HARADA ELT WEEKLY ・ WOVEN PANEL EDITION
原田先生の英語教育ニュースレター
中高英語教師のための授業アイデア&最新情報
2026年7月1日(水)| Vol.135 | 織りパネル号
PANEL I ・ 今日のヘッドライン
すららネットが「小学校英語」を7月提供 — 小中接続のギャップ埋めにAI音声評価
小学校では「英語に慣れ親しむ」活動が中心なのに、中学では文法・読解が一気に始まる。この段差に戸惑う生徒を減らすため、すららネットが新教材「小学校英語」を2026年7月から提供します。スピーキングはアイード社のAI音声評価技術「CHIVOX」を使い、お手本と自分の発音を比べながら練習できる設計。文科省調査では小学校英語の専科教員は22.9%にとどまり、土台づくりの不足が課題でした。中学英語教師にとっても、入学時点の生徒の「英語観」が変わる前提で授業を組み直すヒントになります。
PANEL II ・ 5分でできる帯活動
🪡 Thread-the-Sentence(語順糸通し)
対象:中1〜中3 | 時間:5分 | 準備:不要
① 先生が英文を1つ、バラバラの語順で板書する。例:school / I / by / go / bus / to
② ペアで「正しい1本の糸」に通すように並べ替えて声に出す。
③ 最初に正しく言えたペアが、次のバラバラ英文を出題する側に回る。
💡 語順を「糸を通す」感覚で体得。主語→動詞→目的語の流れが視覚的に定着し、英作文の下地になります。
🎨 Tanaka Three-Word Portrait(3語の似顔絵)
対象:中2〜高校 | 時間:5分 | 準備:不要
① 生徒は隣の人を「形容詞3語」だけで描写する。例:kind, sleepy, funny
② 描写された人は1語だけ反論できる。“Not sleepy — energetic!”
③ 数ペアを全体で共有。形容詞バンクを黒板に「塗り重ねて」いく。
💡 ミャンマーの伝統顔料タナカが顔に「印」を描くように、3語で相手の輪郭を描く。形容詞の運用と即興反論をセットで鍛えます。
PANEL III ・ AI × 英語指導 最前線
🧵 Kuraplan(教師向け)
指導案・ユニット設計・ワークシート生成
学年・教科・到達目標を入れると、カリキュラム準拠の指導案とユニット計画を自動生成。1,000以上のワークシートライブラリと連携し、授業→スライド→ワークシートが1クリックでつながります。汎用チャットと違い「実在する基準コードに紐づく」設計なので、AIが基準を捏造しにくいのが英語科にも安心。無料枠あり(Pro $9/月)。
🗣 Talkio AI(生徒向け)
AI英会話・リアルタイム発音フィードバック
400以上のAIチューターと、空港・面接・ビジネスなどのロールプレイで話せる会話練習アプリ。発話のたびに発音フィードバックが返り、会話から拾った語彙を「ワードブック」に蓄積。学校・チーム向けプランがあり、生徒の自主学習課題に組み込みやすいのが特長です。7日間無料トライアルあり。
PANEL IV ・ 英語教育ニュース FLASH
🇯🇵 JAPAN ・ 制度
デジタル教科書、正式導入へ — 改正法が成立
デジタル教科書を紙と同じ「正式な教科書」と位置づける改正学校教育法等が6月10日に成立。次期学習指導要領が小学校で全面実施となる2030年度以降の導入が見込まれます。音声再生やハイライトと相性のよい英語科にとって、教材の前提が大きく変わる一歩です。
🇯🇵 JAPAN ・ 帯時間活用
太宰府市がAI型教材を全小中で正式採用、約6,100人が利用
福岡県太宰府市が市立小中11校でAI型ドリルを正式採用し、約6,100人の児童生徒が利用を開始。主な活用場面は朝夕15分の「帯時間」と家庭学習で、取り組んだ問題数と学力の伸びに相関が見られたとのこと。帯活動とAIドリルの組み合わせは、英語の語彙・文法定着にも応用が利きます。
🌍 GLOBAL ・ 米国
ISTE+ASCDが改称を発表 — 教育テック最大級の団体が看板を掛け替え
米国の教育テック・カリキュラム団体ISTE+ASCDが、6月28日にオーランドで開幕した年次大会の冒頭で組織名の変更を発表しました。AIが学校現場に急速に浸透するなか、団体が自らの役割をどう再定義するかは、日本の英語教育のテック導入を考えるうえでも示唆に富みます。
PANEL V ・ 超絶使える!英語学習ツール
📰 News in Levels — 同じ世界ニュースを3段階の語彙レベルで提供。やさしい版→難しい版へ段階的に読み進められ、多読の入口に最適。サイト →
🃏 Quizlet — 定番の単語カード。学習モード・テスト・ゲーム化で語彙の反復に。教師がクラス用セットを配布できる。サイト →
🔊 Forvo — 世界中のネイティブが録音した単語の発音辞典。固有名詞や地名の正しい音を確認でき、ALT不在時の発音指導に。サイト →
📻 Breaking News English — 1記事を7段階の難易度で展開。リスニング音声・穴埋め・ディスカッション課題まで揃い、授業1コマがそのまま組める。サイト →
PANEL VI ・ 世界の教室から学ぶ
🇲🇲 ミャンマー — 英語を「捨てて」、また「取り戻す」言語政策の振り子
かつて英領インドの一部だったミャンマー(ビルマ)では、英語が行政・高等教育の言語でした。ところが1962年以降の社会主義政権下で英語は教育から大きく後退し、ビルマ語中心の教育に切り替わります。1980年代に「英語の力が落ちすぎた」という危機感から英語が再び必修化され、近年は大学のEMI(英語を媒介とした授業)拡大とともに、英語が再評価されています。一国の英語力が、政治によって意図的に上下する——日本の英語教育論にも通じる、生きた教材です。
🔑 明日から使えるテクニック
授業冒頭で「もし日本が英語の授業を10年やめたら、どうなる?」と英語で問いかけ、生徒に1文で予想させる。“People would forget how to read English.” のように。言語と社会の結びつきを実感させると、英語学習の「意味」が自分ごとになります。
PANEL VII ・ 今日の名言
“If you take care of the meanings, the sounds will take care of themselves.”
意味の方をきちんと扱えば、音(言葉のかたち)はおのずとついてくる。
— Dave Willis(デイヴ・ウィリス)
応用言語学者・タスク中心型言語指導(TBLT)の提唱者
PANEL VIII ・ Wednesday Warp & Weft(水曜の縦糸・横糸)
タペストリーは、縦糸(warp)と横糸(weft)が交わって初めて模様になります。週の真ん中、今日の授業を2本の糸で振り返ってみましょう。
縦糸(変わらない軸):今週ずっと大切にしている指導の柱は何ですか?
横糸(今日の試み):今日その柱に、新しく何を一本通せましたか?
2本が交わった所に、来週へ続く模様が生まれます。
原田先生の英語教育ニュースレター Vol.135
haradaeigo.com
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