WASEDA SCHOOL OF HUMANITIES AND SOCIAL SCIENCES
早稲田・文学部 英語
過去4年 完全攻略マニュアル
― 2023〜2026年の全設問を分析し、2027年度を予想する ―
早稲田大学文学部の英語は、4年間、大問構成が1問もブレていません。【1】語彙14問/【2】読解10問/【3】文補充7問/【4】会話7問/【5】要約1問。つまり「何が出るか」はすでに決まっていて、勝負は「どう仕上げるか」だけです。この記事では、2023〜2026年度の全設問・全選択肢を1つずつ突き合わせて見えてきた出題の癖を、丸ごと公開します。単語の覚え方から要約の書き方、2027年度の予想まで、これ1本で対策が完結する設計です。
CONTENTS
CHAPTER 01
試験の全体像と、2027年度の確定情報
まず外枠から固めます。早稲田大学の公式発表によれば、2027年度一般選抜(文学部)は英語90分・75点、国語90分・75点、地歴60分・50点の200点満点。試験日は2027年2月17日(水)、募集人員260名です。英語の比重は全体の37.5%で、国語と並ぶ最重要科目です。
| 項目 | 内容 |
| 試験時間・配点 | 90分・75点(200点満点中37.5%) |
| 試験日 | 2027年2月17日(水)/合格発表 2月26日(金) |
| 出願期間 | 2027年1月6日(水)〜1月19日(火)※締切日消印有効 |
| 募集人員 | 一般選抜260名/4技能テスト利用85名/共テ利用25名 |
| 解答方式 | 【1】〜【4】マークシート、【5】のみ記述 |
※4技能テスト利用方式は、2027年度入試からTEAP CBTが利用不可になります(成績提供終了のため)。また2028年度入試より利用可能なテストが変更されます。出願前に必ず公式の入学試験要項で最終確認してください。
大問構成は4年間まったく同じ
2023年度から2026年度まで、大問数・小問番号・選択肢数まで完全に一致しています。ここまで安定した学部は珍しく、それはそのまま「対策のリターンが大きい」ことを意味します。
| 大問 | 形式 | 問数 | 選択肢 |
| 【1】 | 長文2題(A・B)の語彙空所補充 | 14 | 4択(a〜d) |
| 【2】 | 長文3題(A2問・B3問・C5問)の内容一致 | 10 | 4択(a〜d) |
| 【3】 | 長文1題の文補充(1文まるごと挿入) | 7 | 8択(a〜h) |
| 【4】 | 会話文の語句補充 | 7 | 13択(a〜m) |
| 【5】 | 英文要約(書き出しに続けて4〜10語) | 1 | 記述 |
マーク38問+記述1問。90分で、性格の異なる英文を8本読むことになります。1本あたり11分ちょっと。速読力の勝負というより、抽象的な文章を切り替えながら正確に処理できるかの勝負です。
※大問別の配点は非公表です。また早稲田は選択科目間の得点調整(標準化)を行うため、素点=合否得点ではありません。
◆ 文化構想学部と完全に同一形式
大問構成・設問数・選択肢数まで、文化構想学部とまったく同じです。しかも両学部は併願可能。つまり過去問という最良の教材が、単純に2倍手に入るということです。文学部の10年分に文構の10年分を足せば、20セット。演習素材で困ることは、まずありません。
CHAPTER 02
過去4年データベース:出典とテーマの全記録
出典を並べると、この学部が何を読ませたいのかがはっきり見えます。共通するのは「一般読者向けに書かれた、質の高い教養書・エッセイの一節」。専門論文ではありません。入門書、書評、回想録、新聞論説といった顔ぶれです。
| 2023年度 | 出典・著者 | テーマ |
| 【1】A | Ta-Nehisi Coates | パリで初めて味わった「異邦人」としての孤独 |
| 【1】B | Ernst Cassirer | サンスクリット語の発見=人文学のコペルニクス革命 |
| 【2】A/B/C | John Maher/書籍紹介文/Daniel Kahneman | 多言語主義と手話/預言者カーライルの栄光と失墜/直感はどう蓄えられるか |
| 【3】 | Ruth Bader Ginsburg | 異人種間結婚を認めたラヴィング判決 |
| 【4】 | 寮のルームメイトの会話 | インドの祭ドゥルガー・プージャ |
| 【5】 | Lionel Trilling | フロイトにおける「現実」と「幻想」 |
| 2024年度 | 出典・著者 | テーマ |
| 【1】A | Mike Cronin | 1950年W杯決勝、ブラジルの敗北と国民感情 |
| 【1】B | William Weir | タキトゥスが描いたゲルマン「蛮族」像の誤り |
| 【2】A/B/C | Konadhode et al./Martin Jay/Orhan Pamuk | 半球睡眠(脳の半分だけ眠る)/伝記作家の仕事/日記文化とジッド |
| 【3】 | Richard W. Bailey | 多言語主義は昔から当たり前だった、という英語史 |
| 【4】 | 男と幽霊の対話 | 運命は星が決めるのか、自由意志か |
| 【5】 | Edgar F. Beckham(NYT論説) | 多様性は分断ではなく統合を生む |
| 2025年度 | 出典・著者 | テーマ |
| 【1】A | William Hartston | マルハナバチに「性格」はあるのか |
| 【1】B | K. David Harrison | 環境言語学、言語の多様性が生物多様性を守る |
| 【2】A/B/C | Roger Scruton/George Orwell/Dorothy Whitelock | 宗教は静・政治は動/匿名詩の批評実験/ベーオウルフの聴衆を復元する |
