体と健康・食

顔が赤くなる理由は「ごめんなさい」のサイン? ダーウィンも注目した、人間だけの赤面の謎

顔が赤くなる理由は「ごめんなさい」のサイン? ダーウィンも注目した、人間だけの赤面の謎

読む前に予想してみよう!

失敗のあとに顔が赤くなった人は、赤くならない人より悪い印象を持たれやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生など
規模
数十人〜196人の実験を複数
研究の種類
実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

恥ずかしいと顔が赤くなるのは、顔の皮膚の血管が広がって血液が増えるから。赤面した人のほうが「反省している」「信頼できる」と見られやすいという実験もある。

ひとことで言うと顔が赤くなると、まわりに「わざとじゃないよ」が伝わるのかも!

もくじ
  1. 顔が赤くなる仕組み:血管が広がる
  2. ダーウィンも注目した「最も人間らしい表情」
  3. 赤面は「謝罪のサイン」? 信頼される実験
  4. どんでん返し:赤面に「考えること」は必要ない?
  5. まとめ

みんなの前で言い間違えた瞬間、顔がカーッと熱くなる。止めたくても止められない、あの赤面です。

結論から言うと、恥ずかしいと顔が赤くなるのは、顔の皮膚の細い血管が広がって、血液がたくさん流れ込むからです。では、なぜそんな反応が進化したのか。最近の研究では、赤面が「わざとじゃない、反省しています」と相手に伝えるサインとして働いている可能性が見えてきました。

01顔が赤くなる仕組み:血管が広がる

赤面のとき、頬や耳、首のあたりの皮膚では血管が広がり、血流が増えます。頬の温度も上がるので、研究では頬の色や温度を測って赤面の強さを調べます。

この血管の変化には、緊張したときに働く交感神経が少し関わっていると考えられています。オーストラリアの研究者ドラモンドは1997年、おでこの小さな範囲の皮膚に薬を入れて神経の信号の一部をブロックし、計算問題や歌で赤面を引き出す実験をしました。その結果、ある種の受容体(β受容体)をふさぐと、血流の増加が抑えられたり弱まったりしました。

さらに意外なことに、「よく赤くなる」と自覚する人と、そうでない人で、血管の反応そのものには差がなかったのです。違っていたのは「人の目が気になる」度合いでした。

02ダーウィンも注目した「最も人間らしい表情」

進化論のダーウィンは1872年の著書『人及び動物の表情について』で、赤面に一章をまるごと使っています。彼は赤面を「最も人間らしい表情」と書きました。

見られることを意識すると赤くなる。これはデータでも確かめられています。1992年の研究では、女子大学生48人に赤面しやすい映像を見せたところ、見ている人が1人から4人に増えると、赤面が強くなりました。

03赤面は「謝罪のサイン」? 信頼される実験

では、赤面にどんな意味があるのでしょうか。オランダの心理学者ダイクらは、赤面の「効き目」を実験で確かめました。

頬の赤みが、言葉より先に「反省」を伝えているのかもしれない
頬の赤みが、言葉より先に「反省」を伝えているのかもしれない

赤面は自分の意思ではコントロールしにくい反応です。だからこそ「本当に気まずく思っている」というごまかしにくい証拠として信用されるのでは、と考えられています。謝り方そのものの研究は謝罪で一番効くのは?の記事も参考に。

04どんでん返し:赤面に「考えること」は必要ない?

