Quiz-Quiz-Trade(クイズ・クイズ・トレード)― カードを出し合って交換、全員が出題者になる復習活動
問題カードを1枚ずつ持って立ち歩き、ペアで出し合ったらカードを交換して次の相手へ。問題が短ければ、10分で1人が10問ほど解き、同じくらい「先生役」にもなれる、テスト前の復習の定番です。
- ⏱ 時間
- 10-15分
- 🧰 準備
- 少し
- 👥 形態
- 全体(立ち歩き・ペア)
- 🎯 技能
- 復習・語彙・文法・やり取り
- 📶 CEFR
- A1-B1

- テスト範囲の単語・文法・表現を、答えを見ずに「思い出す」練習を短時間で何度も行う。
- 出題する側に立つことで、答えを説明したりヒントを出したりする(教えることで覚える)。
- 普段話さないクラスメートとも、短く確実にやり取りする。
Quiz-Quiz-Trade ってなに?
ひとことで言うと、問題カードを1人1枚持って立ち歩き、ペアで出題し合ったらカードを交換して、次の相手を探す復習活動です。
名刺交換会のようなものです。人に会うたびにあいさつ(出題)をして、名刺(カード)を交換して次の人へ。カードが毎回入れかわるので、相手が変わるたびに別のカードを受け取り、さまざまな問題を出したり答えたりできるのがこの活動のしかけです。
プリントでの復習とのちがい
| プリントを解く | Quiz-Quiz-Trade | |
|---|---|---|
| 答え方 | 書いて、あとで丸つけ | 口で答え、その場で相手が確かめる |
| まちがえたら | あとで答えを見る | 相手がヒントを出し、言い直す |
| 出題する人 | 先生 | 全員が交代で出題者になる |
やり方を3ステップで
- Quiz:ペアになり、A がカードの問題を出し、B が答える。まちがえたら A はヒントを1つ出す。
- Quiz:役割を交代し、B が出題、A が答える。
- Trade:カードを交換し、"Thank you!" で別れて次の相手を探す。
テスト前の復習というと、プリントを解いて丸つけ、になりがちです。Quiz-Quiz-Trade は、そのプリント1枚分の問題を40枚のカードに分けて、教室中で「出し合う」活動に変えます。単語や短い文の問題なら、1回のやり取りは30秒ほどで終わることもあります。その場合、10分で1人が10人前後と出し合い、10問ほど解いて、同じくらい出題できます(説明が必要な問題や、相手探しに時間がかかるクラスでは、回数はもっと少なくなります)。
授業の流れ(分ごと)
| 時間 | 活動 | 先生の動き |
|---|---|---|
| 0:00〜2:00 | カードを配り、自分のカードの答えを確認 | 答えがわからない生徒には個別に教える |
| 2:00〜3:00 | 手順の実演(先生と生徒1人) | 3つの動き(Quiz→Quiz→Trade)を板書 |
| 3:00〜12:00 | 立ち歩きで出し合い・交換(9分) | タイマーを見せ、机の間を回って出題・答えを聞く |
| 12:00〜14:00 | 着席、まちがえた問題をメモ | 多かったまちがいを全体で確認 |
| 14:00〜15:00 | 振り返り | 次回の小テストにつなげる |

- カードを作る:1人1枚。表に問題、裏に答え。表の右上に番号(1〜40)を書いておく。ワークシートの表を切り取るか、生徒に単元の問題を1問ずつ作らせる(先生が答えを確認してから使う)。
- 自分のカードの答えを確認(2分):まず自分のカードの答えを理解する。わからなければ先生に聞く。ここが「出題者として教える」準備になる。
- 実演:先生と生徒1人で見本を見せる。①A がカードを見せて出題 → B が答える → A が「Correct!」かヒントを出す ②役割を交代して B が出題 ③カードを交換して「Thank you!」で別れる。
- 立ち歩き(9分):手を挙げて相手を探す(ペアが決まったら手を下ろす)。同じ人とは1回だけ。カードを交換するので、次の相手には「さっきもらったカード」で出題する。答えをまちがえた人は、その場でカードの番号を、鉛筆といっしょに持ち歩く小さな紙(ふせんなど)にメモする。
- ヒントのルール:相手がまちがえたら、すぐ答えを言わず、ヒントを1つ出す(It starts with "b.")。それでも無理なら答えを教えて、相手に1回言わせる。
- 終了・メモ(2分):席に戻る。先生が番号つきの問題と答えの一覧を黒板か画面に示し、生徒はふせんの番号をもとに、まちがえた問題と正しい答えをワークシートにメモする。
- 全体確認:「どの問題が難しかった?」と聞き、多かった問題を先生が説明する。次の授業の最初に、同じ問題から小テストを出す。
単元別の問題カード例(中学)
- Past form of "go / buy / see / make"?(不規則動詞)
- 英語で:昨日、私は公園に行きました。
- Make it a question: You watched TV last night.
