第10章|スピーキング10-4オンライン英会話を使い倒すオンライン英会話は「受ける25分」より「前後の15分」で伸びが決まる

レッスン代を払っているのは25分。けれど先生の質問に短く答え、Yes. や I see. とうなずくうちに時間が過ぎ、自分が話していたのは数分だけ、ということもあります。毎回が自己紹介と天気の話で終わるなら、話す練習としてはもったいない使い方です。同じ25分を受けていても、伸びる人と伸びない人がいます。その差は、レッスンの中ではなく外で生まれています。いったい、どこで何をしているのでしょうか。
この節の目次(6項目)
0125分のうち、あなたは何分話している?
オンライン英会話は、自宅から先生とマンツーマンで話せる便利な仕組みです。ただ、何も準備せずに受けると、次のような流れになりがちです。
- 先生が質問する → 短く答える → 先生がまた質問する
- 先生の話を聞いて Yes. / I see. とうなずく
- 毎回、自己紹介と天気の話で時間が過ぎる
これでは、25分のうち自分が話しているのは数分ということもあります。先生の英語を聞くことにも意味はありますが、話す練習としてはもったいない使い方です。
伸びる人は、レッスンを3段階のセットで考えています。
| 段階 | 時間の目安 | やること |
|---|---|---|
| 予習 | 5〜10分 | 話す中身を決め、言いたい表現を調べる |
| レッスン | 25分 | 準備した話をする。直し方を先生に頼む |
| 復習 | 5〜10分 | 録音を聞き、言えなかった表現をリストにする |
レッスン代を払っているのは25分ですが、伸びを決めるのは前後の15分です。
02予習:話す中身を3つ用意する
準備してから話すと、何が変わるのでしょうか。Yuan と Ellis(2003)の実験では、話す前に計画する時間があった学習者は、文がより複雑になり、流暢さや使う語彙の幅でも上回りました。レッスン前の5〜10分の準備は、これと同じ効果をねらうものです。
予習でやることは3つです。
1. 話すネタを3つ決める
「最近あったこと」「今週の予定」「今気になっているニュース」など。毎回このうち1つでも話せれば、雑談だけで終わらなくなります。
2. 言いたい表現を調べる
日本語で「言いたいけど英語が分からない」ものを2〜3個調べます。
- 最近ジムに通い始めた → I recently started going to the gym.
- 筋肉痛がひどい → My muscles are really sore.
- 三日坊主にならないようにしたい → I don't want to give up after a few days.
3. 1回だけ声に出しておく
調べた表現を入れて、話したい内容を1回独り言で話します。書いた原稿を読み上げるのではなく、メモを見ながら話すのがコツです。
準備した内容は、レッスンの最初に自分から切り出します。
- Can I tell you about something that happened this week?(今週あったことを話してもいいですか?)
03レッスン中:先生に「頼む英語」を持っておく
先生は、生徒が頼めばレッスンのやり方を合わせてくれることが多いものです。次の英語を、画面の横に貼っておきましょう。
直し方を頼む
- Could you correct my mistakes, even small ones?(小さな間違いも直してもらえますか?)
- Instead of telling me the answer, could you give me a hint so I can try again?(答えを言う代わりに、ヒントをもらって言い直してもいいですか?)
書いてもらう
- Could you type that in the chat box?(今のをチャット欄に打ってもらえますか?)
話す時間を増やす
- I'd like to practice speaking more today. Could you ask me lots of questions?(今日はたくさん話す練習をしたいので、質問をたくさんしてもらえますか?)
言い直しをお願いする
- How would you say that more naturally?(今のは、もっと自然に言うとどうなりますか?)
