EIKEN GRADE 1 / WRITING
英検1級ライティング
「200語」の設計図
― 200〜240語は「14文」で組み立てる ―
1級のライティングで起きる失敗は、2つに1つです。
理由が2つしか出ずに170語で止まるか、書きすぎて260語になり見直す時間がなくなるか。どちらも原因は同じで、1文あたりの語数と文の総数を決めずに書き始めていることです。
1級は各観点0〜8点。1つのミスの重みが2級や準1級の2倍あります。だからこそ、書く前に設計図を持っているかどうかで結果が変わります。この記事では212語の完成例を全文・和訳・語数つきで示し、14文の配置を1文単位で公開します。
CHAPTER 01
200〜240語は「何文」なのか
結論から示します。
THE ANSWER
200〜240語 = だいたい「14文」
1文あたり平均15〜16語
級ごとに並べると、変化がはっきりします。2級が8文・11語、準1級が10文・13語、そして1級が14文・15語。文の数と1文の長さが、同時に上がり続けているのが英検ライティングの構造です。
1級で特徴的なのは、理由を3つ求められる点です。本論が3ブロックになるので、準1級の10文に本論1ブロック(3文)と序論の1文を足した形が14文になります。
| パラグラフ | 文数 | 語数の目安 |
| 序論 | 3文 | 約45語 |
| 本論① | 3文 | 約42語 |
| 本論② | 3文 | 約42語 |
| 本論③ | 3文 | 約42語 |
| 結論 | 2文 | 約41語 |
| 合計 | 14文 | 約212語 |
1級ライティングの全体像
2024年度のリニューアル以降、1級のライティングは「英文要約」と「意見論述」の2問です。要約は300語程度のエッセイを90〜110語に、意見論述は200〜240語で理由3つ、序論・本論・結論の構成が要件。採点は内容・構成・語彙・文法の4観点で、1級だけは各観点0〜8点。1問32点、2問で64点満点となり、CSEスコア850点に換算されます。合格を狙うなら64点中48点前後が目安です。
各観点8点ということは、1点の重みが2級・準1級の半分になり、同時に取りこぼしの幅も倍になるという意味です。細部の精度がそのまま点差になります。
CHAPTER 02
これが「14文の設計図」。全文+和訳+語数
TOPICは「政府は再生可能エネルギーへの投資を拡大すべきか」を例にします。理由はエネルギー安全保障・経済的機会・公衆衛生の3つ。合計212語です。
完成例 合計212語
[序論]3文・45語
1. Climate change has become one of the most pressing challenges of our time. (13語)
気候変動は現代における最も差し迫った課題の1つになっています。
2. In this context, some people question whether governments should devote more public funds to renewable energy. (16語)
こうした状況の中、政府が再生可能エネルギーにさらに公的資金を投じるべきか疑問視する人もいます。
3. In my opinion, they clearly should, for three reasons: energy security, economic opportunity, and public health. (16語)
私の意見では、明確に投じるべきです。理由はエネルギー安全保障、経済的機会、公衆衛生の3つです。
[本論① エネルギー安全保障]3文・41語
4. First, renewable energy strengthens national energy security. (7語)
第一に、再生可能エネルギーは国家のエネルギー安全保障を強化します。
5. Countries that depend heavily on imported fossil fuels are vulnerable to sudden price shocks and political pressure from exporting nations. (20語)
輸入化石燃料に大きく依存する国は、急激な価格変動や輸出国からの政治的圧力に対して脆弱です。
6. Domestic solar and wind capacity, by contrast, cannot be cut off by foreign governments. (14語)
対照的に、国内の太陽光・風力の発電能力は外国政府に遮断されることがありません。
[本論② 経済的機会]3文・43語
7. Second, investment in this sector creates substantial economic opportunity. (9語)
第二に、この分野への投資は大きな経済的機会を生み出します。
8. The renewable industry now employs millions of workers worldwide, and it continues to expand far faster than traditional energy sectors. (20語)
再生可能エネルギー産業は現在、世界で数百万人を雇用し、従来型のエネルギー分野よりはるかに速く拡大し続けています。
9. Nations that hesitate to invest today risk losing these jobs to more decisive competitors. (14語)
今日投資をためらう国は、より決断の速い競合国にこれらの雇用を奪われる恐れがあります。
[本論③ 公衆衛生]3文・42語
10. Third, cleaner energy brings immediate benefits to public health. (9語)
第三に、よりクリーンなエネルギーは公衆衛生に即座の利益をもたらします。
11. Air pollution from coal and oil is linked to respiratory disease, and treating these illnesses imposes an enormous burden on medical systems. (22語)
