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あくびで涙が出るのはなぜ? 目のまわりの筋肉と「涙の排水ポンプ」の仕組み

あくびで涙が出るのはなぜ? 目のまわりの筋肉と「涙の排水ポンプ」の仕組み

読む前に予想してみよう!

あくびの涙は、眠くて悲しい気分になるから出る感情の涙だ

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な成人など
規模
十数人〜数十人
研究の種類
生理学・解剖学の研究
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

あくびの涙は、顔と目のまわりの筋肉が強くギュッと縮み、たまっていた涙が押し出されるためと考えられている。まばたきで動く涙の排水ポンプが止まることも一因らしい。

ひとことで言うとあくびで顔をギュッとすると、目にたまった涙が押し出されちゃう!

もくじ
  1. 涙はどこで作られ、どこへ消える?
  2. まばたきが「涙の排水ポンプ」を動かしている
  3. あくびの瞬間、目のまわりで起きていること
  4. どんでん返し:実はちゃんと測った研究がほとんどない
  5. まとめ

ふわぁ〜っと大きなあくびをしたら、目尻に涙がじわり。眠いだけで悲しくもないのに、なぜ涙が出るのでしょう?

結論から言うと、あくびの涙は顔と目のまわりの筋肉が強くギュッと縮み、目の表面にあった涙が押し出されるために出ると考えられています。さらに、ふだんまばたきのたびに涙を鼻へ流している「排水ポンプ」が、長いあくびの間は止まってしまうことも関係していそうです。

ただし、ちょっと意外な事実もあります。それは後半で。

01涙はどこで作られ、どこへ消える?

まずは涙の通り道をおさらいしましょう。米国眼科学会(AAO)の解説によると、涙は目の上(外側寄り)にある涙腺で作られます。

泣くと鼻水が出るのは、この排水路から涙が鼻へあふれ出るから。AAOによると、反射や感情でたくさん涙が作られると、排水が追いつかずに頬へこぼれます。

つまり、目からこぼれる涙は「作られる量」と「流れ出る量」のバランスで決まるのです。

02まばたきが「涙の排水ポンプ」を動かしている

涙は、ただ重力で流れていくわけではありません。まばたきがポンプの役目をしています。

閉じるときに押し出し、開けるときに吸い込む。まばたきのたびに、目頭で小さなポンプが動いているわけです。2020年の解剖研究では、涙の管を取り巻く筋肉がはさみのように交差して管を締めつける構造も報告されています。

03あくびの瞬間、目のまわりで起きていること

では、あくびのとき目のまわりでは何が起きているのでしょうか。

ニューヨーク州立大学オールバニ校のチームは2012年、あくびの前後で心拍数や肺の空気の量、目の閉じ具合などを測りました。その結果、あくびの最中や直後に心拍数や肺の容量とともに、目のまわりの筋肉の緊張が高まることが確かめられました。

ギュッと縮む筋肉が涙を押し出し、まばたきのポンプは一時停止
ギュッと縮む筋肉が涙を押し出し、まばたきのポンプは一時停止

ここから考えられる、あくびの涙のしくみは次のとおりです。

04どんでん返し:実はちゃんと測った研究がほとんどない

ここで意外な事実です。「あくびで涙が出る」はだれもが知っている現象なのに、あくびの最中の涙の量を直接測った研究は、調べた範囲ではほとんど見つかりませんでした。

上の説明は、まばたきと涙のポンプの研究、あくび中の筋肉の測定といった「部品」を組み合わせた、もっともらしい推理です。涙腺そのものが筋肉で押されるのか、神経の反射で涙が増えるのか、といった点は、まだはっきりしていません。

あくびが「うつる」理由についてはなぜあくびは“うつる”のか?、宇宙での涙のふるまいは宇宙で泣くと涙はこぼれないの記事もどうぞ。

05まとめ

あくびの涙は、悲しい涙ではなく「顔をギュッとした結果」でした。目のまわりの筋肉が涙を押し出し、まばたきの排水ポンプが一時停止することで、涙が目尻からあふれると考えられています。

身近すぎて、意外とちゃんと調べられていない。あくびの涙は、そんな「科学のすき間」が日常に残っていることを教えてくれる現象でもあります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people's eyes water when they yawn, even though they are not sad. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people's eyes water when they yawn, even though they are not sad. Tears are made by a gland above the outer part of each eye. Every time we blink, the muscles around the eye work like a pump, pushing tears through small holes near the inner corner of the eyelids and into the nose.

A 2005 study using ultrasound found that the tear sac became about 50 percent smaller when the eyes closed. During a yawn, the muscles around the eyes tighten strongly, which pushes out tears. Also, we are unable to blink normally for a few seconds, so tears build up and spill over when we open our eyes.

111 words ・ CEFR B1

和訳を見る

悲しくもないのに、あくびをすると多くの人の目に涙がにじみます。涙は、それぞれの目の上、外側寄りにある腺で作られます。まばたきをするたびに、目のまわりの筋肉がポンプのように働き、まぶたの目頭近くにある小さな穴から涙を押し流して鼻へ送ります。

超音波を使った2005年の研究では、目を閉じると涙のうが約50パーセント小さくなることがわかりました。あくびの間は目のまわりの筋肉が強く縮み、それが涙を押し出します。また、数秒間ふつうにまばたきができないため、涙がたまり、目を開けたときにあふれ出るのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the 2005 ultrasound study find?

Q3. Why do tears spill over after a yawn?

重要単語

  • yawnB1
    動詞・名詞あくびをする/あくびI couldn't stop yawning in class. 発音は /jɔːn/(ヨーン)。stifle a yawn「あくびをかみ殺す」。contagious yawning「うつるあくび」。
  • tearA2
    名詞涙A tear ran down her cheek. 「涙」は /tɪə/(ティア)、動詞「引き裂く」は /teə/(テア)。発音で意味が変わる同綴異義語。in tears「泣いて」。
  • lacrimal glandC1
    名詞(句)涙腺The lacrimal gland makes tears. ラテン語 lacrima(涙)から。gland は「腺」で、sweat gland(汗腺)なども同じ形。
  • blinkB1
    動詞・名詞まばたきする/まばたきWe blink every few seconds. in the blink of an eye「まばたきする間に=一瞬で」は会話・長文の頻出表現。
  • squeezeB1
    動詞ぎゅっと押す・しぼるSqueeze your eyes shut for a moment. squeeze a lemon「レモンをしぼる」。squeeze in「(予定などに)押し込む」の意味もある。
  • drainB2
    動詞排水する・流し出すTears drain into the nose. 名詞で「排水溝」。brain drain は「頭脳流出」で社会系の長文に出る。drained は「疲れ果てた」。
あくびで涙が出るのは、悲しいからではなく「顔をギュッとするから」。目のまわりの筋肉が強く縮んで涙が押し出され、まばたきで動く涙の排水ポンプも一時停止するらしい。でも実は、ちゃんと測った研究はほとんどない。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Facts About Tears(American Academy of Ophthalmology)aao.org
  2. Corey et al. (2012) Changes in Physiology before, during, and after Yawning, Frontiers in Evolutionary Neurosciencedoi.org
  3. Pavlidis et al. (2005) Ultrasonic visualization of the effect of blinking on the lacrimal pump mechanism, Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmologydoi.org
  4. Becker (1992) Tricompartment model of the lacrimal pump mechanism, Ophthalmologydoi.org
  5. Ali et al. (2020) New insights into the lacrimal pump, The Ocular Surfacedoi.org