なぜ「型」があると授業がラクになるのか
小学校の英語の授業は、担任の先生が他教科と並行して準備することが多い授業です。毎回ゼロから流れを考えていると、準備に時間がかかるうえ、子どもたちも「今日は何をするの?」と落ち着きません。
そこでおすすめなのが、毎回同じ流れ(ルーティン)を持つことです。流れが決まっていると、子どもは次の活動を予想でき、安心して英語を聞いたり話したりできます。先生も「今日変えるのは真ん中の20分だけ」と考えればよくなります。
ポイント:前半と最後は毎回ほぼ同じ、真ん中だけ単元に合わせて入れ替える。これが続けられる授業づくりのコツです。
45分モデルの全体像と時間配分
次のモデルは、多くの学校で見られる授業の流れを、担任の先生が使いやすい形に整理したものです。
- あいさつ・ウォームアップ(3分):日付や天気、気分のやり取り
- 歌・チャンツ(5分):単元の表現をリズムで口慣らし
- Small Talk(5分):先生が身近な話題を英語で話し、子どもとやり取り
- めあての確認(2分):今日できるようになることを共有
- インプット・導入(10分):絵カードや映像で新しい表現をたっぷり聞く
- やり取り・コミュニケーション活動(15分):ペアやインタビュー、ゲーム
- 振り返り(5分):できたこと、友だちのよかったところを書く・話す
外国語活動(3・4年)は聞くことと話すことが中心なので、5と6を厚めにします。外国語科(5・6年)では、6の後半や振り返りの前に読む・書く活動(5〜8分)を入れ、そのぶん歌やゲームを短くするとバランスがとれます。
ポイント:「聞く時間」を削りすぎないこと。話す活動の前には、十分に聞いた経験が必要です。
そのまま使える教室英語(場面別)
授業の流れに合わせて、決まったフレーズを繰り返し使うと、子どもは自然に意味を覚えていきます。発音に自信がなくても、ジェスチャーをつければ十分伝わります。
あいさつ
- Hello, everyone! How are you today?
- What's the date today? / How's the weather?
活動の切り替え
- Let's sing a song! / Let's start the chant.
- Make pairs. / Stand up, please. / Sit down, please.
- Are you ready? / 3, 2, 1, go!
ほめる・励ます
- Good job! / Nice try! / Great idea!
- That's OK. Try again.
終わり
- Let's look back on today's lesson.
- That's all for today. See you next time!
最初の1か月は、この中から5つだけ選んで毎回使いましょう。慣れてきたら1つずつ増やします。黒板の端に「今月のクラスルーム・イングリッシュ」として貼っておくのもおすすめです。
真ん中20分の組み立て方:好きな食べ物の単元の例
ここでは「What food do you like?」を扱う単元を例に、インプットとやり取りの部分を具体的に見てみます。
インプット(10分)
- 先生が食べ物の絵カードを1枚ずつ見せ、I like curry and rice. I don't like natto. と自分の話をする
- 子どもに Do you like curry and rice? とたずね、Yes/No で手を挙げてもらう
- 絵カードを使った「カード当て」で、食べ物の語を何度も聞かせる
やり取り(15分)
- 先生とALT(またはデジタル教材の音声)がモデル会話を見せる
- ペアで練習:A: What food do you like? B: I like pizza. A: Me, too!
- インタビュー活動:3人にたずねてワークシートにメモする
- 途中で一度止め、「Me, too! が言えた人?」と良かった表現を全体で共有する
ポイントは、やり取りの途中で1回止めて全体に返すことです。「困ったこと」「うまくいった言い方」を共有すると、後半の活動の質が上がります。
よくある失敗と立て直し方
- ゲームだけで終わる:盛り上がっても、何ができるようになったかが残りません。振り返りで「今日言えるようになった英語」を1文書かせましょう。
- 先生の説明が日本語ばかり:説明は短く、デモンストレーション(やって見せる)を中心にすると、英語のままでも伝わります。
- いきなり話させる:聞く量が足りないまま話す活動に入ると、子どもは固まります。インプットの時間を削らないことが大切です。
- 時間オーバーで振り返りがなくなる:タイマーを使い、振り返りの5分は「必ず残す時間」と決めておきましょう。
ポイント:うまくいかなかった日は、流れではなく「真ん中の活動」を1つ変えるだけで十分です。
3年生と6年生では何を変える?学年別の調整
同じ45分モデルでも、学年によって中身の比重を変えると、ぐっと授業が合ってきます。
3年生の場合
- 歌・チャンツを長めに(7〜8分)とり、体を動かす時間を多くする
- 一つの活動は5〜7分程度で切り替える(集中が続く長さを意識)
- 振り返りは「顔マーク」に丸をつける程度の簡単な形でOK
6年生の場合
- 歌は短くし、Small Talk を長めにとる
- やり取りの活動では「質問を1つ付け足す」など、少し高い目標を出す
- 読む・書く活動を毎時間5〜8分入れる
- 振り返りは「今日使った英語」を1文書き写す形にする
例えば同じ「好きなもの」の話題でも、3年生は I like red. を言えれば十分ですが、6年生では I like red. It's my favorite color. What color do you like? のように、つなげて話すことを目指せます。
ポイント:高学年ほど「ゲームの楽しさ」より「伝わった手応え」がやる気につながります。
単元全体の中で45分をどう位置づけるか
1時間の授業は、単元(おおむね数時間のまとまり)の一部です。単元の最初は聞く活動を多めに、中盤はやり取り、最後は発表やインタビューなどのまとめの活動、という流れを意識すると、1時間ごとのめあても立てやすくなります。
1単元(6時間)のイメージ
- 1〜2時間目:表現をたっぷり聞く、歌・チャンツで慣れる
- 3〜4時間目:ペアやグループでやり取り
- 5時間目:まとめの活動の準備(外国語科なら書き写しなども)
- 6時間目:発表・インタビューなどのまとめの活動
授業の準備に困ったら、教科書の指導書やデジタル教材の流れを基本にし、この記事の45分モデルに当てはめてみてください。まずは次の授業で、あいさつと振り返りの5分ずつを固定するところから始めましょう。
準備を10分で終わらせる指導メモの書き方
毎回の授業準備を短くするには、A4用紙1枚の「指導メモ」を決まった形で書くのがおすすめです。
- めあて:Let's ask and answer about favorite food.(日本語でもOK)
- 使う表現:What food do you like? / I like 〜. / Me, too.
- インプット:絵カード8枚、先生の自己紹介の話
- やり取り:ペア練習→インタビュー(3人)
- 振り返りの問い:「友だちの好きな食べ物で意外だったのは?」
前半(あいさつ・歌・Small Talk)と振り返りは毎回同じなので、メモに書くのは真ん中の3〜4だけです。単元が終わったらメモをファイルに綴じておけば、翌年の自分や同じ学年の先生の財産になります。



