睡眠・休息ホント

寝つきを良くするお風呂は「寝る1〜2時間前」。5000本超の論文を調べた答え

寝つきを良くするお風呂は「寝る1〜2時間前」。5000本超の論文を調べた答え

読む前に予想してみよう!

寝つきを良くしたいなら、布団に入る直前に熱いお風呂がベスト

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な成人・高齢者など
規模
17研究(うち13研究をメタ分析)+高齢者1,094人の観察研究
研究の種類
系統的レビュー・メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

40〜42.5℃のお湯に寝る1〜2時間前につかると寝つきが早まる、とメタ分析で示された。カギは「お風呂後に体温が下がる流れ」。

ひとことで言うと寝る少し前にお風呂に入ると、体が冷えていく時に眠くなる!

もくじ
  1. 5322本の候補から選び抜いた研究をまとめると…
  2. カギは「上がった体温が下がっていく」こと
  3. 今夜からできる「眠れるお風呂」
  4. まとめ

「お風呂に入るとよく眠れる」。なんとなく実感している人は多いはず。

でも、いつ入るかで効果が変わるとしたら? 実は、寝つきを良くしたいなら「寝る直前」ではなく「寝る1〜2時間前」が狙い目だ、という研究結果があるんです。

しかもこれは、ひとつの実験ではなく、5000本を超える論文候補から関連研究を集めて分析した結論です。

015322本の候補から選び抜いた研究をまとめると…

ただし、著者たち自身も「研究の数がまだ少なく、ベストなタイミングや時間、仕組みについては、さらに調べる必要がある」と書いています。まとめられた研究はひとつひとつが小規模なものが多く、「科学的に決着した」というよりは、「今ある証拠をまとめると、こうなりそう」という段階です。

日本でも、奈良県立医科大学の研究チーム(Taiさんら、2021年、『Journal of Clinical Sleep Medicine』誌)が、平均72歳の高齢者1,094人の日常生活を調べ、寝る1〜3時間前にお風呂に入った日は寝つきが早い傾向を報告しています。こちらは実験ではなく生活をそのまま観察した研究なので、「お風呂のおかげ」と言い切ることはできませんが、実験室の結果と同じ方向の結果が、ふだんの暮らしの中でも見られたのは心強いところです。

02カギは「上がった体温が下がっていく」こと

なぜ寝る直前より、少し前がいいのでしょう?

人の体の内部の温度(深部体温)は、夜になると少しずつ下がり、それに合わせて眠気が強くなります。いわば「体温が下がる=眠りのスイッチ」。

お風呂につかると、深部体温はいったん上がります。お風呂から出ると、体は熱を逃がそうとして手足の血管を広げ、手のひらや足の裏から熱をどんどん放出します。その結果、1〜2時間かけて深部体温がすーっと下がり、ちょうど眠るころに「スイッチ」が入る、というわけです。

この「手足から熱を逃がす」ことの大切さは、スイスのバーゼル大学のKräuchiさんらが1999年、『Nature』誌で報告しています。手足の皮膚の温度が体の中心に比べて高くなっている(=熱をよく逃がしている)ほど、早く眠りにつけることが示されたのです。前述のTaiさんらの研究でも、入浴した日は寝る前の手足の温度が高めになっていました。

2023年には、日本のMaedaさんらが23人に、寝る1.5〜2時間前に「シャワーだけ」「短めの湯船」「長めの湯船」を試してもらう実験を報告しています。体温(舌の下で測定)が約0.9℃上がるくらいしっかり温まった「長めの湯船」の日は、シャワーだけの日より寝つきが早く、本人の感じる寝つきや眠りの質もよかったそうです。

お風呂で上がった体温が「下り坂」になる頃が、眠りどき
お風呂で上がった体温が「下り坂」になる頃が、眠りどき

逆に、寝る直前に熱いお風呂に入ると、体温が高いまま布団に入ることになり、かえって寝つきにくくなることがあります。体がほてって眠れなかった経験、ありませんか?