- Fill in: There ___ two cats on the sofa.(is / are)
- Fill in: I ___ going to visit Osaka tomorrow.(be going to)
- Make it negative: She will come to the party.
- Comparative of "big / good / famous"?(比較級)
- Choose: I have ( lived / live ) here for three years.(現在完了)
- 英語で:彼は英語を話すことができます。
- What does "borrow" mean? Use it in a sentence.
- Opposite of "early / cheap / heavy"?
- Answer in English: What do you usually do on Sundays?
高校向け 13. Paraphrase: "He could not attend the meeting."(同じ意味で別の言い方) 14. Which is correct? "I look forward to ( see / seeing ) you." 15. Explain the word "sustainable" in English. 16. Make a sentence with "not only … but also …".
カードの作り方のコツ:初めのうちは、生徒どうしで正誤を判定しやすい、答えが1つに決まる問題にする(言いかえ・説明・例文づくりなど答えが複数ある問題は、裏に「解答例」「入っていればよい要点」「ほかの答えも可」と書いておく)/1枚に1問だけ/裏の答えは大きく書く/ヒントを小さく書いておくと苦手な生徒も出題しやすい。
- 小学校:表に絵、裏に英語。「What's this?」「It's a lion!」で答えを言い合う。数字・色・曜日のカードでも。
- 中学:単元の新出語(表:日本語、裏:英語)→文法(並べかえ・穴埋め)→質問カード(What do you …?)の順にレベルを上げる。
- 高校:教科書本文の内容に関する問題、言いかえ、熟語など。答えの説明を英語でさせる。
- 大人数クラス:立ち歩きが難しい教室では、座ったまま行う「回転版」に。前後の席の2人でペアになり、出し合ったら、2人のカードを2枚とも後ろのペアへ送る(列のいちばん後ろのペアは、列の先頭のペアへ回す)。合図ごとにこれをくり返す。相手は替わらないが、問題は毎回替わる。机を2列の向かい合わせにできる教室なら、片方の列だけが合図ごとに1席ずつずれると、相手も替えられる(端の人は反対の端へ回る)。
- 苦手な生徒が多いクラス:裏にヒントと答えの両方を書く。答える側は選択肢(3つ)から選べばよいカードにする。
- オンライン・タブレット:ブレイクアウトルームでペアにし、各自の画面のカードを出題。1分ごとにルームを入れかえる。共有スライドに全員のカードを並べ、「難しかったカード」に印をつける。
この活動は、テスト前に「どこが定着していないか」を生徒と先生が知るための形成的な活動です。成績のための評価には使わず、まちがいメモと、終わったあとの小テストで定着を確認します。下の表も、その日の様子を見て次の指導に生かすための目安です(態度は、この1回だけでなく、ふり返りやその後の復習の様子も合わせて見ます)。
| 見るポイント | 見るところ | よくできている | できている | もう少しの生徒への手立て |
|---|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 問題に正しく答えられるか | ほとんどの問題にすぐ答えられる | ヒントがあれば答えられる | まちがいメモをもとに個別に復習 |
