「早ければ早いほどいい」は本当?
子どもの英語教育でよく聞くのが「英語は早く始めるほど有利」という言葉です。これは半分正しく、半分は誤解を含んでいます。
年齢と言語習得の関係については、研究者の間でも議論が続いています。一般的に言われているのは、次のような傾向です。
- 幼いころから長く英語に触れていると、発音やリズムが母語話者に近くなりやすい傾向がある
- ただし、それは十分な量の英語に、長い期間触れ続けた場合の話であることが多い
- 週1回・1時間程度の習い事だけで、自然にバイリンガルになるわけではない
つまり、「何歳から始めたか」だけでなく、どれくらいの量の英語に、どれくらい続けて触れたかが大きく関わります。早く始めても、途中でやめてしまえば忘れてしまうことも少なくありません。
ポイント:大切なのは「スタートの早さ」より「楽しく長く続けられるか」。焦る必要はありません。
また、子どもの性格や興味によって、英語との相性の良い入り方も違います。歌が好きな子、体を動かすのが好きな子、絵本が好きな子など、その子に合った入口を見つけてあげることが、年齢よりも大切なポイントです。
よくある誤解を整理する
誤解1:「早期英語教育をすると日本語がおかしくなる」
複数の言語に触れて育つこと自体が、言語の発達に悪影響を及ぼすという考えは、現在の研究ではあまり支持されていません。世界には、複数の言語を使いながら育つ子どもがたくさんいます。ただし、子どもが話す言葉の量や環境は家庭によって違うので、日本語でのコミュニケーションもこれまでどおり大切にしましょう。
誤解2:「ネイティブの先生でないと意味がない」
ネイティブスピーカーの先生にしか教えられないことがあるわけではありません。英語を母語としない先生の中にも、教え方が上手で、学習者の気持ちがわかる先生はたくさんいます。大切なのは、子どもが楽しく英語に触れられるかどうかです。
誤解3:「英語を始めるのが遅れたら取り返せない」
中学生や高校生から英語を本格的に学び始めて、仕事で英語を使えるようになる人はたくさんいます。年齢が上がると、文法を理解する力や論理的に考える力が育っているので、効率よく学べる面もあります。
小学校の英語は今どうなっている?
今の小学校では、英語に触れる機会が以前より増えています。2020年度から実施されている学習指導要領では、小学校3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で教科としての「外国語」が行われています。
大まかにいうと、次のような違いがあります。
- 3・4年生(外国語活動):歌やゲーム、簡単なやりとりを通して、英語の音やリズムに慣れ親しむ
- 5・6年生(外国語):聞く・話すに加えて、読む・書くの基礎にも取り組む。成績もつく
学校の授業内容は、教科書や先生によっても違います。気になる場合は、学校からのお便りや教科書を一緒に見て、「今どんなことを習っているのか」を知っておくと、家庭でのサポートもしやすくなります。
たとえば授業で What do you want to be?(何になりたい?)という表現を習ったなら、家で I want to be a baker!(パン屋さんになりたい!)と答え合いっこをするだけでも、立派な復習になります。
家庭で大切にしたい3つのこと
① 英語を「好き」でいられる環境をつくる
子どもの英語教育で一番大事なのは、英語を嫌いにならないことです。点数や上達のスピードばかり気にすると、子どもは英語を「やらされるもの」と感じてしまいます。
② 日本語の力も大切にする
考える力や表現する力は、母語である日本語で育つ部分も大きいものです。本を読む、家族で会話する、自分の考えを言葉にするといった経験は、英語を学ぶうえでも土台になります。
③ 英語は「世界とつながる道具」だと伝える
「英語ができると、世界中の人と話せるよ」「好きなゲームや動画を、英語でも楽しめるよ」というように、英語の先にある楽しさを伝えましょう。テストのためだけの英語より、ずっと長く続く動機になります。
親自身が英語を学ぶ姿を見せる
子どもは、親の言葉より親の行動をよく見ています。親が英語の本を読んだり、英語の動画で笑ったり、新しく覚えた単語を楽しそうに話したりする姿は、「英語は大人になっても楽しめるもの」というメッセージになります。完璧である必要はありません。「この単語、知らなかった!一緒に調べよう」と言えることが、子どもにとって最高のお手本です。
習い事・教材を選ぶときのチェックポイント
英会話教室や通信教材、オンラインレッスンなど、子ども向けの選択肢はたくさんあります。選ぶときは、次のポイントを確認しましょう。
- 子どもが楽しんでいるか:体験レッスンでの表情をよく見てください。これが一番大切です。
- 続けられる距離・時間・費用か:どんなに良い教室でも、通うのが大変だと長続きしません。
- 話す・聞く機会が十分あるか:先生が話すだけでなく、子どもが声を出す時間があるかを確認しましょう。
- 家庭でのフォローがしやすいか:教材や宿題の量が、家庭の生活リズムに合っているか。
- 「必ず話せるようになる」と誇張していないか:短期間での劇的な成果を強くうたう宣伝には注意が必要です。
習い事は、始めることより続けることに意味があります。家族みんなが無理なく続けられるものを選びましょう。
年齢別:親の関わり方の目安
幼児期
歌や絵本、遊びを通して英語の音に親しむ時期です。「覚えさせる」より「一緒に楽しむ」を大切にしましょう。
小学校低学年
学校で英語に触れ始める時期です。家庭では、英語のアニメや絵本を一緒に楽しみ、子どもが覚えてきた歌や表現を「教えて」とお願いしてみてください。子どもが先生役になると、自信につながります。
小学校高学年
教科としての英語が始まり、読み書きにも取り組む時期です。わからないことがあったら一緒に調べる、やさしい英語の本を一緒に読むなど、学びのパートナーとして関わりましょう。
中学生以降
文法や単語の学習が本格的になります。親が勉強を教えるより、学習の習慣づくりをサポートしたり、英語を使う機会(英語の映画、旅行、国際交流イベントなど)をつくったりするほうが効果的なことも多いです。
よくある失敗と、今日からできること
よくある失敗
- 成果を急ぎすぎる:「半年も通ったのに話せない」と焦るのは禁物です。言語の習得には長い時間がかかります。
- 親だけが熱心になる:子どもの気持ちが置き去りになると、英語嫌いにつながります。
- 習い事に任せきりにする:週1回のレッスンだけでは、英語に触れる量はどうしても限られます。家庭で少しでも英語に触れる時間があると、効果が変わります。
1週間でできる小さな習慣
- 月・木:英語の絵本や本を一緒に読む(10分)
- 火・金:英語の歌や動画を一緒に楽しむ(10分)
- 水:学校や習い事で習った英語を「教えて」と聞いてみる
- 土:英語を使った遊びやゲームをする
- 日:お休み
今日はまず、子どもに「英語で知っている言葉ある?教えて」と聞いてみてください。子どもが先生になる時間が、英語を好きになる第一歩になります。