| 【3】 | Isaac Asimov | ギリシアの演繹からガリレオの帰納へ |
| 【4】 | 学生2人の会話 | 課題の進み具合(イディオムの見本市) |
| 【5】 | Shane O’Mara | マインドワンダリングは脳の欠陥ではない |
| 2026年度 | 出典・著者 | テーマ |
| 【1】A | Jonn Elledge | 先住民オーストラリアの地図と、国境の恣意性 |
| 【1】B | Snezana Lawrence | 人はなぜ数学を怖がるのか |
| 【2】A/B/C | George Yule/Antonio Damasio/William M. Tsutsui | 鉄棒が脳を貫いた男/「我思う」より先に「我あり」/江戸の町人文化と浮世絵 |
| 【3】 | Samuel P. Huntington | 世俗化の逆流、世界規模の宗教復活 |
| 【4】 | 免許更新窓口のやりとり | 延々と並ばされる男 |
| 【5】 | Jonathan Haidt | iPhone登場が子どもの発達に与えた影響 |
◆ データから読める4つの傾向
① 「ことば」への偏愛。20本中6本が言語そのものを扱う(多言語主義、英語史、環境言語学、文献学、脳と言語)
② 人文系が中心。宗教・哲学・文学批評・歴史が繰り返され、理系テーマは年1本程度
③ 【2】Cの5問セットは、毎年やや長めの評論・エッセイ。抽象と具体を往復する読解力が要る
④ 刊行から2年以内の話題書が出る。2026年【5】は2024年刊の『The Anxious Generation』だった
CHAPTER 03
【1】語彙14問:選択肢は「同形4択」で作られている
この大問には、はっきりした作問ルールがあります。4つの選択肢は必ずアルファベット順に並び、しかも頭文字か語尾、あるいは語根がそろえてあるのです。実例を見てください。
| 出題年 | 選択肢セット(太字が正解) | そろえ方 |
| 2023 | hair / hand / head / heel | 頭文字 h+身体語 |
| 2023 | discarded / discerned / disciplined / discovered | 接頭辞 dis- |
| 2023 | microphone / microscope / telephone / telescope | micro・tele × phone・scope の2×2 |
| 2024 | attribute / constitute / distribute / pollute | 語尾 -ute |
| 2024 | guest / nest / rest / west | 語尾 -est |
| 2025 | predominantly / preferably / prematurely / previously | 接頭辞 pre- |
| 2025 | aesthetic / drastic / plastic / tactic | 語尾 -tic |
| 2025 | extractable / formidable / insertable / remarkable | 語尾 -able |
| 2026 | steps / straddles / struggles / struts | st- で始まる動詞 |
| 2026 | faithful / fanciful / fearful / fruitful | f- + -ful |
| 2026 | disparity / immunity / spontaneity / versatility | 語尾 -ity |
ここから導ける結論は明快です。「なんとなく見たことがある形」では絶対に切れない。逆に言えば、意味を1語ずつ正確に持っている人だけが、機械的に3つ消せる大問だということです。
とくに2026年度の f- 攻めはえげつない。facetious / fallible / forbidding / fortuitous が並び、正解は forbidding(近寄りがたい)。形が似ているほど、意味の輪郭がぼやけている受験生は全滅します。
タイプ別・14問の内訳
4年分56問を分類すると、次の3タイプに分かれます(割合は概算)。
| タイプ | 割合の目安 | 実例 |
| ①難語の意味そのもの | 約6割 | relished, confined, forbidding, versatility, endangered |
| ②語法・イディオム・前置詞 | 約2割 | in hand/in its own right/could do worse than/work out/passed on |
| ③文脈の論理で決まる平易語 | 約2割 | language, rest, explain, maintained, embrace |
③は落とせません。たとえば2024年度の「ゴート族は( )とは違って、ローマとの和平に熱心だった」に入るのは rest(残りの者たち)。guest, nest, west を検討する必要すらありません。語彙力に自信がなくても、文脈だけで取れる問題が毎年2〜3問は必ずあるので、空欄を絶対に放置しないでください。
解く手順(1問45秒)
①空所を含む文だけでなく、直前の1文を必ず読む(対比・因果の合図がそこにある)→②品詞を確定する(冠詞・前置詞・活用形を見る)→③選択肢の語根を割る→④正解を入れて音読し、コロケーションとして自然かを確認。
CHAPTER 04
【1】正解56語+「来年の正解候補」ダミー語リスト
まず、過去4年の正解56語を全部並べます。ここは「知っていて当たり前」のラインです。
| 年度 | 正解語(1〜14) |
