和文英訳のコツ|日本語をかみ砕いて「書ける英語」に変える5ステップ
「日本語の意味はわかるのに、英語にしようとすると手が止まる」。和文英訳でつまずく原因の多くは、英語力よりも「日本語をそのまま訳そうとすること」にあります。この記事では、日本語をいったんかみ砕いてから英語にする「和文和訳」の考え方を、5つのステップと自作の例文で紹介します。読み終わるころには、難しそうな日本語を見ても「まず言い換えよう」と落ち着いて考えられるはずです。

01和文英訳で手が止まる本当の理由
和文英訳の問題を前にして固まってしまうとき、頭の中ではたいてい「この日本語の単語は英語で何て言うんだろう?」という辞書引きが起きています。たとえば次の文を見てください。
- 彼の話は説得力に欠ける。
- 最近、朝ごはんを抜きがちだ。
- 便利な世の中になったものだ。
「説得力に欠ける」「抜きがち」「〜になったものだ」。どれも日本語としては自然ですが、1語ずつ英語に置き換えようとすると、とたんに難しくなります。「説得力」って persuasiveness?「〜がち」は何て言う? と、存在するかもわからない「ぴったりの1語」を探し始めてしまうのです。
でも、英語が得意な人は、こういうときに辞書を引く前にもう一つ別の作業をしています。それが日本語を、英語にしやすい日本語に言い換える作業です。
- 彼の話は説得力に欠ける → 彼の話を信じるのは難しい → It is hard to believe what he says.
- 最近、朝ごはんを抜きがちだ → 最近、よく朝ごはんを食べない → These days, I often skip breakfast.
- 便利な世の中になったものだ → 私たちの生活はとても便利になった → Our lives have become very convenient.
どうでしょう。言い換えた日本語なら、中学英語でも十分に書けそうです。
ポイント:和文英訳は「翻訳」ではなく「伝言ゲーム」。元の日本語の意味を、自分が書ける英語まで運べればOKです。
使い方:日本語から訳すクセを減らす練習法が紹介されます。見終わったら、この節の3つの例文を辞書なしで「言い換え→英語」の順に口に出してみます。
02ステップ1〜2:主語を決めて、骨組みを作る
ステップ1:「誰が(何が)」を決める
日本語は主語を省略することが多い言語です。「昨日は雨で出かけられなかった」には主語がありません。でも英語の文には基本的に主語が必要です。まず「この文の主語は誰(何)か」を決めましょう。
- 昨日は雨で出かけられなかった → 主語は「私」 → I couldn't go out yesterday because of the rain.
- この町は夜になると静かだ → 主語は「この町」 → This town becomes quiet at night.
主語が見つからないときは、別のものを主語にするのも手です。「雨のせいで出かけられなかった」は、「雨が私を家にいさせた」と考えれば The rain kept me at home yesterday. とも書けます。無生物主語は少し上級ですが、覚えておくと表現の幅が一気に広がります。
ステップ2:「誰が・どうする・何を」の骨組みを作る
主語が決まったら、次は動詞です。英語の文は「主語+動詞」が骨組みで、そこに目的語や飾りがくっつきます。長い日本語ほど、まず骨だけ取り出すのがコツです。
例:「駅前に新しくできたカフェで友だちと3時間もおしゃべりしてしまった」
- 骨:私は・おしゃべりした → I talked
- 誰と:友だちと → with my friend
- どこで:カフェで → at a cafe
- どんなカフェ:駅前に新しくできた → that recently opened near the station
- どれくらい:3時間も → for three hours
組み立てると、I talked with my friend for three hours at a cafe that recently opened near the station. となります。「〜してしまった」の気持ちは、ひとまず省いても意味は伝わります。余裕があれば I ended up talking... とすれば「つい〜してしまった」感が出せます。
使い方:英語の無生物主語を自然な日本語に訳す授業です。考え方を逆向きに使い、「雨のせいで出かけられなかった」のような日本語を、物を主語にした英文に戻してみます。
03ステップ3〜4:抽象語をほどき、日本語特有の表現を捨てる
ステップ3:抽象的な名詞を「文」にほどく
和文英訳で特に難しいのが、「〜性」「〜化」「〜感」のような抽象的な名詞です。こういう言葉は、動詞や形容詞を使った文にほどくと書きやすくなります。
- 少子化が進んでいる → 生まれる子どもの数が減っている → Fewer and fewer children are being born.
- 若者の読書離れ → 若い人が本を読まなくなっている → Young people are reading fewer books than before.
- 彼女の行動力には驚かされる → 彼女がすぐに行動することに驚く → I'm surprised at how quickly she takes action.
「少子化」を1語で言う英語を探すより、「何が起きているのか」を説明するほうがずっと確実です。
ステップ4:日本語特有の言い回しは「中身」だけ取り出す
「お世話になっております」「よろしくお願いします」「〜させていただきます」のような表現は、英語にそのままの対応がありません。こういうときは、その場面で本当に伝えたいことを考えます。
- 今後ともよろしくお願いします → これからも一緒に働けるのを楽しみにしている → I look forward to working with you.
- 明日お休みをいただきます → 明日は休みます → I will be off tomorrow.
- つまらないものですが → あなたのために小さな贈り物を用意した → I got you a little something.
