かき氷の「キーン!」には正式な医学名があった。頭が痛くなる仕組みと30秒で消える理由

読む前に予想してみよう!
かき氷を急いで食べるより、ゆっくり食べたほうが「キーン」となりにくい
子どもを対象にした実験で、ゆっくり食べた群のほうが頭痛が起きにくかった。
- 対象
- カナダの中学生/ドイツの健康な成人
- 規模
- 145人/77人
- 研究の種類
- ランダム化比較試験/実験研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
かき氷のキーンは国際的な頭痛分類にも載る正式な頭痛。口の奥が急に冷え、血管や神経が反応して、痛みが額のあたりに「誤配達」される。
ひとことで言うとキーンは、のどの奥の「冷えた!」が、おでこの痛みとして届いちゃう現象!
夏祭りでかき氷を勢いよくほおばった瞬間、「キーーーン!」。思わずこめかみを押さえてしまう、あの痛み。
実はこれ、ただの「あるある」ではありません。国際頭痛学会がつくる頭痛の分類(国際頭痛分類)にも載っている、れっきとした“正式な頭痛”なんです。
分類上は「寒冷刺激による頭痛」の仲間で、日本では「アイスクリーム頭痛」とも呼ばれます。
01冷えたのは「のど」なのに、痛いのは「おでこ」
不思議なのは、冷たいものが当たっているのは口の天井やのどの奥なのに、痛むのはおでこやこめかみだということ。
これは「関連痛」と呼ばれる現象で説明されています。
口の奥やのどの感覚は、三叉神経(さんさしんけい)という太い神経が脳に伝えています。この神経は、おでこや顔の感覚も担当しているため、急に強い「冷たい!」信号が来ると、脳が発信元をまちがえて「おでこが痛い」と受け取ってしまうのではないか、と考えられています。
手紙の差出人を読みまちがえる郵便屋さんのようなイメージです。
02血管が急に広がるから?
もうひとつの説が、血管の反応です。
口の奥が急に冷えると、そのあたりの血管がいったんキュッと縮み、そのあと一気に広がる。この急な変化を、血管のまわりの神経が「痛み」としてキャッチする、というものです。
この説を裏づける実験もあります。ドイツのヘンゼル(Hensel)さんらは2019年、健康な大人77人に0℃の氷水を飲んでもらい、超音波で脳の血流を測りました。すると約半数(39人)にキーンが起き、その人たちでは脳の太い動脈(中大脳動脈)の血流速度が、頭痛が起きなかった人より大きく上がっていたのです。痛みが始まるまでは中央値で約20秒、続いたのは約12秒ほどでした。
ただし、血流の変化が痛みの「原因」なのか「結果」なのかまでは、まだはっきりしていません。神経説と血管説は対立というより、両方が関わっていると考える研究者が多いようです。

03ゆっくり食べるとキーンが減った
『BMJ』のクリスマス特集は、ユーモアのあるテーマを本気で研究する名物企画。でも、実験の結論はとても実用的ですね。
ゆっくり食べると、口の奥が一気に冷え切らず、少しずつ冷たさに慣れていくため、神経や血管の急な反応が起こりにくくなると考えられます。冷たい水にいきなり飛びこむより、足から少しずつ入るほうがびっくりしないのと同じです。
04すぐに消えるのが特徴
アイスクリーム頭痛は、たいてい数秒〜30秒ほどでスッと消えるのが特徴です。冷たい刺激がなくなり、血管や神経の反応が落ち着くからと考えられています。
なお、ふだん片頭痛がある人は、アイスクリーム頭痛も起きやすいという報告もあります。
05まとめ
かき氷の「キーン」は、口の奥の冷たさを脳がおでこの痛みとカン違いしたり、血管が急に反応したりして起こる、正式な頭痛でした。
対策はシンプル。ゆっくり食べること。今年の夏は、かき氷を味わいながら、脳の“誤配達”に思いをはせてみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBrain freeze, the sudden pain you feel after eating something cold too quickly, is listed as an official…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
When you eat shaved ice too fast, your head may suddenly hurt. This is brain freeze, a real type of headache. The cold touches the back of your mouth, but the pain is in your forehead.
