
World Bee Day
世界ミツバチの日の由来と歴史(詳しく)
いつから?なぜ?名前の意味は? 世界ミツバチの日の本当の話を、確かな資料でたどります。
1世界ミツバチの日の由来:5月20日は「画家だった養蜂家」の日
国連の記念日の日付が、ひとりの養蜂家の人生から選ばれました。その人の名はアントン・ヤンシャ。1734年5月20日、今のスロベニアのブレズニツァ村で洗礼を受けました。本当の誕生日は記録がなく、洗礼の日が誕生日として扱われています。
ヤンシャは、ハチを飼う家に生まれました。でも若いころの夢は画家。ウィーンで絵の勉強をします。ところが、だんだんハチのほうに夢中になり、1769年からは養蜂(ハチを飼うこと)だけを仕事にしました。1770年には、オーストリアの支配する国々で初めての、王家に任命された養蜂の先生になります。
ヤンシャのアイデアは、今でも使われています。巣箱を積み木のように積み重ねられる形にしたこと。花の咲く場所へ巣箱ごと運ぶ方法をすすめたこと。そして、女王バチは空中で交尾する、と考えたこと。巣箱の正面に絵を描いたのも、画家だったヤンシャらしい工夫でした。
1773年、ヤンシャはウィーンで39歳ほどの若さで亡くなります。そのあと女帝マリア・テレジアは、養蜂の先生たちに彼の本を使うよう命じました。

2世界ミツバチの日の歴史:スロベニアが国連を動かすまで
この日を世界に提案したのは、スロベニアです。人口約200万人の小さな国ですが、ハチの国としては世界トップクラス。国中で約20万の群れのハチが飼われています。
スロベニアにいるミツバチは「カーニオラン種」だけ。灰色っぽい体で「グレーのハチ」とも呼ばれ、とてもおとなしいことで知られます。木の巣箱の正面には、聖書の場面や、悪魔が女の人の舌をといしで研いでいる場面など、ユーモアたっぷりの絵が描かれてきました。約150年の間に5万枚以上が作られ、知られている絵柄は600種類をこえます。こうした「スロベニアの養蜂という生き方」は、2022年にユネスコの無形文化遺産になっています。
2016年、スロベニアは国連食糧農業機関(FAO)のヨーロッパ地域会議で世界ミツバチの日を提案しました。そして2017年12月20日、国連総会が全会一致で5月20日を「世界ミツバチの日」と決めます。最初の年の2018年には、ヤンシャの生まれたブレズニツァで記念の式典が開かれました。
今は毎年、FAOがテーマを決めます。2026年のテーマは「人と地球のために、ハチと一緒に」でした。
🕰️ 世界ミツバチの日の年表
- 1734年5月20日、アントン・ヤンシャが今のスロベニアのブレズニツァで洗礼を受ける。
- 1770年ヤンシャが、オーストリアの国々で初めて王家に任命された養蜂の先生になる。
- 1973年ミツバチのダンスを解き明かしたカール・フォン・フリッシュがノーベル賞を受賞。
- 2006年東京・銀座のビルの屋上で「銀座ミツバチプロジェクト」が始まる。
- 2017年12月20日、国連総会が全会一致で5月20日を世界ミツバチの日に決める。
- 2018年最初の世界ミツバチの日。ブレズニツァで記念式典。
3なぜミツバチの日が必要?作物の75%を支える小さな運び屋
ハチの仕事は、はちみつ作りだけではありません。花から花へ飛ぶとき、体についた花粉を運びます。これが「受粉」で、受粉しないと多くの植物は実や種を作れません。
国際的な科学者の組織IPBESの2016年の報告によると、世界の食用作物の75%は、少なくとも一部をハチなどの受粉に頼っています。野生の花の植物なら、ほぼ90%。リンゴ、イチゴ、アーモンド、カボチャ……ハチがいなければ、店の棚はずいぶんさびしくなります。
ところが、そのハチが減っています。同じ報告では、ハチやチョウなどの受粉を助ける虫は、地域によって40%以上の種が絶滅の危機にあるとされました。原因は、農薬、すみかになる草地や生け垣の減少、病気、気候の変化などです。
ミツバチの体の小ささも、知っておくと見方が変わります。ミツバチが一度に運べる蜜は約40ミリグラム。それをためるのに、1000以上の花を回ることもあります。そして蜜を見つけたハチは、巣に帰って8の字のダンスを踊り、仲間に方向と距離を教えます。この「ダンス言葉」を解き明かしたカール・フォン・フリッシュは、1973年にノーベル賞を受けました。
🎁 シンボルと小物
はちみつを作るハチ。2万種以上いるハチの中で、ミツバチはほんの数種類です。
ハチは蜜と花粉を集めながら、花から花へ花粉を運び、実りを助けます。
