「毒キノコは派手な色」「縦に裂ければ食べられる」はウソ。真っ白な猛毒キノコもあった

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地味な色で、縦にきれいに裂けるキノコなら食べても安全だ
真っ白な猛毒キノコや、柄が縦に裂けやすい毒キノコもある。色や裂け方では見分けられない。
- 対象
- 北米・欧州のキノコ
- 規模
- 多数の種の形質を比較
- 研究の種類
- 比較分析+公的資料
- 確かさ
- ★★★☆☆
北米・欧州のキノコを分析した研究では、毒キノコが食用より派手という傾向はなかった。真っ白な猛毒ドクツルタケや、縦に裂けやすい毒キノコも実在する。
ひとことで言うと色や裂け方では毒は見分けられない。知らないキノコは食べない!
「毒キノコは赤や黄色の派手な色をしている」「縦にきれいに裂けるキノコは食べられる」「虫が食べているキノコは安全」
日本の各地で、こんなキノコの見分け方が語り継がれてきました。秋になると山に入る人も多く、聞いたことがある人もいるでしょう。
でも、これらはすべて科学的根拠のない迷信です。しかも、この迷信を信じたことが、命に関わる事故につながることもあります。
01毒キノコは「派手」ではなかった
ハチやヘビの中には、目立つ色で「危ないぞ」と知らせる生き物がいます。キノコもそうだろう、という思いこみが、「毒キノコは派手」という迷信を生んだのかもしれません。でも、データはそれを支持しませんでした。
02真っ白で、1本で命に関わるキノコ
厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」には、日本で食中毒を起こす代表的な毒キノコがまとめられています。そこには、迷信がまったく通用しない例が並んでいます。
- ドクツルタケ:傘も柄も真っ白で、見た目はむしろ上品。ところが、成熟した1本で成人が死に至る危険がある猛毒キノコです。食べて6〜24時間ほどで激しい腹痛や下痢が起き、いったんおさまったあとに肝臓や腎臓が壊れていきます
- ドクササコ:茶色っぽい地味な色。しかも柄は繊維質で縦に裂けやすい。食べると手足の先が赤く腫れ、激しい痛みが1か月以上続くことがあります
- ツキヨタケ:食用のシイタケやヒラタケ、ムキタケとよく間違えられる、茶色〜紫褐色のキノコです

「地味な色なら安全」「縦に裂ければ安全」というルールは、どちらもあっさり破られてしまいます。
03「虫が食べている」「ナスと煮れば大丈夫」も迷信
ほかにも、「虫やナメクジが食べているキノコは人間も食べられる」「ナスと一緒に煮れば毒が消える」といった言い伝えがあります。
でも、虫と人間では体のしくみがまったく違います。虫が平気でも、人間には猛毒ということは珍しくありません。また、ドクツルタケなどの毒は加熱しても壊れにくいことが知られています。
04毒キノコの症状は、とても多彩
2019年、世界の中毒の専門家たちは、キノコ中毒を症状の特徴から6つの大きなグループに分ける新しい分類を提案しました。肝臓や腎臓を壊すもの、神経に作用して幻覚やけいれんを起こすもの、筋肉を壊すものなど、その種類は実に多彩です。
これだけ多様な毒が、さまざまな見た目のキノコに含まれている。だからこそ、一つの簡単なルールで見分けることは不可能なのです。
05なぜ迷信が生まれたのか
- 「危険なものは目立つ」という、他の生き物からの連想
- たまたまその地域でよく採れるキノコには当てはまった
- 「簡単に見分けたい」という人の願い
昔の人が自然と向き合う中で生まれた知恵のつもりだったのでしょう。でも、キノコの世界は、そんなに単純ではありませんでした。
06まとめ
- 毒キノコが食用より派手という傾向は、データでは見られなかった
- 真っ白な猛毒キノコや、縦に裂けやすい毒キノコが実在する
- 色・裂け方・虫食いなどの言い伝えでは、安全は判断できない
判定は「ウソ」。キノコ狩りのいちばんのルールは、「わからないものは食べない」。これに勝る見分け方はありません。
この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Poisonous mushrooms are brightly colored." "Mushrooms that split straight down are safe." Rules like these…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In Japan, some people say, "Poisonous mushrooms have bright colors." Others say, "If a mushroom splits easily from top to bottom, you can eat it." Both ideas are wrong.