石炭や石油による大気汚染は呼吸器疾患と関連しており、その治療は医療制度に莫大な負担を課します。
12. Reducing such emissions would therefore save both lives and public money. (11語)
したがって、そうした排出を減らすことは人命と公費の両方を救うことになります。
[結論]2文・41語
13. Critics often object that renewable projects require heavy initial spending, and this concern is not unreasonable. (16語)
批判する人はしばしば、再生可能エネルギー事業には多額の初期費用が必要だと反論します。この懸念は不合理ではありません。
14. Nevertheless, given the gains in energy security, employment, and health outlined above, I am convinced that greater public investment in renewable energy is fully justified. (25語)
それでも、上述したエネルギー安全保障、雇用、健康における利益を考えれば、再生可能エネルギーへの公的投資の拡大は十分に正当化されると確信しています。
この設計図の要点は、1文目・2文目・13文目・14文目がほぼ毎回同じ骨格で使えることです。ここで70語が確定します。本番で新しく考えるのは本論の9文、約127語ぶんです。
CHAPTER 03
本論は「主張・根拠・帰結」の3文ブロック
1級の本論は、3文がそれぞれ違う役割を持ちます。しかも文の長さまで役割ごとに決まっているのが特徴です。
THE 3-SENTENCE BLOCK
主張 理由を一言で言い切る(7〜9語・短く)
根拠 なぜそう言えるかを展開(20〜22語・最長)
帰結 だから何が起きるかで締める(11〜14語)
短い・長い・中くらい。このリズムが3回繰り返されることで、読み手には論理が整って見えます。逆に、3文とも同じくらいの長さで書くと、内容は正しくても構成の評価が伸びにくいのが1級の採点です。
なかでも決定的なのが2文目、つまり根拠の文です。ここを20語級で書けるかどうかが、200語に届くかどうかを直接決めます。20語の文を作る型は2つです。
型A 関係詞で主語を絞り、述部を並列にする
「〜な国は、AとBに対して脆弱だ」という形です。主語に関係詞、述部に and の並列を入れると自然に20語になります。
Countries that depend heavily on imported fossil fuels are vulnerable to sudden price shocks and political pressure from exporting nations. (20語)
型B 事実を述べ、and でその含意をつなぐ
「Xという事実がある。そしてそれはYを意味する」を1文にまとめます。動名詞を主語にすると引き締まります。
Air pollution from coal and oil is linked to respiratory disease, and treating these illnesses imposes an enormous burden on medical systems. (22語)
CHAPTER 04
理由3つが出ないときの「3方向スキャン」
170語で止まる人の大半は、語彙ではなく理由が2つしか出なかったために止まっています。3つ目を無理にひねり出すと、たいてい1つ目の言いかえになります。
そこで、どんなトピックでも使える3方向のスキャンを用意しておきます。トピックを次の3つの軸に当てるだけで、性質の異なる理由が機械的に3つ出ます。
| 軸 | 問い | 出てくる語彙 |
| 経済 | 誰の得になり、誰の負担になるか | cost, employment, investment, growth |
| 社会 | 人の暮らしや安全がどう変わるか | health, safety, equality, education |
| 長期 | 10年後、次の世代にどう影響するか | sustainability, security, future generations |
先ほどの完成例も、この3軸をそのまま使っています。エネルギー安全保障が長期、経済的機会が経済、公衆衛生が社会。軸が違えば内容は絶対に重複しません。これが内容と構成の両方を守る仕組みです。
CHAPTER 05
240語を超えそうなときの「削る」技術
1級では、書けない人より書きすぎる人のほうが多いという逆転が起きます。260語を書いてしまうと、上限超過のリスクに加えて、見直しの時間が消えます。削る技術も対策のうちです。
| やること | 書きかえ例 | 削減 |
| 節を句に畳む | because it is convenient → because of its convenience |
-1 |
| 関係詞を分詞に縮める | countries that depend on imports → countries depending on imports |
-2 |
| 具体語をまとめ語に | solar, wind, and geothermal power → renewable sources |
-3 |
| 前置きを削る | It is often said that A is B → A is often considered B |
-3 |
| 名詞を動詞に戻す | make an improvement in → improve |
-3 |
削る場所にも順序があります。まず結論、次に序論。本論からは削らないのが原則です。本論を削ると根拠が痩せ、内容の評価が直接落ちます。
着地点は220語。200語ぎりぎりでは、書き直しで下限を割ります。240語ぎりぎりでは、1文足しただけで超過します。中央よりやや上の220語前後を狙うと、上下どちらにも20語ぶんの余裕が残ります。
