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ファニーボーンの正体は骨じゃなかった。肘をぶつけると小指までビリッとしびれる理由

ファニーボーンの正体は骨じゃなかった。肘をぶつけると小指までビリッとしびれる理由

読む前に予想してみよう!

肘をぶつけてビリッとくる「ファニーボーン」は、肘の骨の一部の名前だ

研究カード(どんな研究?)
対象
人の肘の解剖・臨床
規模
解剖学・臨床レビュー+臨床報告
研究の種類
レビュー・観察研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

肘をぶつけたときのビリッの正体は「尺骨神経」。肘の内側で骨と皮膚の間を浅く通るので、ぶつけると神経が骨に押しつけられ、小指と薬指までしびれる。

ひとことで言うと「ファニーボーン」は骨じゃなくて神経。肘の内側の浅いところを通っている!

もくじ
  1. ファニーボーンとは? 正体は「尺骨神経」
  2. なぜ肘をぶつけると小指がしびれる?
  3. 6人に1人は、神経が「ずれやすい」?
  4. ビリッが続くなら「肘部管症候群」かも
  5. まとめ

机の角に肘をゴンッ。その瞬間、腕から指先まで電気が走るようなあの感覚。英語ではこの場所をファニーボーン(funny bone=おかしな骨)と呼びます。

結論から言うと、ファニーボーンの正体は骨ではなく「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」という神経です。肘の内側では、この神経が骨と皮膚の間のとても浅いところを通っているため、ぶつけると神経が骨に押しつけられ、ビリッとくるのです。

01ファニーボーンとは? 正体は「尺骨神経」

腕の神経は、首の骨のあたりから出て、腕の中を通り指先まで伸びています。尺骨神経もその一本で、小指と薬指の小指側半分の感覚や、手の細かい動きを担当しています。

医学の教科書的な資料(StatPearls)によると、尺骨神経は二の腕の内側を下りてきて、肘で「肘部管(ちゅうぶかん)」というトンネルを通ります。場所は、肘の内側の出っ張った骨(内側上顆)と、肘の先の骨(肘頭)の間です。

自分の肘の内側を軽くなぞってみてください。骨の出っ張りの後ろに、くぼんだ溝があるはずです。そこが尺骨神経の通り道です(強く押したり叩いたりはしないでくださいね)。

02なぜ肘をぶつけると小指がしびれる?

不思議なのは、ぶつけたのは肘なのに、小指や薬指までビリビリすること。

神経は、指先の皮膚からの信号を脳まで運ぶ「電線」のようなものです。脳はふだん、尺骨神経から届く信号を「小指や薬指から来た情報」として受け取っています。

ところが肘で神経が直接たたかれると、電線の途中で信号が一気に発生します。脳には信号の発生場所を確かめる方法がないので、いつもどおり「小指と薬指で何か起きた!」と感じてしまうのです。

肘の内側では、神経が骨と皮膚の間をすれすれに通っている
肘の内側では、神経が骨と皮膚の間をすれすれに通っている

ちなみに名前の由来は、はっきりしていません。一説には、二の腕の骨の名前「humerus(ヒューメラス)」が「humorous(ユーモラス=おかしい)」に似ているからだ、とも言われています。

036人に1人は、神経が「ずれやすい」?

マジか!?なデータもあります。1975年、医師のチルドレスは、肘を曲げたときに尺骨神経が溝から骨の上へずれる人が16.2%いたと報告しました。

男女や年齢、運動をしているかどうかに関係なく見られ、ずれやすさは利き腕のほうが大きい傾向でした。原因は、神経を支える組織が生まれつきゆるいことだと考えられています。

骨の上に乗りやすい神経は、それだけぶつけたときの衝撃を受けやすくなります。「自分は人よりよく肘をビリッとさせる」という人は、このタイプかもしれません。

04ビリッが続くなら「肘部管症候群」かも

ぶつけたときのしびれは、ふつうしばらくすると消えます。でも、肘の内側で神経が長く圧迫されたり引っぱられたりすると、しびれが続くことがあります。これが肘部管症候群です。

