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かき氷の「キーン!」には正式な医学名があった。頭が痛くなる仕組みと30秒で消える理由

かき氷の「キーン!」には正式な医学名があった。頭が痛くなる仕組みと30秒で消える理由

読む前に予想してみよう!

かき氷を急いで食べるより、ゆっくり食べたほうが「キーン」となりにくい

研究カード(どんな研究?)
対象
カナダの中学生/ドイツの健康な成人
規模
145人/77人
研究の種類
ランダム化比較試験/実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

かき氷のキーンは国際的な頭痛分類にも載る正式な頭痛。口の奥が急に冷え、血管や神経が反応して、痛みが額のあたりに「誤配達」される。

ひとことで言うとキーンは、のどの奥の「冷えた!」が、おでこの痛みとして届いちゃう現象!

もくじ
  1. 冷えたのは「のど」なのに、痛いのは「おでこ」
  2. 血管が急に広がるから?
  3. ゆっくり食べるとキーンが減った
  4. すぐに消えるのが特徴
  5. まとめ

夏祭りでかき氷を勢いよくほおばった瞬間、「キーーーン!」。思わずこめかみを押さえてしまう、あの痛み。

実はこれ、ただの「あるある」ではありません。国際頭痛学会がつくる頭痛の分類(国際頭痛分類)にも載っている、れっきとした“正式な頭痛”なんです。

分類上は「寒冷刺激による頭痛」の仲間で、日本では「アイスクリーム頭痛」とも呼ばれます。

01冷えたのは「のど」なのに、痛いのは「おでこ」

不思議なのは、冷たいものが当たっているのは口の天井やのどの奥なのに、痛むのはおでこやこめかみだということ。

これは「関連痛」と呼ばれる現象で説明されています。

口の奥やのどの感覚は、三叉神経(さんさしんけい)という太い神経が脳に伝えています。この神経は、おでこや顔の感覚も担当しているため、急に強い「冷たい!」信号が来ると、脳が発信元をまちがえて「おでこが痛い」と受け取ってしまうのではないか、と考えられています。

手紙の差出人を読みまちがえる郵便屋さんのようなイメージです。

02血管が急に広がるから?

もうひとつの説が、血管の反応です。

口の奥が急に冷えると、そのあたりの血管がいったんキュッと縮み、そのあと一気に広がる。この急な変化を、血管のまわりの神経が「痛み」としてキャッチする、というものです。

この説を裏づける実験もあります。ドイツのヘンゼル(Hensel)さんらは2019年、健康な大人77人に0℃の氷水を飲んでもらい、超音波で脳の血流を測りました。すると約半数(39人)にキーンが起き、その人たちでは脳の太い動脈(中大脳動脈)の血流速度が、頭痛が起きなかった人より大きく上がっていたのです。痛みが始まるまでは中央値で約20秒、続いたのは約12秒ほどでした。

ただし、血流の変化が痛みの「原因」なのか「結果」なのかまでは、まだはっきりしていません。神経説と血管説は対立というより、両方が関わっていると考える研究者が多いようです。

口の奥の「冷たい!」が、おでこの痛みとしてカン違いされる
口の奥の「冷たい!」が、おでこの痛みとしてカン違いされる

03ゆっくり食べるとキーンが減った

『BMJ』のクリスマス特集は、ユーモアのあるテーマを本気で研究する名物企画。でも、実験の結論はとても実用的ですね。

ゆっくり食べると、口の奥が一気に冷え切らず、少しずつ冷たさに慣れていくため、神経や血管の急な反応が起こりにくくなると考えられます。冷たい水にいきなり飛びこむより、足から少しずつ入るほうがびっくりしないのと同じです。

