睡眠・休息ホント

寝る前5分の「やることリスト」で寝つきが早くなった。「今日やったこと」を書くのとは何が違う?

寝る前5分の「やることリスト」で寝つきが早くなった。「今日やったこと」を書くのとは何が違う?

読む前に予想してみよう!

寝る前に書くなら、「明日やること」より「今日やったこと」のほうが早く眠れる

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な若い成人
規模
57人
研究の種類
ランダム化比較試験(脳波で測定)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

寝る前の5分間に「明日以降やること」を書いた人は、「今日やったこと」を書いた人より早く眠りについた。リストが具体的なほど寝つきが早い傾向もあった。

ひとことで言うと頭の中の「やらなきゃ」を紙に出すと、脳が安心して眠れる!

もくじ
  1. 脳波で確かめた「書く」効果
  2. なぜ「未来」を書くと眠れるのか
  3. 大学生の「心配ごとリスト」でも
  4. まとめ

布団に入って電気を消したとたん、「あ、あのメール返してない」「明日の小テストの範囲どこだっけ」……。頭の中で、やらなきゃいけないことがぐるぐる回り始める。

そんな夜に試してほしい方法があります。しかも道具は紙とペンだけ、時間はたった5分です。

01脳波で確かめた「書く」効果

結果、やることリストを書いた人の方が、やったことリストを書いた人より、明らかに早く眠りに落ちました。その差は平均で約9分です。

さらに面白いのは、

  • やることリストは、具体的に書いた人ほど早く眠れた
  • やったことリストは、具体的に書いた人ほど、むしろ寝つきが遅い傾向

という、正反対の傾向が見られたことです。

02なぜ「未来」を書くと眠れるのか

寝つけない原因の一つに、寝る前の「考えごと」や「心配」があります。寝る前の頭の働きについての研究をまとめた2020年のレビューでも、不眠に悩む人は寝る前に計画や問題解決のことを考えていることが多いと整理されています。

やり残したことは、脳にとって「覚えておかなきゃいけないこと」です。頭の中で何度もくり返すことで、覚えておこうとしているのかもしれません。

それを紙に書き出すと、「もう忘れても大丈夫」と脳が安心できる——。研究チームは、こうした仕組みを考えています。いわば、頭の中の荷物を紙に降ろす(オフロード)作業です。

一方、「今日やったこと」を細かく書くと、1日の出来事を振り返ることになり、かえって頭が働き出してしまうのかもしれません。

頭の中の「やらなきゃ」を紙に移すと、脳が休む準備に入れる
頭の中の「やらなきゃ」を紙に移すと、脳が休む準備に入れる

03大学生の「心配ごとリスト」でも

2025年には、米国の大学生が5晩続けて寝る前に翌日のやることを書く「ワーリーリスト(心配ごとリスト)」を試した報告も出ています。参加者は、心の健康や生産性が上がったと感じ、8割以上が今後も続けたいと答えました。

ただしこの報告には比較のためのグループがなく、効果を確かめるには、さらにしっかりした研究が必要です。

「スマホのメモアプリでもいいの?」と思った人もいるでしょう。実験で使われたのは紙とペンです。スマホを開くと、画面の光や通知、SNSなど別の誘惑が待っています。寝る前の「書き出し」には、枕元に置いた紙のノートがおすすめです。

なお、書くのは「明日やること」で、悩みを深掘りする日記ではありません。短く、具体的に、箇条書きでがコツです。

この方法のいいところは、お金も道具もほとんどいらず、手軽に試せることです。うまくいかなくても失うものは少ないでしょう。まずは1週間、寝る前の5分を「明日の自分への申し送り」の時間にしてみて、寝つきが変わるか試してみるとよいでしょう。

04まとめ

眠れない夜に必要なのは、羊を数えることではなく、明日の自分への申し送りかもしれません。

5分間のメモで、頭の中の「やらなきゃ」を紙に預けてしまいましょう。続きは、ぐっすり眠った明日のあなたがやってくれます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf your mind is full of tasks when you go to bed, a pen and paper might help. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

If your mind is full of tasks when you go to bed, a pen and paper might help. In a 2018 study, 57 healthy young adults stayed overnight in a sleep laboratory. Just before bed, they spent five minutes writing either a list of things they needed to do in the next few days or a list of things they had already finished.

Their sleep was measured using brain waves. Those who wrote to-do lists fell asleep about nine minutes faster on average. In addition, the more specific their to-do lists were, the faster they fell asleep. The researchers think that writing down unfinished tasks lets the brain stop trying to remember them, so it can rest.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

寝るときに頭がやるべきことでいっぱいなら、ペンと紙が役に立つかもしれません。2018年の研究で、57人の健康な若い成人が睡眠実験室に一晩泊まりました。寝る直前に、彼らは5分間、次の数日でやる必要があることのリストか、すでに終えたことのリストのどちらかを書きました。

彼らの睡眠は脳波を使って測定されました。やることリストを書いた人は、平均で約9分早く眠りにつきました。さらに、やることリストが具体的であるほど、より早く眠りにつきました。研究者たちは、終わっていない仕事を書き出すことで、脳がそれを覚えておこうとするのをやめられるので、休むことができるのだと考えています。

4択リーディングクイズ

Q1. How was the participants' sleep measured?

Q2. What was found about specific to-do lists?

Q3. Why might writing a to-do list help people sleep?

重要単語

  • to-do listA2
    名詞(句)やることリストI write a to-do list every night. to-do は「すべきこと」。make a to-do list「やることリストを作る」。
  • worryA2
    名詞・動詞心配(する)Bedtime worry can keep you awake. worry about ~「~を心配する」。be worried about ~ も同じ意味。
  • fall asleepA2
    動詞句眠りに落ちるShe fell asleep within ten minutes. fall-fell-fallen の活用に注意。go to sleep もほぼ同義。
  • specificB1
    形容詞具体的なMake your goals as specific as possible. 反意語は general / vague。specifically「具体的には」。
  • offloadC1
    動詞(負担を)降ろす、外に出すWriting helps you offload your thoughts. off(離れて)+load(荷物)。cognitive offloading「認知的負荷の外部化」。
  • rehearseB2
    動詞(頭の中で)くり返す、リハーサルするHe kept rehearsing his speech in bed. 名詞 rehearsal。劇の「リハーサル」と同じ語。

動画でもっと知る

寝る前5分で「明日やることリスト」を書いた人は、「今日やったこと」を書いた人より早く眠った、という脳波つきの実験がある。しかもリストが具体的なほど寝つきが早かったらしい。今夜すぐ試せる。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Scullin MK et al. (2018) The effects of bedtime writing on difficulty falling asleep: A polysomnographic study comparing to-do lists and completed activity lists, Journal of Experimental Psychology: Generaldoi.org
  2. Lemyre A et al. (2020) Pre-sleep cognitive activity in adults: A systematic review, Sleep Medicine Reviewsdoi.org
  3. Williams MB et al. (2025) Nightly worry lists and college student well-being: Strong effects from a simple intervention, Journal of American College Healthdoi.org