体と健康・食ビミョー

「2日目のカレーはおいしい」は科学で証明済み? 調べたら“鍋の中の菌”の話が出てきた

「2日目のカレーはおいしい」は科学で証明済み? 調べたら“鍋の中の菌”の話が出てきた

読む前に予想してみよう!

カレーは一度しっかり加熱すれば、鍋ごと一晩常温に置いても菌は増えない

研究カード(どんな研究?)
対象
米国の食中毒報告・牛ひき肉の実験
規模
289件の集団発生+実験室研究
研究の種類
疫学調査+実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

2日目のカレーがおいしい理由は諸説あるが決定的な研究は少ない。一方、鍋のまま常温で冷ますと熱に強いウエルシュ菌が増えるリスクは確か。

ひとことで言うと2日目カレーを楽しむなら、「すぐ冷やして冷蔵庫」が絶対ルール!

もくじ
  1. 「おいしくなる」理由として考えられること
  2. 鍋の中で起きている、もうひとつの変化
  3. 冷ますスピードで、菌の数は大きく変わる
  4. まとめ

「カレーは2日目がおいしい」。日本の家庭では、ほぼ"常識"のように語られていますよね。

では、これは科学的に証明されているのでしょうか? 調べてみると、意外な結果になりました。「おいしくなる」ことを示すしっかりした研究は、思ったより少ないのです。

そのかわり、はっきりわかっていることがあります。それは、一晩置いたカレーの鍋の中で、ある菌が増えやすいという事実です。

01「おいしくなる」理由として考えられること

2日目のカレーがおいしく感じる理由としては、次のような説明がよく挙げられます。

  • 具材(じゃがいも・肉・野菜)にルーの味がしみこむ
  • じゃがいもなどから溶け出したでんぷんでとろみが増し、口当たりがまろやかになる
  • スパイスのとがった香りが落ち着き、全体がなじむ

どれも「ありそう」な話ですが、同じカレーを1日目と2日目で、目隠しで食べ比べた信頼できる研究は、ほとんど見当たりません。「2日目はおいしい」という期待そのものが、味の感じ方を後押ししている可能性もあります。

つまり判定はビミョー。おいしく感じる人がいるのは確かでも、理由はまだ"有力な説"の段階です。

02鍋の中で起きている、もうひとつの変化

一方、はっきりしているのがウエルシュ菌の話です。

つまり、ぐつぐつ煮込んでも芽胞は生き残り、鍋のままゆっくり冷めていく数時間が、菌にとって絶好の増殖タイムになってしまうのです。とろみのある煮込みの鍋底は酸素が少なく、菌に好都合な条件がそろいます。

大鍋のままゆっくり冷めると、鍋底は菌が増えやすい「ぬるい・酸素が少ない」環境になる
大鍋のままゆっくり冷めると、鍋底は菌が増えやすい「ぬるい・酸素が少ない」環境になる

しかも、菌が増えてもにおいや見た目ではほとんどわからないことが多いのがやっかいなところ。「におわないから大丈夫」は通用しません。

03冷ますスピードで、菌の数は大きく変わる

アメリカの研究(1994年)では、加熱した牛ひき肉にウエルシュ菌の芽胞を加え、54℃から7℃まで冷ます時間を変えて調べました。15時間以内に冷やした場合は菌はほとんど増えませんでしたが、18時間かけて冷ました場合は、菌の数が数万倍レベルに増えていました。

また、アメリカで1998〜2010年に報告されたウエルシュ菌の集団食中毒は289件、患者は約1万5000人。原因食品を1種類に絞れた集団発生(全体の約半数)では、9割以上が肉や鶏肉の料理でした。

04まとめ

「2日目のカレーはおいしい」は、ありそうだけど科学的な決定打はまだ少ない話でした。一方、鍋ごと常温で冷ますと菌が増えやすいことは、はっきりわかっています。

2日目カレーを楽しむコツは、小分け・急冷・しっかり再加熱。おいしさと安全、両方を手に入れましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn Japan, it is almost common sense that curry tastes better on the second day. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In Japan, it is almost common sense that curry tastes better on the second day. People often say that the flavor soaks into the vegetables, the sauce becomes thicker, and the spices become milder. However, there are very few reliable studies in which people compared first-day and second-day curry without knowing which was which.

What is clear is a safety risk. A bacterium called Clostridium perfringens can form spores that survive boiling. When a large pot of curry cools slowly, the bacteria can multiply quickly, especially at around 43 to 45°C. Food with these bacteria usually looks and smells normal. Therefore, leftovers should be divided into small containers, cooled quickly, and reheated thoroughly.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本では、カレーは2日目のほうがおいしいというのは、ほとんど常識です。味が野菜にしみこむ、ソースにとろみが増す、スパイスがまろやかになる、とよく言われます。しかし、どちらがどちらか知らされずに1日目と2日目のカレーを食べ比べた信頼できる研究は、ほとんどありません。

はっきりしているのは、安全上のリスクです。ウエルシュ菌という細菌は、煮立てても生き残る芽胞を作ることがあります。大鍋のカレーがゆっくり冷めると、この菌は特に43〜45℃前後で急速に増えることがあります。この菌がいる食べ物は、たいてい見た目もにおいもふつうです。したがって、残り物は小さな容器に分け、すばやく冷まし、しっかり再加熱すべきです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is missing from research on second-day curry?

Q2. Why can Clostridium perfringens survive boiling?

Q3. Why does the writer mention that the food "looks and smells normal"?

重要単語

  • leftoverB1
    名詞残り物We ate the leftover curry the next day. ふつう複数形 leftovers で使う。left(残された)+over。
  • sporeC1
    名詞芽胞、胞子Some bacteria survive boiling as spores. カビやシダの「胞子」も spore。熱や乾燥に強い休眠状態のイメージ。
  • food poisoningB1
    名詞(句)食中毒Food poisoning often happens in summer. get food poisoning「食中毒になる」。poison(毒)から。
  • refrigerateB2
    動詞冷蔵するRefrigerate the soup after it cools. refrigerator(冷蔵庫)の動詞形。口語では fridge が一般的。
  • reheatB1
    動詞温め直すReheat the curry until it is steaming hot. re-(再び)+heat。reheat thoroughly「しっかり温め直す」が衛生の定番表現。
  • bacteriumB2
    名詞細菌(単数形)This bacterium grows well without oxygen. 複数形は bacteria。bacteria を単数扱いする誤りが入試の正誤問題で狙われる。
  • multiplyB2
    動詞増殖する、増えるBacteria multiply quickly in warm food. 「掛け算する」の意味でも使う。菌が増える文脈では grow / multiply が定番。
「2日目のカレーはおいしい」、調べてみたら科学的な決定打は意外と少なかった。それより確かなのは、鍋ごと常温で一晩置くと、100℃でも死なない芽胞をもつウエルシュ菌が増えやすいこと。作り置きは小分けにして急冷が鉄則。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. 食品安全委員会 ファクトシート:ウエルシュ菌食中毒fsc.go.jp
  2. Grass et al. (2013) Epidemiology of foodborne disease outbreaks caused by Clostridium perfringens, United States, 1998-2010, Foodborne Pathogens and Diseasedoi.org
  3. Juneja et al. (1994) Influence of Cooling Rate on Outgrowth of Clostridium perfringens Spores in Cooked Ground Beef, Journal of Food Protectiondoi.org