Momijigari (Autumn Leaf Viewing)

紅葉狩りの由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? 紅葉狩りの本当の話を、確かな資料でたどります。

1紅葉狩りの意味:なぜ「狩り」なの?

「狩り」と聞くと、弓や鉄砲で動物をつかまえる場面を思いうかべます。でも紅葉狩りでは、何もつかまえません。

答えは辞書にあります。デジタル大辞泉で「狩り」を引くと、いちばん目は「山野で鳥獣を追いかけて捕らえること」。そのあとに「山野で植物を観賞・採集すること」という意味がのっていて、例は「まつたけ狩り」「もみじ狩り」です。海で貝をとる「潮干狩り」も、同じ仲間の言葉です。つまり「狩り」には、自然の中に出かけて楽しむという、広い意味があるのです。

「もみじ」という言葉も古い日本語から来ています。葉が赤や黄色に色づくことを、昔の言葉で「もみつ」と言いました。それが平安時代に「もみづ」、やがて「もみぢ」となり、今の「もみじ」になりました。紅葉狩りは、むずかしい言葉では「観楓(かんぷう)」とも言い、俳句では秋の季語です。

紅葉狩り(Momijigari (Autumn Leaf Viewing))のイラスト

2紅葉狩りの歴史:平安貴族の遊びから、江戸の庶民の行楽へ

色づいた葉を愛でる心は、奈良時代の『万葉集』にもう見られます。おもしろいのは書き方で、万葉集では「紅葉」より「黄葉」と書く例がとても多いのです。

平安時代になると、紅葉を見に出かけることは、宮廷や貴族の優雅な遊びになりました。『源氏物語』には「紅葉賀(もみじのが)」という巻があり、紅葉の下で光源氏が舞う場面が描かれます。

室町時代には、能の名作『紅葉狩』が生まれます。作者は観世信光。信濃の戸隠山で、武将の平維茂(たいらのこれもち)が鹿狩りの途中、紅葉の宴を開く美しい女性たちに出会います。お酒をすすめられて眠ってしまうと、女性たちの正体は鬼だった、という話です。1899年には、歌舞伎の『紅葉狩』を九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎が演じ、映像に記録されました。日本人が撮った現存する最古の映像とされ、2009年には映画として初めて重要文化財に指定されています。

江戸時代には、紅葉狩りは町の人々の楽しみになりました。上野、根津権現、浅草の正燈寺、品川の海晏寺(かいあんじ)や東海寺などが、江戸の紅葉の名所としてにぎわいました。

🕰️ 紅葉狩りの年表

  1. 奈良時代『万葉集』に色づいた葉を詠んだ歌。「黄葉」と書く例が多い。
  2. 平安時代紅葉を見に出かけることが、宮廷や貴族の遊びになる。
  3. 室町時代観世信光が能『紅葉狩』を作る。
  4. 江戸時代紅葉狩りが町の人々の楽しみに。品川の海晏寺などが名所に。
  5. 1899年歌舞伎『紅葉狩』が撮影される。日本人が撮った現存最古の映像。
  6. 2009年映像『紅葉狩』が、映画として初めて重要文化財に指定される。

3紅葉前線と見ごろ:桜とは逆に、北から南へ下りる

気象庁は、各地の気象台でいろはかえでの「紅葉日」を観測しています。紅葉日とは、標本木を全体として見たとき、葉の大部分が赤くなり、緑がほとんど見えなくなった最初の日です。

平年(1991〜2020年)の記録を地図にすると、紅葉前線の動きがわかります。10月中旬に北海道の太平洋側東部で始まり、11月10日ごろに北海道南部、11月20日ごろに東北地方へ。11月30日ごろには関東・北陸・東海・中国・四国・九州北部まで下り、12月上旬から中旬に近畿地方や九州南部に着きます。山の上は、平地よりもずっと早く色づきます。