| 2023 | relished/stopped/sailor/confined/for/hand/language/reversed/discarded/regarded/basis/light/within/telescope |
| 2024 | constitute/stunned/explain/ridiculous/profoundly/Given/focus/incapable/as/happened/assumption/single/sharper/rest |
| 2025 | analogous/maintained/previously/As/In that respect/fulfil/plastic/ecological/Natural/decolonize/coproduction/extractable/tradition/endangered |
| 2026 | worse/right/inevitable/uncertain/lusher/straddles/overwhelmingly/forbidding/passed/intuitive/embrace/fearful/work out/versatility |
差がつく24語:意味を即答できますか
上のうち、受験生が最も落としやすい語を抜き出しました。多義語は「入試で問われる方の意味」を優先しています。
| 語 | 意味 | 語 | 意味 |
| relish | を大いに楽しむ、味わう | confine | を閉じ込める、限定する |
| discard | を捨て去る、廃棄する | reverse | を逆転させる、覆す |
| stun | を呆然とさせる、黙らせる | profoundly | 深く、根本から |
| Given ~ | ~を考えると(前置詞的用法) | incapable of | ~ができない |
| assumption | 思い込み、前提 | analogous | 類似した、相当する |
| plastic | 可塑的な、変わりやすい | extractable | 抽出できる、取り出せる |
| decolonize | 脱植民地化する | coproduction | 共同生産、共同での作り出し |
| endangered | 消滅の危機にある | straddle | にまたがる、境界上にある |
| lush | 草木の生い茂った、肥沃な | forbidding | 近寄りがたい、いかめしい |
| intuitive | 直感的な | embrace | を進んで受け入れる |
| versatility | 多才さ、応用の広さ | work out | を導き出す、考え出す |
| in the same light | 同じ観点で(light=見方) | in its own right | それ自体で、独立して |
ダミー語こそ、来年の正解語
ここが本記事の推しポイントです。同じ形の語で4択を作る以上、今年ダミーだった語は、来年の正解語のプールに入っていると考えるのが自然です。以下は過去4年でダミーとして使われた重要語。意味を言えますか。
| 語 | 意味 | 語 | 意味 |
| fortuitous | 偶然の、思いがけない | fallible | 誤りを犯しうる |
| facetious | ふざけた、おどけた | unbecoming | ふさわしくない、見苦しい |
| undisputed | 誰も異論のない | inconceivable | 想像もつかない |
| imperishable | 不滅の、朽ちない | spontaneity | 自発性、自然さ |
| disparity | 格差、不均衡 | formidable | 手ごわい、恐るべき |
| hardwired | 生まれつき備わった | gamely | 果敢に、勇敢に |
| discern | を識別する、見分ける | subscribe to | (意見に)賛同する |
| canonize | を正典化する、聖人と認める | disempower | から力を奪う |
| traitor | 裏切り者 | prematurely | 時期尚早に |
| condensed | 凝縮された | strut | 気取って歩く |
CHAPTER 05
【2】読解10問:設問タイプの分布と解法
A(2問)・B(3問)・C(5問)と、難度が階段状に上がる作りです。この配分も4年間まったく変わっていません。4年分40問を分類すると、こうなります。
| 設問タイプ | 4年計 | 攻略の要点 |
| 内容一致(according to / which is true 型) | 37問 | 該当箇所を1文特定してから選択肢を見る |
| タイトル選択 | 2問 | 2023・2024のCの最終問。2025以降は消滅 |
| NOT型(NOT supported 等) | 1問 | 2023年15番のみ。文構より圧倒的に少ない |
ここが文化構想学部との最大の違いです。文学部の【2】は、ほぼ純粋な内容一致で構成されている。消去法でしのぐ大問ではなく、根拠となる1文を本文から積極的に探しにいく大問です。
正解は必ず言い換えられている
文学部の選択肢は、本文の単語をそのまま使ったものがむしろ不正解になります。2026年度15番が典型です。本文には「巨大な鉄棒が脳の前部を貫通したが、言語能力は無傷だった」とある。正解の選択肢は次のとおり。
Despite suffering serious head injuries in the accident, Phineas Gage was still able to speak normally.