ヒントをもらって自分で言い直す頼み方には、理由があります。Lyster と Saito(2010)は、教室での口頭の訂正についての15の研究(合計827人)をまとめ、訂正には意味のある、長続きする効果があることを示しました。そして、正しい形をそのまま言い直してもらう方法(リキャスト)より、ヒントで自分に言い直させる方法(プロンプト)のほうが、効果が大きい傾向がありました。
04復習:録音→書き起こし→言えなかった表現リスト
レッスンの録音は、最高の復習教材になります。ただし、録音してよいかはサービスの規約によりますし、相手の先生の同意も必要です。録音機能がついているサービスもあるので、まず公式の案内を確認しましょう。録音できない場合は、レッスン直後に「言えなかったこと」をメモするだけでも効果があります。
復習の手順は次のとおりです。
- 録音の中で、自分がいちばん長く話した部分を2〜3分選ぶ。
- 自分の発話を書き起こす。
- チャット欄に先生が打ってくれた表現と比べ、直す。
- 言えなかった表現リストに追加する。
Lynch(2007)は、話す課題のあと、学習者が自分で書き起こしたクラスと、先生が書き起こしたものを使ったクラスを比べました。どちらの方法も通常の授業で無理なく行え、自分で書き起こしたクラスのほうが、扱った表現の正確さを高く保てた傾向が報告されています。
リストは、次のような形がおすすめです。
| 日付 | 言いたかったこと | 自然な英語 |
|---|---|---|
| 10/3 | 残業続きでヘトヘト | I've been working late all week. I'm exhausted. |
| 10/5 | それは場合による | It depends. |
| 10/8 | 前向きに考えます | I'll think about it positively. ではなく I'll seriously consider it. |
このリストを次のレッスン前に見返し、1つでも使ってみることが、表現を自分のものにする近道です。
05同じ話を2回する:くり返しの力
復習したら、次のレッスンで同じ話をもう一度しましょう。先生が変われば、相手にとっては初めての話です。
同じ課題をくり返すことの効果は、研究でも確かめられています。Lambert・Kormos・Minn(2017)は、日本人の英語学習者32人に、説明・物語・意見の3種類の課題を、相手を替えながら6回ずつくり返してもらいました。話す速さは最初の3回で大きく伸び、5回目まで伸び続けました。文の切れ目での間(ま)は2回目まで、文の途中での間は4回目まで減り、言い直しが減るのは4回目以降でした。
つまり、1回話して終わりにするより、
- 1回目:言いたいことを何とか伝える
- 2回目:前回調べた表現を入れて、なめらかに
- 3回目:細かい間違いを減らす
と同じ話を育てていくほうが、伸びが見えやすいのです。自己紹介、仕事や学校の説明、趣味の話など、よく聞かれる話題から「持ちネタ」にしていきましょう。
06中高生が使うときの注意
オンライン英会話は、サービスごとに利用できる年齢や手続きが決まっています。いくつか公式の情報を見てみます(2026年10月時点で確認)。
- italki:公式のヘルプで、アカウントの持ち主は18歳以上と定めています。子どもが学ぶ場合は、保護者が自分のアカウントでレッスンを手配し、支払い・予約・先生との連絡を担い、子どものオンラインでの活動を見守る形です。
- Cambly:子ども向けの Cambly Kids のプライバシーポリシーでは、一般向けのサービスは保護者などの大人を対象とし、子どもは保護者のアカウントを通じて作るサブアカウントで利用し、作るときに保護者の同意が必要としています。
ほかのサービスも、子ども向けのコースを分けていたり、保護者の同意を条件にしていたりします。中高生が使うときは、次の点を家の人と一緒に確認してください。
- 利用規約の年齢条件と、保護者の同意の手続き
- 録画・録音の扱い
- 先生と個人的な連絡先(SNS など)を交換しない
- レッスンは家族のいる部屋で受ける
学校の英語の先生に相談したり、学校や自治体が用意しているオンライン交流の機会を使ったりする方法もあります。
予習で中身を準備し、録音で復習し、同じ話をもう一度する。
今日からのやり方
- レッスン前に、話すネタを3つ決めて言いたい表現を2〜3個調べる
- 調べた表現を入れて、話したい内容を1回独り言で話しておく
- レッスンの最初に、直し方の希望を先生に英語で伝える
- レッスン後、言えなかった表現を日付つきのリストに書く
- 次のレッスンで同じ話をもう一度して、リストの表現を1つ使う
レベル別:あなたならこうする
自己紹介と「今週あったこと」を持ちネタにします。言いたい英文をメモにして画面の横に置き、見ながら話してかまいません。分からないときは Could you say that again slowly? を使いましょう。
毎回、自分で話題を1つ持ち込みます。ヒントで言い直す訂正を頼み、録音を週1回書き起こして、言えなかった表現リストを育てます。
ニュースや仕事のテーマで意見を交わす時間にします。先生に反論してもらう、より自然な言い方を聞くなど、語彙と論理の幅を広げる使い方に切り替えます。
よくある失敗と対策
話す中身が決まっていないと、先生の質問に短く答えるだけになりがちです。5分でいいので話すネタを決め、言いたい表現を調べてから受けましょう。
その場で分かったつもりでも、次には忘れがちです。チャット欄に打ってもらい、言えなかった表現リストに書き写して、次のレッスンで使いましょう。
同じ話をくり返すほうが流暢さは伸びます。先生が変われば同じ話でも新鮮に聞いてもらえるので、持ちネタを育てるつもりでくり返しましょう。
1 MIN
次のレッスンで話したい「今週あったこと」を1つ決め、英語で1回声に出す
友だちに出したい、この節の3問
タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。
10-4オンライン英会話で先生に直してもらうなら、どんな直し方が効く?