A study found that poisonous mushrooms are not more colorful than safe ones. One very dangerous mushroom in Japan is pure white. Another one is brown and splits easily. If you do not know a mushroom, do not eat it.
69 words ・ CEFR A2
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日本では「毒キノコは派手な色をしている」と言う人がいます。また、「上から下へ簡単に裂けるキノコなら食べられる」と言う人もいます。どちらの考えも間違いです。
ある研究では、毒キノコは安全なキノコより色鮮やかではないことがわかりました。日本のとても危険なキノコの一つは真っ白です。別のキノコは茶色で、簡単に裂けます。知らないキノコは、食べないでください。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
色や裂け方で毒キノコを見分ける言い伝えが間違いだと説明しているので B。
Q2. What color is one very dangerous mushroom in Japan?
One very dangerous mushroom in Japan is pure white. とあるので C。
Q3. In this passage, "poisonous" means ...
poison(毒)+-ous で「有毒な」。体に害を与えるという意味なので D。
"Poisonous mushrooms are brightly colored." "Mushrooms that split straight down are safe." Rules like these are still passed around in Japan. In 2005, Canadian researchers compared edible and poisonous mushrooms in North America and Europe. Poisonous ones were not more colorful, although they were more likely to have a distinctive smell.
Japan's health ministry also lists dangerous examples. One deadly mushroom is pure white, yet a single mature one can kill an adult. Another poisonous species is plain brown, and its stem splits easily. Some people also say that mushrooms eaten by insects are safe.
But insects and humans have very different bodies, so a mushroom that an insect eats may still harm a person. If you find a mushroom you do not know, leave it where it grew.
129 words ・ CEFR B1
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「毒キノコは派手な色」「まっすぐ縦に裂けるキノコは安全」。日本では、こうしたルールが今も言い伝えられています。2005年、カナダの研究者たちは、北米とヨーロッパの食用キノコと毒キノコを比較しました。毒キノコのほうが色鮮やかだということはありませんでしたが、独特のにおいを持つ傾向はありました。日本の厚生労働省も危険な例を挙げています。
ある猛毒キノコは真っ白ですが、成熟したもの1本で大人が死に至ることがあります。別の毒キノコは地味な茶色で、柄が簡単に裂けます。虫が食べたキノコは安全だと言う人もいます。
しかし虫と人間では体のしくみがまったく違うので、虫が食べるキノコでも人には害になることがあります。知らないキノコを見つけたら、採らずにそのままにしておきましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
色・裂け方・虫食いのルールがどれも通用しないことを示し、最後に If you find a mushroom you do not know, leave it where it grew と勧めているので A。
Q2. What did the 2005 study find?
Poisonous ones were not more colorful, although they were more likely to have a distinctive smell とあるので C。
Q3. Why does the writer mention that insects and humans have very different bodies?
「虫が食べたキノコは安全」という言い伝えへの反論として、a mushroom that an insect eats may still harm a person と述べているので A。
Traditional rules for identifying poisonous mushrooms, such as avoiding brightly colored species or trusting those whose stems split cleanly, are dangerously unreliable. The idea that toxic fungi advertise their danger, as some wasps and snakes do with warning colors, was tested in 2005 by researchers at Carleton University in Canada, who systematically compared edible and poisonous mushrooms in North America and Europe. They found no evidence that poisonous species are more conspicuously colored, although these species were more likely to have a distinctive odor. The analysis did not cover Japanese species, but local examples underline the point.
One deadly Japanese mushroom is entirely white and elegant, yet a single mature specimen can kill an adult; its toxins resist heat and damage the liver and kidneys after an apparent recovery. Another species is a dull brown, with a fibrous stem that tears lengthwise easily. A 2019 proposal by toxicologists divided mushroom poisoning into six major groups by symptoms, ranging from liver failure to hallucinations and muscle damage. Since such diverse poisons occur in mushrooms of every appearance, no simple visual rule can guarantee safety.
