コアラは約20時間、野生のゾウは約2時間。動物の睡眠時間がバラバラすぎる理由

読む前に予想してみよう!
野生のアフリカゾウは、1日に平均2時間ほどしか眠らないという観察結果がある
2017年の研究で、野生のゾウのリーダー2頭の睡眠は1日平均約2時間で、横になって寝るのは数日に一度だった。
- 対象
- 野生のアフリカゾウ・グンカンドリ・ヒゲペンギンなど
- 規模
- ゾウ2頭(約35日)ほか各研究は少数個体
- 研究の種類
- 野外での行動・脳波記録と総説
- 確かさ
- ★★☆☆☆
コアラは休息を含め1日18〜22時間ほど眠ると言われ、野生のゾウは約2時間。眠る長さは食べ物や天敵、暮らし方で大きく変わる。
ひとことで言うとコアラはほぼ一日中ねる。ゾウは2時間しかねない。動物の眠りはいろいろ!
「コアラは1日20時間寝る」——動物好きなら一度は聞いたことのある話です。
うらやましい…と思った人もいるかもしれません。でも動物の世界を見渡すと、ほとんど寝ない動物から、飛びながら寝る鳥、数秒ずつ1万回以上寝る鳥まで、眠り方は本当にバラバラ。
なぜこんなにちがうのでしょうか?
01コアラが寝てばかりいる理由
コアラは、休んでいる時間も含めて1日18〜22時間ほど眠ったりじっとしたりしている、とよく言われます。「約20時間」は、だいたい合っていると考えてよさそうです。ただし、この時間のすべてが脳波でいう「睡眠」とは限らず、起きたままじっと休んでいる時間もかなり含まれるとされます。
その理由は、主食のユーカリの葉にあります。ユーカリは栄養が少なく、硬い繊維や消化しにくい成分をたっぷり含んでいます。コアラは、その少ないエネルギーでやりくりするために、なるべく動かず、体力を節約しているのです。
ナマケモノと同じく「省エネ型」の暮らし方ですね。
02野生のゾウは1日わずか2時間
一方、大きな体のゾウは、とても短い睡眠で暮らしていました。
ゾウは体が大きいので、毎日たくさん食べ続けなければなりません。そのうえ、横になると無防備になり、立ち上がるのにも時間がかかります。眠るより、食べることと警戒することが優先なのかもしれません。

03空を飛びながら寝る鳥、数秒ずつ寝るペンギン
鳥の世界には、さらに驚きの眠り方があります。
グンカンドリは、海の上を何日も飛び続けます。2016年の研究(Rattenborg ら、『Nature Communications』)で脳波を測ると、なんと飛びながら眠っていたことがわかりました。脳の片側だけを眠らせることも多く、1日の睡眠は合計40分ほど。陸にいるときは、もっとずっと長く眠っていました。
ヒゲペンギンはもっと極端です。2023年に『Science』に載った研究(Libourel ら)では、子育て中のヒゲペンギンは、1回わずか数秒の「ちょい寝」を1日1万回以上くり返していました。合計すると、1日11時間ほどの眠りになります。卵や子どもを守りながら、こまめに眠りをかせいでいるのです。
04主な動物の睡眠時間(目安)
- コアラ:休息を含めて約18〜22時間(よく言われる値)
- ホオヒゲコウモリの仲間:約20時間(飼育下)
- 人間(大人):約7〜8時間
- ナマケモノ(野生):約10時間
- ウマ:3時間前後(飼育下)
- アフリカゾウ(野生のリーダー):約2時間
※測り方(飼育下か野生か、脳波か行動か)によって数字は大きく変わります。
05なぜこんなにちがうの?
