April Fools' Day

エイプリルフールの由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? エイプリルフールの本当の話を、確かな資料でたどります。

1エイプリルフールの由来:最古の記録は1561年の「使い走りの日」

「結婚式のごちそうに使うから、あれを借りてきてくれ」。主人に言われて走り出した召使いは、行った先で「それなら別の家にある」と言われ、また次の家へ。一日じゅう町を行ったり来たりして、やっと自分がからかわれていたと気づきます。

これは1561年、今のベルギー北部にあたるフランドル地方の詩人エドゥアルト・デ・デーネが書いた詩のあらすじです。題名はおおよそ「使い走りの日、すなわち4月1日によせる歌」。4月1日にだまし合う習慣を、はっきり書いたいちばん古い記録とされています。詩は「みんなが知っている習慣」として書かれているので、習慣そのものはもっと前からあったと考えられます。

では、いつ、どこで、なぜ始まったのか。答えは今もわかっていません。それより古い候補はいくつかあります。フランスでは1508年の詩に「ポワソン・ダヴリル(4月の魚)」という言葉が出てきます。ただしここでは「仲をとりもつ人」のような別の意味で使われていて、いたずらの日を指していたかははっきりしません。

イギリスの詩人チョーサーの『カンタベリー物語』(1390年ごろ)に4月1日のだまし話がある、という説もネットでよく見かけます。けれども多くの研究者は、写本の書きまちがいで、本当は5月の話だと考えています。

ほかにも、3月25日ごろの古代ローマの春祭り「ヒラリア」(仮装して楽しんだ)や、インドの色かけ祭り「ホーリー」とつなげる説があります。どれも「似ている」というだけで、つながりを示す証拠は見つかっていません。由来がわからないこと自体が、ウソの日らしいとも言えます。

エイプリルフール(April Fools' Day)のイラスト

2エイプリルフールの歴史:「ライオンの水浴び」を見にロンドン塔へ

1698年4月1日。ロンドン塔に、わくわくした顔の人たちが集まってきました。お目当ては「ライオンの水浴び」の見物です。当時のロンドン塔では王室のライオンが本当に飼われていたので、いかにもありそうな話でした。もちろん、そんな行事はありません。当時の新聞『ドークス・ニューズレター』が、だまされて塔へ向かった人たちのことを伝えています。

イギリスで4月1日のいたずらが記録に出てくるのは、意外に遅く1600年代の後半です。1659年には作家フランシス・オズボーンが「オランダの習慣」として書き、1686年には作家ジョン・オーブリーが「愚か者の聖なる日(Fooles holy day)」と呼んで、ドイツで行われていると紹介しました。イギリス人にとって、最初は「海の向こうの変わった遊び」だったのです。

1700年代にはイギリス各地に広がり、スコットランドでは4月1日と2日の2日がかりの行事になりました。海を渡ったアメリカでも、1771年、ボストンに住む少女アンナ・グリーン・ウィンズローが、4月1日に「むだ足(wild goose chase)」をさせられたことを日記に書いています。

20世紀になると、ウソの舞台は路地裏からテレビ・ラジオ・新聞へ移ります。1957年、イギリスの公共放送BBCがニュース番組でウソを流したことが、大きな転機になりました。そして21世紀には、企業がホームページやSNSでいっせいにウソの新商品を発表する、今の形ができあがりました。

🕰️ エイプリルフールの年表

  1. 1390年ごろチョーサー『カンタベリー物語』。4月1日の話とする説があるが、多くの研究者は5月の話だと考えている。
  2. 1508年フランスの詩に「ポワソン・ダヴリル(4月の魚)」という言葉。ただし意味ははっきりしない。
  3. 1561年フランドルの詩人デ・デーネが、4月1日にむだな使い走りをさせる詩を書く。最古のはっきりした記録。
  4. 1564年フランスで1月1日を年の始めとする命令が正式に登録される(暦の変更説のもと)。
  5. 1686年イギリスの作家オーブリーが「愚か者の聖なる日」と記録。
  6. 1698年ロンドン塔の「ライオンの水浴び」見物に人が集まる。
  7. 1771年アメリカ・ボストンの少女が、4月1日のむだ足いたずらを日記に書く。
  8. 1957年BBC『パノラマ』がスイスのスパゲッティの収穫を放送。
  9. 1962年スウェーデンのテレビが「ストッキングでカラーテレビに」と放送。
  10. 1985年『スポーツ・イラストレイテッド』が架空の投手シド・フィンチを紹介。
  11. 1998年バーガーキングが「左利き用ワッパー」の広告を出す。
  12. 2004年グーグルが4月1日にGmailを発表。ウソではなく本物だった。