183 words ・ CEFR B2
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派手な色の種を避ける、柄がきれいに裂けるものを信用する、といった毒キノコを見分ける昔ながらのルールは、危険なほど当てになりません。一部のハチやヘビが警告色で危険を知らせるように、毒キノコも危険を宣伝しているという考えは、2005年にカナダのカールトン大学の研究者たちによって検証されました。彼らは北米とヨーロッパの食用キノコと毒キノコを体系的に比較しました。その結果、毒のある種がより目立つ色をしているという証拠は見つかりませんでしたが、独特のにおいを持つ傾向はありました。この分析は日本の種を対象にしていませんが、日本の例もこの点を裏づけています。ある日本の猛毒キノコは全体が真っ白で上品な見た目ですが、成熟したもの1本で大人が死に至ることがあります。
その毒は熱に強く、症状がいったんおさまったように見えた後で肝臓や腎臓を壊します。別の種は地味な茶色で、繊維質の柄は縦に裂けやすいのです。2019年に中毒の専門家たちは、キノコ中毒を症状によって6つの大きなグループに分ける案を出しました。その範囲は肝不全から幻覚、筋肉の損傷にまで及びます。これほど多様な毒があらゆる見た目のキノコに含まれている以上、見た目による単純なルールで安全を保証することはできないのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
第1文で言い伝えのルールは当てにならないと述べ、研究と実例で裏づけているので B。
Q2. According to the passage, which is true of the deadly white mushroom?
a single mature specimen can kill an adult とあるので D。毒は熱に強く、回復したように見えた後に臓器を壊す。
Q3. Why does the author mention the 2019 classification of mushroom poisoning?
症状が肝不全から幻覚・筋肉の損傷まで多様だと示し、直後に such diverse poisons と続けているので B。
重要単語
- poisonousB1形容詞有毒なSome poisonous mushrooms look very plain.
poison+-ous。ヘビなどかまれて毒が入るものは venomous と区別する。 - edibleB2形容詞食べられるNot every white mushroom is edible.
反対は inedible。eat と同じ語源(ラテン語 edere=食べる)。 - toxinC1名詞毒素Cooking does not destroy this toxin.
形容詞 toxic(有毒な)、toxicologist(毒物学者)。detox(解毒)も同じ語根。 - superstitionB2名詞迷信Folk rules about mushrooms are just superstitions.
形容詞 superstitious(迷信深い)。科学的根拠のない言い伝えを指す。 - odorB2名詞においSome poisonous mushrooms have distinctive odors.
英国つづりは odour。smell より硬く、やや不快なにおいに使うことが多い。 - conspicuousC1形容詞目立つBright colors make some animals conspicuous.
con-(強意)+spic(見る)。be conspicuous by one's absence「いないことで目立つ」。
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公式・一次情報をチェック
- 自然毒のリスクプロファイル:ドクツルタケ(厚生労働省)mhlw.go.jp
- 自然毒のリスクプロファイル:ドクササコ(厚生労働省)mhlw.go.jp
- 自然毒のリスクプロファイル:ツキヨタケ(厚生労働省)mhlw.go.jp
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「毒キノコは派手な色」「縦に裂けるキノコは食べられる」という言い伝え。北米と欧州のキノコを調べた研究では、毒キノコは食用より派手ではなかった。真っ白な猛毒ドクツルタケや、縦に裂けやすい毒キノコも実在するらしい。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Sherratt, Wilkinson & Bain (2005) Explaining Dioscorides' "double difference": why are some mushrooms poisonous, and do they signal their unprofitability?, The American Naturalistdoi.org
- 自然毒のリスクプロファイル(厚生労働省)mhlw.go.jp
- White et al. (2019) Mushroom poisoning: A proposed new clinical classification, Toxicondoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












