If it were not for A は、A を頭の中で消してみる実験です。消した世界を語ることで、A のありがたさや大きさが浮かび上がります
01しくみ:なぜこの意味になるのか
If it were not for A は「(今)A がなければ」、If it had not been for A は「(あのとき)A がなかったら」。it は何も指さない形だけの主語で、were not for A=「A の存在がない」です。主節には would / could / might+V(今の話)や would have p.p.(過去の話)が来て、「A のない世界」の結果を語ります。
同じことを But for A や Without A でも言えます。But for は少しかたい書きことば、Without は会話でも長文でもいちばんよく使われます。ただし But for と Without は、それだけでは「今」か「過去」かがわかりません。主節の動詞の形(would V か would have p.p. か)を見て、時を決めます。
実際の文では、この構文は「A のおかげだ」と感謝したり、「A がとても大事だ」と主張したりするために使われます。If it had not been for your help, I would have given up. の本当の意味は「あなたの助けのおかげで、あきらめずにすんだ」。消した世界から現実にひっくり返して読むと、書き手の言いたいことがつかめます。
型
If it were not for A / If it had not been for A
A がなければ/A がなかったら
言いかえ・変形But for AWithout AWere it not for AHad it not been for A
02例文3つを構造図で読む
色のカタマリは文の要素、カッコはカタマリの種類です。「飾り(M)を消す」を押すと、文の骨組みだけが残ります。黄色の語が、この構文の目印です。
記号と色の約束
仮S真S は It のような「仮の主語」と、うしろにかくれた本当の主語。接 は接続詞。カタマリの下の小さな S' V' O' は、節や句の中の要素です。
If it were not for my glasses, I could not read the board.
眼鏡がなければ、私は黒板の字が読めないだろう。
前から訳もし眼鏡がなければ / 私は読めないだろう / 黒板を
- MIf it were not for my glasses副詞節|今の話。実際は眼鏡がある
- S'it何も指さない it
- M'for my glassesfor A=A の存在
- Vcould not readcould V=今の話
ここを見るwere と could で、今の話だとわかります。裏返すと「眼鏡のおかげで黒板が読めている」。it は天気の it と同じく、何も指していません。
Without the map you gave me, we would have gotten lost in the mountains.
君がくれた地図がなかったら、私たちは山の中で道に迷っていただろう。
前から訳地図がなかったら / 君がくれた / 私たちは迷っていただろう / 山の中で
- MWithout the map you gave me副詞句|Without だけでは時がわからない
- M'you gave me関係代名詞の省略
- Vwould have gotten lostwould have p.p.=過去の話
ここを見るWithout the map の段階では今か過去か決まりません。主節の would have gotten で過去だとわかり、If it had not been for the map と同じ意味になります。
If it had not been for the volunteers who cleaned the beach every weekend last year, the sea turtles would not be returning there to lay their eggs.
去年、毎週末に浜辺を掃除してくれたボランティアの人たちがいなかったら、ウミガメが卵を産みにそこへ戻ってくることはないだろう。
前から訳もしボランティアがいなかったら / 浜辺を掃除した / 去年の毎週末に / ウミガメは戻ってきていないだろう / そこに / 卵を産むために
- MIf it had not been for the volunteers who cleaned the beach every weekend last year副詞節|過去の条件
- M'for the volunteers who cleaned the beach every weekend last yearwho 以下が volunteers を説明
- Vwould not be returning今の結果
- Mto lay their eggs副詞句|目的「〜するために」
ここを見るif 節は過去(had not been)、主節は今(would be returning)。「去年の活動がなかったら、今ごろは」と、時のちがう仮定法を組みあわせた形です。
03誤読のわな
But for his advice, I would have chosen a different university.
✕ やりがちしかし彼の助言のために、私は別の大学を選んだだろう。
○ 正しく彼の助言がなかったら、私は別の大学を選んでいただろう。
文頭の But を「しかし」と読むと、意味が逆になります。But for A は「A がなければ」のひとまとまり。主節の would have p.p. を見て、「実際は助言があったので、今の大学を選んだ」と裏返して読みます。
04似ている構文と見分ける
05確認問題(3問)
Q1英文の意味として正しいのは?
If it had not been for the rain, the festival would have been a great success.
If it had not been for A は「あのとき A がなかったら」。裏返すと「雨のせいで、大成功とはいかなかった」という意味です。
Q2英文が表している時と、本当の状況として正しいのは?
Without his help, we would have lost the game.
Without だけでは時が決まりません。主節が would have p.p. なので過去の話です。裏返すと「助けがあったから負けなかった」です。
Q3空所に入るのは? ( ) your support, I could not continue this project.
うしろが名詞 your support だけなので、接続詞の Unless は使えません。Despite は「〜にもかかわらず」で意味が合いません。Without A=If it were not for A です。
