「暗い所で本を読むと目が悪くなる」は根拠なし。本当に近視と関係していたのは"外遊び"だった

読む前に予想してみよう!
暗い部屋で本を読む習慣があると、視力が永久に悪くなる
目が疲れたり頭痛がしたりはするが、目の構造を傷めて視力を下げる証拠はない。
- 対象
- 子ども(中国・台湾など)
- 規模
- 約1,900人のRCTほか
- 研究の種類
- ランダム化比較試験+メタ分析
- 確かさ
- ★★★★☆
暗い所での読書は目が疲れるが、視力を永久に悪くする証拠はない。近視との関連が報告されているのは、近くを見続ける時間の長さと、外で過ごす時間の短さだった。
ひとことで言うと暗い所で読むと目は疲れる。でも、それで目が悪くなるわけじゃない!
もくじ
「そんな暗い所で本を読んでたら、目が悪くなるよ!」
布団の中で懐中電灯をつけてマンガを読んでいたら、親にこう叱られた――そんな思い出がある人も多いのでは。
この注意、じつは医学的な根拠がほとんどありません。ただし「だから目は大丈夫」と安心していいかというと、話はもう少し奥が深いのです。
01暗い所で読むと「疲れる」けど「壊れない」
暗い所では、瞳孔が大きく開き、目のピントを合わせる筋肉もがんばって働きます。また、細かい文字に集中するとまばたきも減りがち。だから目が疲れる、乾く、頭が痛くなるといったことは起こります。
でもそれは一時的なもの。休めば元に戻ります。
02近視の正体:目玉が「前後に伸びる」
では、そもそも近視はどうして起こるのでしょう。
近視の多くは、目玉(眼球)が前後に少し長く伸びてしまうことで起こります。長くなると、遠くからの光のピントが網膜より手前で合ってしまい、遠くがぼやけるのです。
一度伸びた眼球は基本的に元に戻りません。だから近視は「疲れ」とは違い、体の形の変化なのです。
03関係がはっきりしていたのは「外で過ごす時間」
眼球が伸びる原因として、遺伝に加えて注目されているのが生活環境です。
台湾でも、休み時間に子どもを教室の外に出す取り組みで近視の発症が減ったという報告があります(Wu ら 2013)。屋外の明るい光が、眼球が伸びすぎるのを抑えているのではないかと考えられています。

04「近くを見続けること」も関係あり
もう1つの要因が、本やスマホなど近くを長時間見続けること(近業)です。
子どもを対象にした研究をまとめたメタ分析では、近業の時間が長い子ほど近視が多い傾向が見られました。ただし関連の強さはそれほど大きくなく、研究によってばらつきもあります。
ここで面白いのは、問題になりうるのは「暗さ」ではなく「近さ」と「長さ」だということ。明るい部屋で何時間もスマホを見続けるほうが、薄暗い部屋で少し本を読むより、目にとっては気になる習慣かもしれません。
05なぜ「暗い所=目に悪い」と言われたのか
暗い所で読むと目がしょぼしょぼして、「目に悪いことをしている」感覚がはっきりあります。その体感から、「疲れる=悪くなる」と結びつけられたのでしょう。
それに、近視の子は本好きなことが多い。「本ばかり読んでいるから目が悪くなった」と見えやすかったのも一因かもしれません。
06まとめ
- 暗い所での読書は目が疲れるけれど、視力を永久に悪くする証拠はない
- 近視は眼球が前後に伸びることで起こる
- 近視を防ぐ方向の証拠があるのは外で過ごす時間。近くを長時間見続ける習慣にも注意
子どもには「暗い所で読むな」より、「たまには外で遊ぼう」のほうが、目のためになる声かけかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany of us were told that reading in dim light would ruin our eyesight.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many parents say, "Don't read in the dark! It will hurt your eyes." But this is not true. Reading in dim light can make your eyes tired, but they get better after rest.
Eye doctors say it does not damage your eyes. Nearsightedness, or myopia, is more related to looking at close things for a long time and not playing outside enough. Playing outside may help protect your eyes.
69 words ・ CEFR A2
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多くの親が「暗い所で本を読まないで!目が悪くなるよ」と言います。でも、これは正しくありません。薄暗い所で本を読むと目が疲れることはありますが、休めば元に戻ります。
眼科医は、それで目が傷むことはないと言っています。近視は、近くの物を長い時間見ることや、外であまり遊ばないことのほうに関係しています。外で遊ぶことが、目を守るのに役立つかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
暗い所での読書で目が悪くなるのかがテーマなので B。
Q2. What may help protect your eyes?
Playing outside may help protect your eyes. とあるので D。
Q3. In this passage, "tired" means ...
tired は「疲れた」。休めば元に戻る(get better after rest)状態なので A。永久に壊れるわけではない。
Many of us were told that reading in dim light would ruin our eyesight. However, the American Academy of Ophthalmology says that reading in the dark does not damage the eyes. It can cause tired eyes, dryness or headaches, but these are temporary.
Most myopia happens when the eyeball grows slightly too long from front to back. This change is usually permanent, so it is different from tiredness. In a 2015 study in China, about 1,900 first-grade children were followed for three years. In schools that added 40 minutes of outdoor activity each day, about 30 percent of children developed myopia, compared with about 40 percent in other schools.