葉が赤くなるのは、秋に葉の中で新しくアントシアニンという赤い色素が作られるからです。黄色のカロテノイドは、夏の間も葉の中にあり、緑の色素にかくれていただけ。木々が色づき始めるのは、1日の最低気温が8℃以下になるころで、5℃以下になると一気に進むと言われます。昼と夜の気温の差が大きいほど、色があざやかになります。

🎁 シンボルと小物

🍁いろはかえでJapanese maple

気象庁が紅葉日を観測する木。手のひらのような葉が5〜7つに分かれます。

🍂いちょうginkgo leaves

黄色く色づく代表の木。気象庁は黄葉日と落葉日を観測しています。

👹能『紅葉狩』Momijigari (Noh play)

紅葉の宴の美女が、実は戸隠山の鬼だったという物語。

🍤もみじの天ぷらmaple leaf tempura

大阪・箕面(みのお)の名物。1年以上塩漬けした葉に甘い衣をつけて揚げます。

4海外の紅葉狩り:アメリカの leaf peeping と、メープルの国

紅葉を見に出かける習慣は、海外にもあります。アメリカ北東部のニューイングランド地方では、紅葉見物を leaf peeping(葉っぱのぞき)と呼びます。オックスフォード英語辞典によれば、この言葉の最初の記録は1966年の地元の新聞。バーモント州では、紅葉の観光で年に約6億ドルの収入があると報告されています。2017年には、テネシー州のグレート・スモーキー山脈に、色の見分けがつきにくい人のための特別な望遠鏡が置かれ、話題になりました。

カナダは、国旗そのものが紅葉です。今の「メープルリーフ旗」は1965年2月15日に定められ、葉のとがりは11か所あります。

フィンランドには、秋の紅葉を見に出かける「ルスカレッキ」という言葉があり、韓国でも、秋に色づいた山を見に行く「タンプン(丹楓(たんぷう))」見物が人気です。

5よくある誤解とホントのところ

誤解1:紅葉狩りでは、葉っぱをとってくる
ホント:紅葉狩りは「ながめて楽しむ」ことです。公園や寺の木の枝を折るのは、マナー違反どころか、決まりに反することもあります。

誤解2:赤い色は、夏の間ずっと葉の中にかくれている
ホント:かくれているのは黄色(カロテノイド)のほう。赤(アントシアニン)は、秋になってから新しく作られます。

誤解3:「もみじ」という種類の木がある
ホント:もみじは、葉が色づく木の呼び名として使われることが多い言葉です。気象庁が観測しているのは、カエデの仲間の「いろはかえで」。北海道など、いろはかえでが育たない地域では、やまもみじやいたやかえでを観測しています。

💡Fun Facts紅葉狩りの豆知識 6連発

No.1

辞書では「狩り」に「山野で植物を観賞・採集すること」という意味があり、例は「もみじ狩り」です。

In Japanese, hunting can also mean going out to enjoy plants.

No.2

紅葉前線は、春の桜前線とは逆に、北から南へ下りていきます。

The autumn leaf front moves south. The cherry blossom front moves north.

No.3

日本人が撮った現存する最古の映像は、1899年の歌舞伎『紅葉狩』です。

The oldest surviving film shot by Japanese people is from 1899. It shows a play about autumn leaves.

No.4

大阪の箕面では、もみじの葉を天ぷらにした名物が売られています。

In Minoh, Osaka, you can eat fried maple leaves as a snack.

No.5

カナダの国旗の葉は、とがりが11か所あります。

The maple leaf on the flag of Canada has 11 points.

No.6

英語の leaf peeping(紅葉見物)という言葉の最初の記録は、1966年のアメリカの新聞です。

The English word leaf peeping was first found in a newspaper in 1966.

▶️Videos & Links紅葉狩りの動画とリンク集

The Demon of Mount Togakushi and the Princess・Momijigari EXPLAINED (1887)Kabuki In-Depth

Momijigari (1899)Lann Linn

▶ YouTubeで「why do leaves change color for kids」をもっと見る

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