CHAPTER 06
1級でやると減点される書き方5つ
NG 1 理由を2つで済ませる
3つという指示は要件です。2つしか挙げないと、語数が足りるかどうか以前に内容の評価が下がります。前章の3方向スキャンで必ず3つ作ってください。
NG 2 3つ目の理由が1つ目の言いかえになっている
「経済が良くなる」と「企業が儲かる」は同じ軸です。数のうえでは3つでも、採点上は2つと見なされる可能性があります。軸を変えて選んでください。
NG 3 難語を並べて語彙点を狙う
1級の語彙は0〜8点なので、外したときの失点も大きくなります。評価されるのは難度そのものではなく、正確さと多様性です。確実に使いこなせる語で言いかえの幅を見せるほうが安全です。
NG 4 結論に新情報を持ち込む
結論は本論3つを回収する場所です。ここで4つ目の論点を出すと構成が崩れます。譲歩1文と再主張1文、この2文で閉じてください。
NG 5 断定的な数字を根拠なく書く
70 percent of people believe … のような断定は、外れると内容の信頼性を損ないます。According to some estimates や Studies suggest that を前に置いて、主張の強さを調整してください。
CHAPTER 07
要約(90〜110語)は「4文」で100語に着地させる
1級の要約は、300語程度のアカデミックなエッセイが素材です。3段落構成が基本で、どれか1段落が長くなっているのは準1級と同じ構造です。
90〜110語 =「4文」
1文あたり24〜26語/狙いは100語
意見論述の本論で使った20語級の文を作る型が、そのまま要約でも使えます。1文25語というのは、関係詞1つと and の並列1つを入れた長さです。意見論述の練習が要約の練習を兼ねる、というのが1級の効率的な進め方になります。
| 原文 | 要約側 | 語数 |
| 第1段落(背景・論点) | 1文 | 約25語 |
| 第2段落(利点) | 1文 | 約25語 |
| 第3段落(問題点)が長い | 2文に分ける | 約50語 |
| 合計 | 4文 | 約100語 |
1級の要約で最も危険なのは、原文の表現を借りすぎることです。自分の意見は一切不要ですが、言葉は自分のものに置きかえる必要があります。読みながら段落ごとに要点を日本語でメモし、そのメモから英語を組み立てると、写す事故を防げます。
時間配分の目安
筆記100分のうち、ライティング2問に40〜45分。内訳は意見論述25分、要約15〜20分が現実的です。リーディングは大問1から3まで35問あるため、ライティングに時間を残せるかどうかが1級一次試験の勝負どころになります。
TODAY’S ENGLISH
1級の設計図を支える7フレーズ
… has become one of the most pressing challenges of our time.
〜は現代で最も差し迫った課題の1つになっている。(序論1文目)
In my opinion, … for three reasons: A, B, and C.
私の意見では〜。理由はA、B、Cの3つ。(理由3つを予告)
Countries that … are vulnerable to A and B.
〜な国はAとBに対して脆弱だ。(20語級の根拠文)
…, by contrast, cannot …
対照的に〜できない。(前文と対比して締める)
Critics often object that …, and this concern is not unreasonable.
批判者はしばしば〜と反論し、その懸念は不合理ではない。(結論の譲歩)
Nevertheless, given the gains in A, B, and C outlined above, …
それでも、上述したA・B・Cの利益を考えれば〜。(本論3つを回収)
I am convinced that … is fully justified.
〜は十分に正当化されると確信している。(最終文)
CHAPTER 08
よくある質問
Q. 理由は本当に3つ必要ですか?
必要です。1級では理由を3つ挙げることと、序論・本論・結論の構成を取ることが要件として示されています。2つで止めると内容の評価に直接響きます。
Q. 240語を少し超えたらどうなりますか?
目安を大きく外すことは避けるべきです。数語の超過が即0点という説明にはなっていませんが、超過分が加点される仕組みもありません。220語前後で着地させれば、この問題自体が起きません。
Q. 1級の採点が各観点8点なのは、有利ですか不利ですか?
どちらにもなります。刻みが細かいぶん部分点は取りやすい一方、1観点で崩れたときの失点も大きい。構成のように型で確実に取れる観点を先に固めるのが、期待値の高い戦略です。
Q. 背景知識がないトピックが出たらどうしますか?
3方向スキャンに戻ってください。経済・社会・長期の3軸は、専門知識がなくても論を立てられる設計になっています。事実の正確さより、論理が通っているかが見られています。
Q. 準1級の型からどこを変えればいいですか?
変えるのは3点だけです。本論が2ブロックから3ブロックになること、序論が2文から3文になること、根拠の文が18語級から20語級に伸びること。それ以外の骨格は共通です。
CONCLUSION
1級は、書く前に勝負がついている
・200〜240語は「14文」。1文あたり15〜16語
・序論3文・本論3文×3・結論2文で固定する
・本論は「短い主張・長い根拠・中くらいの帰結」のリズムで書く
・理由3つは経済・社会・長期の3軸スキャンで機械的に出す
・着地点は220語。削るときは結論から、本論には触れない
1級のエッセイは、思いついた順に書いて整うものではありません。14個の箱を先に用意し、そこに中身を入れていく作業です。次の演習では、書き始める前に紙の端へ「3-3-3-3-2」とだけメモしてみてください。それだけで、途中で迷子になる回数が目に見えて減ります。
本記事は公開されている出題形式および採点観点をもとにした独自の分析と整理です。最新の試験形式、語数、採点基準は必ず英検公式の発表をご確認ください。
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