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【悲報】筋肉痛の犯人は「乳酸」じゃなかった。本当の原因は“ブレーキをかける動き”

【悲報】筋肉痛の犯人は「乳酸」じゃなかった。本当の原因は“ブレーキをかける動き”

読む前に予想してみよう!

上り坂より下り坂を走ったほうが、筋肉痛になりやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
ヒト(7名)/ラット
規模
小規模な実験
研究の種類
比較実験・動物実験・レビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

乳酸は運動後1時間ほどで元に戻るのに、筋肉痛は1〜2日後にピーク。坂道を下るような「ブレーキの動き」で起きやすく、乳酸犯人説は否定的。

ひとことで言うと筋肉痛は乳酸のせいじゃない! 筋肉が「ブレーキ」をかけたあとの反応。

もくじ
  1. 乳酸は「翌日まで残っていない」
  2. 下り坂のほうが筋肉痛になる
  3. では、何が痛みを起こしているの?
  4. 2回目は筋肉痛が軽くなる
  5. 乳酸はむしろ「燃料」だった
  6. まとめ

久しぶりに運動した翌日、階段を下りるたびに「イタタタ……」。そんなとき、「乳酸がたまってるんだよ」と言われたことはありませんか?

でも実は、「筋肉痛=乳酸」説は、運動生理学ではほぼ否定されています。

では本当の原因は何なのか。そこには、筋肉が“ブレーキ”をかける動きが関係していました。

01乳酸は「翌日まで残っていない」

まず、時間のつじつまが合いません。

激しい運動をすると、たしかに血液中の乳酸は増えます。でも、運動をやめると1時間ほどでだいたい元のレベルに戻ることがわかっています。

一方、いわゆる筋肉痛(専門的には遅発性筋肉痛=あとから遅れてくる筋肉痛)は、運動の翌日から2日後くらいにピークを迎えます。乳酸がもういなくなった後に痛みがやってくるので、乳酸が犯人とは考えにくいわけです。

02下り坂のほうが筋肉痛になる

ポイントは、筋肉の使い方です。

  • 上り坂・持ち上げる動き:筋肉が縮みながら力を出す(短縮性収縮)
  • 下り坂・ゆっくり下ろす動き:筋肉が引きのばされながら、ブレーキをかけるように力を出す(伸張性収縮)

この「ブレーキの動き」のほうが、筋肉痛を起こしやすいんです。階段を下りる、重い荷物をゆっくり下ろす、スクワットでしゃがむ動きなどがこれにあたります。

筋肉が「のばされながらブレーキをかける」動きは、筋肉痛の大きな原因
筋肉が「のばされながらブレーキをかける」動きは、筋肉痛の大きな原因

03では、何が痛みを起こしているの?

実は、筋肉痛の仕組みはまだ完全には解明されていません。今のところ有力なのは、こんな流れです。

  1. ブレーキの動きで、筋肉や周りの組織にごく小さなダメージが起こる
  2. 修理のために炎症反応が起こる
  3. その過程で、痛みを感じやすくする物質が出て、押したり動かしたりしたときに痛む

日本の水村和枝さんらの研究グループは、動物実験で神経の成長に関わる物質(神経成長因子など)が、筋肉痛の「押すと痛い」状態に関わっていることを示しています。

042回目は筋肉痛が軽くなる

同じ運動をしばらくしてからもう一度やると、1回目より筋肉痛が軽くなることが知られています。これは「くり返し効果」と呼ばれ、筋肉や神経が、ブレーキの動きに慣れて守りを固めるためと考えられています。

いきなり激しい運動をせず、少しずつ量を増やすのが、筋肉痛と上手に付き合うコツです。

05乳酸はむしろ「燃料」だった

かつて乳酸は「疲労物質」「ゴミ」のように言われてきました。でも今では、乳酸は心臓や筋肉でエネルギーとして再利用される燃料でもあることがわかっています。アメリカのブルックス(Brooks)さんが提唱した「乳酸シャトル」という考え方です。

06まとめ

筋肉痛の犯人は乳酸ではなく、筋肉が引きのばされながらブレーキをかける動きによる小さなダメージと、その修理の反応でした。

同じ運動をくり返すと筋肉痛が軽くなっていくのは、体がちゃんと「慣れて」強くなっている証拠。痛みは、体が工事中のサインなのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerFor a long time, people believed that muscle soreness was caused by lactic acid building up in the muscles. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

For a long time, people believed that muscle soreness was caused by lactic acid building up in the muscles. However, scientists now reject this idea. Lactic acid in the blood returns to normal about an hour after exercise, but muscle soreness usually peaks one or two days later.