アメリカの睡眠研究者ジェローム・シーゲルさんは、2005年に『Nature』の総説で、動物の睡眠時間は、体の大きさ、食べ物の種類、天敵の多さ、寝る場所の安全さなど、暮らし方全体と深く関わっていると論じています。
眠りは、ただの「お休み」ではなく、それぞれの動物が環境に合わせて調整してきた生き残りの戦略なのです。
06まとめ
コアラは約20時間、野生のゾウは約2時間、飛びながら寝る鳥に、数秒ずつ寝るペンギン。動物の眠りは、驚くほど多様でした。
「よく眠る」のも「ほとんど眠らない」のも、それぞれの暮らしに合わせた答え。今夜のあなたの眠りは、どんな暮らしに合わせたものでしょうか。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSleep time varies surprisingly widely among animals.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
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Animals sleep for very different amounts of time. Koalas rest or sleep for about 20 hours a day. Their food, eucalyptus leaves, gives them very little energy, so they move very little.
Wild African elephants sleep for only about two hours a day, and they usually sleep standing up. Some birds can even sleep while they are flying! How long an animal sleeps depends on how it lives.
68 words ・ CEFR A2
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動物が眠る時間は、とても大きく異なります。コアラは1日に約20時間、休んだり眠ったりしています。食べ物のユーカリの葉からはほとんどエネルギーが得られないので、コアラはほとんど動きません。
野生のアフリカゾウは1日に約2時間しか眠らず、たいてい立ったまま眠ります。飛びながら眠ることができる鳥さえいます!動物がどれだけ眠るかは、その暮らし方によって決まるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
動物によって睡眠時間が大きく異なる理由がテーマなので A。
Q2. How long do wild African elephants sleep a day?
Wild African elephants sleep for only about two hours a day とあるので D。
Q3. Why do koalas move very little?
eucalyptus leaves, gives them very little energy, so they move very little とあるので B。
Sleep time varies surprisingly widely among animals. Koalas are said to sleep or rest for about 18 to 22 hours a day, mainly because eucalyptus leaves provide little energy and are hard to digest. In contrast, a 2017 study of two wild African elephants in Botswana found that they slept only about two hours a day, mostly standing up, and lay down only every three or four days.
Birds have even stranger habits. Frigatebirds can sleep while flying, sometimes with only half of the brain asleep. Chinstrap penguins raising chicks take more than 10,000 tiny naps a day, each lasting only a few seconds. Scientists think that body size, diet, predators and safe sleeping places are all linked to how long animals sleep.
123 words ・ CEFR B1
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動物の睡眠時間は驚くほど幅広く異なります。コアラは1日に約18〜22時間眠ったり休んだりしていると言われますが、それは主にユーカリの葉がエネルギーをほとんど与えず、消化しにくいからです。対照的に、ボツワナの野生のアフリカゾウ2頭を調べた2017年の研究では、ゾウは1日に約2時間しか眠らず、ほとんど立ったまま眠り、横になるのは3〜4日に一度だけでした。
鳥にはさらに奇妙な習慣があります。グンカンドリは飛びながら眠ることができ、ときには脳の半分だけを眠らせます。子育て中のヒゲペンギンは、1回わずか数秒の小さな眠りを1日に1万回以上とります。科学者たちは、体の大きさ、食べ物、天敵、安全な寝場所のすべてが、動物の睡眠時間と関係していると考えています。
4択リーディングクイズ
Q1. How often did the wild elephants lie down to sleep?
lay down only every three or four days とあるので C。
Q2. What is special about chinstrap penguins' sleep?
take more than 10,000 tiny naps a day, each lasting only a few seconds とあるので B。
Q3. According to the passage, which factor is NOT mentioned as affecting sleep time?
体の大きさ・食べ物・天敵・安全な寝場所は挙げられているが、体の色は書かれていないので D。
Sleep duration differs enormously across the animal kingdom. Koalas are commonly said to sleep or rest for 18 to 22 hours a day, a lifestyle that conserves energy on a diet of eucalyptus leaves, which are low in nutrients and hard to digest. At the other extreme, researchers fitted activity monitors into the trunks of two wild African elephant matriarchs in Botswana. Treating periods when the trunk was completely still as sleep, they estimated about two hours of sleep per day, mostly while standing, and the elephants sometimes went up to 46 hours without sleeping while traveling long distances.