04すぐに消えるのが特徴

アイスクリーム頭痛は、たいてい数秒〜30秒ほどでスッと消えるのが特徴です。冷たい刺激がなくなり、血管や神経の反応が落ち着くからと考えられています。

なお、ふだん片頭痛がある人は、アイスクリーム頭痛も起きやすいという報告もあります。

05まとめ

かき氷の「キーン」は、口の奥の冷たさを脳がおでこの痛みとカン違いしたり、血管が急に反応したりして起こる、正式な頭痛でした。

対策はシンプル。ゆっくり食べること。今年の夏は、かき氷を味わいながら、脳の“誤配達”に思いをはせてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBrain freeze, the sudden pain you feel after eating something cold too quickly, is listed as an official… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Brain freeze, the sudden pain you feel after eating something cold too quickly, is listed as an official type of headache in the International Classification of Headache Disorders. The cold touches the roof of the mouth and the back of the throat, but the pain is felt in the forehead or temples. One explanation is referred pain. The trigeminal nerve carries signals from both the mouth and the face, so the brain may misread where a strong cold signal came from.

Another explanation involves blood vessels, which quickly narrow and then widen. In a 2002 experiment in Canada, young students who ate ice cream slowly, taking 30 seconds or more, were less likely to get brain freeze than those who finished it within five seconds.

125 words ・ CEFR B1

和訳を見る

冷たいものを急いで食べた後に感じる突然の痛み、ブレインフリーズは、国際頭痛分類に正式な頭痛の一種として載っています。冷たいものが当たるのは口の天井やのどの奥なのに、痛みはおでこやこめかみに感じます。説明のひとつは「関連痛」です。三叉神経は口と顔の両方から信号を運ぶため、脳は強い冷たさの信号がどこから来たのかを読みまちがえるのかもしれません。

もうひとつの説明は血管に関するもので、血管が急に縮んでから広がるというものです。2002年のカナダの実験では、30秒以上かけてゆっくりアイスクリームを食べた生徒は、5秒以内に食べ終えた生徒よりもブレインフリーズになりにくかったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. In the Canadian experiment, which group got brain freeze less often?

Q3. Why might the brain "misread" where the cold signal came from?

重要単語

  • brain freezeB1
    名詞(句)アイスクリーム頭痛(キーン)I got brain freeze from eating shaved ice too fast. get brain freeze で「キーンとなる」。正式名は ice cream headache / cold-stimulus headache。
  • referred painC1
    名詞(句)関連痛(離れた場所に感じる痛み)Referred pain is felt far from where the problem is. refer は「(別の所へ)回す・送る」。痛みが別の場所に“回送”されるイメージ。
  • nerveB1
    名詞神経The trigeminal nerve carries feelings from the face. nervous(緊張して)の語源。get on one's nerves「~の神経にさわる」も覚えたい。
  • stimulusC1
    名詞刺激A cold stimulus can trigger a short headache. 複数形は stimuli。動詞 stimulate(刺激する)とセットで。経済の stimulus package「景気刺激策」も頻出。
  • blood flowB1
    名詞(句)血流Cold water changed the blood flow in the brain. blood vessel(血管)、blood pressure(血圧)と並ぶ基本語。
  • dilateC1
    動詞拡張する、広がるBlood vessels dilate when they warm up. 反対は constrict(収縮する)。目の瞳孔が開く場合にも dilate を使う。
  • conclusiveC1
    形容詞決定的なThere is no conclusive evidence yet. conclude(結論を下す)の形容詞。conclusive evidence「決定的な証拠」がセットで入試頻出。

動画でもっと知る

かき氷の「キーン!」、実は国際的な頭痛の分類に載っている“正式な頭痛”らしい。口の奥が急に冷えた信号が、脳でおでこの痛みとしてカン違いされるのが一因とか。ゆっくり食べた子どもは起きにくかったという実験も。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Kaczorowski & Kaczorowski (2002) Ice cream evoked headaches (ICE-H) study: randomised trial of accelerated versus cautious ice cream eating regimen, BMJdoi.org
  2. Hensel et al. (2019) Increased Blood Flow Velocity in Middle Cerebral Artery and Headache Upon Ingestion of Ice Water, Frontiers in Neurologydoi.org
  3. Hulihan (1997) Ice cream headache, BMJdoi.org
  4. Headache Classification Committee of the IHS (2018) The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition, Cephalalgiadoi.org