3歴史に残る有名なウソ:スパゲッティの木から左利き用バーガーまで

「今年のスイスは、スパゲッティが大豊作です」。1957年4月1日、BBCのまじめな報道番組『パノラマ』で、有名なキャスターのリチャード・ディンブルビーが落ち着いた声で語りました。画面には、木からたれ下がる長いめんを摘み取り、かごに入れる家族の姿。暖かい冬と、害虫「スパゲッティゾウムシ」がほぼいなくなったおかげだ、と解説は続きます。

わずか3分ほどの映像のあと、BBCには何百本もの電話がかかってきました。多くは「スパゲッティの木はどうやったら育てられるのか」という質問です。BBCの答えは「トマトソースの缶にスパゲッティを1本さして、うまくいくよう祈ってください」。発案したのはBBCのカメラマン、チャールズ・ド・イェーガー。学校の先生に「おまえたちは、スパゲッティが木になると言っても信じるだろう」と言われた思い出がきっかけだったと伝えられています。

ほかにも、確かに記録に残るウソはたくさんあります。

1962年・スウェーデン:テレビ局が「画面にナイロンのストッキングをかぶせるとカラーで見える」と放送。技術者が大まじめに説明し、何千人もが試したと伝えられます。

1985年・アメリカ:スポーツ誌『スポーツ・イラストレイテッド』が、時速168マイル(約270キロ)の球を投げる新人投手シド・フィンチを紹介。実は記事の小見出しの単語の頭文字をつなぐと「Happy April Fools Day」になっていました。

1998年・アメリカ:バーガーキングが新聞『USAトゥデイ』に「左利き用ワッパー」の広告を出しました。具を180度回して、右側からこぼれにくくしたという触れこみです。何千人もの客が店で注文し、「右利き用」をたのむ人までいたそうです。

そして逆の例もあります。2004年4月1日、グーグルは容量1GBの無料メール「Gmail」を発表しました。当時としてはけた外れの大きさで、多くの人が「どうせウソだろう」と思いました。でも、これは本物でした。

4「April Fool」の意味:フールは「ウソをついた人」ではない

英語の April fool は、ウソをついた人ではなくだまされた人のことです。いたずらが成功したら、相手に向かって「April fool!(だまされたね!)」と言ってばらします。日本語の「四月馬鹿」は、この April fool をそのまま訳した言葉です。

この日には All Fools' Day(すべての愚か者の日)という別名もあります。漢字の「万愚節(ばんぐせつ)」も同じ発想で、「万人が愚か者になる日」という意味です。

国が変わると、だまされた人の呼び名も変わります。いちばん有名なのはフランスとイタリアの「4月の魚」。フランス語でポワソン・ダヴリル、イタリア語でペッシェ・ダプリーレです。なぜ魚なのかははっきりせず、「この季節の若い魚はつかまえやすい」など、いくつかの説があるだけです。

スコットランドでは、だまされた人は「ゴウク(gowk)」。スコットランドの言葉でカッコウ、そして「まぬけ」という意味です。昔は「ゴウク狩りの日(Huntigowk Day)」と呼ばれました。だます役は手紙を持たせて人を使いに出します。手紙には「笑うな、ほほえむな。ゴウクをもう1マイル追いかけろ」。受け取った人は、また別の家へ使いに出すのです。

ほかにも、ドイツでは「April, April!」、トルコでは「Bir Nisan!(4月1日!)」と言ってばらします。言葉はちがっても、「日付を叫んでばらす」という形が多いのはおもしろいところです。

ちなみに英語の書き方は April Fools' Day(Fools のあとにアポストロフィ)がいちばん多く使われますが、April Fool's Day と書く人もいます。

5海外のエイプリルフール:背中に紙の魚、ウソは正午まで

フランスの4月1日、子どもたちはポケットに紙で作った魚をしのばせています。ねらうのは友だちや先生の背中。こっそり貼りつけて、気づかれたら「ポワソン・ダヴリル!」。パン屋さんやお菓子屋さんには、魚の形のチョコレートが並びます。イタリアやベルギーにも同じ「4月の魚」の習慣があります。

イギリスには「いたずらは正午まで」という決まりがあります。1950年代に子どもの遊びを調べた民俗学者のオーピー夫妻も、この習慣を記録しました。午後になってから人をだまそうとすると、だました本人が April fool になってしまいます。