「熱いお湯に長く入るほど効く」わけではありません。研究で効果が見られたのは40〜42.5℃程度。熱すぎるお湯や長風呂は、のぼせや脱水、心臓への負担につながります。

03今夜からできる「眠れるお風呂」

04まとめ

お風呂の効果は、入っている間ではなく出た後の「体温の下り坂」にあるようです。寝る1〜2時間前の入浴は、手軽で、お金もかからない睡眠のサポート役です。

今夜は、寝る時間から逆算して「お風呂タイマー」をセットしてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerTaking a bath can help you sleep, but timing seems to matter. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Taking a bath can help you sleep, but timing seems to matter. In 2019, researchers searched more than 5,000 possible papers and combined the results of 13 studies. They found that soaking in water at 40 to 42.5 degrees Celsius one to two hours before bed helped people fall asleep sooner, even when the bath lasted only about ten minutes.

The reason is related to body temperature. A bath raises the temperature inside your body, and after you get out, your hands and feet release heat. As a result, your inner temperature falls over the next hour or two, and this drop works like a switch for sleep. If you take a very hot bath right before bed, however, your body may still be too warm.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

お風呂に入ると眠りやすくなることがありますが、タイミングが重要なようです。2019年、研究者たちは5,000本以上の論文候補を調べ、13の研究の結果をまとめました。その結果、寝る1〜2時間前に40〜42.5℃のお湯につかると、たとえ10分ほどの入浴でも、より早く眠りにつけることがわかりました。

その理由は体温に関係しています。お風呂は体の内部の温度を上げ、お風呂から出ると手や足が熱を放出します。その結果、その後の1〜2時間で体内の温度が下がり、この低下が眠りのスイッチのように働きます。しかし、寝る直前にとても熱いお風呂に入ると、体がまだ温かすぎるかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. How many studies were combined in the 2019 analysis?

Q2. According to the passage, what works like a switch for sleep?

Q3. What can we infer about a hot bath taken just before bed?

重要単語

  • body temperatureA2
    名詞(句)体温Your body temperature falls slowly at night. core body temperature は「深部体温」。take one's temperature「体温を測る」。
  • batheB1
    動詞入浴する、湯につかるMany Japanese people bathe every evening. 名詞 bath /bæθ/ と動詞 bathe /beɪð/ は発音が違う点が入試の発音問題で頻出。
  • fall asleepA2
    動詞句眠りにつくI fell asleep quickly after a warm bath. be asleep は「眠っている状態」、fall asleep は「眠りに落ちる動作」。
  • meta-analysisC1
    名詞メタ分析(研究をまとめて分析すること)A meta-analysis combines the results of many studies. meta-は「より高次の」。研究についての研究というイメージ。systematic review とセットで出やすい。
  • release heatB2
    動詞句熱を放出するYour hands and feet release heat before sleep. release は「解放する・放出する・公開する」。release a new song「新曲を出す」など多義語。
  • immersionC1
    名詞(液体に)浸ること、没頭Ten minutes of immersion in warm water can help. immerse(浸す)の名詞形。English immersion program「英語漬けの学習」でも使う。
  • efficiencyB2
    名詞効率Sleep efficiency shows how much of your time in bed you spend asleep. 形容詞 efficient。effective(効果的な)との違いは入試の頻出ポイント。

動画でもっと知る

お風呂は寝る直前より「寝る1〜2時間前」がいいらしい。5000本以上の論文候補から研究を集めて分析したら、40〜42.5℃のお湯に10分ほどつかるだけでも寝つきが早まったとか。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Haghayegh et al. (2019) Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: A systematic review and meta-analysis, Sleep Medicine Reviewsdoi.org
  2. Tai et al. (2021) Hot-water bathing before bedtime and shorter sleep onset latency are accompanied by a higher distal-proximal skin temperature gradient in older adults, Journal of Clinical Sleep Medicinedoi.org
  3. Maeda et al. (2023) Effects of bathing-induced changes in body temperature on sleep, Journal of Physiological Anthropologydoi.org
  4. Kräuchi et al. (1999) Warm feet promote the rapid onset of sleep, Naturedoi.org