体と健康・食ホント

2050年には世界の半分が近視に? 子どもの目を守るカギは「外で過ごす時間」だった

2050年には世界の半分が近視に? 子どもの目を守るカギは「外で過ごす時間」だった

読む前に予想してみよう!

子どもが外で過ごす時間を増やすと、近視になる子が減ることが実験で示されている

研究カード(どんな研究?)
対象
小学1年生
規模
約1,900人(12校)
研究の種類
クラスターランダム化比較試験
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

2050年には世界の約半分が近視になるという推計がある。中国の小学校で毎日40分の屋外授業を足すと、3年後に近視になった子は30.4%で、いつもどおりの学校の39.5%より少なかった。

ひとことで言うと外で遊ぶ時間は、目を守る「天然の予防薬」かも!

もくじ
  1. 2050年には約48億人が近視に
  2. 毎日40分の「屋外授業」で近視が減った
  3. なぜ「外」が効くのか
  4. まとめ

クラスを見渡すと、メガネをかけている子が何人いますか? 親の世代より明らかに増えた、と感じる人も多いはずです。

それもそのはず。近視は今、世界中で急増しています。ある推計では、2050年には世界の人の約半分が近視になると予想されているのです。

でも、希望もあります。子どもの近視を予防するカギとして、とてもシンプルな方法が注目されています。それが「外で過ごすこと」です。

012050年には約48億人が近視に

近視は、眼球が前後に長く伸びすぎることで、遠くを見たときにピントが網膜より手前で合ってしまう状態です。

メガネやコンタクトで見え方は補えますが、強い近視になると、大人になってから網膜はく離や緑内障など、目の病気のリスクが高まることが知られています。だからこそ、子どものうちに近視の進行を防ぐことが重要なのです。

02毎日40分の「屋外授業」で近視が減った

屋外の明るい光が、目の成長のブレーキ役になっていると考えられている
屋外の明るい光が、目の成長のブレーキ役になっていると考えられている

2015年、中国・中山大学のヘー(He)さんらが『JAMA』に発表した研究は、大きな話題になりました。

広州の小学校12校の1年生を対象に、6校では毎日40分の屋外活動の授業を追加し、保護者にも週末の外遊びを勧めました。残りの6校はいつもどおりの生活です。

3年後、開始時に近視でなかった子のうち、近視になった子の割合は、

  • 屋外授業を増やした学校:30.4%
  • いつもどおりの学校:39.5%

と、はっきりした差が出ました。

台湾でも、休み時間に子どもを教室の外に出すよう促す取り組みを1年間行った小学校と、行わなかった小学校(2校の比較)で調べた研究が2013年に発表され、取り組んだ学校のほうが新たに近視になる子が少なく、近視の進み方もゆるやかでした。台湾では2010年から、教育部が1日に屋外で2時間過ごそうという呼びかけ(「天天戸外120」)を始め、学校に広がっています。

03なぜ「外」が効くのか

2008年のオーストラリア(シドニー)の研究では、12歳の子で屋外で過ごす時間が長い子ほど近視が少ない傾向があり、それは本を読むなどの近くを見る作業の量とは関係なく見られました。

つまり、「外では遠くを見るから」だけでなく、屋外の光の明るさそのものが大事なのではないかと考えられています。屋外は曇りの日でも室内よりずっと明るく、その光が網膜でドーパミンという物質の放出をうながし、眼球が伸びすぎるのを抑える、という仮説が有力です(動物実験が中心で、ヒトでの仕組みはまだ研究中です)。

日本でも文部科学省が児童生徒の近視の実態調査を行うなど、関心が高まっています。

近視は一度なると、基本的に元には戻りません。だからこそ、近視になる前の小学校低学年ごろに外で過ごす時間を確保することが、特に大切だと考えられています。

04まとめ

近視の急増は、私たちの生活が「室内中心」になったこととも関係していそうです。

難しい治療の前に、まずは外に出て、明るい光の中で過ごすこと。子どもの目にとって、校庭や公園は最高の「予防の場」なのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMyopia, or nearsightedness, is increasing quickly around the world. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Myopia, or nearsightedness, is increasing quickly around the world. One study estimated that about half of the world's population, around 4.8 billion people, will be nearsighted by 2050. Myopia happens when the eyeball grows too long. Strong myopia can raise the risk of serious eye diseases later in life, so preventing it in childhood is important.

In a 2015 study in China, six primary schools added a 40-minute outdoor class every day, while six other schools did not. After three years, 30.4% of the children in the outdoor schools had become nearsighted, compared with 39.5% in the other schools. Researchers believe bright outdoor light may help stop the eyeball from growing too long.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

近視は世界中で急速に増えています。ある研究は、2050年までに世界人口の約半分、およそ48億人が近視になると推計しました。近視は、眼球が前後に長くなりすぎることで起こります。強い近視は、大人になってから深刻な目の病気のリスクを高めることがあるので、子どものうちに予防することが大切です。

2015年の中国の研究では、6つの小学校が毎日40分の屋外の授業を追加し、ほかの6つの学校は追加しませんでした。3年後、屋外授業のある学校では30.4%の子どもが近視になったのに対し、ほかの学校では39.5%でした。研究者たちは、屋外の明るい光が眼球の伸びすぎを抑える助けになるのではないかと考えています。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What percentage of children in the outdoor schools became nearsighted?

Q3. Why is it important to prevent myopia in childhood?

重要単語

  • myopiaC1
    名詞近視Myopia is increasing among children worldwide. 形容詞は myopic。比喩で「近視眼的な(先を見通せない)」の意味でも使われ、論説文に出る。
  • nearsightedB2
    形容詞近視のI'm nearsighted, so I need glasses for the board. near(近く)+sighted(見える)。反対は farsighted(遠視の・先見の明のある)。
  • outdoorA2
    形容詞屋外のOutdoor play is good for children's eyes. 形容詞は outdoor、副詞は outdoors(play outdoors)。s の有無に注意。
  • prevalenceC1
    名詞有病率(ある時点で病気の人の割合)The prevalence of myopia is high in East Asia. prevail(広まる)の名詞形。形容詞 prevalent「広く行き渡った」も頻出。
  • eyeballB1
    名詞眼球In myopia, the eyeball grows too long. eye+ball で「目の玉」。eyeball to eyeball で「面と向かって」という口語表現も。
  • interventionC1
    名詞介入A simple intervention reduced new cases of myopia. inter(間に)+vene(来る)。研究では「何かを意図的に変えて効果をみること」。

動画でもっと知る

4コマでわかる

2050年には世界の半分が近視に? 子どもの目を守るカギは「外で過ごす時間」だったの4コマ漫画
2050年には世界の約半分、約48億人が近視になるという推計がある。中国の小学校で毎日40分の屋外授業を追加したら、3年間で近視になった子は30.4%で、いつもどおりの学校の39.5%より少なかったらしい。外遊び、大事。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Holden BA et al. (2016) Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050, Ophthalmologydoi.org
  2. He M et al. (2015) Effect of Time Spent Outdoors at School on the Development of Myopia Among Children in China: A Randomized Clinical Trial, JAMAdoi.org
  3. Wu PC et al. (2013) Outdoor Activity during Class Recess Reduces Myopia Onset and Progression in School Children, Ophthalmologydoi.org
  4. Rose KA et al. (2008) Outdoor Activity Reduces the Prevalence of Myopia in Children, Ophthalmologydoi.org