ポイント:日本語のていねいさや謙遜は、英語では別の形で表します。直訳にこだわるほど不自然になります。
使い方:日本文化を難しい単語に頼らず伝えるコツを日本語で学べます。見たあと「お年玉」など説明しにくい言葉を1つ選び、中学英語の2文で説明します。
使い方:日本語→英語のクイックレスポンス形式です。日本語が出たら一時停止して自分の英語を先に言い、言えなかった文は日本語をかみ砕き直して再挑戦します。
04ステップ5:書いたら「英→和」で逆チェック
英文ができたら、最後に自分の英文を日本語に訳し直して、元の日本語と意味がずれていないか確かめます。言い換えを重ねると、途中で意味がすり替わることがあるからです。
例:「その映画は期待したほどではなかった」
- 書いた英文:The movie was not good.
- 逆訳:その映画はよくなかった。
- 元の文とのずれ:「期待したほどではない」は「悪い」とまでは言っていない。
そこで直します。The movie was not as good as I had expected. これなら「期待したほどよくはなかった」と元の意味に近づきます。
逆チェックでは、次の3点を見ると効率的です。
- 否定の強さ:「あまり〜ない」を not で強く言いすぎていないか
- 時制:「〜していた」「〜したことがある」を正しく表せているか
- 数:「本」「友だち」が1つなのか複数なのか決めたか
特に3は、日本語では意識しないのでミスが多い部分です。「友だちと遊んだ」なら、1人なら with a friend、何人かなら with my friends。どちらか決めないと英語になりません。
05逆チェックと語法の確認に使える無料サイト3つと手順
ステップ5の逆訳で「この単語の使い方、合っているかな」と迷ったら、自分の感覚だけで決めず、実際の英文で確かめます。和文英訳で役に立つのは次の3つです。
| サイト | できること | 和文英訳での使い方 |
|---|---|---|
| Reverso Context | 日本語の言い回しが実際にどう英訳されたかを、対訳の例文で見られる | 「〜しがち」「〜離れ」など訳しにくい日本語を入れて、英訳の候補を集める |
| SKELL | 大量の英文から、読みやすい例文を自動で並べてくれる。登録不要 | 自分が使った単語を入れて、どんな前置詞や語と一緒に使われているかを見る |
| Ozdic | 単語と組み合わせて使う語(コロケーション)を品詞ごとに一覧できる | 名詞にどの動詞を組み合わせるか(例:decision なら make か do か)を確かめる |
手順(1文あたり5分)
- 自分で英文を書き、日本語に逆訳して、否定・時制・数の3点をチェックする
- 自信のない語句に下線を引く(1文に1〜2か所まで)
- 下線の語句を SKELL か Ozdic で調べ、組み合わせが自然か確かめる
- どうしても英語が浮かばなかった日本語だけを Reverso Context で調べ、候補の中から自分が書ける形を選ぶ
- 調べた結果を、ノートの「言い換えパターン」のページに1行で残す
Reverso Context の例文は機械的に集められたもので、誤訳がまじることもあります。1つの例だけで決めず、複数の例で同じ使い方がされているかを見てください。また、最初から英訳をまるごと探すのではなく、自分で書いてから確認に使うのが、和文英訳の力を伸ばす使い方です。
06よくある失敗と、1週間の練習メニュー
よくある失敗
- 難しい単語を探して時間切れ:辞書に出てきた見慣れない単語は、使い方(前置詞や語法)を知らないとかえってミスのもとになります。自信のある単語で書くほうが安全です。
- 日本語の語順のまま並べる:「私は昨日図書館で友だちに会った」を I yesterday library friend met... と並べてしまうパターン。まず主語と動詞(I met)を先に置く習慣をつけましょう。
- 全部を訳そうとする:「〜のだ」「〜わけで」のような語尾は、意味にほとんど影響しないことも多いです。訳さなくていい部分を見極めるのも技術です。
1週間の練習メニュー(1日15〜20分)
- 月:短い日本語10文の「主語さがし」だけを練習(英訳はしない)
- 火:抽象名詞を含む文5つを、日本語で「文にほどく」練習
- 水:月・火の文を英訳。書けない語は言い換えで乗り切る
- 木:教科書や問題集の模範解答と比べ、違いをメモ
- 金:自分の英文を逆訳して、意味のずれを3点チェック
- 土:身の回りの日本語(広告、ニュースの見出しなど)を1つ選んで英訳に挑戦
- 日:1週間でよく使った「言い換えパターン」をノートにまとめる
和文英訳は、センスではなく手順です。最初は時間がかかっても、言い換えの型がたまってくると、驚くほど速く書けるようになります。
使い方:単語が出てこないときの言い換えのコツを、やさしい英語で聞けます。水曜の英訳で書けない語が出たら、動画の考え方で「説明する英語」に置きかえます。
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よくある質問
言い換えると簡単な英語になりすぎて、点数が下がりませんか?
入試や検定の和文英訳では、まず意味が正しく伝わっていることが大前提です。難しい語を使って文法ミスをするより、正確な文のほうが評価されやすいのが一般的です。余裕が出てきたら、少しずつ表現を広げていきましょう。
辞書はどのタイミングで使えばいいですか?
練習では、まず辞書なしで言い換えて書き、あとから辞書で確認する順番がおすすめです。調べるときは単語の意味だけでなく、例文や一緒に使う前置詞まで見ておくと、次に自分で使えるようになります。
和文英訳の練習に向いている教材は?
解答例が複数載っている問題集が向いています。答えが1つしかないと「これ以外は間違い」と思い込みがちですが、いくつかの訳し方を見ると、言い換えの自由さが実感できます。学校の教科書の本文を和訳→英訳し直すのも手軽な練習です。
読了ボーナス


