なぜ「単語→文法→解釈→長文→過去問」の順番なのか
受験英語の勉強には、多くの先生や参考書がすすめる基本の順番があります。
- 単語:知らない単語は、どれだけ文法がわかっても読めない
- 文法:単語をつなぐルール。文の構造を見抜く土台
- 英文解釈:単語と文法の知識を使って、1文を正確に読む力
- 長文読解:正確に読める文を、速く、たくさん、論理を追いながら読む力
- 過去問:志望校の出題形式と時間に合わせて、得点力に変える
これは建物にたとえるとわかりやすいです。単語はレンガ、文法は設計図、英文解釈は1部屋を正しく組み立てる技術、長文は建物全体、過去問は「その土地のルールに合わせた最終調整」です。
もちろん、完全に1つずつ終わらせる必要はありません。単語は3年間ずっと続けますし、文法と解釈は重なり合いながら進みます。「今の自分はどの段階に重心があるか」を意識するのがポイントです。
ポイント:模試の長文で点が取れないとき、原因は長文力ではなく、単語や文法の穴であることがとても多いです。伸び悩んだら、1つ前の段階に戻って点検しましょう。
高1:単語と文法の「貯金」をつくる1年
高1は、受験まで時間があるからこそ、土台に集中できる貴重な1年です。
単語
- 受験用の単語帳を1冊選び、1日20〜30語のペースで進める
- 覚えた単語は、翌日・3日後・1週間後に復習(間隔反復)
- 必ず音声を使い、発音しながら覚える
文法
- 学校の授業に合わせて、文法の問題集を1冊
- 時制、助動詞、受動態、不定詞、動名詞、分詞、関係詞、仮定法、比較などの主要単元を一通り
- 間違えた問題には印をつけ、テスト前に印の問題だけ解き直す
その他
- 教科書の本文を音読する(1課につき10回が目安)
- 英検を目標にするのもおすすめ。2級あたりを目指すと、高校の文法と語彙の範囲をひと通り復習できます
高1の成績は、定期テストでしっかり点を取ることが第一歩です。定期テスト対策こそ、最高の受験勉強だと考えてください。
高2:英文解釈で「正確に読む」力をつける
高2は、学んだ文法を実際の英文を読むために使う段階です。
英文解釈
英文解釈の参考書を1冊選び、1文ずつ構造を分析します。
- 主語(S)・動詞(V)・目的語(O)・補語(C)に印をつける
- 修飾語のかたまり(前置詞句、関係詞節など)をカッコでくくる
- 構造をもとに、自然な日本語に訳す
最初は1文に何分もかかりますが、それで大丈夫です。構造を意識して読むクセがつくと、長い文でも迷子にならなくなります。
単語は2冊目・上級レベルへ
高1の単語帳が固まってきたら、志望校レベルに合わせて難しめの語も追加します。熟語も並行して進めましょう。
短めの長文を読み始める
高2の後半からは、300〜500語程度の長文を週に数題読み始めます。解いた後は、わからなかった文を英文解釈の手順で分析し直すことで、解釈と長文がつながります。
ポイント:高2の冬までに文法と解釈の土台が完成していると、高3の伸び方が大きく変わります。
高3前半(4〜8月):長文を「量」と「速さ」で鍛える
高3の春から夏は、長文読解の比重を一気に上げる時期です。
長文読解の進め方
- 時間を計って解く
- 答え合わせ後、根拠となる本文の箇所に線を引く
- 知らなかった単語・読めなかった文をノートにまとめる
- 本文を音読(5〜10回)。意味を理解しながら読めるまで
この「解く → 分析 → 音読」のセットで1題を使い倒すのがコツです。新しい問題を解くことより、解いた問題を自分のものにすることを優先しましょう。
共通テスト対策も少しずつ
共通テストの英語は、リーディングもリスニングも独特の形式です。夏までに一度、過去問や試作問題を解いて、形式と時間の感覚をつかんでおきましょう。
夏休みの目標
- 単語帳の総復習(志望校レベルまで)
- 長文問題集を1冊やり切る
- 文法の弱点単元を総点検