スコットランドでは、4月2日が「テイリー・デー(しっぽの日)」。人の背中に紙のしっぽや「けとばして(Kick me)」と書いた紙を貼る日でした。

北欧のスウェーデンやデンマークでは、ほとんどの新聞・テレビが毎年1本だけウソのニュースを出します。スウェーデンでばらすときの決まり文句は「April, april, din dumma sill!(4月だよ、このおばかなニシン!)」。ここでも魚が登場します。

4月1日ではない国もあります。スペインやメキシコなど中南米では、12月28日の「幼子殉教者の日(Día de los Santos Inocentes)」がいたずらの日。新聞もウソの記事をのせます。

ウクライナの港町オデーサでは、1973年から4月1日に「ユーモリーナ」というお笑いの祭りが開かれてきました。2010年からは国際的なピエロの祭りもいっしょに行われています。

🎁 シンボルと小物

🐟4月の魚(紙の魚)April fish

フランス・イタリア・ベルギーで、人の背中にこっそり貼る紙の魚。だまされた人そのものも「4月の魚」と呼ぶ。

🐦ゴウク(カッコウ)gowk (cuckoo)

スコットランドの言葉でカッコウ、そして「まぬけ」。だまされた人をこう呼んだ。

🍝スパゲッティの木spaghetti tree

1957年のBBCのウソから生まれた、エイプリルフールの代名詞。今も「有名なウソ」の1位によく選ばれる。

✉️使い走りの手紙fool's errand letter

「この人をもっと先へ使いに出せ」と書かれた手紙。スコットランドやアイルランドで、人から人へむだに回された。

🕛正午noon

イギリスでは、いたずらは正午まで。午後にだますと、だました人が April fool になる。

📰ウソの記事fake news story

北欧の新聞・テレビは毎年1本だけウソのニュースを出す。読者は「今年はどれだ?」と探す。

🃏道化師jester

エイプリルフールのイメージとしてよく描かれるが、中世の道化師の祭りと直接つながる証拠はない。

🍽️ この日の食べ物

🐟魚の形のチョコレートchocolate fish

4月1日が近づくと、フランスのパン屋やお菓子屋に並ぶ。紙の魚のお菓子版。

🍝スパゲッティspaghetti

もちろん木にはならない。小麦粉をこねて作るパスタ。1957年のBBCの放送で、エイプリルフールの主役になった。

🍔左利き用ワッパーLeft-Handed Whopper

1998年、バーガーキングがウソの広告で発表したハンバーガー。何千人もの客が本気で注文した。

🧊氷山の氷iceberg ice cubes

1978年、シドニー湾に運ばれた「南極の氷山」。氷を1個10セントで売ると宣伝されたが、正体は消火用の泡とシェービングクリームだった。

6日本のエイプリルフールはいつから?「四月馬鹿」と企業のウソ

エイプリルフールが日本に紹介されたのは、大正時代ごろとされます。欧米の習慣として新聞などで伝えられ、「四月馬鹿」という直訳の名前で知られるようになりました。

日本人がだまされかけた、ちょっとおかしな記録もあります。1980年4月1日、BBCの海外向け放送が「ビッグ・ベンの時計がデジタル表示になります」と伝え、「古い針は先着4名の方に差し上げます」と付け加えました。すると大西洋のまん中にいた日本人の船乗りが、すぐに無線で連絡してきたそうです。

逆に、日本から世界をだました作品もあります。2012年、グーグルの地図サービスが「ファミコン版グーグルマップ」を発表しました。地図がファミコンのRPGのような8ビットの絵に変わり、「カセットも発売予定」と紹介されました。発表文には、開発したのは日本のエンジニアチームだと書かれていました。地図は本当に8ビット表示で見られましたが、カセットの発売はもちろんウソでした。

2010年代には、日本でもたくさんの企業が4月1日にウソの新商品やサイトを出すようになりました。お金をかけずに話題になるからです。ウソから生まれた商品が、反響が大きくて本当に発売されたこともあります。

なお2019年4月1日は、新しい元号「令和」が発表された日でもありました。本物の大ニュースが、よりによってウソの日に発表されたのです。

7エイプリルフールのよくある誤解とホント

誤解1:「フランスの暦の変更が起源」
いちばんよく紹介される説です。1564年、フランスで1月1日を正式な年の始めにする命令が出され、4月ごろに新年を祝い続けた人がからかわれた、という話です。でも、4月1日のいたずらを書いた1561年の詩は、この命令より前のもの。しかもこの説が印刷物に出てくるのは、200年後の1766年です。あくまで「説の一つ」です。