rod も unaffected も language abilities も、全部消えています。かわりに serious head injuries、speak normally という別の服を着ている。本文の語を探すのではなく、意味を保ったまま着替えた選択肢を探す。この視点の切り替えが、文学部英語の合否を分けます。
誤答選択肢の4類型
| 型 | 見分け方 |
| ①言い過ぎ | only / all / never / fully / not any が入る。2025年24番は「注解を必要としなかった」が言い過ぎで不正解 |
| ②主語・因果のすり替え | 2026年15番の(a)は「フィニアスが50ヤード飛ばされた」。飛んだのは鉄棒のほう |
| ③本文にない追加 | もっともらしいが、本文のどこにも書かれていない論点を足している |
| ④半分正解 | 前半は本文どおりだが、後半で外す。最後まで読んでから判定する |
Cの5問セットは「設問の順=本文の順」
4年とも、Cの設問は本文の展開順に並んでいます(最終問だけが全体対象のことがある)。だから段落を1つ読む→対応する設問を1つ解くのが最短です。全部読んでから設問に戻ると、長いCでは記憶が持ちません。
タイトル問題は「主語+筆者の評価」で決まる
2024年度のCはパムクのエッセイで、正解タイトルは日記という私的領域の話と「なぜ作家を評価するのか」という論点の両方を含むものでした。具体語だけのタイトル、話題が狭すぎるタイトル、本文にない対立を持ち込むタイトルはすべてダミーです。2025・2026では出ていませんが、対策すれば確実に取れる設問なので捨てないでください。
CHAPTER 06
【3】文補充7問:8択1ダミーを外す4ステップ
文学部の英語で最も差がつくのがこの大問です。8つの文から7つを選んで空所に入れる。1つだけ使わない文(ダミー)があります。過去4年の実データがこちら。
| 年度 | 正解(25→31) | 未使用 |
| 2023 | d/h/e/a/g/c/f | b |
| 2024 | e/b/h/a/g/d/f | c |
| 2025 | d/h/a/c/f/b/e | g |
| 2026 | b/d/a/h/g/e/f | c |
(未使用の記号に法則はありません。当日は当然、内容で判断してください。)
ダミーの正体は3種類しかない
4年分を調べたところ、使われなかった選択肢にははっきりした共通点がありました。
| 年度 | ダミーの正体 |
| 2025 | 本文に一度も出てこない固有名詞。ガリレオの話にケプラーを持ち込む文だった。本文にケプラーは一度も登場しない |
| 2023 | 本文の主張と正反対。「リベラル系メディアは判決を歓迎した」という文だが、本文は当時の報道が冷淡だったと述べている |
| 2024 | 言い過ぎ。14世紀の文献が「唯一無二だ」と断定する文。本文はそこまで言っていない |
| 2026 | 論点のずれ。宗教復活を論じる本文に、対米敵視という別の軸を持ち込む文だった |
つまり、最初に8文をざっと読み、「本文で見た覚えのない固有名詞」を含む文に印をつけておくだけで、選択肢が実質7つに絞れる年があるということです。
解法4ステップ
| STEP | やること |
| 1 | 8文を先に読む。冒頭の接続副詞(But/However/Moreover/Thus/Instead/Even though)に○、指示語(this/these/such/they/it/the+既出名詞)に△を打つ |
| 2 | 空所の直前1文を読み、その文の「話題語」を丸で囲む。△の指示語が指せる名詞があるかを照合する |
| 3 | 空所の直後1文を読む。直後が This/Moreover/Elsewhere などで始まるなら、入る文はその受け皿になっていなければならない |
| 4 | 前後両方が噛み合うものだけ確定。片方しか合わないものは保留にして先へ進む(易しい空所から埋めると連鎖的に決まる) |
実例:2025年度の27番
直前はロジャー・ベーコンとフランシス・ベーコンが実験を学問的に認めさせた、という話。正解は「But it was Galileo who overthrew the Greek view and effected the revolution.」。逆接+強調構文で「先駆者はいたが、ひっくり返したのはガリレオだ」と主役を切り替えています。しかも直後の文の主語が He。直後の代名詞が誰を指すかを見るだけで、この1問は落ちます。
短い文を軽視しない
2023年度25番の正解は、たった5語の「She held no academic degrees.」でした。直前が「彼女は資産も教養もある女性ではなかった」。長い文ほど情報が多くて選びやすい気がしますが、この大問では短い文が「直前の言い換え・補足」として刺さるケースが毎年あります。長さで判断しないでください。
練習素材はどこにある?