教室での口頭の訂正を調べたメタ分析では、正しい形を言い直してもらうより、ヒントをもらって自分で言い直す「プロンプト」のほうが効果が大きい傾向がありました。先生に頼み方を伝えると変えられます。
10-4英会話で同じ話題を何回も話すのは、もったいない?
日本人学習者32人が同じ課題を6回くり返した研究では、話す速さは最初の3回で大きく伸び、5回目まで伸び続けました。同じ話題のくり返しは、むしろ流暢さを伸ばす近道です。
10-4中高生でもオンライン英会話を使える?
サービスごとに条件が違います。たとえば italki はアカウントの持ち主を18歳以上とし、子どものレッスンは保護者が手配して見守る形です。使う前に、家の人と公式の利用条件を確認しましょう。
PRACTICE KIT
この節の実践キット
この節に関係する特集
特集AIと声で英会話 完全ガイドChatGPT・Gemini Live・Grok の音声会話を、英語の練習相手にする方法このサイトで練習する
使えるサイト・アプリ
動画で学ぶ
もっと詳しく(コラム)
この節の根拠(研究・公式情報)
話す前に計画する時間があると文の複雑さが高まり、流暢さと語彙の多様さでも、話しながら考える条件を上回った。
Yuan, F., & Ellis, R. (2003). The effects of pre-task planning and on-line planning on fluency, complexity and accuracy in L2 monologic oral production. Applied Linguistics, 24(1), 1–27.出典を開く ↗教室での口頭訂正の15研究(N=827)をメタ分析。訂正には意味のある持続的な効果があり、リキャストよりプロンプトのほうが効果が大きかった。
Lyster, R., & Saito, K. (2010). Oral feedback in classroom SLA: A meta-analysis. Studies in Second Language Acquisition, 32(2), 265–302.出典を開く ↗話す課題の書き起こしを使って表現を直す活動を2クラスで比較。どちらも実施可能で、学習者が自分で書き起こしたほうが、扱った表現の正確さを高く保てた傾向。
Lynch, T. (2007). Learning from the transcripts of an oral communication task. ELT Journal, 61(4), 311–320.出典を開く ↗日本人学習者32人が3種類の課題を6回ずつくり返した。話す速さは最初の3回で大きく伸び5回目まで向上。間の減り方や言い直しの減少は段階的に表れた。
Lambert, C., Kormos, J., & Minn, D. (2017). Task repetition and second language speech processing. Studies in Second Language Acquisition, 39(1), 167–196.出典を開く ↗italki はアカウントの持ち主を18歳以上と定め、子どものレッスンは保護者が手配し、支払い・予約・先生との連絡を担い、活動を見守る形だと説明している。
italki Help Center. For parents, your guide to kids learning on italki!(2026年10月確認)出典を開く ↗よくある質問
週に何回受ければいい?
回数より、予習と復習をセットにできるかどうかが大切です。準備と復習ができる回数に抑え、そのぶん毎回同じ話を育てるほうが伸びやすくなります。
ネイティブの先生でないとだめ?
目的によります。話す量を増やしたいなら、聞き取りやすく、ゆっくり待ってくれる先生のほうが練習しやすいこともあります。発音や表現の自然さを確かめたいときに、その言語を母語とする先生を選ぶ方法もあります。
先生の英語が聞き取れなかったら?
遠慮せずに聞き返しましょう。Could you say that again more slowly? や Could you type that in the chat? と頼めば大丈夫です。聞き返しはどの言語の会話でも頻繁に起きる、ふつうのやりとりです。




