なぜあくびは“うつる”のか? この記事を読むだけで、あなたもあくびが出るかも

読む前に予想してみよう!
あくびがうつる現象は、人間だけでしか確認されていない
チンパンジーなどでも、仲間のあくびにつられる様子が報告されている。
- 対象
- 日常生活の中の大人/飼育下のチンパンジー
- 規模
- 100人規模の観察/チンパンジー6頭
- 研究の種類
- 自然観察研究・実験研究
- 確かさ
- ★★☆☆☆
あくびは見る・聞く・読むだけでうつることがある。親しい相手ほどうつりやすいという研究があるが、「共感の証」とまでは言い切れない。
ひとことで言うとあくびは見ただけでうつる。仲よしだとさらにうつりやすいかも!
先に言っておきます。この記事を読んでいる途中であくびが出ても、それは正常です。
あくびは、人があくびをしているのを見るだけで、つられて出てしまうことがあります。実は、写真を見たり、音を聞いたり、「あくび」という文字を読むだけでもうつることがあるんです。
……もう出ました? では、なぜうつるのか、科学で見ていきましょう。
01そもそも、あくびは何のため?
あくびの目的自体、実はまだ完全にはわかっていません。
昔は「酸素が足りないから」と言われていましたが、酸素を多く吸わせても、あくびの回数はあまり変わらなかったという実験があり、今はあまり支持されていません。
有力な説のひとつは、脳を冷やすためというもの。大きく口を開けて冷たい空気を吸い込み、あごの筋肉を動かすことで、脳への血流を入れ替えて温度を下げる、という考え方です。アメリカのギャラップ(Gallup)さんらが2007年ごろから提唱しています。
実際、あくびの回数は季節や気温によって変わるという報告もあり、「暑すぎず寒すぎない」ときに、あくびがうつりやすいという観察もあります。外の空気で脳を冷やせる条件のときに出やすい、というわけです。
もし脳を冷やすためだとすると、周りの人のあくびにつられることには、「群れのみんなで一緒に頭をシャキッとさせて、危険に備える」という意味があったのかも、という想像も広がります。
02うつるのは「仲のいい人」ほど?
この結果から、「あくびがうつるのは、相手の気持ちに寄りそう共感と関係しているのでは?」という説が注目されました。
03チンパンジーもつられる
あくびがうつるのは人間だけではありません。
2004年、京都大学霊長類研究所の研究チームなどが、成体のメスのチンパンジー6頭に仲間があくびをする映像を見せると、2頭で有意にあくびが増えたことを報告しました。その後、イヌなど他の動物でも似た報告があります。

04小さな子どもはあくびがうつりにくい
人間の赤ちゃんや小さな子どもは、大人ほどあくびがうつらないことが知られています。あくびのうつりは、成長とともに、だんだん見られるようになると考えられています。
相手の様子に注意を向けたり、まねをしたりする力が育つことと関係しているのでは、と考える研究者もいます。
05でも「あくび=共感力」ではない
ここで注意。「あくびがうつらない人は共感力がない」という話を見かけることがありますが、それは言いすぎです。
2017年には、マッセン(Massen)さんとギャラップさんが「あくびのうつりと共感を結びつける証拠は、まだ十分ではない」とする論文を発表しました。あくびのうつりやすさは、年齢、眠気、その場の状況、注意の向け方など、いろいろな要素で変わるからです。
06まとめ
あくびは、見る・聞く・読むだけでうつる不思議な現象。親しい人ほどうつりやすいという研究はあるものの、「共感の証」と言い切るにはまだ証拠が足りないというのが今の科学の立場です。
最後に、ひとつだけ。この記事を読み終えるまでに、あなたは何回あくびをしましたか?
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerYawning is surprisingly contagious.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Have you ever yawned after seeing someone else yawn? Yawns can spread from person to person. You may even yawn when you read the word "yawn." A study in Italy found that yawns spread most easily between family members, then friends.
