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第5章|単語コラム2026-09-282026-10-09 更新

英語の語彙指導のコツ|教科書の新出語を定着させる扱い方

新出単語を「発音して、意味を確認して、次へ」で終わらせていませんか。単語は一度出会っただけでは定着しません。**何度も、少しずつ形を変えて出会わせる**設計が大切です。この記事では、教科書の新出語を授業の中でどう扱えばよいか、流れと具体例で紹介します。

01新出語は全部同じ重さで扱わない

教科書の新出語リストには、数十語が並ぶこともあります。そのすべてを同じ時間をかけて扱うのは現実的ではありません。

まず、新出語を次の2つに分けてみましょう。

  • 発信語彙(話す・書くで使えるようにしたい語):日常的でよく使う語、今後の単元でも繰り返し出る語
  • 受信語彙(読んで分かればよい語):本文の内容上必要だが、使う場面が限られる語

たとえば、ある単元の新出語が「volunteer, collect, garbage, community, recycle, plastic, environment, local」だったとします。collect や local は今後も自分のことを話すときに使えるので発信語彙に。garbage や plastic は意味が分かれば十分な場面も多いので、受信語彙として軽く扱う、といった判断ができます。

ポイント:時間をかけるのは発信語彙に絞る。受信語彙は本文の中で意味が取れればOKと割り切ると、授業に余裕が生まれます。

02新出語の扱い方:1時間の中の流れ

ここでは、本文に入る前の語彙パートを12分で行う例を紹介します。

0〜3分:音と文字の確認

フラッシュカードやスライドで、教師の後に続いて発音します。

  • "Listen and repeat."
  • "Only the girls / Only the boys / Only this row."

同じ語を3回ほど繰り返しますが、読む人を変えると単調になりません。

3〜6分:意味の確認

日本語訳を与えるだけでなく、絵・ジェスチャー・既習語での言い換えを使います。

  • "Collect means 'take many things and put them together.' For example, I collect stamps."
  • "Local means 'near your home or in your town.'"

6〜9分:スピード確認

カードを英語→日本語、日本語→英語の順で素早く見せ、全員で答えます。後半は一瞬だけ見せる、半分隠すなど、難易度を上げます。

9〜12分:ペアで使う

発信語彙を使って短い文を言い合います。

  • "Use 'collect' and tell your partner one thing you collect or want to collect."
  • "Tell your partner about one local place you like."

このあと本文を読むと、生徒は「さっきの単語だ」と気づきながら読めます。

新出語の導入を変えるBBC Learning English|The Teachers' Room: Introducing new vocabulary

使い方:新しい語彙の導入の工夫を紹介する教師向けの回です。この節の「意味の確認」で、日本語訳以外の示し方を1語につき1つ準備します。

フラッシュカード活用術British Council | TeachingEnglish|Teaching tips: Using flashcards in the classroom

使い方:フラッシュカードを効果的に使うアイデアの紹介です。この節の「スピード確認」に、思い出させる工夫を1つ加えて、3分の流れを組み直します。

03定着のカギは「再会」の回数

単語が定着するには、時間をあけて何度も出会うことが大切だといわれています。1回の授業で完璧にしようとするより、次の授業、その次の授業で再び出会わせるほうが効果的です。

再会のさせ方の例です。

  • 次の授業の導入:前回の新出語から5語を選び、意味を隣の人とクイズし合う
  • 本文の音読のとき:新出語だけ空欄にしたプリントで音読する
  • 小テストの1問:前の単元の語を1〜2問混ぜる
  • 教師の英語の中で:Teacher Talk の中で意図的に使う(例:"Please collect your worksheets.")

自作の復習用ミニ活動例

"I say the Japanese. You say the English. Ready? 集める。" → "Collect!"

"Now, make a sentence with 'local.' Start with 'In my town…'"

このような短い活動なら1〜2分でできるので、毎時間の冒頭や終わりに組み込みやすいです。

04「再会」を仕組みにするデジタル道具と、教師向けの語彙指導動画

再会の回数を増やすには、授業の外でも単語に出会える仕組みがあると便利です。次の道具は、教師が一度作れば単元のあいだくり返し使えます。

道具特徴使い方
Quizlet単語カードを作って共有できる。無料版は広告あり、一部の学習モードは有料発信語彙だけのセットを作り、例文つきで生徒に共有する
Wordwall単語や文法のゲームを作って遊べる。作成数などは有料プランで増える前時の新出語5語の並べ替えゲームを作り、次の授業の導入で使う
Kahoot!大きな画面のクイズに手元の端末で早押しで答える。13歳未満がアカウントを作るときは保護者や先生の管理が必要単元末の復習で、今回の語と前単元の語をまぜた10問を出す
YouGlishその単語を話している YouTube の場面を探せる多義語の別の意味が使われている場面を探し、授業で1つ見せる

単元1つ分の準備(30分)

  1. 新出語を発信語彙と受信語彙に分ける
  2. 発信語彙だけで Quizlet のセットを作り、自作の例文を入れる
  3. 同じ語で Wordwall の短いゲームを1つ作る(2時間目の導入用)
  4. 4時間目の小テストに、前単元の語を2問入れる