A nerve sends the "cold" message, and the brain makes a mistake about where it came from. In one test, children who ate ice cream slowly got fewer headaches. The pain usually goes away within about 30 seconds.
74 words ・ CEFR A2
和訳を見る
かき氷を急いで食べると、急に頭が痛くなることがあります。これはブレインフリーズ(アイスクリーム頭痛)という、れっきとした頭痛の一種です。冷たいものが当たるのは口の奥なのに、痛むのはおでこです。
神経が「冷たい」というメッセージを送り、脳がそれがどこから来たのかを勘違いするのです。ある実験では、アイスクリームをゆっくり食べた子どものほうが頭痛が少なくなりました。痛みはたいてい30秒ほどで消えます。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ブレインフリーズの正体と、ゆっくり食べると防げることが書かれているので A。
Q2. Where does the cold touch?
The cold touches the back of your mouth とあるので C。おでこは「痛む場所」なので注意。
Q3. In this passage, "goes away" means ...
go away は「去る・消える」。痛みが30秒ほどで消える=止まる、なので D。
Brain freeze, the sudden pain you feel after eating something cold too quickly, is listed as an official type of headache in the International Classification of Headache Disorders. The cold touches the roof of the mouth and the back of the throat, but the pain is felt in the forehead or temples. One explanation is referred pain. The trigeminal nerve carries signals from both the mouth and the face, so the brain may misread where a strong cold signal came from.
Another explanation involves blood vessels, which quickly narrow and then widen. In a 2002 experiment in Canada, young students who ate ice cream slowly, taking 30 seconds or more, were less likely to get brain freeze than those who finished it within five seconds.
125 words ・ CEFR B1
和訳を見る
冷たいものを急いで食べた後に感じる突然の痛み、ブレインフリーズは、国際頭痛分類に正式な頭痛の一種として載っています。冷たいものが当たるのは口の天井やのどの奥なのに、痛みはおでこやこめかみに感じます。説明のひとつは「関連痛」です。三叉神経は口と顔の両方から信号を運ぶため、脳は強い冷たさの信号がどこから来たのかを読みまちがえるのかもしれません。
もうひとつの説明は血管に関するもので、血管が急に縮んでから広がるというものです。2002年のカナダの実験では、30秒以上かけてゆっくりアイスクリームを食べた生徒は、5秒以内に食べ終えた生徒よりもブレインフリーズになりにくかったのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
関連痛と血管という2つの原因と、ゆっくり食べるという予防法が書かれているので B。
Q2. In the Canadian experiment, which group got brain freeze less often?
students who ate ice cream slowly, taking 30 seconds or more, were less likely to get brain freeze とあるので C。
Q3. Why might the brain "misread" where the cold signal came from?
The trigeminal nerve carries signals from both the mouth and the face, so ... とあり、同じ神経が両方を担当しているのが理由なので A。
Gulp down something icy and the cold hits the palate and throat, yet the pain shows up in the forehead or temples. Doctors take the effect seriously enough to list it, as a cold-stimulus headache, in the International Classification of Headache Disorders. A leading explanation is referred pain.
The trigeminal nerve carries sensations from both the mouth and the face, so the brain may misread where an intense cold signal is coming from. A second idea focuses on blood vessels, which may tighten and then rapidly widen. In a 2019 study, Hensel and colleagues gave 77 healthy adults ice water. The 39 who developed a headache showed a greater rise in blood flow velocity in a major brain artery.
The study could not tell whether that change causes the pain or follows from it, and many researchers suspect that nerves and vessels both play a part. The simplest advice has some support, from a modest 2002 randomized trial in Canada that relied on students reporting their own pain. Students in that trial who ate ice cream slowly were less likely to get brain freeze.
