睡眠・休息ビミョー

授業中に眠くなるのは「つまらないから」だけじゃなかった。眠気を生む3つの正体

授業中に眠くなるのは「つまらないから」だけじゃなかった。眠気を生む3つの正体

読む前に予想してみよう!

昼過ぎに眠くなるのは、昼ごはんを食べたときだけ起こる現象だ

研究カード(どんな研究?)
対象
中高生・若い成人など
規模
数十〜数千人規模の複数研究
研究の種類
実験研究+調査研究+レビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

授業中の眠気には、睡眠不足でたまった「眠気の借金」、昼過ぎに来る体内時計の「眠気の谷」、そして退屈な状況が隠れた眠気をあぶり出す仕組みが重なっている。

ひとことで言うと眠くなるのは、なまけじゃなくて「寝不足+体内時計+退屈」のトリプルパンチ!

もくじ
  1. 正体1:知らないうちにたまる「眠気の借金」
  2. 正体2:昼過ぎにやってくる「眠気の谷」
  3. 正体3:退屈が「隠れた眠気」をあぶり出す
  4. まとめ

午後1時半、5時間目の授業。先生の声がだんだん遠くなって、気づけばノートにミミズのような線が……。

「ちゃんと寝てるのに、なんで授業中だけ眠くなるの?」と思ったことはありませんか。

実は授業中の眠気は、3つの正体が重なって起きていると考えられています。どれも「やる気がない」こととは別の話です。

01正体1:知らないうちにたまる「眠気の借金」

起きている時間が長くなるほど、脳には眠気のもとがたまっていきます。十分に眠れば帳消しになりますが、睡眠が足りない日が続くと、眠気の借金(睡眠負債)として持ち越されます。

2017年に発表されたシンガポールの実験では、15〜19歳の57人が「平日は1晩5時間しか眠れない、週末は長めに眠る」という生活を再現しました。すると、昼寝をしなかったグループでは注意力が日を追うごとに落ち、週末2晩の回復睡眠でも元に戻りきりませんでした。

厚生労働省の睡眠ガイドでは、中学・高校生は8〜10時間の睡眠を参考にするよう示しています。部活、塾、スマホ……。現実には届いていない人も多いはずです。

02正体2:昼過ぎにやってくる「眠気の谷」

2つ目の正体は、体内時計です。

人の覚醒度(頭のさえ具合)は一日中一定ではありません。夜中に大きな谷があり、昼過ぎにも小さな谷があります。これが「ポスト・ランチ・ディップ(昼食後の落ち込み)」と呼ばれる現象です。

2005年に米国の時間生物学者モンク(Monk)さんがまとめた総説では、この落ち込みは昼食をとらなくても起こることがあり、人の生物学的なリズムに根ざしたものだと説明されています。もちろん、食事の内容(炭水化物の多い昼食など)が眠気を強めることはあります。

頭のさえ具合は一日中一定ではない。昼過ぎには小さな「谷」がある
頭のさえ具合は一日中一定ではない。昼過ぎには小さな「谷」がある

03正体3:退屈が「隠れた眠気」をあぶり出す

3つ目は、状況です。

体を動かしたり、人と話したりしているときは、多少眠くても脳が刺激されて眠気が表に出にくくなります。ところが、静かに座って話を聞くだけの時間は刺激が少なく、たまっていた眠気が一気に表に出てきます。

つまり「退屈だから眠くなる」のではなく、もともとあった眠気が、退屈な状況で隠しきれなくなると考えるほうが実態に近いようです。眠気がほとんどない人は、退屈でも寝落ちまではしにくいと考えられます。

もちろん、昼ごはんの影響がゼロというわけではありません。炭水化物の多い昼食をとったときは、午後の眠気が強まりやすくなります。「谷」がもともとある時間帯に、食後のだるさが重なるイメージです。

