「風邪にはビタミンC」は半分ホント。1万人超のデータが示した"予防はできないけど…"の結論

読む前に予想してみよう!
ビタミンCを毎日とっていれば、ふつうの人でも風邪をひきにくくなる
一般の人では風邪の回数は減らなかった。ただし風邪の期間はわずかに短くなった。
- 対象
- 一般の成人・子ども、激しい運動をする人など
- 規模
- 予防試験29件・1万1,000人超
- 研究の種類
- ランダム化比較試験の系統的レビュー(コクラン)
- 確かさ
- ★★★★☆
ふつうの人がビタミンCを毎日とっても風邪の回数は減らなかった。ただ期間はわずかに短くなり、体を酷使する人では風邪が減った。
ひとことで言うとビタミンCで風邪は防げない。でも、ちょっとだけ早く治るかも!
「風邪っぽい? ビタミンCとって早く寝なさい」
日本でも海外でも、風邪といえばビタミンC。のど飴やドリンクにも「ビタミンC配合」の文字が並びます。
このイメージを世界に広めたのは、なんとノーベル賞を2回受賞した化学者でした。でも、その後の大量の研究が出した答えは、ちょっと複雑なものだったのです。
01火付け役はノーベル賞学者
1970年、アメリカの化学者ライナス・ポーリングが、ビタミンCを大量にとれば風邪を防げると主張する本を出版しました。ポーリングは化学結合の研究でノーベル化学賞、核実験反対の活動でノーベル平和賞を受賞した超有名人。その影響力は絶大で、ビタミンCブームが世界中に広がりました。
では、実際に試してみるとどうなったのか。世界中で行われたランダム化比較試験(薬と偽薬をランダムに割り当てる、信頼性の高い実験)をまとめたのが、医学研究のまとめで有名なコクラン・レビューです。
02結論①:ふつうの人の風邪は「減らない」
03結論②:期間は「少しだけ」短くなる
ただし、毎日とっていた人は、風邪をひいたときの期間がわずかに短くなっていました。大人で約8%、子どもで約14%の短縮です。
たとえば1週間(7日)続く風邪なら、大人で半日ほど早く治る計算。「劇的」とは言えませんが、ゼロでもありません。
04結論③:体を酷使する人では「半分」に
いちばん驚きの結果はここです。
マラソンランナー、スキーヤー、極寒地で訓練する兵士など、激しい運動や寒さで体に強い負荷がかかっている人を対象にした試験では、ビタミンCをとったグループで風邪をひく人がおよそ半分になっていました。

ただし、これは特別な状況の人たちの話。ふつうの生活をしている人に、そのまま当てはまるわけではありません。
05結論④:ひいてから飲むのは「はっきりしない」
もうひとつ大事なのが、「風邪をひいたら飲む」パターン。実はこれは、一貫した効果が確認されていません。風邪の症状が出てからビタミンCを飲み始めても、期間や重さがはっきり改善したとは言えない、というのがレビューの結論です。
つまり、多くの人がやっている「風邪っぽいからビタミンC」は、科学的にはいちばん根拠の弱い使い方なのです。
06まとめ
- ふつうの人がビタミンCを毎日とっても、風邪の回数は減らない
- ただし、風邪の期間はわずかに短くなる
- 体を酷使する人では風邪が約半分に。ひいてから飲む効果ははっきりしない
ビタミンCは果物や野菜から十分とれます。風邪の予防には、手洗い・睡眠・栄養のバランスという"地味な3点セット"がやっぱり基本です。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1970, the famous chemist Linus Pauling, who won two Nobel Prizes, wrote a book saying that vitamin C…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many people take vitamin C when they have a cold. Does it work? Scientists looked at studies with more than 11,000 people. For most people, taking vitamin C every day did not stop colds.
But their colds ended a little sooner. For people whose bodies work very hard, like marathon runners, vitamin C cut colds by about half. Taking it after a cold starts did not clearly help.
68 words ・ CEFR A2
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風邪をひいたときにビタミンCをとる人はたくさんいます。効果はあるのでしょうか。科学者たちは、1万1,000人以上が参加した研究を調べました。ほとんどの人では、毎日ビタミンCをとっても風邪を防げませんでした。
しかし、風邪は少しだけ早く治りました。マラソンランナーのように体をとても激しく使う人では、ビタミンCで風邪がおよそ半分に減りました。風邪をひいてからとっても、はっきりした効果はありませんでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ビタミンCは風邪に効くのか、がテーマなので B。
Q2. For marathon runners, what did vitamin C do?
like marathon runners, vitamin C cut colds by about half とあるので D。
Q3. In this passage, "ended a little sooner" means the colds ...
end は「終わる」、sooner は「より早く」。風邪が少し早く治った、という意味なので A。
In 1970, the famous chemist Linus Pauling, who won two Nobel Prizes, wrote a book saying that vitamin C fights colds. The book made the idea popular, and since then many careful experiments have tested it. A Cochrane review combined 29 trials with more than 11,000 people.
For ordinary people, taking vitamin C every day did not reduce the number of colds. It did make colds slightly shorter, by about 8 percent in adults and 14 percent in children. People under heavy physical stress, such as marathon runners and soldiers training in extreme cold, were a different story. Their risk of catching a cold was roughly cut in half. Starting vitamin C after symptoms appear showed no consistent benefit.