アプリを使うかどうかは学校の端末の方針によります。端末が使えない日は、同じ語のペア用カードで代わりにできるようにしておきましょう。

語彙の復習をゲームにEdutopia|Transforming Vocabulary Review Into an Active Game

使い方:語彙の復習を動きのあるゲームに変える工夫の紹介です。2時間目の導入の「前時の語5語クイズ」を、動画の形に置きかえた案を1つ作ります。

05高校では「意味の広がり」と「組み合わせ」を教える

高校の教科書では、中学で習った単語が別の意味で出てくることが増えます。たとえば "run" は「走る」だけでなく「経営する」、"cover" は「覆う」だけでなく「扱う・取材する」という意味でも使われます。

こうした多義語は、新出語リストには載らないことも多いため、本文の中で意識的に取り上げたいところです。

多義語の扱い方の例

  • "You know 'run' means 'move fast.' But look at line 5: 'She runs a small café.' What does 'run' mean here?"
  • 核となるイメージ(run=止まらずに動き続ける)を示し、「店を動かし続ける=経営する」とつなげる

コロケーション(語の組み合わせ)

単語を単体で覚えるより、よく一緒に使われる組み合わせで覚えると、書くときに使いやすくなります。

  • make a decision / take a break / pay attention to
  • heavy rain / strong coffee / a high price

"Which verb goes with 'a decision'? make, do, or take?" のような選択クイズは、1〜2分でできる復習活動として便利です。

新出語を扱う際に、本文中のコロケーションを1〜2個だけ抜き出して板書しておくと、ライティングの時間にそのまま活用できます。

コロケーションを楽しく教えるBBC Learning English|The Teachers' Room: Fun collocation activities

使い方:コロケーションを身につけさせる活動の紹介です。本文から抜き出したコロケーション2つを使い、この節の選択クイズを授業用に作ります。

0640人クラスでの工夫

人数が多いと、一斉に言わせても「口を動かしていない生徒」に気づきにくくなります。

  • 読む人を細かく切り替える:「窓側の2列」「メガネをかけている人」「今月誕生日の人」など、グループを変えながら発音させると、全員が当事者になります。
  • ペアで役割を決める:A がカードを持って出題、B が答える。1分で交代。教師用のカードを縮小印刷した「ペア用カード」を用意しておくと便利です。
  • ミニテストはペア採点:単語テストを隣同士で交換して採点すると、40人分の採点時間を減らせます。答えは教師が読み上げます。
  • 苦手な生徒には「最初の2語」から:全部覚えようとして挫折する生徒には、「今日は発信語彙のうち2つだけ使えるようにしよう」と目標を小さくします。
CCQsの基本を短時間でJo Gakonga - ELT Training|CELTA- Help with CCQs (Concept Checking Questions)

使い方:意味を本当に理解したかを確かめる質問(CCQs)の短い解説です。40人に「分かった?」と聞く代わりに使う確認の質問を、発信語彙ごとに1つ作ります。

07よくある失敗

  1. 日本語訳の一対一対応で終わる:collect=集める、だけを覚えると、使い方が分かりません。→例文を1つセットで示す。
  2. 新出語の説明が長くなる:語源や派生語まで全部話すと時間が足りなくなります。→発信語彙の中でも特に大事な1〜2語に絞る。
  3. 授業後に二度と出てこない:定着しないまま次の単元へ。→次の授業の導入や小テストで必ず再会させる。
  4. 発音練習が教師のコピーだけ:意味を考えずにリピートするだけでは記憶に残りにくいです。→意味確認のあとに、もう一度発音させる。

ポイント:「教える」より「出会わせる回数を増やす」。語彙指導は、1回の完成度より再会の仕組みで決まります。

081週間の語彙サイクル例

単元の中で、次のようなサイクルを回すと無理なく定着につなげられます。

  • 1時間目:新出語の導入(音・意味・ペアで使う)、本文を読む
  • 2時間目:導入で前時の語を5語クイズ、本文の音読で再会
  • 3時間目:新出語を使った自己表現(2〜3文を書く)
  • 4時間目:小テスト(今回の語+前単元の語を少し)
  • 翌週:新しい単元の導入時に、前単元の語を2〜3語だけ再び使う

このサイクルを意識するだけで、同じ時間でも単語への「接触回数」が増えます。まずは次の単元で、発信語彙と受信語彙を分けるところから始めてみてください。

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語彙研究の大家ネーションに聞く英語の勉強法Canguro English|How to study English well (with Paul Nation) | 4 techniques to learn English faster

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よくある質問

新出語は本文の前と後、どちらで扱うのがよいですか?

内容理解に欠かせない語は本文の前に、推測させたい語は本文の後に扱う、という使い分けができます。すべてを前に出すと、推測しながら読む機会が減る点に注意が必要です。

フラッシュカードは紙とデジタルのどちらがよいですか?

どちらでも効果的に使えます。デジタルは表示速度や順番を変えやすく、紙はペア活動に配りやすいという特徴があります。目的に合わせて併用するのがおすすめです。

単語テストの頻度はどのくらいが適切ですか?

週に1回程度の短いテストを継続するほうが、単元末にまとめて大量に出すより再会の機会が増えます。前の範囲を少し混ぜると、復習のきっかけにもなります。

読了ボーナス

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