フォーマルとカジュアルな英語の書き分け|同じ内容を3段階で比較
同じ「手伝ってくれる?」でも、友だちへのメッセージと、先生へのメールと、試験のエッセイでは、ふさわしい英語が違います。英語には日本語の敬語のような決まった形はありませんが、場面に合わせて言葉を選ぶ「書き分け」は確かに存在します。この記事では、同じ内容を3段階で書き比べながら、フォーマルとカジュアルの違いをつかんでいきます。

01英語にも「ていねいさの段階」がある
「英語には敬語がない」と言われることがありますが、これは半分だけ正しい表現です。日本語の「です・ます」や尊敬語のような文法的な仕組みはありませんが、英語にも場面や相手によって言葉を選び分ける感覚ははっきりあります。
この記事では、わかりやすく3段階に分けて考えます。
- カジュアル:友だちへのメッセージ、SNS、日記
- ニュートラル(ふつう):学校の英作文、知り合いへのメール、一般的な説明文
- フォーマル:目上の人への正式なメール、応募書類、論文やレポート、試験のエッセイ
どれが正しい・間違いということではなく、場面に合っているかどうかが大切です。友だちへのメッセージをフォーマルに書くと、よそよそしく、冗談のように感じられることもあります。
ポイント:書き分けの基本は「相手との距離」と「文章の目的」。この2つを考えてから書き始めましょう。
使い方:日本人がつい言いがちな、相手によっては失礼に聞こえる英語を取り上げる回です。出てきた表現を、この記事の3段階のどこに当たるかで分けてメモします。
02同じ内容を3段階で書き比べる
例1:手伝いを頼む
- カジュアル:Can you help me with this?
- ニュートラル:Could you help me with this?
- フォーマル:I would appreciate it if you could assist me with this matter.
例2:遅れることを伝える
- カジュアル:Sorry, running late! Be there in 10.
- ニュートラル:Sorry, I'm running a little late. I'll be there in ten minutes.
- フォーマル:I apologize for the delay. I expect to arrive in approximately ten minutes.
例3:意見を述べる
- カジュアル:I think phones in class are a bad idea.
- ニュートラル:I don't think students should use phones in class.
- フォーマル:It could be argued that the use of mobile phones in classrooms may interfere with learning.
例4:お礼を言う
- カジュアル:Thanks a lot!
- ニュートラル:Thank you very much for your help.
- フォーマル:I am sincerely grateful for your kind assistance.
比べてみると、フォーマルになるほど文が長く、単語がかたく、表現が間接的になっていくのがわかります。
使い方:友だちなどに送るくだけたメールの書き方を学べます。次のフォーマルなメールの動画と続けて見て、書き出しと結びの違いを左右2列の表にまとめます。
使い方:フォーマルなメールのルールを学べます。くだけたメールの表と並べ、ていねいさが上がると文の長さや言い回しがどう変わるかを書きこみます。
03書き分けの5つのポイント
1. 短縮形
- カジュアル・ニュートラル:I'm, don't, can't, it's
- フォーマル:I am, do not, cannot, it is
試験のエッセイやレポートでは、短縮形を使わないほうが無難です。一方、友だちへのメッセージで I do not know. と書くと、かなりかたい印象になります。
2. 句動詞(phrasal verbs)と1語の動詞
- find out → discover
- look into → investigate
- put off → postpone
- go up → increase
get や put などを使った句動詞は日常的でやわらかい印象、ラテン語系の1語の動詞はかための印象になる傾向があります。
3. 依頼の形
- 命令形:Send me the file.(かなり直接的)
- Can you ...?(カジュアル)
- Could you ...? / Would you ...?(ていねい)
- I was wondering if you could ...(さらに控えめ)
4. 主語の選び方
カジュアルな文章では I や you が主語になりやすく、フォーマルな文章では It や物事が主語になる文が増えます。It is recommended that... や The results show that... のような形です。
5. 口語表現・スラング
gonna、wanna、kinda、stuff、a lot of などは、会話やカジュアルな文章ではよく使われますが、フォーマルな文章では going to、want to、many / a large number of などに置き換えます。
使い方:句動詞を丸暗記に頼らず学ぶ方法の第1回です。見終わったら、ポイント2の句動詞を1つ選び、句動詞の文と1語の動詞の文を並べて書き比べます。
04場面別:どのレベルで書けばいい?