文学部の【3】は、文化構想学部でもほぼ同一形式で出題されます。文構の過去問を併用すれば、演習量は単純に2倍。これは文学部受験生が最初にやるべき現実的な一手です。加えて、英検1級の長文や共通テストの段落整序も、指示語・接続語を追う訓練として機能します。
CHAPTER 07
【4】会話7問:過去4年の全表現リスト
13択から7つ。ダミーが6つもあるので一見難しそうですが、ここは知識で満点が取れる、最もコスパのいい大問です。しかも2025年度以降、口語イディオムの比率が跳ね上がりました。まず4年分の正解を全部。
| 年度 | 正解7つ |
| 2023 | belong to/dream of/That’s great/devotion/accorded/divine/getting |
| 2024 | solitude/think of it/stars/take your word/happen/presides/after all |
| 2025 | head/around the bush/with a grain of salt/neck/cup of tea/corners/every cloud has a silver lining |
| 2026 | fill out/undergo/way it is/club/come up with/suggestion/figure |
必修イディオム30(正解+本文中の表現)
空所になっていなくても、本文中の口語表現を知らないと文脈が取れません。過去4年から拾った必修表現です。
| 表現 | 意味 |
| wrap one’s head around ~ | ~を理解する、腑に落とす |
| beat around the bush | 遠回しに言う |
| cut to the chase | 本題に入る |
| take ~ with a grain of salt | 話半分に聞く |
| a pain in the neck | 面倒なこと、厄介の種 |
| one’s cup of tea | 得意なこと、好み |
| cut corners | 手を抜く、近道をする |
| the whole nine yards | 全部まるごと、一式 |
| every cloud has a silver lining | 悪いことばかりではない |
| give it a read | ちょっと読んでみる |
| get a better sense of ~ | ~がより掴めるようになる |
| come to think of it | そういえば、考えてみると |
| take one’s word for it | 言葉を信じる、鵜呑みにする |
| I happen to know ~ | たまたま~を知っている |
| preside over ~ | ~を司る、統べる |
| after all | 結局のところ/なんといっても |
| fill out a form | 用紙に記入する(fill upは「満たす」) |
| undergo an exam | 検査を受ける |
| That’s the way it is. | そういうものなんです |
| Join the club. | 同じ目に遭っている者同士だね |
| come up with ~ | ~を考え出す(come down withは「病気にかかる」) |
| Go figure. | やれやれ、わけがわからない |
| get back in line | 列に並び直す |
| Don’t let me get in your way. | お邪魔はしませんので |
| belong to ~ | ~の出身である、所属する |
| dream of -ing | ~するのを夢見る |
| be accorded ~ | (地位・称号を)与えられる |
| It’s getting late. | もう遅くなってきた |
| As you wish. | お望みのままに |
| Prove it. | 証明してみせろ |
ダミーの作り方は「一字違いの別イディオム」
fill out と fill up、come up with と come down with、the way it is と the way to go、Go figure と Go ahead、one’s cup of tea と a piece of work、every cloud has a silver lining と clouds are on the horizon。前置詞や1語だけを変えた「にせイディオム」が必ず混ざります。だから覚えるときは、必ず前置詞まで込みで音読すること。「a pain in the neck」を首の痛みとして映像で覚えておけば、nose にも hand にも引っかかりません。
CHAPTER 08
【5】要約:4〜10語で書く「3つの型」と手順
唯一の記述問題。条件は毎年同じで、①与えられた書き出しに続けて完成させる、②4〜10語、③本文から3語以上連続で使わない。この3つです。まず4年分の実物を見てください。
| 年度 | 書き出し | 解答例 |
| 2023 | The unresolved issue for Freud seems to be … | concerned with the complex relationship between reality and illusion. |
| 2024 | Despite some negative views about diversity, in reality … | it can help create unity and equality of individuals. |