Some chimpanzees also yawn after watching others yawn. Young children catch yawns less often than adults. Some people think this shows empathy. But scientists say there is not enough proof yet.
72 words ・ CEFR A2
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ほかの人のあくびを見て、あくびをしたことはありますか?あくびは人から人へうつることがあります。「あくび」という言葉を読んだだけで、あくびが出ることさえあります。イタリアのある研究では、あくびは家族の間で最もうつりやすく、次が友だちでした。
一部のチンパンジーも、仲間のあくびを見るとあくびをします。小さな子どもは、大人よりあくびがうつりにくいです。これは共感の表れだと考える人もいます。でも科学者たちは、まだ十分な証拠はないと言っています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
あくびが人から人へうつる現象についての文章なので A。
Q2. Between which people did yawns spread most easily?
yawns spread most easily between family members, then friends とあるので B。
Q3. In this passage, "spread" means ...
spread from person to person は「人から人へ広がる」。あくびが別の人に移ることなので D。
Yawning is surprisingly contagious. Seeing, hearing, or even reading about a yawn can make people yawn. In 2011, two researchers in Italy observed people in daily life for about a year. They found that yawns spread most easily among family members, followed by friends, acquaintances, and strangers.
Because of this, some scientists suggested that contagious yawning is linked to empathy, the ability to share other people's feelings. Some chimpanzees also yawn after watching videos of other chimps yawning. However, in 2017 other researchers argued that the evidence is not strong enough. How easily we catch a yawn also depends on age, sleepiness, the situation, and where we pay attention.
109 words ・ CEFR B1
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あくびは驚くほどうつりやすいものです。あくびを見たり、聞いたり、あくびについて読んだりするだけで、人はあくびをすることがあります。2011年、イタリアの2人の研究者が、日常生活の中の人々を約1年間観察しました。その結果、あくびは家族の間で最もうつりやすく、次に友だち、知り合い、他人の順だとわかりました。
このことから、あくびのうつりは、他人の気持ちを分かち合う力である共感と関係があると考える科学者もいました。一部のチンパンジーも、仲間があくびをする映像を見るとあくびをします。しかし2017年、別の研究者たちは、その証拠は十分に強くないと主張しました。あくびのうつりやすさは、年齢、眠気、状況、そしてどこに注意を向けているかによっても変わるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
あくびのうつり方と、それが共感を示すのかという議論が中心なので C。
Q2. According to the 2011 study, who caught yawns least easily?
家族→友だち→知り合い→他人の順にうつりにくくなるので、最もうつりにくいのは D。
Q3. Why does the passage mention age, sleepiness, and attention?
証拠が不十分だと述べた直後に、うつりやすさは年齢・眠気・注意などでも変わると挙げており、共感だけでは説明できない理由を示しているので B。
Seeing someone yawn, hearing a yawn, or even reading about one can set off a yawn of your own. Scientists still argue about why we yawn at all. The old idea that yawning raises oxygen levels has little support. One leading hypothesis, proposed by Gallup and colleagues, is that yawning helps cool the brain.
Why yawns spread from person to person is a separate question. In a 2011 study, Norscia and Palagi watched people in everyday settings for about a year. Yawns spread most readily among relatives, then friends, then acquaintances, and least among strangers. To some researchers, this pattern suggested that contagious yawning reflects empathy. Chimpanzees seemed to back the idea, since some yawn after watching videos of others yawning, and so did the fact that young children rarely catch yawns.
A 2017 review by Massen and Gallup disagreed, arguing that treating contagious yawning as a measure of empathy is premature. In natural settings, people may simply spend more time looking at the faces of loved ones, so attention could explain the pattern as well as empathy can. Age, sleepiness and context also affect how easily a yawn spreads.