迷ったときの目安をまとめました。
- 友だちへのLINE・DM、SNS:カジュアル
- 英語日記:カジュアル〜ニュートラル(自分の好きなスタイルでOK)
- 学校の英作文・自由英作文:ニュートラル〜ややフォーマル
- オンライン英会話の講師へのメッセージ:ニュートラル
- 先生・教授へのメール:ニュートラル〜フォーマル
- 留学や奨学金の応募書類:フォーマル
- 検定試験のエッセイ:ニュートラル〜フォーマル(試験の指示に従う)
判断に迷ったら、ニュートラルを選ぶのが一番安全です。ニュートラルな英語は、ややていねいすぎる場面でも、ややくだけた場面でも、大きく外れることはありません。
相手に合わせる
メールでは、相手の書き方に合わせるのも有効です。相手が Hi, Thanks! と短く書いてきたら、こちらもややくだけてよいサインです。反対に、相手がかしこまった文章なら、同じくらいのていねいさで返します。
05書き分けを確かめるサイト3つと、言い換えの練習手順
「この言い方、フォーマルすぎる?くだけすぎ?」と迷ったときは、場面がはっきりした英文を見るのが近道です。
| レベル | 参考にするサイト | 使い方 |
|---|---|---|
| フォーマル(レポート・論文・試験のエッセイ) | Academic Phrasebank | マンチェスター大学が公開している、レポートや論文の決まり文句集。場面別に探せるので、意見を述べる・結論をまとめるなどの形をここから選ぶ |
| ニュートラル(メール・説明文) | Plain English Campaign | 短く、はっきり書くためのガイドを無料のPDFで読める。フォーマルにしようとして難しくしすぎる人の手直しに |
| 句動詞と1語の動詞の言い換え | Thesaurus.com | 言い換えの候補が、意味の近い順に色分けで並ぶ。put off や find out を入れて、かための1語の候補を探す |
言い換え練習の手順(1日10分)
- 自分が最近書いたメッセージか日記から1文を選ぶ
- Thesaurus.com で、その文の句動詞やくだけた語の言い換え候補を調べる
- カジュアル・ニュートラル・フォーマルの3段階で書き直す
- フォーマル版を Academic Phrasebank の決まり文句と見比べ、型が近いかを確かめる
言い換えの候補は、意味が少しずつ違うことがあります。候補から選んだら、辞書の例文で使い方を確かめてから使いましょう。
06よくある失敗と1週間の練習メニュー
よくある失敗
- エッセイに会話表現が混ざる:「So, I think...」「Anyway,...」「It's kinda hard.」など、会話の癖が試験の英作文に出てしまうケース。
- フォーマルにしようとして不自然になる:難しい単語を詰め込みすぎて、意味が伝わりにくくなるケース。フォーマル=難しい単語ではなく、ていねいで正確な表現のことです。
- 1つの文章の中でレベルがばらばら:最初はていねいなのに、途中で急に gonna が出てくると、読み手は違和感を持ちます。
1週間の練習メニュー
- 月:上の例1〜4を声に出して読み、3段階の違いを確認する
- 火:「誘う」「断る」「謝る」の3つを、カジュアルとニュートラルで書く
- 水:同じ3つをフォーマルで書く
- 木:過去に書いた英作文から、短縮形や口語表現を探してニュートラルに直す
- 金:句動詞5つを、1語の動詞に言い換える練習
- 土:友だち宛てと先生宛てで、同じ内容のメッセージを2通書き分ける
- 日:場面別の目安リストを見て、自分がよく書く場面のレベルを確認する
書き分けができるようになると、英語で書くときの「相手への気づかい」が伝わるようになります。まずは、今日書くメッセージを1つ、2つのレベルで書いてみましょう。
使い方:若い世代のスラングを高校生の前で使ってみる企画です。場面に合わない言葉づかいがどう受け取られるかを見て、自分の英作文に会話の癖が混ざっていないか確かめます。
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よくある質問
試験の英作文で短縮形を使うと減点されますか?
試験や採点者によって扱いは異なりますが、エッセイなどのフォーマルな文章では短縮形を避けるのが一般的です。迷ったら使わないのが安全です。
フォーマルな英語を身につけるには何を読めばいいですか?
新聞記事、公的機関のウェブサイト、学術的な文章の入門書などがおすすめです。一方、カジュアルな英語は、SNSやドラマ、学習者向けの会話教材で触れられます。
目上の人に Hi を使うのは失礼ですか?
相手や場面によります。最初の連絡では Dear を使い、相手が Hi で返してきたら合わせる、という流れが無難です。職場や学校の雰囲気によっても違うので、周りの人の書き方も参考にしましょう。
読了ボーナス