| 2025 | Modern science argues that mind wandering is not a defect … | but something which will produce creativity and solve problems. |
| 2026 | The introduction of the iPhone in 2007 … | might have a harmful influence on the development of adolescents. |
4年とも「対比の後半」を書いている
2024年は「否定的な見方 ⇔ 実際は統合を生む」。2025年は「欠陥ではない ⇔ 創造性を生む」。2026年も「見た目は同じ ⇔ 子どもの発達を害しうる」。2023年ですら「現実か幻想か」という二項の緊張そのものを書いています。本文の However / But / Rather / not A but B を探し、その後ろをまとめる。これだけで方向性は9割合います。
解答は3つの型のどれかに収まる
| 型 | 形 | 合図になる書き出し |
| ①名詞句・形容詞句型 | concerned with A and B / 形容詞+前置詞句 | … seems to be … / … has been seen as … |
| ②S+V型 | it can 〜 / might have 〜 on … | … in reality … / 主語で終わる書き出し |
| ③not A but B型 | but something which 〜 | … is not a defect … のように否定で終わる |
書く手順(15分)
STEP1/書き出しを先に読み、上の3型のどれを求められているか決める。ここで型が決まると、あとは中身を入れるだけになります。
STEP2/本文の「主張文」を1つだけ探す。ヒントは、最終段落・逆接(But / However / Rather)の直後・筆者の一人称が出る文。
STEP3/固有名詞と具体例を全部捨てる。Freud も iPhone も、書くかどうかは書き出し次第。要約とは、具体を抽象に上げる作業です。
STEP4/本文の語を言い換える。「3語連続禁止」ルールがある以上、言い換えは義務。名詞→動詞(creativity → create)、具体語→上位語(teenagers → adolescents, smartphone → device)が最速の技です。
STEP5/語数を数える。指を折って数えてください。そのうえで、書き出しと文法的につながるかを声に出して確認します。
「つながらない」で落とすのが一番もったいない
書き出しが seems to be なら、続くのは形容詞句か名詞句。in reality なら S+V。is not a defect なら but 〜。The introduction of the iPhone in 2007 のように主語で終わっていれば、動詞から書き始めます。内容が正しくても、ここがずれると点になりません。
⚠ 要約で減点される5パターン
・書き出しと文法がつながっていない(最頻出のミス)
・固有名詞や具体例をそのまま書いている
・本文から3語以上を連続でコピーしている
・4語未満/10語超(数えていない)
・本文の一部分だけ正しく、全体の主旨になっていない
言い換えの引き出しを20組つくる
harmful → damaging/detrimental、important → crucial/essential、show → demonstrate/reveal、idea → notion/concept、problem → issue/difficulty、increase → boost/enhance。この程度の対応表を持っていれば、3語連続の縛りは怖くありません。
練習法:週2本、素材はどこにでもある
専用教材は要りません。共通テストの長文、英検準1級・1級の長文、教科書の1セクションを使って、「この文章を一言でいうと?」を英語8語で書く。書いたら必ず語数を数え、本文と3語連続で被っていないかを指でなぞって確認します。添削してくれる先生がいるなら、内容よりまず「書き出しとの接続」と「抽象度」を見てもらってください。
CHAPTER 09
単語の覚え方:文学部専用「3層システム」
文学部の語彙対策は、単語帳を1冊やれば終わり、ではありません。要求される語彙が3種類あり、それぞれ覚え方が違うからです。
| 層 | 目的 | 覚え方 |
| 第1層 基礎2000〜3000語 |
【2】【3】【5】を読むため | 見た瞬間に意味が出る「速度」重視。1語1秒。標準的な単語帳を高速で回す |
| 第2層 難語1000語 |
【1】で3つ消すため | 「正確さ」重視。英検準1級〜1級レベルの単語帳。日本語訳を1つに絞らず、2つ目の意味まで |
| 第3層 語源・語法 |
同形4択を割るため | 接頭辞・語根でグルーピング。前置詞込みのコロケーションで音読 |
第3層:最頻出の接辞・語根7つ
過去4年の選択肢を分解すると、同じ部品が繰り返し使われています。ここだけは丸ごと図式で覚えてしまってください。
| 部品 | 中心の意味 | ファミリー |
| dis- | 分離・否定 | discard(投げ捨てる)/discern/disparity/disempower |
| pre- | 前に | previously/prematurely/predominantly/preferably |
| in- / im- | 否定 | incapable/inevitable/inconceivable/imperishable |
| tract | 引く | extract(引き出す)/attract/distract/abstract |