花の蜜を巣で濃くしたもの。蜜は水分が70〜80%ですが、はちみつになると18%ほどになります。
スロベニア名物。巣箱の正面の板に、聖書の場面や笑い話の絵が描かれています。
4日本のミツバチ:銀座の屋上から、スズメバチを蒸し焼きにする技まで
日本にも、ハチの記念日があります。3月8日は「みつ(3)ばち(8)」で「みつばちの日」、8月3日は「はち(8)みつ(3)」で「はちみつの日」。どちらも全日本はちみつ協同組合と日本養蜂はちみつ協会が決めた日で、はちみつの日は1985年の制定です。
東京のど真ん中でも、ハチは働いています。2006年に始まった「銀座ミツバチプロジェクト」では、地上45メートルのビルの屋上で巣箱を置きました。とれたはちみつは1年目が150キロ、4年目には800キロ。ハチたちは約2キロの範囲を飛び回り、皇居や浜離宮、日比谷公園、街路樹の花から蜜を集めています。
日本の在来種ニホンミツバチには、すごい技があります。天敵のオオスズメバチが巣に来ると、何百匹ものハチが取り囲んで「ハチの玉」を作り、羽の筋肉をふるわせて熱を出すのです。玉の中は約46℃。二酸化炭素も増え、ミツバチは耐えられても、スズメバチは耐えられません。仲間を呼ばれる前に、偵察役を倒してしまう作戦です。
5よくある誤解とホント:「ハチが消えたら人類はあと4年」はアインシュタインの言葉?
誤解:アインシュタインが「ミツバチが消えたら、人類は4年しか生きられない」と言った
ホント:アインシュタインが言ったという証拠は見つかっていません。この「4年」の話がアインシュタインの名前つきで確認できるいちばん古い記録は、1965年のフランスの雑誌です。彼が亡くなって10年後のことでした。名言集の本でも「たぶんアインシュタインの言葉ではない」に分類されています。
誤解:ハチはみんな、はちみつを作る
ホント:ハチの仲間は2万種以上いますが、ミツバチはそのうちほんの数種類。90%以上のハチは、群れを作らず1匹で暮らし、はちみつもみつろうも作りません。でも、どのハチも花粉を運ぶ大切な仕事をしています。世界ミツバチの日は、そんな野生のハチたちも守ろうという日なのです。
💡Fun Facts世界ミツバチの日の豆知識 6連発
アントン・ヤンシャの本当の誕生日は記録がありません。5月20日は、彼が洗礼を受けた日です。
Nobody knows Anton Jansa's real birthday. May 20 is the day of his baptism.
ミツバチは、蜜のある場所を8の字のダンスで仲間に伝えます。体の向きで方向を、おしりを振る長さで距離を表します。
Honey bees dance to tell other bees where flowers are.
銀座のビルの屋上でとれたはちみつは、1年目の150キロから、4年目には800キロに増えました。
Bees on a roof in Ginza, Tokyo, made 800 kilograms of honey in one year.
ニホンミツバチは、オオスズメバチを何百匹で取り囲み、約46℃の熱で倒します。
Japanese honey bees make a hot ball around a big hornet. The hornet cannot live in the heat.
世界でいちばん大きなハチは、インドネシアにいるウォレスズ・ジャイアント・ビー。メスは約4センチにもなります。
The biggest bee in the world lives in Indonesia. It is almost 4 centimeters long.
スロベニアにいるミツバチはカーニオラン種だけ。灰色っぽい体で、「グレーのハチ」と呼ばれます。
In Slovenia, the local honey bee is gray. People call it the gray bee.
▶️Videos & Links世界ミツバチの日の動画とリンク集
What If All BEES Disappear? | World Without BEES | The Dr Binocs Show | Peekaboo KidzPeekaboo Kidz
A World Without Bees | HistoryHISTORY
Why are BEES so IMPORTANT? | World Bee Day | NewsroundBBC Newsround