「眠気を気合いで乗り切る」のは、実はかなり難しいことです。眠気が強いと、本人は起きているつもりでも、脳が数秒だけ眠ってしまう「マイクロスリープ」が起きることがあります。授業中なら黒板の内容を聞き逃す程度で済みますが、自転車や車の運転中なら大事故につながりかねません。

04まとめ

授業中の眠気は、寝不足・体内時計・退屈のトリプルパンチでした。このうち自分でいちばん変えやすいのは、夜の睡眠時間です。

今夜30分早く布団に入ることが、明日の5時間目を変えるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerFeeling sleepy in class is not simply a sign of laziness. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Feeling sleepy in class is not simply a sign of laziness. Researchers believe three factors work together. The first is sleep debt. A 1998 survey of American high school students found that those who slept less and went to bed later felt sleepier during the day and tended to get lower grades.

The second is the body clock. Alertness naturally drops a little in the early afternoon, and this "post-lunch dip" can happen even if you skip lunch. The third is the situation.

When you sit still and listen quietly, there is little to stimulate your brain, so sleepiness that was already there comes to the surface. Getting enough sleep at night is the most effective solution.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

授業中に眠くなるのは、単になまけている証拠ではありません。研究者たちは、3つの要因が一緒に働いていると考えています。1つ目は睡眠負債です。アメリカの高校生を対象とした1998年の調査では、睡眠が短く、寝る時刻が遅い生徒ほど、日中に眠気を強く感じ、成績が低い傾向がありました。

2つ目は体内時計です。覚醒度は昼過ぎに自然に少し下がり、この「昼食後の落ち込み」は昼食を抜いても起こることがあります。3つ目は状況です。

じっと座って静かに話を聞いていると、脳を刺激するものがほとんどないので、すでにあった眠気が表に出てきます。夜に十分眠ることが最も効果的な解決策です。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 1998 survey find?

Q2. What is the "post-lunch dip"?

Q3. According to the passage, why does sleepiness appear when sitting quietly?

重要単語

  • drowsyB2
    形容詞眠い、うとうとしたI always feel drowsy after lunch. 名詞 drowsiness。薬の注意書き May cause drowsiness.「眠気を催すことがあります」でおなじみ。
  • post-lunch dipC1
    名詞(句)昼食後(昼過ぎ)の眠気の谷The post-lunch dip happens even if you skip lunch. post-(後の)+lunch+dip(くぼみ・下落)。dip は「株価の一時的な下落」にも使う。
  • sleep debtB2
    名詞(句)睡眠負債(眠りの借金)Sleep debt builds up when you sleep too little. debt の b は発音しない /det/。pay off a debt「借金を返す」。
  • sustained attentionC1
    名詞(句)持続的注意(集中を保つ力)Sleep loss harms sustained attention. sustain「持続させる」。sustainable「持続可能な」と同語源。
  • adolescentC1
    名詞・形容詞思春期の若者/思春期のAdolescents need about 8 to 10 hours of sleep. 名詞 adolescence「思春期」。teenager よりかたい学術的な語。
  • accumulateC1
    動詞蓄積するSleep debt can accumulate over a week. accumulated「蓄積された」。build up と同じ意味で言いかえられる。

動画でもっと知る

午後の授業で眠くなるのは、ランチのせいだけじゃないらしい。体内時計には昼過ぎに「眠気の谷」があって、食事をしなくても起こる。そこに寝不足と退屈が重なると、もう抗えない。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Monk TH (2005) The Post-Lunch Dip in Performance, Clinics in Sports Medicinedoi.org
  2. Wolfson AR, Carskadon MA (1998) Sleep Schedules and Daytime Functioning in Adolescents, Child Developmentdoi.org
  3. Lo JC et al. (2017) Neurobehavioral Impact of Successive Cycles of Sleep Restriction With and Without Naps in Adolescents, Sleepdoi.org
  4. 厚生労働省 (2024) 健康づくりのための睡眠ガイド2023mhlw.go.jp