| fin | 限界・終わり | confine(囲い込む)/define/finite/infinite |
| scope / phone | 見る/音 | telescope/microscope/telephone/microphone |
| -ity | 性質・状態(名詞化) | versatility/disparity/spontaneity/immunity |
「頭文字そろえテスト」で自作演習
これが本記事で一番おすすめしたい勉強法です。単語帳を開き、同じ頭文字(または同じ語尾)の難語を4つ集めて、自分で4択問題を作る。たとえば facetious / fallible / forbidding / fortuitous を並べ、「その建物は近寄りがたい雰囲気だった」の空所に入るのはどれか、と自問する。作問側に回った瞬間、「なんとなく」で覚えていた語が全部あぶり出されます。1日5セット、10分で終わります。
多義語は「入試で問われる意味」を第2訳に
light=光、で止めていると2023年度は落とします(正解の意味は「観点・見方」)。plastic=プラスチック、で止めていると2025年度を落とします(「可塑的な、変わりやすい」)。right, rest, hand, light, plastic, embrace, confine, work out, given, matter あたりは、必ず2つ目の意味まで確認してください。
分野語彙は「テーマ読み」で入れる
【2】【3】は、言語学・宗教・文学批評・歴史・心理学のテーマが繰り返されます。単語をバラで覚えるより、テーマごとに10語セットで入れる方が定着します。
| テーマ | セットで覚える語 |
| 言語・言語学 | multilingualism/dialect/philology/nomenclature/taxonomy/unintelligible/endangered |
| 宗教・思想 | piety/sanctity/secularism/resurgence/doctrine/deduction/induction/axiom |
| 文学批評 | allusion/prowess/posterity/derisive/elucidate/artifice/antiquity |
| 歴史・文化 | incursion/colonial/hedonistic/subversive/courtesan/exoticism/repudiate |
| 心理・脳 | intuition/aversion/visceral/consciousness/substrate/intricate |
CHAPTER 10
2027年度 出題予想
ここからは予想です。断定はできませんが、4年分のデータに基づく蓋然性の高い読みとして受け取ってください。
予想1:形式は変わらない(確度・高)
【1】14問/【2】10問/【3】7問/【4】7問/【5】要約1問。4年間まったく同じで、大学側から形式変更の予告もありません。この形式を前提に仕上げて構いません。ただし要約の語数条件(4〜10語)だけは、当日必ず問題文で確認を。
予想2:【2】Cのタイトル問題が復活する(確度・中)
2023・2024はCの最終問がタイトル選択でしたが、2025・2026では姿を消しました。2年空いた形なので、復活の可能性は十分。タイトル問題は対策すれば確実に取れるので、捨てずに準備を。
予想3:【4】は引き続きイディオム重視(確度・高)
2025年度は会話文がまるごとイディオムの見本市、2026年度も口語表現中心でした。しかも会話の舞台が「学生の日常」から「窓口・手続き」へと広がっているのが2026の特徴です。役所、店、病院、大学の事務室といった場面設定を想定しておきましょう。
予想4:テーマはこの10領域から出る(確度・中)
| 予想テーマ | 根拠 |
| 言語の多様性・消滅・翻訳 | 2023【2】A、2024【3】、2025【1】B。学部の性格上、最頻出 |
| 宗教と世俗化・信仰の復活 | 2025【2】A、2026【3】。2年連続で登場 |
| 脳・認知・直感・記憶 | 2023【2】C、2025【5】、2026【2】A |
| 文学批評・読者論・伝記論 | 2024【2】B、2025【2】B・C。文学部らしい王道 |
| 人種・公民権・差別の歴史 | 2023【1】A・【3】。米国史の重要判例は繰り返し出る |
| 日記・自伝・私的領域 | 2024【2】C。「書くこと」への関心は継続 |
| 非西洋文化と西洋の視線 | 2024【1】B、2026【2】C。オリエンタリズム的な切り口 |
| 科学史・科学方法論 | 2023【1】B、2025【3】。演繹と帰納の対立は定番 |
| 地図・国境・領域の表象 | 2026【1】A。文化研究の新しい潮流 |
| デジタル技術と子ども・社会 | 2026【5】。話題書からの出題は今後も続くとみる |
予想5:刊行数年以内の話題書が混ざる(確度・中)
2026年度の【5】は、2024年に刊行されたばかりの『The Anxious Generation』でした。最新の話題書から出る年があるということです。英字ニュースの書評欄を月に一度眺めておくだけでも、当日の「初めて見る話題」が1本減るかもしれません。
※以上はあくまで過去問の傾向からの推測です。大学から出題内容の予告があるわけではありません。出願・試験の詳細は必ず公式の入学試験要項で確認してください。
CHAPTER 11
時期別ロードマップと当日の時間配分
年間ロードマップ
| 時期 | やること |
| 〜8月 | 第1層の語彙を完成。文法一周。共通テスト形式で8割安定。ここで長文を「読める」状態にする。夏に1年分だけ過去問を解いて敵の顔を見る |