Birds show further variety: brain recordings revealed that frigatebirds sleep in flight, often with one hemisphere at a time, and nesting chinstrap penguins accumulate around 11 hours of sleep through more than 10,000 microsleeps lasting only seconds. Such comparisons, however, require caution. The elephant estimate is based on movement rather than brain activity and involves just two animals, and animals in captivity often sleep longer than wild ones; sloths sleep about 16 hours in zoos but about 10 in the wild. Researchers link these differences to body size, diet, predation and sleeping-site safety, though mostly through correlation.
196 words ・ CEFR B2
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睡眠時間は動物界全体で非常に大きく異なります。コアラは1日に18〜22時間眠ったり休んだりしているとよく言われますが、これは栄養が少なく消化しにくいユーカリの葉を食べて暮らすうえでエネルギーを節約する生き方です。その対極として、研究者たちはボツワナで野生のアフリカゾウの年長のメス2頭の鼻に活動量計を埋め込みました。鼻がまったく動かない時間を睡眠とみなすと、睡眠は1日約2時間と推定され、そのほとんどは立ったままでした。ゾウは長い距離を移動する間、最長で46時間まったく眠らないこともありました。鳥はさらに多様です。
脳の記録から、グンカンドリは多くの場合、脳の片側ずつを眠らせながら飛行中に眠ることが明らかになり、巣にいるヒゲペンギンは、わずか数秒の短い眠りを1万回以上重ねて約11時間の睡眠をかせいでいます。しかし、こうした比較には注意が必要です。ゾウの推定値は脳の活動ではなく動きに基づくもので、対象は2頭だけです。また、飼育下の動物は野生の動物より長く眠ることが多く、ナマケモノは動物園では約16時間眠りますが、野生では約10時間です。研究者たちはこうした違いを体の大きさ、食性、捕食の危険、寝場所の安全さと結びつけていますが、その多くは相関に基づくものです。
4択リーディングクイズ
Q1. How did researchers estimate the elephants' sleep?
Treating periods when the trunk was completely still as sleep とあるので A。脳波ではない点が限界。
Q2. Why does the author mention sloths?
飼育下では約16時間、野生では約10時間という例で、飼育下の方が長く眠りうることを示しているので C。
Q3. What does the last sentence suggest about the factors that affect sleep?
though mostly through correlation とあり、因果関係は確定していないことを示しているので D。
重要単語
- sleep durationB2名詞(句)睡眠時間Sleep duration differs widely between species.
duration は「持続時間」。during と同語源。 - predatorB2名詞天敵、捕食者Animals with many predators often sleep less.
prey(獲物)とセットで。predation は「捕食」。 - in captivityB2熟語飼育下でSloths sleep longer in captivity than in the wild.
反対は in the wild(野生で)。capture(捕らえる)と同語源。 - unihemisphericC1形容詞脳の片側だけのSome birds use unihemispheric sleep while flying.
uni-(1つ)+hemisphere(半球)。北半球は the Northern Hemisphere。 - microsleepC1名詞数秒間の短い眠りPenguins take thousands of microsleeps a day.
micro-(小さい)+sleep。人間では居眠り運転の原因として話題になる。 - conserveB2動詞節約する、保存するKoalas move little to conserve energy.
conserve energy「エネルギーを節約する」。名詞 conservation(保護・保存)。
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コアラは1日20時間くらい寝ていると言われるけど、野生のアフリカゾウのおばあちゃんは1日たった2時間ほどしか寝ていなかったらしい。空を飛びながら寝る鳥や、1日1万回以上「数秒だけ寝る」ペンギンまでいる。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Gravett et al. (2017) Inactivity/sleep in two wild free-roaming African elephant matriarchs – Does large body size make elephants the shortest mammalian sleepers?, PLoS ONEdoi.org
- Rattenborg et al. (2016) Evidence that birds sleep in mid-flight, Nature Communicationsdoi.org
- Libourel et al. (2023) Nesting chinstrap penguins accrue large quantities of sleep through seconds-long microsleeps, Sciencedoi.org
- Rattenborg et al. (2008) Sleeping outside the box: electroencephalographic measures of sleep in sloths inhabiting a rainforest, Biology Lettersdoi.org
- Siegel (2005) Clues to the functions of mammalian sleep, Naturedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











