笑い声を聞くだけで「友達同士か初対面か」がある程度わかる。24の社会で確かめられた"一緒に笑う"力

読む前に予想してみよう!
人が笑うのは、ほとんどの場合ジョークやおもしろい話を聞いたときだ
日常会話の観察では、笑いの多くはジョークではない何気ない発言のあとに起きていた。
- 対象
- 24の社会の聞き手/米国のカップル
- 規模
- 966人+71組
- 研究の種類
- 異文化の聞き取り実験+会話の観察
- 確かさ
- ★★★★☆
2人が一緒に笑う短い声を聞かせると、世界24の社会の人が「友達同士か、初対面か」を偶然より高い確率で聞き分けた。一緒に笑うことは仲の良さのサインだった。
ひとことで言うと一緒に笑う声には、「仲良し度」が出ちゃう!
廊下の向こうから、2人の笑い声が聞こえてくる。顔は見えないし、何を話しているのかも分からない。でも、なんとなく「あの2人、仲良しなんだな」と感じる——。
そんな経験はありませんか? 実はこの直感、世界中の人に共通する能力かもしれないのです。
01笑い声だけで「友達か初対面か」を当てる
聞き手の多くは英語を母語としない人たちで、大都市から離れた小さな社会で暮らす人たちも含まれていました。それでも、笑い声から「仲の良さ」を感じ取れたのです。
手がかりになっていたのは、笑い声の"質"でした。友達同士の笑いは、思わず出てしまう自然な笑いの特徴を多く含んでいました。一方、初対面同士の笑いには、そうした特徴が比較的少なく、意図的な笑いだった可能性も考えられます。研究者たちは、一緒に笑うことが、言葉や文化を超えた「私たちは仲間だよ」というサインになっているのではないかと考えています。
02笑いの多くは「ジョーク」じゃない
そもそも、人はどんなときに笑っているのでしょうか。
アメリカの神経科学者プロヴァインは、街なかで自然に起きた1,200回の笑いを観察しました。すると、笑いの多くは、ジョークやおもしろい話のあとではなく、「じゃあまた後でね」「それ知ってる」といった、何気ない発言のあとに起きていました。また、笑いの99%以上は、話の途中ではなく文や話の区切りで起きていました。
つまり、笑いの役割は「おもしろさへの反応」だけではありません。人と人とのやりとりを心地よくする"潤滑油"のような役割も持っているのです。

03一緒に笑うカップルは、関係の満足度が高い
一緒に笑うことは、関係の良さともつながっているようです。
アメリカの研究では、71組のカップルに「2人がどうやって出会ったか」について話してもらい、その様子を録画しました。そして、会話の中で2人が同時に笑っていた時間の割合を調べました。
その結果、一緒に笑う時間が長いカップルほど、関係の満足度や親密さ、支え合っている感覚が高かったのです。しかも、それぞれが個別に笑っていた量を差し引いても、この関係は残っていました。「たくさん笑うこと」より、「同じタイミングで笑うこと」のほうが、関係の良さと結びついていたのです。
04まとめ
一緒に笑う声には、2人の仲の良さがにじみ出ていました。しかもそれは、言葉や文化を超えて、世界中の人に伝わるサインだったのです。
今日、誰かと一緒に笑った瞬間を思い出してみてください。それはきっと、言葉よりも正直に「私たちは仲間だよ」と伝え合った瞬間だったはずです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf you hear two people laughing in the next room, you might guess whether they are close.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Can you tell if two people are friends just by hearing them laugh? Researchers recorded two people laughing together. Some pairs were already friends, and some had just met.
Then 966 people from 24 societies around the world listened. They guessed "friends" or "strangers" better than by chance. Friends laughed in a more natural way. Laughing together seems to be a sign of friendship everywhere.
65 words ・ CEFR A2
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2人の笑い声を聞くだけで、彼らが友達かどうか分かるでしょうか。研究者たちは、2人が一緒に笑っている声を録音しました。もともと友達同士のペアもいれば、初めて会ったばかりのペアもいました。
そして、世界の24の社会の966人がそれを聞きました。彼らは「友達」か「初対面」かを、偶然より高い確率で当てました。友達同士は、より自然な笑い方をしていました。一緒に笑うことは、どこでも友情のしるしのようです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
笑い声で友達かどうか分かるかという研究の話なので C。
Q2. How did friends laugh?
Friends laughed in a more natural way. とあるので B。
Q3. In this passage, "strangers" are ...
stranger は「見知らぬ人」。friends と対比されているので D。
If you hear two people laughing in the next room, you might guess whether they are close. A 2016 study tested this ability across cultures. Researchers took short clips of pairs laughing together. Some were already friends and others had just met.
Then 966 listeners in 24 societies, many of whom did not speak English, judged each pair. In every society, listeners identified friends better than chance, with accuracy of about 53 to 67 percent. Friends' laughter sounded more spontaneous.
Another study observed 1,200 natural cases of laughter and found that most came after ordinary comments, not jokes. In a study of 71 couples, partners who spent more time laughing together were more satisfied with their relationship.