- 第一志望の過去問を1年分解いて、ゴールを確認する
夏に過去問を1年分解くのは、現時点で解けなくても問題ありません。ゴールの高さを知ることで、残りの時間の使い方が決まるからです。
高3後半(9月〜入試):過去問で得点力に変える
秋からは、いよいよ過去問を中心とした実戦練習です。
9〜11月:志望校の過去問に取り組む
- 第一志望の過去問を、5〜10年分を目標に
- 1年分ごとに、大問別の得点と時間を記録する
- 英作文や和訳などの記述問題は、学校の先生に添削をお願いできると理想的
12〜1月:共通テスト対策を強化
- 共通テストの過去問や予想問題を、本番と同じ時間で
- リスニングは毎日少しずつでも音声に触れ続ける
1〜2月:私大・二次試験の最終調整
- 併願校の過去問で出題形式に慣れる
- 新しい問題集には手を出さず、これまで解いた問題の復習を中心に
ポイント:過去問は「何点取れたか」より「どこで落としたか」の分析が大切。大問別の得点表を作ると、残りの期間で何を優先すべきかが一目でわかります。
直前期は不安から新しい教材に手を伸ばしたくなりますが、使い込んだ1冊の復習が一番の安心材料になります。
高3から始める人のための「圧縮版」プラン
「高3になったけれど、まだ単語も文法もあやしい……」という人もいるでしょう。大丈夫、順番を守って密度を上げれば、十分に巻き返せます。
4〜6月:単語と文法を同時進行
- 単語帳1冊を1日50〜100語の「高速回転」で何周もする
- 文法は、わかりやすい講義系の参考書で全体像をつかんでから問題集へ
7〜8月:英文解釈と長文を並行
- 英文解釈の参考書は薄めの1冊を集中的に
- 長文は易しめのレベルから、解く → 分析 → 音読のセットで
9月以降:過去問中心
- 共通テストと志望校の過去問に取り組み、足りない部分を単語・文法に戻って補強
大切なのは、あれもこれもと教材を増やさないこと。各分野1冊ずつに絞り、繰り返すのが、時間が限られた人の最強の戦略です。
英作文・リスニング・英検はどこに組み込む?
ロードマップの5段階には入っていませんが、志望校によっては欠かせないのが英作文とリスニング、そして英語の資格試験です。
英作文
和文英訳や自由英作文が出題される大学を目指す場合、文法の学習と並行して、例文暗記を始めましょう。文法問題集の例文や、英作文用の例文集を音読して覚えておくと、書くときの「部品」になります。本格的な自由英作文の練習は、高3の夏から秋にかけて、志望校の形式に合わせて始めるのが一般的です。
リスニング
共通テストにはリスニングがあり、配点も大きいので、高1から毎日の習慣にしておくのが理想です。音読やシャドーイングは、リーディングにもリスニングにも効く「一石二鳥」の練習です。
英検などの資格試験
大学によっては、英検などの外部試験のスコアを出願資格や得点換算に利用することがあります。利用の有無や条件は大学・学部ごとに違うので、志望校の募集要項を早めに確認しましょう。高1・高2のうちに目標級を取っておくと、高3の選択肢が広がることがあります。
ポイント:英検の2級以上には要約問題と意見論述があります。資格対策としてだけでなく、受験の英作文や長文読解の練習としても役立ちますよ。
3年間を通して続けたい「毎日の3つの習慣」
学年に関係なく、毎日続けてほしい習慣が3つあります。
- 単語は毎日:たとえ5分でも、単語帳を開かない日を作らない
- 音読は毎日:教科書や解いた長文を声に出して読む。リスニング力と読むスピードの両方に効きます
- 英語の音声を毎日:共通テストにはリスニングがあります。ニュースや学習者向けの番組、TED-Edの短いアニメーションなど、楽しめる音声を1日10分
受験勉強は長距離走です。一気に何時間も勉強する日より、毎日同じリズムで続けられる仕組みのほうが、最終的に大きな力になりますよ。



