模試は「弱点発見ツール」
模試の目的は大きく2つあります。
- 同じ時期の受験生の中で、自分がどのあたりにいるかを知る
- 今の自分に足りない力を見つける
多くの人は1に注目しますが、点数を上げるために重要なのは2です。判定は「今の位置」を教えてくれますが、「どうすれば上がるか」は教えてくれません。それを教えてくれるのが、1問1問の復習です。
特に英語は、失点の原因がさまざまです。単語を知らなかった、文法を誤解していた、文の構造を読み違えた、時間が足りなかった――。原因が違えば、対策もまったく違います。
ポイント:模試の復習とは、「間違えた問題の答えを覚えること」ではなく、「なぜ間違えたかを特定し、次に同じ原因で落とさない対策を決めること」です。
ステップ1:当日中に「解き直し」をする
模試を受けた当日は疲れていますが、実はこの日が一番復習に向いています。自分がどう考えて答えを選んだかを、まだ覚えているからです。
当日やること(30〜60分)
- 解答を見る前に、時間を気にせずもう一度解き直す
- 時間内に解いた答えと、解き直した答えを比べる
- 解答・解説を読んで答え合わせをする
このとき、問題を3つに分類します。
- A:時間内に正解
- B:時間内は不正解だが、ゆっくり解き直したら正解
- C:解き直しても不正解
Bが多い人は、実力はあるのに時間配分や集中力で落としている可能性があります。Cが多い人は、知識や読解力そのものを補う必要があります。この分類だけでも、次にやるべきことがかなり見えてきます。
問題用紙には、迷った選択肢や、自信がなかった問題に印をつけておく習慣をつけましょう。正解していても自信がなかった問題は、次は間違えるかもしれない「隠れた弱点」です。
見直しの時間がとれない日は
模試の当日にどうしても時間がとれない場合は、せめて「自信がなかった問題に印をつける」「時間が足りなくなった大問をメモする」の2つだけでも済ませておきましょう。記憶が新しいうちに残したメモが、翌日以降の分析を大きく助けてくれます。
ステップ2:3日以内に原因を分析する
解き直しの次は、間違えた原因の分析です。英語の失点原因は、大きく次の5つに分けられます。
- 単語・熟語:知らない語があって意味がとれなかった
- 文法:文法のルールを知らない、または誤解していた
- 構文の読み違い:主語や修飾関係をとり違えた
- 設問の読み違い:「当てはまらないもの」を選ぶ問題で当てはまるものを選んだなど
- 時間不足:最後まで解けなかった、急いで雑になった
分析シートの例
ノートに「大問・設問・原因・対策」の4項目を1行にまとめて、間違えた問題を1つずつ書き込みます。たとえば次のように書きます。
- 大問3・問2・単語(inevitable を知らなかった)・単語帳の該当ページに印
- 大問4・問5・構文(関係代名詞の先行詞をとり違えた)・該当する文を分析して音読
- 大問5・問3・時間不足(残り5分で慌てた)・大問ごとの目標時間を決める
最後に、原因ごとの数を数えます。「単語7、構文4、時間不足3」のように数字にすると、次の1か月で何に力を入れるべきかが明確になります。
ステップ3:本文を「使える教材」に変える
原因分析が終わったら、模試の英文そのものを教材として使い倒しましょう。模試の長文は、レベルもテーマも受験向けにしっかり作られた良質な英文です。
やること
- 知らなかった単語・熟語を書き出し、単語帳アプリなどに登録する
- 読みにくかった文を1〜3文選び、主語・動詞・修飾関係を書き込んで分析する
- 本文全体を、意味を理解しながら3〜5回音読する
- リスニングは、スクリプトを見ながら音声を聞き、聞き取れなかった部分を確認する
リスニングで聞き取れなかった部分は、「知らない単語だった」「単語は知っていたが音がつながって聞こえなかった」「速くて処理が追いつかなかった」のどれかに分けると、対策が立てやすくなります。
ポイント:模試1回分の英文を完全に理解して音読すれば、新しい問題集を1冊増やすより効果的なこともあります。
1か月後の「再テスト」で仕上げる
復習の最後の仕上げは、約1か月後に同じ模試をもう一度解くことです。
一度復習した問題でも、時間がたつと意外と忘れているものです。再テストで間違えた問題は、本当の意味で身についていない部分です。もう一度原因を確認して、対策を追加しましょう。
全部を解き直す時間がなければ、Cに分類した問題と分析シートに書いた問題だけでも構いません。
模試復習の1週間スケジュール例
- 模試当日:解き直しとA・B・C分類(60分)
- 翌日:分析シート作成(40分)
- 2日目:単語の書き出しと登録(20分)、読みにくい文の分析(30分)
- 3〜6日目:本文音読 毎日10分、リスニング復習 毎日10分
- 1週間後:分析シートを見返して、次の模試までの課題を3つ決める
- 1か月後:再テスト
大問別・英語の復習のポイント
英語の模試は、大問ごとに復習のポイントが少しずつ違います。形式別にチェックすべきことをまとめました。
文法・語彙問題
- 正解の選択肢だけでなく、他の選択肢がなぜ違うのかも説明できるようにする
- 間違えた問題は、文法書の該当ページを開いて例文を1つ音読する
- 語法の問題(どの前置詞をとるか、どんな形が続くか)は、フレーズごと単語帳に書き足す
長文読解
- 間違えた設問について、本文のどこに根拠があるかを線で示す
- 根拠の文を読み違えていたなら構文の問題、根拠が見つけられなかったなら読むスピードや段落の把握の問題
- 段落ごとに1行で要旨をまとめると、文章全体の流れを確認できる
リスニング
- 聞き取れなかった部分をスクリプトで確認し、音声を止めながら何度も聞く
- 設問の先読みができていたかどうかも振り返る
記述問題(和訳・英作文)
- 解答例と自分の答えを並べて、意味の取り違え、文法ミス、訳し漏れに分けて印をつける
- 英作文は、使えなかった表現を1つ選び、自分で例文を作って覚える
たとえば英作文で「~することは重要だ」を書けなかったなら、「It is important for students to read books every day.(生徒が毎日本を読むことは大切だ)」のように自作例文を1つ作っておきましょう。次の模試で同じ表現が使えれば、それが成長の証拠です。
ポイント:大問ごとに「次に同じタイプが出たらどうするか」を1行で書き残すと、次の模試の直前に見返せる自分専用の攻略メモになります。
よくある失敗と、今日からできること
よくある失敗
- 判定だけ見て終わる:判定は結果であって、改善策ではありません。
- 解説を読んで「なるほど」で終わる:理解と、自力で解けることは別です。解説を読んだら、何も見ずにもう一度解きましょう。
- 正解した問題を見直さない:たまたま当たった問題は、次は外れるかもしれません。自信がなかった問題は必ず確認しましょう。
- 全部を完璧に復習しようとして挫折する:時間がないときは、Cの問題と「あと少しで取れた」Bの問題を優先します。
模試は年に何回も受けるものです。毎回しっかり復習すれば、そのたびに弱点がひとつずつ減っていきます。手元に返ってきた模試があるなら、今日はまず大問1つだけでも解き直してみましょう。