119 words ・ CEFR B1
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1970年、ノーベル賞を2度受賞した有名な化学者ライナス・ポーリングが、ビタミンCは風邪と闘うという本を書きました。この本によってその考えが広まり、それ以来、多くの慎重な実験がそれを検証してきました。コクラン・レビューは、1万1,000人以上が参加した29件の試験をまとめました。
ふつうの人では、毎日ビタミンCをとっても風邪の回数は減りませんでした。ただし、風邪の期間はわずかに短くなり、大人で約8%、子どもで約14%短縮されました。マラソンランナーや極寒の中で訓練する兵士など、体に強い負荷がかかっている人では話が違いました。彼らが風邪をひくリスクは、およそ半分になったのです。症状が出てからビタミンCをとり始めても、一貫した効果は見られませんでした。
4択リーディングクイズ
Q1. Who made the idea of vitamin C for colds popular?
the famous chemist Linus Pauling ... wrote a book saying that vitamin C fights colds とあるので C。
Q2. How much did vitamin C shorten colds in children?
by about 8 percent in adults and 14 percent in children とあるので A。8%は大人。
Q3. What can we infer about taking vitamin C only after you catch a cold?
Starting vitamin C after symptoms appear showed no consistent benefit とあるので、根拠がはっきりしないと推測でき D。
Vitamin C became the classic cold remedy largely because of Linus Pauling, the chemist who won Nobel Prizes in both chemistry and peace and who argued in a 1970 book that large doses could prevent colds. Decades of randomized controlled trials, in which participants are randomly assigned to vitamin C or a placebo, have since put the claim to the test. A Cochrane systematic review pooled 29 prevention trials involving more than 11,000 participants.
In the general population, regular vitamin C did not meaningfully reduce how often people caught colds. It did, however, consistently shorten their duration, by about 8 percent in adults and 14 percent in children, which for a week-long cold means recovering roughly half a day earlier in adults. One big exception emerged among people exposed to heavy physical stress, such as marathon runners, skiers and soldiers training in subarctic conditions, whose risk of catching a cold was cut by about half, although these trials were few and small. Perhaps most relevant to everyday habits, taking vitamin C only after symptoms begin has not shown consistent benefits. Thus the most common way people use vitamin C is the least supported by evidence.
195 words ・ CEFR B2
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ビタミンCが定番の風邪薬になったのは、主にライナス・ポーリングのおかげです。彼は化学賞と平和賞の両方でノーベル賞を受賞した化学者で、1970年の本で大量に摂取すれば風邪を予防できると主張しました。それ以来、参加者をビタミンCと偽薬にランダムに割り当てるランダム化比較試験が何十年にもわたって行われ、この主張が検証されてきました。コクランの系統的レビューは、1万1,000人以上が参加した29件の予防試験をまとめました。
一般の人々では、ビタミンCを定期的にとっても、風邪をひく頻度は意味のある形では減りませんでした。しかし、風邪の期間は一貫して短くなり、大人で約8%、子どもで約14%短縮されました。1週間続く風邪なら、大人では約半日早く治ることになります。大きな例外は、マラソンランナー、スキーヤー、亜寒帯の環境で訓練する兵士など、強い身体的ストレスにさらされた人々で、風邪をひくリスクがおよそ半分になりました。ただし、これらの試験は数が少なく小規模でした。日常の習慣に最も関係があるのは、症状が出てからビタミンCをとっても一貫した効果は示されていないということでしょう。つまり、人々が最もよく使うビタミンCの使い方が、最も根拠に乏しいのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is a randomized controlled trial, according to the passage?
in which participants are randomly assigned to vitamin C or a placebo と説明されているので D。
Q2. Why does the author add that the trials with physically stressed people "were few and small"?
例外的な結果だが試験数・人数が少ないという限界を示し、慎重に解釈すべきだと伝えているので C。
Q3. What is the author's final point?
最終文 the most common way people use vitamin C is the least supported by evidence とあるので A。
重要単語
- common coldB1名詞(句)普通の風邪The common cold is caused by viruses.
catch a cold「風邪をひく」、have a cold「風邪をひいている」の区別に注意。 - supplementB2名詞栄養補助食品He takes a vitamin supplement every day.
動詞では「補う」。supplement A with B「AをBで補う」。 - durationB2名詞持続期間Vitamin C may reduce the duration of a cold.
dur-(続く)。during, durable と同語源。 - placeboC1名詞偽薬Half of the group received a placebo.
ラテン語で「私は喜ばせるだろう」。placebo effect「偽薬効果」は入試長文の定番。 - immune systemB2名詞(句)免疫系Sleep supports your immune system.
immune は「免れた」。be immune to ~「~に免疫がある・~に影響されない」。 - remedyB2名詞治療法、改善策Many people see vitamin C as a cold remedy.
a home remedy「民間療法」。社会問題の「解決策」の意味でも使う。
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「風邪にはビタミンC」をコクランが1万人超のデータで検証。ふつうの人が毎日飲んでも風邪の回数は減らなかったらしい。ただ、マラソン選手や極寒地の兵士みたいに体を酷使する人では、風邪が約半分になっていた。
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