ウソ?ホント?検証ウソ

「毒キノコは派手な色」「縦に裂ければ食べられる」はウソ。真っ白な猛毒キノコもあった

「毒キノコは派手な色」「縦に裂ければ食べられる」はウソ。真っ白な猛毒キノコもあった

読む前に予想してみよう!

地味な色で、縦にきれいに裂けるキノコなら食べても安全だ

研究カード(どんな研究?)
対象
北米・欧州のキノコ
規模
多数の種の形質を比較
研究の種類
比較分析+公的資料
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

北米・欧州のキノコを分析した研究では、毒キノコが食用より派手という傾向はなかった。真っ白な猛毒ドクツルタケや、縦に裂けやすい毒キノコも実在する。

ひとことで言うと色や裂け方では毒は見分けられない。知らないキノコは食べない!

もくじ
  1. 毒キノコは「派手」ではなかった
  2. 真っ白で、1本で命に関わるキノコ
  3. 「虫が食べている」「ナスと煮れば大丈夫」も迷信
  4. 毒キノコの症状は、とても多彩
  5. なぜ迷信が生まれたのか
  6. まとめ

「毒キノコは赤や黄色の派手な色をしている」「縦にきれいに裂けるキノコは食べられる」「虫が食べているキノコは安全」

日本の各地で、こんなキノコの見分け方が語り継がれてきました。秋になると山に入る人も多く、聞いたことがある人もいるでしょう。

でも、これらはすべて科学的根拠のない迷信です。しかも、この迷信を信じたことが、命に関わる事故につながることもあります。

01毒キノコは「派手」ではなかった

ハチやヘビの中には、目立つ色で「危ないぞ」と知らせる生き物がいます。キノコもそうだろう、という思いこみが、「毒キノコは派手」という迷信を生んだのかもしれません。でも、データはそれを支持しませんでした。

02真っ白で、1本で命に関わるキノコ

厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」には、日本で食中毒を起こす代表的な毒キノコがまとめられています。そこには、迷信がまったく通用しない例が並んでいます。

  • ドクツルタケ:傘も柄も真っ白で、見た目はむしろ上品。ところが、成熟した1本で成人が死に至る危険がある猛毒キノコです。食べて6〜24時間ほどで激しい腹痛や下痢が起き、いったんおさまったあとに肝臓や腎臓が壊れていきます
  • ドクササコ:茶色っぽい地味な色。しかも柄は繊維質で縦に裂けやすい。食べると手足の先が赤く腫れ、激しい痛みが1か月以上続くことがあります
  • ツキヨタケ:食用のシイタケやヒラタケ、ムキタケとよく間違えられる、茶色〜紫褐色のキノコです
食用キノコとそっくりな毒キノコも多い。見た目の"ルール"では見分けられない
食用キノコとそっくりな毒キノコも多い。見た目の"ルール"では見分けられない

「地味な色なら安全」「縦に裂ければ安全」というルールは、どちらもあっさり破られてしまいます。

03「虫が食べている」「ナスと煮れば大丈夫」も迷信

ほかにも、「虫やナメクジが食べているキノコは人間も食べられる」「ナスと一緒に煮れば毒が消える」といった言い伝えがあります。

でも、虫と人間では体のしくみがまったく違います。虫が平気でも、人間には猛毒ということは珍しくありません。また、ドクツルタケなどの毒は加熱しても壊れにくいことが知られています。

04毒キノコの症状は、とても多彩

2019年、世界の中毒の専門家たちは、キノコ中毒を症状の特徴から6つの大きなグループに分ける新しい分類を提案しました。肝臓や腎臓を壊すもの、神経に作用して幻覚やけいれんを起こすもの、筋肉を壊すものなど、その種類は実に多彩です。