117 words ・ CEFR B1
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隣の部屋で2人が笑っているのが聞こえたら、あなたは2人が親しいかどうかを推測するかもしれません。2016年の研究は、この能力を文化を超えて検証しました。研究者たちは、2人が一緒に笑っている短い音声を切り出しました。もともと友達同士もいれば、会ったばかりの人同士もいました。
そして、24の社会の966人の聞き手(その多くは英語を話さない人たち)が、それぞれのペアを判断しました。どの社会でも、聞き手は約53〜67%の正確さで、偶然より高い確率で友達を見分けました。友達同士の笑いは、より自然に出たものに聞こえました。
別の研究は、自然に起きた1,200回の笑いを観察し、そのほとんどがジョークではなく何気ない発言のあとに起きていることを発見しました。71組のカップルの研究では、一緒に笑う時間が長いカップルほど、関係に満足していました。
4択リーディングクイズ
Q1. How accurate were the listeners in identifying friends?
with accuracy of about 53 to 67 percent とあるので B。偶然(50%)より高い。
Q2. What did the observation of 1,200 cases of laughter find?
most came after ordinary comments, not jokes とあるので C。
Q3. What can we infer from the study of 71 couples?
一緒に笑う時間が長いほど満足度が高かったので、共に笑うことと関係の良さが結びついていると推論できる。正解は A。
Of 1,200 laughs recorded in everyday life, most followed ordinary remarks rather than jokes. Laughter also almost always came at pauses in speech. Observations like these suggest that laughter works mainly as a social signal, and only partly as a response to humor.
In a study of 71 couples talking about how they met, the share of time spent laughing together predicted greater relationship satisfaction and closeness, even after individual laughter was taken into account. That study was correlational, though, so close couples may simply laugh together more. A 2016 study tested the social-signal idea across cultures. The team took short clips of co-laughter, moments when two people laughed at the same time, from conversations between American university students.
Some pairs were already friends, and others had just met. The clips were played to 966 listeners in 24 societies, including small-scale communities far from large cities, and many of the listeners did not speak English. In every society, listeners told friends from strangers at better than chance, with accuracy ranging from about 53 to 67 percent. Friends' laughter had more of the acoustic features of spontaneous laughter. Laughter between strangers may have been more deliberate.
195 words ・ CEFR B2
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日常生活で記録された1,200回の笑いのうち、ほとんどはジョークではなく何気ない発言のあとに起きていました。また、笑いはほぼいつも話の区切りで起きていました。こうした観察は、笑いが主に社会的なシグナルとして働いており、ユーモアへの反応という面は一部にすぎないことを示しています。
出会ったきっかけについて話す71組のカップルの研究では、一緒に笑っていた時間の割合が、個々の笑いの量を考慮したあとでも、より高い関係の満足度と親密さを予測しました。ただしこの研究は相関研究だったので、親しいカップルがただ一緒によく笑うだけなのかもしれません。2016年の研究は、この「社会的シグナル」という考えを文化を越えて検証しました。研究チームは、アメリカの大学生の会話から、2人が同時に笑った瞬間である「共笑い」の短い音声を切り出しました。
もともと友達同士のペアもいれば、知り合ったばかりのペアもいました。これらの音声は、大都市から遠く離れた小規模な共同体を含む24の社会の966人の聞き手に聞かせられ、聞き手の多くは英語を話しませんでした。どの社会でも、聞き手は偶然を上回る確率で友達同士と初対面同士を区別し、その正確さは約53〜67%にわたりました。友達同士の笑いには、自然に出る笑いの音響的特徴がより多く含まれていました。初対面同士の笑いは、より意図的だった可能性があります。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main claim of the passage?
冒頭の観察を受けて laughter works mainly as a social signal と述べ、異文化研究でそれを検証しているので B。
Q2. How did strangers' laughter differ from friends' laughter?
Laughter between strangers may have been more deliberate. とあるので D。自然な笑いの特徴が多かったのは友達同士。
Q3. Why is the cause-and-effect relationship in the couples study unclear?
That study was correlational, though, so close couples may simply laugh together more. とあるので D。相関研究では因果の向きが分からない。
重要単語
- laughterB1名詞笑い、笑い声Laughter filled the classroom.
laugh の名詞形。burst into laughter「どっと笑い出す」。 - spontaneousC1形容詞自然に起こる、自発的なHer spontaneous smile made everyone happy.
副詞 spontaneously。「計画していない・思わず出る」というニュアンス。 - affiliationC1名詞親しいつながり、所属Laughter can signal affiliation.
affiliate(提携する・加入させる)の名詞形。所属機関を表すときにも使う。 - universalB2形容詞普遍的な、世界共通のMusic is a universal language.
universe(宇宙)と同語源。「すべてに当てはまる」というイメージ。 - punctuateC1動詞(話などに)区切りを入れるLaughter punctuates our conversations.
punctuation(句読点)の動詞形。笑いは会話の「句読点」というたとえ。 - deliberateB2形容詞意図的な、わざとのIt was a deliberate choice, not an accident.
副詞 deliberately「わざと」。動詞として「熟考する」の意味もある。
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2人が一緒に笑う短い声だけを聞かせたら、世界24の社会の966人が「友達同士か初対面か」を偶然より高い確率で当てたらしい。カップル研究でも、一緒に笑う時間が長いほど関係の満足度が高かった。笑いは正直なサイン。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Bryant et al. (2016) Detecting affiliation in colaughter across 24 societies, PNASdoi.org
- Kurtz & Algoe (2015) Putting laughter in context: Shared laughter as behavioral indicator of relationship well-being, Personal Relationshipsdoi.org
- Provine (1993) Laughter punctuates speech: Linguistic, social and gender contexts of laughter, Ethologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