誤解2:「起源はローマ皇帝の道化師」
1983年、アメリカのAP通信が「ローマのコンスタンティヌス帝が、道化師クーゲルを1日だけ王様にしたのが始まり」という記事を配信しました。話したのはボストン大学の歴史学者ジョセフ・ボスキン。実はこれ、教授が仕掛けたウソでした。AP通信は後で記事を取り消しています。エイプリルフールの由来そのものが、エイプリルフールのネタにされたのです。

誤解3:「ウソは午前中まで、が世界のルール」
「正午まで」はイギリスの伝統的な習慣です。世界共通の決まりではありません。日本にはもともとこの決まりはなく、ネットで広まって知られるようになりました。

誤解4:「江戸時代の日本には『不義理の日』があった」
「4月1日は、ごぶさたしている人に手紙を書く不義理の日だった」という話がネットでよく紹介されます。けれども確かな資料が見つからず、後から作られた話の可能性が高いと指摘されています。

誤解5:「ウソならなんでも許される」
もともとは、すぐにばれて一緒に笑える軽いいたずらの日です。人を本気で不安にさせるウソは、どの国でも歓迎されません。

💡Fun Factsエイプリルフールの豆知識 10連発

No.1

1980年、BBCの海外向け放送が「ビッグ・ベンがデジタル時計になる。古い針は先着4名に差し上げます」と放送。大西洋にいた日本人の船乗りが、すぐに無線で申しこんできたそうです。

In 1980, the BBC said Big Ben would get a digital clock. A Japanese sailor in the Atlantic called right away to get the old hands.

No.2

1985年の架空の投手シド・フィンチの記事。小見出しの単語の頭文字をつなぐと「Happy April Fools Day」になる仕掛けでした。それでも多くの読者が信じました。

In 1985, a magazine wrote about a pitcher named Sidd Finch. The first letters of the words in the subtitle spelled Happy April Fools Day.

No.3

2008年、BBCは「空を飛ぶペンギン」の映像を公開。新聞に出た映像作家の名前「アリド・ロヤス(Alid Loyas)」は、April Fools Day を並べかえたものでした。

In 2008, the BBC showed flying penguins. The filmmaker's name, Alid Loyas, used the letters of April Fools Day.

No.4

1962年、白黒テレビしかなかったスウェーデンで「画面にナイロンのストッキングをかぶせればカラーになる」と放送。何千人もが試したと伝えられています。

In 1962, Swedish TV said a nylon stocking on the screen would make the picture color. Thousands of people tried it.

No.5

1974年4月1日、アラスカ州シトカの人たちは、眠っているはずの火山エッジカムから黒い煙が上がるのを見て通りに飛び出しました。犯人は地元のいたずら好きの男性。古タイヤの山をヘリコプターで火口に運び、火をつけたのです。

In 1974, black smoke rose from an old volcano in Alaska. A local man had burned a pile of old tires in it.

No.6

1978年、オーストラリアのシドニー湾に「南極から運んだ氷山」が登場。氷を1個10セントで売ると宣伝されましたが、雨で正体がばれました。中身は消火用の泡とシェービングクリームでした。

In 1978, an iceberg came into Sydney Harbour. Rain showed the truth. It was made of foam and shaving cream.

No.7

1977年、イギリスの新聞『ガーディアン』はインド洋の島国「サン・セリフ」の特集を7ページものせました。地名はすべて印刷用語(書体の名前など)でした。

In 1977, a British newspaper wrote 7 pages about an island called San Serriffe. All the place names came from printing words.

No.8

1976年、天文学者パトリック・モアがラジオで「9時47分に惑星が並ぶ瞬間にジャンプすると体が浮く」と話しました。「浮いた!」という電話が何百本もかかってきたそうです。

In 1976, a scientist said on the radio that people could float at 9:47. Hundreds of listeners called and said they felt it.

No.9

1996年、タコベルは新聞6紙に「自由の鐘を買い取り、タコ・リバティ・ベルと改名します」という全面広告を出しました。鐘のある公園には抗議の電話が殺到しました。

In 1996, Taco Bell said it bought the Liberty Bell. Many angry people called the park.

No.10

1983年、AP通信が「エイプリルフールの起源はローマ皇帝の道化師」という記事を流しました。実は大学教授のウソで、APは記事を取り消しました。

In 1983, a professor told a news reporter a fake history of April Fools' Day. The news story had to be taken back.

▶️Videos & Linksエイプリルフールの動画とリンク集

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Is this the best April Fool's ever? Witness - BBC NewsBBC News

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