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ナスカの地上絵、AIを使ったら半年で303点も新発見。100年かけた数がほぼ2倍になった

ナスカの地上絵、AIを使ったら半年で303点も新発見。100年かけた数がほぼ2倍になった

読む前に予想してみよう!

ナスカの地上絵は、すべて飛行機からでないと見えないほど巨大だ

研究カード(どんな研究?)
対象
ナスカ台地全域の航空写真
規模
新発見303点(既知430点と比較)
研究の種類
AIによる候補抽出+現地調査
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

約100年で見つかった具象的な地上絵は430点。山形大学などのチームがAIで候補を絞り込み、半年の現地調査で303点を新発見。絵の「用途の違い」も見えてきた。

ひとことで言うとAIのおかげで、ナスカの地上絵の数が一気に2倍近くになった。

もくじ
  1. なぜ見つけるのがそんなに大変なの?
  2. AIが候補を出し、人が歩いて確かめる
  3. 小さな絵は「道ばた」、巨大な絵は「儀式の場」
  4. どんでん返し:「目的」はまだ推測の段階
  5. まとめ

南米ペルーの乾いた高原に描かれた、ハチドリやサルの巨大な絵。ナスカの地上絵は、世界遺産としても有名です。

20世紀前半に本格的に知られるようになってから、研究者たちは約100年かけて、動物や人などを描いた「具象的な地上絵」を430点見つけてきました。

ところが2024年、日本の山形大学などの研究チームが、たった半年の現地調査で303点を新発見したと発表しました。決め手はAI(人工知能)です。

01なぜ見つけるのがそんなに大変なの?

ナスカの地上絵は、地表の黒っぽい石をどけて、下の白っぽい地面を出すことで描かれています。

長い年月で線は薄れ、しかも台地はとてつもなく広い。航空写真を人の目で1枚ずつ探すのは、砂漠で特定の小石を探すような作業です。特に、10メートルほどの小さな絵は見落とされがちでした。

AIが航空写真から「地上絵らしい場所」を候補として示し、人が現地で確かめる
AIが航空写真から「地上絵らしい場所」を候補として示し、人が現地で確かめる

02AIが候補を出し、人が歩いて確かめる

チームはまず2023年の論文で、深層学習(ディープラーニング)を使って高解像度の航空写真から地上絵の候補を探す方法を開発しました。このとき、人の目だけで探すより約21倍速く候補を見つけられたと報告しています。

ただし、AIが「ここが怪しい」と言った場所が本当に地上絵かどうかは、人が現地へ行って確かめる必要があります。AIはあくまで「探す範囲を絞る道具」です。

03小さな絵は「道ばた」、巨大な絵は「儀式の場」

数が一気に増えたことで、統計的な分析ができるようになりました。ここからが本当の「マジか」です。

新しく見つかった303点はすべて小さな「レリーフ型」でした。既知の分も合わせた683点のレリーフ型は、台地を横切る古代の小道から平均43mほどの、歩きながら見える場所にありました。描かれていたのは、人や家畜など、人間の暮らしに関わるものが約8割でした。

一方、有名な巨大な「線タイプ」の絵は、野生動物が多く(約64%)、直線や台形の巨大な線のネットワークの近くにありました。

04どんでん返し:「目的」はまだ推測の段階

ただし、これは絵の場所と図柄から推定した目的です。ナスカの人々が文字で「ここは儀式用」と書き残したわけではありません。

また、AIは学習に使える既知の地上絵が少ないという難しさを抱えていました。見つかった数は「全部」ではなく、まだ見つかっていない絵も残っていると考えられます。

05まとめ

  • ナスカの具象的な地上絵は、約100年で430点見つかっていた
  • AIで候補を絞り、6か月の現地調査で303点を新発見し、数はほぼ2倍に
  • 小さな絵は小道のそば、巨大な絵は儀式の場の近くと、使い分けがあった可能性
  • 目的の解釈はまだ推測で、未発見の絵も残っている

AIは考古学者の代わりではなく、「最強の相棒」。2000年前の人々の暮らしが、最新技術で少しずつよみがえっています。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Nazca Lines in Peru were made by moving dark stones to show the lighter ground underneath. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Nazca Lines in Peru were made by moving dark stones to show the lighter ground underneath. Because the lines have faded and the area is huge, finding them in aerial photographs is extremely difficult, especially small ones. In about 100 years, researchers had identified 430 figurative geoglyphs, which are pictures of animals, people and other things.

A team led by Masato Sakai of Yamagata University, working with IBM, trained an AI system to point out possible sites. The researchers then visited many of the candidates on foot. In just six months of fieldwork, they confirmed 303 new geoglyphs, nearly doubling the total. Most of the new ones were of modest size and located near ancient paths.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ペルーのナスカの地上絵は、黒っぽい石を動かして、下の明るい地面を見せることで作られました。線は薄れており、場所はとても広いので、航空写真から見つけるのは非常に難しく、小さなものは特にそうです。約100年の間に、研究者たちは430点の具象的な地上絵、つまり動物や人などの絵を確認していました。

山形大学の坂井正人が率いるチームはIBMと協力し、可能性のある場所を指し示すようAIシステムを訓練しました。その後、研究者たちは候補地の多くを歩いて訪れました。わずか6か月の現地調査で、彼らは303点の新しい地上絵を確認し、総数をほぼ2倍にしました。新しく見つかったものの大半は小さく、古代の小道の近くにありました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why have the Nazca geoglyphs been hard to find?

Q2. What was the role of the AI system in the study?

Q3. What can we infer from the phrase "nearly doubling the total"?

重要単語

  • geoglyphC1
    名詞地上絵A new geoglyph was found near an ancient path. geo-(大地)+glyph(刻まれた記号)。hieroglyph(象形文字)の glyph と同じ。
  • aerial photographB2
    名詞(句)航空写真The AI analyzed thousands of aerial photographs. aerial は air(空気・空)の形容詞。aerial view「空から見た眺め」。
  • candidateB2
    名詞候補The team checked many candidates on the ground. 選挙の「候補者」が有名だが、研究では「候補となるもの」にも使う。
  • field surveyB2
    名詞(句)現地調査The field survey took six months. fieldwork とも言う。field は「現場」の意味で、field study「現地研究」も同じ発想。
  • ritualB2
    名詞儀式The giant figures may have been used for rituals. rite(儀式)の形容詞・名詞形。日常の「決まった習慣」の意味でも使う(a morning ritual)。
  • motifC1
    名詞図柄・モチーフAnimals are a common motif in the drawings. 発音は /moʊˈtiːf/。motive(動機)と語源は同じ「動かすもの」。

4コマでわかる

ナスカの地上絵、AIを使ったら半年で303点も新発見。100年かけた数がほぼ2倍になったの4コマ漫画
ナスカの地上絵、100年かけて見つかった動物や人の絵は430点。山形大学のチームがAIで候補を絞ったら、半年の現地調査で303点を新発見したらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Sakai et al. (2024) AI-accelerated Nazca survey nearly doubles the number of known figurative geoglyphs and sheds light on their purpose, PNASdoi.org
  2. Sakai et al. (2023) Accelerating the discovery of new Nasca geoglyphs using deep learning, Journal of Archaeological Sciencedoi.org
  3. 坂井正人 (2023) Newly Discovered Geoglyphs in the Nasca Pampa, Peru, 学術の動向doi.org
  4. Masini, Orefici & Lancho Rojas (2016) Nasca Geoglyphs: Technical Aspects and Overview of Studies and Interpretations, The Ancient Nasca World(Springer)doi.org