| 9〜10月 | 第2層(難語1000)に着手。【3】文補充を週2セット。要約を週2本。言語学・宗教・文学批評の入門書を日本語で1冊ずつ |
| 11〜12月 | 文学部の過去問を年度単位で。文化構想学部の過去問も併用して演習量を2倍に。第3層(語源・語法)を並行 |
| 1月 | 共通テスト後は毎週1セット90分の実戦。時間配分を体に入れる。要約は添削を受ける |
| 2月直前 | 新しい教材に手を出さない。過去問の誤答語彙と会話イディオムの総復習のみ |
当日の時間配分と解く順番
90分で8本の英文を読みます。1本あたり11分。極端な速読は不要ですが、【3】と【5】は考える時間が要るので、そこに時間を残す設計にします。
| 順 | 大問 | 時間 | 狙い |
| 1 | 【4】会話 | 6分 | 最短で7問確保。頭を英語に慣らす |
| 2 | 【1】語彙 | 14分 | 1問45秒。迷ったら印をつけて即次へ |
| 3 | 【2】読解 | 26分 | A5分/B8分/C13分。段落ごとに設問を処理 |
| 4 | 【3】文補充 | 22分 | 最重要。易しい空所から確定させる |
| 5 | 【5】要約 | 17分 | 読む8分/書く6分/見直し3分 |
| 6 | 見直し | 5分 | マークずれの確認と、保留問の決着 |
※本番でいきなり順番を変えるのは危険です。過去問演習の段階で自分の順番を決めておいてください。
目標得点の目安
マーク38問のうち、【1】10/14、【2】8/10、【3】5/7、【4】6/7=合計29/38(約76%)。これに要約の部分点を足せれば、標準化後も戦える水準です。とくに【4】は落とすと痛い。ここを7/7にする受験生と5/7の受験生では、他大問1問分以上の差がつきます。
CHAPTER 12
直前チェックリスト
試験前日と当日の朝に、これだけ見返してください。
✔ 【1】の選択肢は同じ形でそろえてある。形の近さで選ばず、意味で選ぶ
✔ 【1】には毎年、文脈だけで取れる平易語が2〜3問ある。空所を放置しない
✔ 【2】の正解は必ず言い換えられている。本文の語が並ぶ選択肢はむしろ疑う
✔ 【2】の選択肢に all / only / never / fully を見たら疑う
✔ 【2】Cは設問順=本文順。段落ごとに解く
✔ 【3】は先に8文を読み、接続副詞に○・指示語に△を打つ
✔ 【3】のダミーは「本文に出ない固有名詞」「主張と正反対」「言い過ぎ」「論点ずれ」
✔ 【3】は前後両方が噛み合うものだけ確定。短い文も候補から外さない
✔ 【4】は1語違いのニセ表現が混ざる。fill out と fill up を混同しない
✔ 【5】は書き出しの文法形を先に判定してから内容を考える
✔ 【5】は「対比の後半」を書く。固有名詞と具体例は捨てる。語数は指で数える
✔ 難しい大問に時間を吸われて、易しい大問を落とさない
TODAY’S ENGLISH
今日の英語:文学部で差がつく5語
straddle / にまたがる、境界上にある
The old town straddles the border between the two states.(その旧市街は2つの州の境にまたがっている)
forbidding / 近寄りがたい、いかめしい
Mathematics looked forbidding to me until my teacher changed.(先生が変わるまで、数学は私には近寄りがたいものに見えた)
plastic / 可塑的な、変わりやすい
Their behaviour turned out to be plastic, changing day by day.(彼らの行動は可塑的で、日ごとに変化した)
in its own right / それ自体で、独立して
The island is a country in its own right.(その島はそれ自体でひとつの国だ)
every cloud has a silver lining / 悪いことばかりではない
Well, every cloud has a silver lining, I guess.(まあ、悪いことばかりでもないよね)
CONCLUSION
まとめ:形式が動かない試験は、対策が効く試験である
✔ 4年間、大問構成は完全に同一。2027年度も同形式で仕上げてよい
✔ 【1】は「同形4択」。形ではなく意味で切る。ダミー語は来年の正解候補
✔ 【2】40問の内訳は、内容一致37・タイトル2・NOT型1。消去法より根拠探し
✔ 【3】が最大の勝負どころ。ダミーは「本文にない固有名詞」か「主張と矛盾」
✔ 【4】は知識で満点が取れる。前置詞込みで音読して覚える
✔ 【5】は「型の判定→主張文の特定→抽象化→言い換え→語数確認」の5手順
出題形式が変わらない試験は、努力がそのまま点数に変わる試験です。文学部の英語は、まさにその典型。しかも文化構想学部と同一形式で、過去問は実質2倍あります。あとは、その最良の問題集を、正しい順番で使い切るだけです。健闘を祈ります。
出典・注記
・2023〜2026年度 早稲田大学文学部 一般選抜(英語)の設問・選択肢・解答の照合分析に基づく。試験日・配点・募集人員等は早稲田大学文学部 公式サイト「入学試験情報」(2027年度一般選抜)による。
・大問別の配点は非公表であり、本記事の設問タイプ分類および出題予想は、過去問の傾向から読み取れる範囲の整理である。
・本文中の英文はすべて本記事用に作成した例文、または語句・イディオムの引用にとどめている。
・出願・受験の詳細は必ず早稲田大学の公式入学試験要項で最終確認すること。
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