赤面は「人からどう思われるか」を考える高度な心の働きだ、と考える立場がありました。ところが2024年、オランダの研究チームが意外な結果を報告しました。

16〜20歳の40人に、自分がカラオケで歌っている録画をMRIの中で見てもらったところ、他人の歌を見るときより頬の温度が上がりました。このとき強く働いていたのは、「他人の心を推し量る」領域ではなく、感情の高ぶりに関わる領域や、見ることに関わる領域でした。赤面は、じっくり考える前に起きる素早い反応なのかもしれません。

05まとめ

恥ずかしいと顔が赤くなるのは、顔の血管が広がるから。そしてその赤みは、言葉にしなくても「わざとじゃない、反省している」を伝えるサインとして働いているのかもしれません。

赤くなるのは、恥ずかしいことではなく、気持ちが相手に伝わるサインかもしれません。そう思うと、次の失敗も少しだけ怖くなくなりそうです。ちなみに、みんなは思ったほどあなたを見ていないというスポットライト効果の研究もあります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen people feel embarrassed, the small blood vessels in their cheeks, ears and neck widen, so more blood… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

When people feel embarrassed, the small blood vessels in their cheeks, ears and neck widen, so more blood flows in and the skin turns red. Charles Darwin was very interested in blushing and called it the most human of expressions. He noticed that people blush when they think about how others see them.

Modern experiments support the idea that blushing has a social purpose. In a 2011 study, 196 people played a computer game. After a partner behaved unfairly, participants who saw a blushing face trusted that partner with more money. A blush is hard to control, so it may work as an honest sign that someone feels sorry.

109 words ・ CEFR B1

和訳を見る

人は恥ずかしいと感じると、頬や耳、首の細い血管が広がり、より多くの血液が流れ込んで皮膚が赤くなります。チャールズ・ダーウィンは赤面にとても関心を持ち、それを最も人間らしい表情と呼びました。彼は、人は他人からどう見られているかを考えるときに赤面することに気づきました。

現代の実験は、赤面には社会的な役割があるという考えを支持しています。2011年の研究では、196人がコンピューターゲームをしました。相手が不公平なふるまいをしたあと、赤面した顔を見た参加者は、その相手により多くのお金を預けました。赤面は簡単にはコントロールできないので、本当に悪いと思っていることを示す正直なサインとして働くのかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What happened in the 2011 study?

Q3. Why might a blush be believed more than words?

重要単語

  • blushB2
    動詞・名詞赤面する/赤面He blushed when everyone looked at him. blush with embarrassment「恥ずかしさで赤くなる」。化粧品の「チーク」も blush と呼ぶ。
  • embarrassedB1
    形容詞恥ずかしい・きまりが悪いI was embarrassed by my mistake. r と s が2つずつのつづりに注意。人が主語なら embarrassed、物事が主語なら embarrassing。
  • blood vesselB1
    名詞(句)血管Blood vessels in the face widen when we blush. vessel は「容器・船」。血を運ぶ“入れ物”のイメージ。artery(動脈)、vein(静脈)も一緒に。
  • trustworthyB2
    形容詞信頼できるPeople who blush may look more trustworthy. trust+-worthy(〜に値する)。praiseworthy(称賛に値する)、noteworthy(注目に値する)も同じ作り。
  • apologyB1
    名詞謝罪A blush can work like a silent apology. 動詞は apologize。apologize to 人 for 事「人に事を謝る」の前置詞は入試頻出。
  • self-consciousB2
    形容詞人の目を気にした・自意識の強いShe felt self-conscious on stage. 日本語の「自意識」より「人目を気にしてぎこちない」ニュアンスが強い。self-confident(自信がある)と混同しないこと。
ダーウィンは赤面を「最も人間らしい表情」と書いた。実験では、失敗や裏切りのあとに赤面した顔の人のほうが好意的・信頼できると評価され、お金も多く預けられたらしい。赤面は謝罪のサインかも。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Dijk, de Jong & Peters (2009) The remedial value of blushing in the context of transgressions and mishaps, Emotiondoi.org
  2. Dijk, Koenig, Ketelaar & de Jong (2011) Saved by the blush: Being trusted despite defecting, Emotiondoi.org
  3. Shearn et al. (1992) Blushing as a function of audience size, Psychophysiologydoi.org
  4. Nikolić et al. (2024) The blushing brain: neural substrates of cheek temperature increase in response to self-observation, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  5. Drummond (1997) The effect of adrenergic blockade on blushing and facial flushing, Psychophysiologydoi.org