Presidents' Day

大統領の日(プレジデント・デー)の由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? 大統領の日(プレジデント・デー)の本当の話を、確かな資料でたどります。

1大統領の日の由来:本当の名前は「ワシントンの誕生日」

「プレジデント・デー」は、実は通り名です。連邦の法律に書かれた正式な名前は Washington's Birthday(ワシントンの誕生日)。アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンをたたえる日です。

ワシントンは、バージニア州ウェストモアランド郡で生まれました。誕生日は1732年2月22日。ところが生まれたときの記録では「1731年2月11日」です。当時のイギリスとその植民地は古い暦(ユリウス暦)を使っていて、1752年に今の暦に切りかえたため、日付も年もずれたのです。

ワシントンは1789年と1792年の2回、大統領を選ぶ選挙人の全員一致で選ばれました。全員一致で選ばれた大統領は、彼しかいません。首都ワシントンD.C.も、西海岸のワシントン州も、彼の名前からつけられています。2期で大統領をやめたことも、のちの大統領が見習う「2期まで」の伝統になりました。

大統領の日(プレジデント・デー)(Presidents' Day)のイラスト

2大統領の日の歴史:誕生日から「月曜日」へのお引っ越し

1879年、議会はワシントンの誕生日を、首都ワシントンの役所の祝日にしました。1885年には全国の連邦の役所に広がります。大統領をたたえる、初めての連邦の祝日でした。

大きく変わったのは1968年。「月曜祝日統一法」という法律ができ、1971年から、この祝日は2月の第3月曜日に移りました。役所で働く人に3連休を増やすのがねらいで、旅行業界の後押しもありました。第3月曜日は2月15日から21日の間にしか来ないので、22日の本当の誕生日と重なることはなくなったのです。

実は日本にも、そっくりな制度があります。1998年の法律改正による「ハッピーマンデー制度」で、2000年から成人の日などが月曜日に移り、3連休が増えました。

同じ2月の12日には、エイブラハム・リンカーンの誕生日もあります。法案づくりの段階で「2人をまとめて『大統領の日』にしよう」という案が出ましたが、通りませんでした。それでも、多くの州やお店が「プレジデント・デー」と呼ぶようになり、こちらの名前が広まりました。

そのせいで、書き方までバラバラです。Presidents' Day(大統領たちの日)、President's Day(1人の大統領の日)、Presidents Day。アポストロフィの位置がちがう名前が、州の法律にもお店の広告にも混ざっています。マサチューセッツ州にいたっては、2月とは別に、5月29日のケネディ大統領の誕生日に「大統領の日」の宣言を出しています。

🕰️ 大統領の日(プレジデント・デー)の年表

  1. 1732年2月22日ジョージ・ワシントンがバージニア州で生まれる(当時の暦では1731年2月11日)。
  2. 1789年選挙人の全員一致で初代大統領に選ばれる。
  3. 1796年大統領をやめるにあたって「告別の辞」を新聞で発表する。
  4. 1879年・1885年ワシントンの誕生日が首都の役所の祝日に(1879年)、全国の連邦の役所に広がる(1885年)。
  5. 1968年月曜祝日統一法ができ、1971年から2月の第3月曜日に移る。

3アメリカでの過ごし方:演説の朗読、チェリーパイ、そして大セール

ワシントンの誕生日のころ、アメリカの上院(日本の参議院にあたる)では、毎年変わった行事があります。ワシントンが大統領を退くにあたって1796年に新聞で発表した「告別の辞」を、議員の1人が議場で読み上げるのです。始まりは南北戦争中の1862年、下院での朗読でした。上院では1896年から、毎年違う党の議員が交代で読んでいます(下院は1984年にやめました)。読み終えた議員は、黒い革の記録帳に名前を書きこみます。

ワシントンが住んでいたバージニア州アレクサンドリアでは、2月に「全米でもっとも長く続き、もっとも大きい」とうたうワシントン誕生日パレードが開かれます。

家庭では、チェリーパイを食べる習慣があります。後で紹介する「桜の木」の話にちなんだものです。

そして多くの人にとってのこの日の顔は、セール。家具やマットレス、家電などが大きく値引きされる「プレジデント・デー・セール」は、2月の買い物の定番です。

ワシントン生誕200年の1932年には、戦いで傷ついた兵士に贈られる勲章「パープルハート」が復活しました。祝日の外でも、ワシントンの誕生日はアメリカの節目になってきたのです。

🎁 シンボルと小物

🍒チェリーパイcherry pie

桜の木(サクランボの木)の伝説にちなんで食べる。

🎩ジョージ・ワシントンGeorge Washington

初代大統領。1ドル札や25セント硬貨の顔としてもおなじみ。

📜ワシントンの告別の辞Washington's Farewell Address

1796年の文章。上院で毎年読み上げられる。

🛍️プレジデント・デー・セールPresidents' Day sales

家具やマットレス、家電の大安売り。2月の買い物の定番。

4よくある誤解とホント:桜の木の話と「木の入れ歯」

日本でも「ワシントンと桜の木」として知られる話があります。子どものワシントンが父親の大切なチェリー(サクランボ)の木を切ってしまい、「ぼくはうそがつけません」と正直に打ち明けた、というものです。

でもこの話は、ワシントンの死後、牧師で作家のメイソン・ロック・ウィームズが書いた伝記(1800年に出版、何度も増刷)に出てくるもの。多くの歴史家は、話を大げさにしたか、作り上げたものと考えています。正直さを教えるお話が、実は「うそ」かもしれないのです。

もう一つの有名な話が「ワシントンの入れ歯は木でできていた」。これもまちがいです。入れ歯の材料は、カバの牙(象牙のようなもの)、真鍮(しんちゅう)、金。人間の歯も使われ、その中には奴隷にされていた人々から買い取った歯もありました。1789年4月30日の大統領就任式の日、ワシントン自身の歯は1本しか残っていなかったといわれます。茶色く変色した歯が、木のように見えたのかもしれません。

💡Fun Facts大統領の日(プレジデント・デー)の豆知識 6連発

No.1

祝日は2月15日〜21日のどれかに来るので、ワシントンの本当の誕生日2月22日に重なることは決してありません。

The holiday is always between February 15 and 21. It is never on Washington's real birthday.

No.2

ワシントンは、選挙人の全員一致で選ばれたただ1人の大統領です。しかも2回。

Washington got every electoral vote, two times. No other president has done that.

No.3

上院では毎年、議員の1人がワシントンの「告別の辞」を読み上げ、黒い革の記録帳にサインします。1896年から党が交代で担当しています。

Every year, one senator reads Washington's goodbye speech in the Senate.

No.4

ワシントンの生まれた年は、記録では1731年。1752年の暦の切りかえで、1732年2月22日になりました。

Washington's birthday changed when Britain changed its calendar in 1752.

No.5

名誉の負傷をした兵士に贈られる勲章「パープルハート」は、ワシントン生誕200年の1932年に復活しました。

The Purple Heart medal came back in 1932, 200 years after Washington was born.

No.6

1789年の就任式の日、ワシントンに残っていた自分の歯は1本だけだったといわれます。

When Washington became president in 1789, he had only one of his own teeth.

▶️Videos & Links大統領の日(プレジデント・デー)の動画とリンク集

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