109 words ・ CEFR B1
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私たちの多くは、薄暗い所で本を読むと視力がだめになると言われてきました。しかし、米国眼科学会は、暗い所での読書は目を傷めないと説明しています。目の疲れや乾き、頭痛が起こることはありますが、それらは一時的なものです。
近視の多くは、眼球が前後に少し長く伸びすぎることで起こります。この変化はふつう元に戻らないので、疲れとはちがいます。2015年の中国の研究では、小学1年生約1900人を3年間追跡しました。毎日40分の屋外活動を加えた学校では、近視になった子どもは約30%で、ほかの学校の約40%より少なかったのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
暗い所での読書は目を傷めず、屋外で過ごす時間が近視を防ぐ方向に働くらしい、という内容なので C。
Q2. In the 2015 study, about what percentage of children in the schools with extra outdoor activity developed myopia?
about 30 percent of children developed myopia とあるので B。40%はほかの学校の数字。
Q3. How is myopia different from eye strain?
眼球が伸びる変化は usually permanent で、一時的な疲れとはちがうと述べているので A。
Everyone has heard "Don't read in the dark or you'll ruin your eyes," yet the evidence does not support it. Dim light makes the pupils widen and the focusing muscles work harder, and close reading makes people blink less, so eye strain, dryness and headaches can occur. These effects, however, are temporary.
The American Academy of Ophthalmology states that reading in dim light does not harm the eyes, and a 2007 BMJ article on medical myths found no support for permanent damage. Myopia is different: most cases arise when the eyeball becomes slightly too long, so that distant images focus in front of the retina, a structural change that usually cannot be reversed. What, then, drives it? Besides genetics, environment matters.
In a 2015 randomized trial in Guangzhou, China, involving about 1,900 first-graders, schools that added 40 minutes of daily outdoor activity saw about 30 percent of children develop myopia over three years, compared with about 40 percent in other schools. Bright outdoor light may slow the eye's excessive growth. Long hours of near work are also associated with myopia, although the link is modest and varies across studies.
189 words ・ CEFR B2
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「暗い所で本を読むと目が悪くなるよ」は誰もが一度は聞いたことがありますが、証拠はそれを支持していません。薄暗い光では瞳孔が広がり、ピントを合わせる筋肉がより働き、細かい文字を読むとまばたきも減りがちなので、目の疲れ、乾き、頭痛が起こることがあります。しかし、これらの影響は一時的なものです。
米国眼科学会は、薄暗い所での読書は目を傷めないと述べており、医学の俗説を検証した2007年のBMJの記事も、永久的な損傷を裏づけるものは見つからなかったとしています。近視は別物です。近視の多くは眼球が少し長くなりすぎ、遠くの像のピントが網膜より手前で合ってしまうことで起こり、これはふつう元に戻せない構造の変化です。では、何が近視を引き起こすのでしょうか?遺伝に加えて、環境も重要です。
2015年に中国・広州で小学1年生約1900人を対象に行われたランダム化試験では、毎日40分の屋外活動を加えた学校では、3年間で近視になった子どもが約30%だったのに対し、ほかの学校では約40%でした。屋外の明るい光が、眼球の伸びすぎをおさえているのかもしれません。長時間の近業(近くを見る作業)も近視と関連していますが、その関連はそれほど強くなく、研究によってばらつきがあります。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, what causes most cases of myopia?
most cases arise when the eyeball becomes slightly too long とあるので D。
Q2. What did the 2015 trial in Guangzhou show?
屋外活動を加えた学校では約30%、ほかの学校では約40%と、近視になる割合が低かったので A。
Q3. How does the author describe the link between near work and myopia?
the link is modest and varies across studies とあるので B。観察研究中心で関連は中程度という慎重な書き方。
重要単語
- myopiaC1名詞近視Myopia is becoming more common among children.
日常語では short-sightedness / nearsightedness。形容詞 myopic は「近視眼的な(目先しか見ない)」という比喩でも使う。 - eye strainB2名詞(句)目の疲れ、眼精疲労Reading in dim light may cause eye strain.
strain は「負担・緊張」。muscle strain(筋肉の痛み)、mental strain(精神的負担)も同じ語。 - near workC1名詞(句)近業(近くを見る作業)Hours of near work can tire your eyes.
読書、スマホ、勉強など目の近くで行う作業の総称。近視研究で使われる用語。 - outdoorsA2副詞・名詞屋外で/野外Children should spend more time outdoors.
副詞は outdoors、形容詞は outdoor(outdoor activity)。s の有無で品詞が変わる点に注意。 - permanentB2形容詞永久のThere is no permanent damage to the eyes.
反対は temporary(一時的な)。髪の「パーマ」は permanent wave の略。 - reverseB2動詞元に戻す、逆にするMyopia usually cannot be reversed.
形容詞 irreversible は「元に戻せない」。reverse causation(逆の因果)も研究の頻出語。
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「暗い所で本を読むと目が悪くなる」は、米国眼科学会も「目を傷めない」と説明しているらしい。むしろ近視と関係が深いのは外で過ごす時間。学校で外遊びを40分増やしたら近視の発症が減った実験まである。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Vreeman & Carroll (2007) Medical myths, BMJdoi.org
- Morgan, Ohno-Matsui & Saw (2012) Myopia, The Lancetdoi.org
- He et al. (2015) Effect of Time Spent Outdoors at School on the Development of Myopia Among Children in China, JAMAdoi.org
- Huang et al. (2015) The Association between Near Work Activities and Myopia in Children—A Systematic Review and Meta-Analysis, PLOS ONEdoi.org
- Wu et al. (2013) Outdoor Activity during Class Recess Reduces Myopia Onset and Progression in School Children, Ophthalmologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