In 1983, American researchers compared running on flat ground with running downhill. Although downhill running was done at a lower intensity, it caused clearly stronger soreness. The key is the type of movement. When muscles produce force while being stretched, as in going downstairs, they act like brakes. This causes tiny damage, followed by inflammation as the body repairs it.

108 words ・ CEFR B1

和訳を見る

長い間、筋肉痛は筋肉に乳酸がたまることで起こると信じられてきました。しかし今では、科学者たちはこの考えを否定しています。血液中の乳酸は運動の約1時間後には元に戻りますが、筋肉痛はふつう1〜2日後にピークを迎えます。

1983年、アメリカの研究者たちは、平らな地面を走る場合と下り坂を走る場合を比べました。下り坂のランニングは運動の強さが低かったにもかかわらず、はっきりと強い筋肉痛を起こしました。カギは動きの種類です。階段を下りるときのように、筋肉が引きのばされながら力を出すとき、筋肉はブレーキのように働きます。これがごく小さなダメージを起こし、その後、体がそれを修理する過程で炎症が起こるのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the 1983 study find?

Q3. Which activity would most likely cause muscle soreness?

重要単語

  • muscle sorenessB2
    名詞(句)筋肉痛Muscle soreness often peaks two days later. sore は「ひりひり痛む」。I have a sore throat.「のどが痛い」も頻出。
  • lactic acidC1
    名詞(句)乳酸Lactic acid is not the cause of soreness. lact- は「乳」。lactose(乳糖)、lactation(授乳)と同語源。
  • eccentric contractionC1
    名詞(句)伸張性収縮Walking downstairs involves eccentric contraction. eccentric は普段「風変わりな」の意味。中心(center)から外れる、が原義。
  • inflammationC1
    名詞炎症Inflammation is part of the repair process. inflame(火をつける)から。flame(炎)と同語源で「体が燃えるように腫れる」イメージ。
  • repeated bout effectC1
    名詞(句)くり返し効果Thanks to the repeated bout effect, the second workout hurt less. bout は「(運動・病気などの)ひと続きの期間」。a bout of flu「インフルエンザにかかること」。
  • peakB1
    動詞・名詞ピークに達する/頂点Soreness peaks one or two days after exercise. 山の「頂上」から。peak hours「ピーク時」。peek(のぞく)とつづりを混同しないこと。
  • microscopicC1
    形容詞顕微鏡でしか見えない、ごく小さなExercise can cause microscopic damage to muscles. microscope(顕微鏡)の形容詞。micro-(小さい)+scope(見る)。telescope(望遠鏡)も同じ仲間。

動画でもっと知る

筋肉痛=乳酸がたまったせい、と思ってた人へ。乳酸は運動後わりとすぐ元に戻るのに、筋肉痛は1〜2日後にピークがくる。しかも、運動の強さが低めの「下り坂ランニング」のほうが、平地より筋肉痛がしっかり起きたらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Cheung, Hume & Maxwell (2003) Delayed Onset Muscle Soreness: Treatment Strategies and Performance Factors, Sports Medicinedoi.org
  2. Schwane et al. (1983) Delayed-onset muscular soreness and plasma CPK and LDH activities after downhill running, Medicine & Science in Sports & Exercisedoi.org
  3. Brooks (2018) The Science and Translation of Lactate Shuttle Theory, Cell Metabolismdoi.org
  4. Murase et al. (2010) Bradykinin and Nerve Growth Factor Play Pivotal Roles in Muscular Mechanical Hyperalgesia after Exercise (Delayed-Onset Muscle Soreness), Journal of Neurosciencedoi.org