これだけ多様な毒が、さまざまな見た目のキノコに含まれている。だからこそ、一つの簡単なルールで見分けることは不可能なのです。

05なぜ迷信が生まれたのか

  • 「危険なものは目立つ」という、他の生き物からの連想
  • たまたまその地域でよく採れるキノコには当てはまった
  • 「簡単に見分けたい」という人の願い

昔の人が自然と向き合う中で生まれた知恵のつもりだったのでしょう。でも、キノコの世界は、そんなに単純ではありませんでした。

06まとめ

  • 毒キノコが食用より派手という傾向は、データでは見られなかった
  • 真っ白な猛毒キノコや、縦に裂けやすい毒キノコが実在する
  • 色・裂け方・虫食いなどの言い伝えでは、安全は判断できない

判定は「ウソ」。キノコ狩りのいちばんのルールは、「わからないものは食べない」。これに勝る見分け方はありません。

この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Poisonous mushrooms are brightly colored." "Mushrooms that split straight down are safe." Rules like these… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

"Poisonous mushrooms are brightly colored." "Mushrooms that split straight down are safe." Rules like these are still passed around in Japan. In 2005, Canadian researchers compared edible and poisonous mushrooms in North America and Europe. Poisonous ones were not more colorful, although they were more likely to have a distinctive smell.

Japan's health ministry also lists dangerous examples. One deadly mushroom is pure white, yet a single mature one can kill an adult. Another poisonous species is plain brown, and its stem splits easily. Some people also say that mushrooms eaten by insects are safe.

But insects and humans have very different bodies, so a mushroom that an insect eats may still harm a person. If you find a mushroom you do not know, leave it where it grew.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「毒キノコは派手な色」「まっすぐ縦に裂けるキノコは安全」。日本では、こうしたルールが今も言い伝えられています。2005年、カナダの研究者たちは、北米とヨーロッパの食用キノコと毒キノコを比較しました。毒キノコのほうが色鮮やかだということはありませんでしたが、独特のにおいを持つ傾向はありました。日本の厚生労働省も危険な例を挙げています。

ある猛毒キノコは真っ白ですが、成熟したもの1本で大人が死に至ることがあります。別の毒キノコは地味な茶色で、柄が簡単に裂けます。虫が食べたキノコは安全だと言う人もいます。

しかし虫と人間では体のしくみがまったく違うので、虫が食べるキノコでも人には害になることがあります。知らないキノコを見つけたら、採らずにそのままにしておきましょう。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main point of the passage?

Q2. What did the 2005 study find?

Q3. Why does the writer mention that insects and humans have very different bodies?

重要単語

  • poisonousB1
    形容詞有毒なSome poisonous mushrooms look very plain. poison+-ous。ヘビなどかまれて毒が入るものは venomous と区別する。
  • edibleB2
    形容詞食べられるNot every white mushroom is edible. 反対は inedible。eat と同じ語源(ラテン語 edere=食べる)。
  • toxinC1
    名詞毒素Cooking does not destroy this toxin. 形容詞 toxic(有毒な)、toxicologist(毒物学者)。detox(解毒)も同じ語根。
  • superstitionB2
    名詞迷信Folk rules about mushrooms are just superstitions. 形容詞 superstitious(迷信深い)。科学的根拠のない言い伝えを指す。
  • odorB2
    名詞においSome poisonous mushrooms have distinctive odors. 英国つづりは odour。smell より硬く、やや不快なにおいに使うことが多い。
  • conspicuousC1
    形容詞目立つBright colors make some animals conspicuous. con-(強意)+spic(見る)。be conspicuous by one's absence「いないことで目立つ」。

4コマでわかる

「毒キノコは派手な色」「縦に裂ければ食べられる」はウソ。真っ白な猛毒キノコもあったの4コマ漫画
「毒キノコは派手な色」「縦に裂けるキノコは食べられる」という言い伝え。北米と欧州のキノコを調べた研究では、毒キノコは食用より派手ではなかった。真っ白な猛毒ドクツルタケや、縦に裂けやすい毒キノコも実在するらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Sherratt, Wilkinson & Bain (2005) Explaining Dioscorides' "double difference": why are some mushrooms poisonous, and do they signal their unprofitability?, The American Naturalistdoi.org
  2. 自然毒のリスクプロファイル(厚生労働省)mhlw.go.jp
  3. White et al. (2019) Mushroom poisoning: A proposed new clinical classification, Toxicondoi.org