184 words ・ CEFR B2
和訳を見る
冷たいものを一気に飲み込むと、冷たさが当たるのは口蓋(口の天井)やのどなのに、痛みはおでこやこめかみに出てきます。医師たちはこの現象を軽く見てはおらず、「寒冷刺激による頭痛」として国際頭痛分類に載せています。有力な説明は「関連痛」です。
三叉神経は口と顔の両方の感覚を運ぶため、強い冷たさの信号がどこから来ているのかを脳が読みまちがえるのかもしれません。2つ目の考え方は血管に注目するもので、血管がいったん縮み、その後急速に広がるというものです。2019年の研究で、ヘンゼルさんらは健康な大人77人に氷水を飲んでもらいました。頭痛が起きた39人では、脳の太い動脈の血流速度がより大きく上がっていました。この研究では、その変化が痛みの原因なのか、痛みの結果なのかは見分けられず、多くの研究者は神経と血管の両方が関わっているのではないかと考えています。
いちばん単純なアドバイスには、ある程度の裏づけがあります。2002年にカナダで行われた小規模なランダム化試験で、痛みは生徒自身の申告にもとづくものでした。その試験では、アイスクリームをゆっくり食べた生徒はブレインフリーズになりにくかったのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is unusual about the pain of brain freeze?
the cold hits the palate and throat, yet the pain shows up in the forehead or temples とあるので D。冷えた場所と痛む場所がちがう。
Q2. What did Hensel and colleagues find?
The 39 who developed a headache showed a greater rise in blood flow velocity とあるので C。頭痛が出たのは77人中39人。
Q3. What weakness of the 2002 trial does the author mention?
a modest 2002 randomized trial in Canada that relied on students reporting their own pain とあるので A。自己申告は研究の限界の典型。
重要単語
- brain freezeB1名詞(句)アイスクリーム頭痛(キーン)I got brain freeze from eating shaved ice too fast.
get brain freeze で「キーンとなる」。正式名は ice cream headache / cold-stimulus headache。 - referred painC1名詞(句)関連痛(離れた場所に感じる痛み)Referred pain is felt far from where the problem is.
refer は「(別の所へ)回す・送る」。痛みが別の場所に“回送”されるイメージ。 - nerveB1名詞神経The trigeminal nerve carries feelings from the face.
nervous(緊張して)の語源。get on one's nerves「~の神経にさわる」も覚えたい。 - stimulusC1名詞刺激A cold stimulus can trigger a short headache.
複数形は stimuli。動詞 stimulate(刺激する)とセットで。経済の stimulus package「景気刺激策」も頻出。 - blood flowB1名詞(句)血流Cold water changed the blood flow in the brain.
blood vessel(血管)、blood pressure(血圧)と並ぶ基本語。 - dilateC1動詞拡張する、広がるBlood vessels dilate when they warm up.
反対は constrict(収縮する)。目の瞳孔が開く場合にも dilate を使う。 - conclusiveC1形容詞決定的なThere is no conclusive evidence yet.
conclude(結論を下す)の形容詞。conclusive evidence「決定的な証拠」がセットで入試頻出。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
この話題を TED で聞く
同じテーマの TED・TED-Ed を、
TED HACK で。英語の見どころ・使える表現・学習ミッションつきの日本語ガイドです。(運営:原田英語)
公式・一次情報をチェック
このネタ、誰かに教えたくなった?
かき氷の「キーン!」、実は国際的な頭痛の分類に載っている“正式な頭痛”らしい。口の奥が急に冷えた信号が、脳でおでこの痛みとしてカン違いされるのが一因とか。ゆっくり食べた子どもは起きにくかったという実験も。
押すと「マジかリスト」に保存されます
出典・参考文献(4件)タップで表示
- Kaczorowski & Kaczorowski (2002) Ice cream evoked headaches (ICE-H) study: randomised trial of accelerated versus cautious ice cream eating regimen, BMJdoi.org
- Hensel et al. (2019) Increased Blood Flow Velocity in Middle Cerebral Artery and Headache Upon Ingestion of Ice Water, Frontiers in Neurologydoi.org
- Hulihan (1997) Ice cream headache, BMJdoi.org
- Headache Classification Committee of the IHS (2018) The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition, Cephalalgiadoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