190 words ・ CEFR B2
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誰かのあくびを見たり、あくびの音を聞いたり、あくびについて読んだりするだけで、自分もあくびが出ることがあります。そもそもなぜあくびをするのかについて、科学者たちはいまだに議論しています。あくびで酸素の量が増えるという昔の考えは、ほとんど支持されていません。ギャラップさんらが提唱した有力な仮説のひとつは、あくびが脳を冷やすのに役立つというものです。
なぜあくびが人から人へうつるのかは、また別の問題です。2011年の研究で、ノルシアさんとパラジさんは日常の場面で人々を約1年間観察しました。あくびは親族の間で最もうつりやすく、次に友人、知り合いの順で、他人の間では最もうつりにくいものでした。一部の研究者には、このパターンは、あくびのうつりが共感を反映していることを示すように思えました。仲間のあくびの映像を見てあくびをするチンパンジーがいることや、小さな子どもにはあくびがほとんどうつらないという事実も、この考えを支えているように見えました。
2017年、マッセンさんとギャラップさんの総説はこれに異を唱え、あくびのうつりを共感の尺度として扱うのは時期尚早だと論じました。自然な場面では、人は親しい人の顔を見る時間が長いだけかもしれず、共感と同じくらい、注意の向け方でもこのパターンを説明できるのです。年齢や眠気、状況も、あくびのうつりやすさに影響します。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
あくびがうつる現象を紹介したうえで、2017年の総説が treating contagious yawning as a measure of empathy is premature と論じているので D。
Q2. What alternative explanation for the relatives-to-strangers pattern does the passage offer?
people may simply spend more time looking at the faces of loved ones, so attention could explain the pattern とあるので A。
Q3. In the passage, "premature" is closest in meaning to ...
premature は pre-(前に)+mature(熟した)で「時期尚早の」。証拠が足りないうちに共感の尺度として扱うのは早すぎる、という意味なので B。
重要単語
- yawnB1動詞・名詞あくび(をする)Seeing someone yawn made me yawn too.
発音は /jɔːn/(ヨーン)。stifle a yawn「あくびをかみ殺す」も覚えておくと便利。 - contagiousC1形容詞うつりやすい、伝染性のYawning is contagious among humans and chimps.
contact(接触)と同語源で「触れてうつる」。Her laughter is contagious. のように笑いや気分にも使う。 - empathyC1名詞共感Empathy helps us understand how others feel.
em-(中に)+pathy(感情)。sympathy(同情)との違いは入試で狙われやすい。 - primateC1名詞霊長類Chimpanzees are primates closely related to humans.
prime(第一の)と同語源で「最上位の動物」。京都大学の霊長類研究所は Primate Research Institute。 - hypothesisC1名詞仮説The brain cooling hypothesis is still being tested.
複数形は hypotheses。test / support / reject a hypothesis のように動詞とセットで覚える。 - acquaintanceC1名詞知り合いHe is not a close friend, just an acquaintance.
acquaint(知らせる)から。make the acquaintance of ~「~と知り合いになる」は硬めの表現。 - prematureC1形容詞時期尚早の、早すぎるIt is premature to draw a conclusion.
pre-(前に)+mature(熟した)。premature birth「早産」も同じ語。
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あくびって、見るだけじゃなく「あくび」という文字を読むだけでもうつることがあるらしい。家族や友だちなど親しい相手ほどうつりやすいという研究も。…この文を読んで、今ちょっとあくび出ませんでした?
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Norscia & Palagi (2011) Yawn Contagion and Empathy in Homo sapiens, PLoS ONEdoi.org
- Anderson, Myowa-Yamakoshi & Matsuzawa (2004) Contagious yawning in chimpanzees, Proceedings of the Royal Society B (Biology Letters)doi.org
- Massen & Gallup (2017) Why contagious yawning does not (yet) equate to empathy, Neuroscience & Biobehavioral Reviewsdoi.org
- Gallup & Gallup (2007) Yawning as a Brain Cooling Mechanism: Nasal Breathing and Forehead Cooling Diminish the Incidence of Contagious Yawning, Evolutionary Psychologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









