り方も日本とは違う

研究チームも、喫煙や血圧などの危険因子を統計的に調整していますが、測れていない違いまで完全に取り除くことはできません。

さらに日本のサウナでは、高温のサウナと冷たい水風呂を行き来する入り方が人気です。急激な温度変化は、血圧の大きな上下を引き起こします。フィンランドの研究結果を、そのまま日本の「サ活」に当てはめることはできないのです。

ちなみに、研究が行われた1980年代のフィンランドでは、多くの家庭にサウナがあり、サウナは特別な健康法ではなくごく日常的な習慣でした。日本の銭湯やスーパー銭湯でのサウナとは、温度や湿度、入る時間、一緒に過ごす人なども違います。研究結果を読むときは、こうした「背景の違い」も頭に入れておきましょう。

04まとめ

フィンランドのサウナ研究は、20年という長い追跡で「サウナ好きは心臓突然死が少ない」という興味深い関連を示しました。でも、それがサウナのおかげかどうかは、まだ証明されていません。

サウナは「健康法」というより、まずは安全に楽しむリラックスの時間。そのくらいの距離感がちょうどよさそうです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSauna fans often mention a famous study from Finland. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Sauna fans often mention a famous study from Finland. Researchers followed 2,315 Finnish men aged 42 to 60 for about 20 years. Compared with men who used a sauna once a week, those who used it four to seven times a week had a 63% lower risk of sudden cardiac death. In a hot sauna, blood vessels widen and the heart beats faster, a little like during light exercise.

However, this was an observational study. The researchers did not decide how often each man used the sauna. They only recorded the men's habits and followed them. It is possible that healthier men, or men with more free time, simply went to the sauna more often.

115 words ・ CEFR B1

和訳を見る

サウナ好きの人は、フィンランドの有名な研究をよく話題にします。研究者たちは、42〜60歳のフィンランド人男性2,315人を約20年間追跡しました。週1回サウナに入る男性に比べて、週4〜7回入る男性は、心臓突然死のリスクが63%低くなっていました。熱いサウナの中では血管が広がり、心拍数が上がって、軽い運動をしているときに少し似た状態になります。

しかし、これは観察研究でした。研究者たちは、それぞれの男性がどれくらいサウナに入るかを決めたわけではありません。男性たちの習慣を記録し、追跡しただけです。もっと健康な男性や、自由な時間が多い男性が、単にサウナに頻繁に行っていただけという可能性もあるのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main point of the passage?

Q2. How much lower was the risk of sudden cardiac death for men who used a sauna four to seven times a week?

Q3. What can we infer from the last sentence?

重要単語

  • sauna bathingB2
    名詞(句)サウナ浴Sauna bathing is part of Finnish culture. sauna はフィンランド語由来の数少ない英単語。英語の発音は /ˈsɔːnə/(ソーナ)に近い。
  • sudden cardiac deathC1
    名詞(句)心臓突然死Sudden cardiac death is often caused by arrhythmia. cardiac は「心臓の」。cardio(有酸素運動)や cardiology(心臓病学)と同じ語源。
  • observational studyC1
    名詞(句)観察研究An observational study can show links but not causes. observe(観察する)から。介入しない研究で、因果関係の証明には限界がある。
  • confoundingC1
    名詞交絡(見かけの関係を生む別の要因)Confounding may explain the association. confound(混乱させる)から。「第3の要因」が見かけの関係をつくる現象。
  • dehydrationB2
    名詞脱水Drink water to prevent dehydration in the sauna. de(除く)+hydr(水)。sauna の前後の水分補給は safety の基本。
  • dilateC1
    動詞(血管・瞳孔などを)広げるHeat dilates the blood vessels in your skin. 反対は constrict(収縮させる)。医療・生物の長文で対で出やすい。

4コマでわかる

サウナ週4回以上で心臓突然死が少なかった? フィンランド研究の「すごさ」と「落とし穴」の4コマ漫画
フィンランドの中年男性約2300人を20年追ったら、サウナに週4〜7回入る人は週1回の人より心臓突然死のリスクが63%低かったらしい。でもこれは観察研究。元気な人ほどサウナに通えている可能性も。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Laukkanen T et al. (2015) Association Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events, JAMA Internal Medicinedoi.org
  2. Laukkanen T et al. (2017) Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer's disease in middle-aged Finnish men, Age and Ageingdoi.org
  3. Laukkanen T et al. (2018) Sauna bathing is associated with reduced cardiovascular mortality and improves risk prediction in men and women: a prospective cohort study, BMC Medicinedoi.org
  4. Laukkanen JA et al. (2018) Cardiovascular and Other Health Benefits of Sauna Bathing: A Review of the Evidence, Mayo Clinic Proceedingsdoi.org