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パイナップルで舌がピリピリするのは「舌を少し分解されている」から? たんぱく質を切る酵素の正体

パイナップルで舌がピリピリするのは「舌を少し分解されている」から? たんぱく質を切る酵素の正体

読む前に予想してみよう!

缶詰のパイナップルは、生と同じくらい舌がピリピリしやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
酵素の研究・昆虫を使った実験
規模
基礎研究・総説
研究の種類
実験研究+レビュー
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

生のパイナップルには、たんぱく質を切る酵素ブロメラインが含まれ、口の中にも作用すると考えられている。キウイでは針状結晶との合わせ技も。

ひとことで言うとパイナップルの酵素が、舌の表面のたんぱく質をちょっぴり切っているのかも!

もくじ
  1. パイナップルは「たんぱく質を切る酵素」の宝庫
  2. 証拠1:生パインを入れたゼリーは固まらない
  3. 証拠2:キウイでわかった「針」と「酵素」のコンビ技
  4. まとめ

生のパイナップルをたくさん食べたら、舌や口の中がピリピリ、ヒリヒリしてきた。そんな経験はありませんか?

よく言われるのが、「パイナップルに舌を溶かされている」という話。ちょっと怖いですが、まったくのウソでもありません。パイナップルには、たんぱく質を切る酵素がたっぷり含まれているのです。

ただし、ピリピリの仕組みがすべて解明されたわけではありません。わかっていることと、まだ"有力な説"の部分を分けて見ていきましょう。

01パイナップルは「たんぱく質を切る酵素」の宝庫

パイナップルの果実や茎には、ブロメラインと呼ばれる酵素のグループが含まれています。ブロメラインは、たんぱく質の鎖をチョキチョキ切るたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)です。

私たちの舌や口の中の表面も、たんぱく質でできた細胞でおおわれています。生のパイナップルをたくさん食べると、ブロメラインが口の中の表面のたんぱく質にも作用し、ピリピリやヒリヒリを感じる——これが有力な説明です。

02証拠1:生パインを入れたゼリーは固まらない

酵素の力を実感できるのが、ゼリー作りです。

ゼラチンは、動物の皮や骨からとれるたんぱく質(コラーゲン)からできています。ここに生のパイナップルを入れると、ブロメラインがゼラチンを切ってしまい、ゼリーが固まりません。

一方、缶詰のパイナップルを使うと、ちゃんと固まります。缶詰は製造の過程で加熱されるので、酵素のはたらきが失われているからです。缶詰のパインで舌がピリピリしにくいのも、同じ理由と考えられます。

生パインの酵素はゼラチン(たんぱく質)を切るので、ゼリーが固まらない
生パインの酵素はゼラチン(たんぱく質)を切るので、ゼリーが固まらない

03証拠2:キウイでわかった「針」と「酵素」のコンビ技

似たピリピリは、キウイフルーツでも起こります。キウイにもアクチニジンという、たんぱく質を切る酵素が含まれています。

さらにキウイには、シュウ酸カルシウムの針のような結晶(ラフィド)も含まれています。2014年、日本の農業生物資源研究所のチームは、この針と酵素の関係を実験で確かめました。

イモムシのエサの葉に、キウイから取り出した針状結晶だけ、またはたんぱく質分解酵素だけ(この主実験で使われたのはパイナップルの茎由来のブロメライン)を塗っても、効果は弱いものでした。ところが両方を一緒に塗ると、イモムシの成長が大きく妨げられ、多くが死んでしまったのです。一方、針の形をしていないシュウ酸カルシウムでは、この効果は出ませんでした。

研究者たちは、針が細かい穴をあけ、そこから酵素が入り込む「針効果」が強い作用を生むと考えています。ただし、これは昆虫での実験で、人の口の中で同じことがどの程度起きているかは、まだはっきりしていません。

04まとめ

パイナップルで舌がピリピリするのは、たんぱく質を切る酵素ブロメラインが口の中の表面にはたらくため、というのが有力な説明です。キウイの針状結晶とたんぱく質分解酵素のコンビ技が、昆虫(イモムシ)で強い作用を生むことも実験で示されています。

「舌を溶かされている」はちょっと大げさですが、果物の中に小さなハサミが入っていると思うと、あのピリピリの正体が少し見えてきますね。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEat a lot of fresh pineapple, and your mouth may start to sting. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Eat a lot of fresh pineapple, and your mouth may start to sting. The likely reason is bromelain, a group of enzymes that cut proteins. The surface of the mouth is covered with cells made of protein, so bromelain may act on it as well.

Kiwifruit causes a similar feeling. In a 2014 Japanese experiment, needle-shaped crystals from kiwi and a protein-cutting enzyme were much more harmful to caterpillars when they were used together.

Of course, a caterpillar is very different from a human mouth. You can see the enzyme's power at home, too. Fresh pineapple stops gelatin, which is made of protein, from setting. Canned pineapple does not, because heating destroys the enzymes.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

生のパイナップルをたくさん食べると、口の中がピリピリしてくることがあります。考えられる理由は、たんぱく質を切る酵素のグループであるブロメラインです。口の中の表面はたんぱく質でできた細胞でおおわれているので、ブロメラインはそこにも作用するのかもしれません。

キウイフルーツも似た感覚を起こします。2014年の日本の実験では、キウイの針の形をした結晶と、たんぱく質を切る酵素は、一緒に使うとイモムシにとってずっと有害になりました。もちろん、イモムシと人間の口とはずいぶんちがいます。

この酵素の力は家でも確かめられます。生のパイナップルは、たんぱく質でできたゼラチンが固まるのを妨げます。缶詰のパイナップルではそうなりません。加熱によって酵素がこわれるからです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is bromelain?

Q2. What did the 2014 experiment find?

Q3. Why does the writer say "a caterpillar is very different from a human mouth"?

重要単語

  • proteaseC1
    名詞たんぱく質分解酵素A protease cuts proteins into pieces. protein(たんぱく質)+-ase(酵素)。酵素名の -ase を知っていると語の意味が推測できる。
  • gelatinB2
    名詞ゼラチンGelatin is made from animal protein. 発音は /ˈdʒelətɪn/(ジェラティン)。gel(ゲル)と同じ仲間。
  • crystalB1
    名詞結晶Kiwifruit contains tiny needle-shaped crystals. needle-shaped「針の形をした」のように 名詞+-shaped で形を表せる。
  • tenderB1
    形容詞(肉が)やわらかいPineapple can make meat tender. 「優しい」の意味もある(tender heart)。動詞 tenderize は「やわらかくする」。
  • heatA2
    動詞加熱するHeating destroys the enzyme. 名詞でも「熱・暑さ」。heat up「温める」、reheat「温め直す」。
  • stuntC1
    動詞(成長を)妨げるPoor food can stunt a child's growth. stunt growth の形でほぼ決まって使う。名詞 stunt(離れ業・スタント)とは別語源。
生のパイナップルを食べると舌がピリピリするのは、たんぱく質を切る酵素「ブロメライン」が関わっているらしい。だからゼラチンのゼリーに生パインを入れると固まらない。缶詰が平気なのは、加熱で酵素が働かなくなるから。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Varilla et al. (2021) Bromelain, a Group of Pineapple Proteolytic Complex Enzymes (Ananas comosus) and Their Possible Therapeutic and Clinical Effects. A Summary, Foodsdoi.org
  2. Arshad et al. (2014) Bromelain: an overview of industrial application and purification strategies, Applied Microbiology and Biotechnologydoi.org
  3. Konno, Inoue & Nakamura (2014) Synergistic defensive function of raphides and protease through the needle effect, PLOS ONEdoi.org