高1の英語が受験を左右する理由
大学受験の英語は、共通テストでも個別試験でも、最終的には「長い英文を正確に、ある程度のスピードで読めるか」が問われます。共通テストのリーディングは80分で大量の英文を読む試験ですし、国公立の二次試験や私大の一般選抜でも長文読解は中心的な位置を占めます。
この「読む力」は、短期間の詰め込みでは伸びにくい力です。単語を知っていて、文法で文の骨組みがわかって、それを何度も読んで処理を速くする。この3段階を踏むには、どうしても時間がかかります。
逆に言えば、高1で土台を作っておくと、高3で長文演習や過去問に多くの時間を回せます。高3の秋に「単語帳がまだ半分」という状態だと、演習と暗記を同時に抱えることになり、とても苦しくなります。
ポイント:英語は「後からまとめて」がききにくい科目。高1の1年間は、長文を読むための道具をそろえる期間です。
とはいえ、高1から毎日3時間勉強する必要はありません。大事なのは量よりも毎日途切れない仕組みです。次の章から、その具体的な中身を見ていきましょう。
習慣① 単語は「1冊を決めて毎日少しずつ」
高1でまずやりたいのは、受験用の単語帳を1冊決めることです。学校で配られるものがあれば、それで十分です。大切なのは本選びよりも、同じ1冊を何周もすることです。
1日の目安
- 新しい単語:1日20〜30語
- 復習:前日・3日前・1週間前に覚えた範囲をさっと確認
- 所要時間:15〜20分
覚え方のコツは、英語を見て意味を言うだけでなく、意味を見て英語を思い出す練習も混ぜることです。思い出そうとする作業そのものが記憶を強くすることは、学習研究で繰り返し確かめられています。
また、単語は単体ではなく、短いフレーズで覚えると長文で出会ったときに気づきやすくなります。
- make progress(進歩する)
- pay attention to ~(~に注意を払う)
- take part in ~(~に参加する)
たとえば「I want to take part in the English speech contest.(英語スピーチコンテストに参加したい)」のように、自分のことに引きつけた例文を1つ作ると、ぐっと忘れにくくなります。
よくある失敗
一番多いのは、単語帳の最初の100語ばかり何度もやって、後半に進まないパターンです。完璧に覚えてから進むのではなく、7割覚えたら先に進み、周回で仕上げるくらいの気持ちで大丈夫です。
習慣② 文法は授業の復習を「その日のうちに」
高1の英語の授業では、時制、助動詞、不定詞、動名詞、分詞、関係詞など、受験に必要な文法の多くを扱います。つまり、授業そのものが受験勉強の中心になります。
ここで差がつくのが、授業のあとの過ごし方です。おすすめは、授業があった日の夜に5分だけその日の文法事項を確認することです。
- 教科書の例文を1つ選び、声に出して読む
- ノートを閉じて、そのルールを自分の言葉で説明してみる
- 問題集の該当ページから2〜3問だけ解く
たとえば関係代名詞を習った日なら、「The book which I bought yesterday is interesting.」を読み、「which は the book を説明する文をつなぐ役割で、bought の目的語が抜けている」と説明できれば合格です。
文法は「わかった気がする」と「使える」の差が大きい分野です。授業で理解した直後に、自分で説明し直すことで、その差を埋められます。定期テスト前に慌ててまとめるより、はるかに楽になりますよ。
ポイント:文法は「授業+その日の5分」。この組み合わせが一番コスパの良い受験対策です。
習慣③ 教科書の音読で「読むスピード」を育てる
3つ目の習慣は音読です。英文を声に出して読むと、目で追うだけのときより文の区切りやリズムを意識するようになります。何度も読んだ英文は、次に似た構造の文に出会ったとき、前から順に意味を取りやすくなります。
高1のうちは、新しい教材を買う必要はありません。教科書の本文が最高の音読素材です。意味も文法も授業で確認済みなので、安心して繰り返せます。
音読の進め方
- 授業で扱ったパートの音声を聞く(教科書付属の音声があれば活用)
- 意味を確認しながら、ゆっくり3回読む
- 意味を思い浮かべながら、普通のスピードで3回読む
- 慣れてきたら、音声に少し遅れてついていく(シャドーイング)
1パートにつき10分ほどで十分です。「声に出すと恥ずかしい」という人は、小声やささやき声でも効果があります。
ポイント:音読は「意味がわかっている英文」でやるのが鉄則。わからない文を何十回読んでも、スピードにはつながりません。
高1向け1週間メニュー
3つの習慣を1週間に落とし込むと、たとえば次のようになります。部活がある日でも回せるよう、平日は合計30〜40分を目安にしています。
平日(月〜金)
- 朝または通学中:単語 15分(新出20語+復習)
- 夜:その日の授業の文法確認 5分
- 夜:教科書本文の音読 10分
土曜日
- 単語の1週間分まとめテスト 20分(間違えた単語に印)
- 文法問題集で1週間分の範囲を混ぜて解く 30分
日曜日
- 基本は休み。余裕があれば、英語の動画やTED-Edのアニメーションを1本見る
「毎日40分は多い」と感じるなら、最初の2週間は単語だけでも構いません。習慣は、小さく始めて定着してから広げるほうが続きます。
よくある失敗
- 最初の週に張り切って1日2時間やり、2週目で燃え尽きる
- 単語帳・文法書・長文問題集を同時に3冊買い、どれも中途半端になる
- 定期テスト期間に英語の習慣を完全に止め、そのまま再開できない
テスト期間中も、単語15分だけは続けましょう。「ゼロの日を作らない」ことが、1年後の大きな差になります。
高1がつまずきやすい3つのポイント
高1の英語で「ここでつまずくと後で苦しくなる」という単元がいくつかあります。早めに気づいて手当てしておきましょう。
1. 時制と完了形
中学で習った現在形・過去形に加えて、現在完了や過去完了が本格的に出てきます。「I have lived here for three years.(ここに3年住んでいる)」と「I lived here for three years.(以前ここに3年住んでいた)」の違いを、例文で説明できるかチェックしてみましょう。今もそこに住んでいるかどうかが、2つの文の大きな違いです。
2. 準動詞(不定詞・動名詞・分詞)
to do、doing、done の使い分けは、長文の読みやすさに直結します。「The man standing by the door is my uncle.(ドアのそばに立っている男性はおじです)」の standing が the man を説明していると気づけるかどうかで、読むスピードが大きく変わります。
3. 関係詞
関係代名詞・関係副詞は、長い英文の構造をつかむカギになる単元です。「どこからどこまでが名詞の説明なのか」を括弧でくくる練習を、この時期からしておくと安心です。
ポイント:わからない単元は、放っておかずにその週のうちに先生に質問しましょう。高1の疑問は、高3まで持ち越すと大きな穴になります。
高1の終わりに目指したい状態
最後に、高1の終わりにこうなっていれば順調、というゴールを確認しておきましょう。
- 受験用単語帳を最低1周、主要な単語は2周している
- 高校で習う文法の主要単元について、例文を使って説明できる
- 教科書レベルの英文なら、音読すると意味が自然に浮かぶ
- 毎日英語に触れることが「当たり前」になっている
これができていれば、高2からは少し長めの英文を読む練習や、英文解釈の本格的なトレーニングにスムーズに進めます。高1から高3までの全体の流れは、「大学受験英語の勉強法|高1〜高3の年間ロードマップ」の記事もあわせて参考にしてください。
高1の1年間は、派手な成果が見えにくい時期です。でも、毎日の15分が積み上がって、高3で「長文が読める」という形で返ってきます。まずは今夜、単語帳を開いて20語だけ覚えてみましょう。