先ほどのレビューによると、肘部管症候群は手首の「手根管症候群」の次に多い神経の圧迫による病気で、一般の人の最大5.9%が症状を経験したことがあると推定されています。

05まとめ

ファニーボーンは「おかしな骨」ではなく、肘の内側の浅いところを通る尺骨神経でした。小指までしびれるのは、脳が神経の途中で起きた信号を「指から来た」と受け取るから。

次に肘をぶつけたら、痛みの中で「今、尺骨神経が鳴ってる」と思い出してみてください。少しだけ、おかしな気分になれるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe "funny bone" is not a bone at all. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The "funny bone" is not a bone at all. It is the ulnar nerve, which carries feelings from the little finger and part of the ring finger to the brain. At the inner elbow, the nerve passes through a narrow space called the cubital tunnel, where only skin and a thin layer of tissue cover it.

When you hit this spot, the nerve is pressed against the bone and sends a sudden signal. Because the brain usually receives signals from this nerve as information from the fingers, it feels the shock in the little and ring fingers, even though the elbow was hit. Usually the feeling disappears after a while.

110 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「ファニーボーン」はまったく骨ではありません。それは尺骨神経で、小指と薬指の一部からの感覚を脳に運んでいます。肘の内側では、この神経は肘部管という狭い通り道を通っていて、そこでは皮膚と薄い組織の層だけがそれを覆っています。

この場所をぶつけると、神経が骨に押しつけられ、急に信号を送ります。脳はふだん、この神経からの信号を指からの情報として受け取っているので、ぶつけたのは肘なのに、小指と薬指に衝撃を感じるのです。ふつう、その感覚はしばらくすると消えます。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. Why is the nerve easy to hit at the inner elbow?

Q3. Why do people feel the shock in their fingers?

重要単語

  • ulnar nerveC1
    名詞(句)尺骨神経The ulnar nerve carries feelings from your little finger. ulna(尺骨=前腕の小指側の骨)の形容詞が ulnar。親指側の骨は radius(橈骨)。
  • elbowA2
    名詞肘She bumped her elbow on the desk. 動詞で「肘で押しのける」の意味も。elbow one's way through the crowd「人混みをかき分けて進む」。
  • numbnessB2
    名詞しびれ・感覚がないことThe numbness went away after a minute. numb(しびれた)の b は発音しない(/nʌm/)。thumb, climb と同じパターン。
  • tinglingB2
    名詞・形容詞ピリピリ・チクチクする感じI felt a tingling in my fingers. 動詞 tingle から。a tingling sensation の形で使うことが多い。ワクワクする興奮にも使える。
  • compressB2
    動詞圧迫するLeaning on your elbow can compress the nerve. com-(ともに)+press(押す)。ファイルの「圧縮」も compress。名詞は compression。
  • superficialC1
    形容詞浅いところにあるThe nerve is superficial at the elbow. super-(上)+face(表面)。「うわべだけの・表面的な」の意味でも入試頻出(a superficial understanding)。

動画でもっと知る

肘の内側をぶつけた時のあの「ビリビリッ」。英語でファニーボーン(おかしな骨)と呼ぶけど、正体は骨じゃなくて神経だった。しかも小指までしびれるのは、脳が「指から来た信号」と勘違いするから。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Anderson et al. (2022) A Comprehensive Review of Cubital Tunnel Syndrome, Orthopedic Reviewsdoi.org
  2. Chauhan, Anand & Das (2023) Cubital Tunnel Syndrome, StatPearlspubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Davis & Kane (2023) Ulnar Nerve Entrapment, StatPearlspubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  4. Childress (1975) Recurrent ulnar-nerve dislocation at the elbow, Clinical Orthopaedics and Related Researchdoi.org