公式問題集が特別な理由
IIBCのサイトでは、テスト開発機関であるETSが制作した公式教材・問題集が紹介されています。市販の対策本はたくさんありますが、公式問題集ならではの価値は次の点にあります。
- 本番に近い形式・難易度で練習できる:問題の作り方や選択肢の傾向が本番に近い
- 音声のナレーターや話すスピードに慣れられる:リスニングの練習素材として質が高い
- 1冊に複数回分のテストが入っている:本番と同じ200問を通しで練習できる
一方で、公式問題集の解説は、市販の対策本に比べるとあっさりしていると感じる人もいます。そのため、解説を読んで終わりにせず、自分で原因を分析することが大切です。
ポイント:公式問題集は「解くための本」ではなく「復習するための本」と考えると、使い方が変わります。
ステップ1:本番と同じ条件で解く
1回目は、本番と同じ条件で解くことに集中します。
- 時間を計る:リスニング約45分、リーディング75分。途中で止めない
- 解答用紙を使う:マークする時間も本番と同じように含める
- 問題用紙に書き込まない:本番では認められていないので、練習でもそのように
- 分からない問題には印をつける:解答用紙の外(別のメモ)に「自信なし」の番号を書いておくと、復習のときに役立つ
1回目の点数は、今の実力の「健康診断」です。点数そのものより、どのパートで、どんな問題を落としたかを知ることが目的です。
記録しておくこと
- パート別の正答数
- リーディングで最後まで解けたか、何問残ったか
- 「自信なし」で正解した問題の番号(まぐれ当たりの可能性)
ステップ2〜3:原因を分析し、リスニングを音で復習する
ステップ2:間違いの原因を分類する
間違えた問題(と、自信なしで当たった問題)について、原因を次のように分類します。
- 語彙:知らない単語があった
- 文法:ルールを知らなかった、見落とした
- 聞き取り:音が聞き取れなかった(知っている単語なのに)
- 理解:聞き取れた・読めたが、意味や意図を取り違えた
- 時間:時間が足りずに解けなかった
分類すると、自分の弱点が「単語不足」なのか「聞き取り」なのかが見えてきます。対策は原因によってまったく違うので、ここを飛ばさないことが大切です。
ステップ3:リスニングは「音」で復習する
リスニングの復習では、スクリプトを読んで意味が分かっただけでは不十分です。本番では文字が見えないからです。
- スクリプトで聞き取れなかった箇所に線を引く
- 音声に合わせてスクリプトを見ながら読む(オーバーラッピング)
- スクリプトを見ずにシャドーイング
- 最後にもう一度、何も見ずに聞いて全部分かるか確認
特にPart 3・4は、1つの会話・説明文を完全に聞き取れるまで繰り返すと、同じ話し方の英語に強くなります。
ステップ4〜5:リーディングの再読と仕上げの解き直し
ステップ4:リーディングは「読み直し」と「音読」
- Part 5・6:間違えた問題の正解の根拠を一言で書く。文法のルールがあいまいなら参考書で確認
- Part 7:答え合わせのあと、文書を最初から読み直す。知らない単語を調べたうえで、スラッシュを入れて音読する
Part 7の文書は、何度か音読すると「最初は難しく感じた文書がスラスラ読める」状態になります。この経験を重ねることが、読むスピードを上げる近道です。
ステップ5:日をあけて解き直す
1〜2週間あけてから、同じテストをもう一度解きます。答えを覚えている問題もあるかもしれませんが、目的は「根拠を説明しながら解けるか」の確認です。
- 正解でも根拠が言えない問題は、もう一度復習リストへ
- リスニングは、スクリプトなしで全部聞き取れるかを確認
- リーディングは、1回目よりどれだけ速く解けたかを記録
1回分を2週間で使い倒すスケジュール
1日30〜40分の学習時間を想定した、1回分(200問)の進め方の例です。
1週目
- 1日目:リスニングを本番どおりに解く(約45分)
- 2日目:リーディングを本番どおりに解く(75分)※時間の取れる日に
- 3日目:採点・原因の分類。弱点パートを確認
- 4日目:Part 1・2の復習(音読・シャドーイング)
- 5日目:Part 3の復習(半分)
- 6日目:Part 3の残りとPart 4の復習(半分)
- 7日目:Part 4の残りの復習
2週目
- 8日目:Part 5の復習(根拠を書く)
- 9日目:Part 6の復習と音読
- 10〜12日目:Part 7の復習(再読・音読)
- 13日目:リスニングを通しで聞き直し(解かずに聞くだけでも可)
- 14日目:1〜2週目で出た知らない単語の総復習
この2週間が終わったら次の回へ進み、さらに時間をあけて1回目のテストをもう一度解き直すと、成長を実感しやすくなります。
パート別:公式問題集の音声・本文のおすすめ活用法
公式問題集は、解いて復習したあとも、パートごとに別の教材として使い回せます。
リスニング
- Part 1:写真だけを見て、自分で英文を2つ言ってから音声を聞く
- Part 2:質問だけを流して一時停止し、自分なりの応答を英語で言う
- Part 3・4:シャドーイング教材として使う。1本を毎日1回、1週間続けると、聞こえ方がはっきり変わる
- 通勤中:復習済みの音声をまとめて聞き流す。内容が分かっている音声だからこそ、聞き流しでも効果が期待できる
リーディング
- Part 5:間違えた問題の英文を、正しい形にして音読する
- Part 6:文書を最初から最後まで音読し、つなぎ言葉に丸をつける
- Part 7:文書を「速読用」として使う。2回目以降は時間を計り、1回目よりどれだけ速く読めるかを記録する
単語帳としても使う
公式問題集に出てきた知らない単語は、実際にTOEICの文脈で使われた単語です。例文ごと単語カードにすれば、自分だけのTOEIC単語帳ができあがります。1回分で出会った知らない単語を20〜30個カード化するだけでも、次の回で「見たことある」単語がぐっと増えるはずです。
ポイント:公式問題集は「問題集」「リスニング教材」「音読教材」「単語帳」の4役をこなす教材です。
よくある失敗とまとめ
- 次々と新しい回を解いていく:解きっぱなしでは、同じタイプのミスを繰り返す
- スクリプトを読んで終わり:リスニングは音で練習しないと本番で聞き取れない
- 点数だけを見て一喜一憂する:大切なのは、どのパートのどんな問題を落としたか
- 時間を計らずに解く:本番の時間感覚が身につかない
公式問題集は、使い方次第で何倍もの効果を生む教材です。模試を解いた後の復習の考え方は、別記事「TOEIC L&Rスコア別勉強法」でも紹介しています。今日は、手元の公式問題集の1回分について、パート別の正答数を記録するところから始めてみましょう。まだ解いていなければ、まずリスニングの45分だけを本番どおりに解いてみるのがおすすめです。