| 教え合い(活動中に見るポイント) | ヒントの出し方 | 答えを言わずに、相手が気づくヒントを出せる | 答えを正しく伝えられる | ヒントの型(It starts with …)を示す |
| 主体的に学習に取り組む態度 | まちがいやヒントをもとに答え方を直し、まちがいメモを次の復習に生かそうとしているか | まちがえた問題をメモし、ヒントや相手の説明を受けて言い直し、次の復習計画に生かしている | まちがいをメモし、言い直そうとしている | まちがえた問題を一緒にメモし、次に見直す時間を示す |
- 仲の良い友だちとだけ組む→「同じ人とは1回だけ」「男女・班をまたいで」などのルールにし、手を挙げて相手を探す方法を徹底する。
- 答えを見せ合って終わる→ 出題者はカードの表だけを見せる、と最初に実演する。まちがえたらヒントを出すルールを守らせる。
- 自分のカードの答えがわからない→ 最初の2分で必ず答えを確認する時間をとる。わからない生徒は先生に聞きにくる。
- 教室が騒がしく、移動に時間がかかる→ タイマーを大きく表示し、声の大きさの目安を示す。立ち歩きが難しい学級は、座ったままカードを送る「回転版」(アレンジの「大人数クラス」)にする。
- ふざけてカードを交換しない→ 交換するとき「Thank you!」を言うまでをセットで練習してから始める。
学校や教室で行われた「思い出す練習(retrieval practice)」の研究50実験を系統的にまとめたレビューでは、49の効果量(約5,400人)のうち57%で中〜大の効果が見られ、学年・教科・問題の形式・フィードバックのタイミングが違っても効果がありました 1。別のメタ分析でも、教室での小テスト形式の練習は成績を中程度(g = 0.50)高めていました 2。Quiz-Quiz-Trade で、答えを見ずに思い出して答える部分は、研究でいう思い出す練習に当たります。ただし、これらの数値は教室での小テストや思い出す練習全体の平均で、Quiz-Quiz-Trade という活動そのものの効果を示したものではありません。効果の大きさも、フィードバックの有無やくり返しの回数などの条件で変わります 2。
また、対面の協同学習(cooperative learning)の効果を、1995年以降の実際の教室での研究65本でまとめたメタ分析では、学力と態度にプラスの効果が見られました。ただし効果の大きさは、教科・年齢・文化によって違っていました 3。このメタ分析も、Quiz-Quiz-Trade そのものを調べたものではなく、協同学習全般についての結果です。Quiz-Quiz-Trade も、ただ立ち歩くだけでなく「ヒントを出してから答えを教える」というルールで、教え合いの質を保つことが大切です。なお、最初に紹介した思い出す練習のレビューに含まれた実験のうち、いわゆる WEIRD(西洋の、教育水準が高い、工業化された、豊かな、民主主義の社会)以外の国で行われたものは6%にとどまり、日本の教室にそのまま当てはまるかは今後の課題です 1。
❓ よくある質問
Q. Quiz Quiz Trade のやり方を教えてください。
1人1枚、表に問題・裏に答えのカードを持ちます。ペアになったら ①A が出題して B が答える ②役割を交代して B が出題 ③カードを交換して「Thank you!」で別れ、次の相手を探します。立ち歩きは9分ほどで、同じ人とは1回だけ組みます。
Q. 相手がまちがえたら、すぐ答えを教えますか?
すぐには言わず、ヒントを1つ出します(It starts with "b.")。それでも無理なら答えを教えて、相手に1回言わせます。答えを見せ合って終わらないよう、出題者はカードの表だけを見せる、と最初に実演しておきます。
Q. Quiz Quiz Trade は、なぜ復習に効くのですか?
1回1回のやり取りが、答えを「思い出す」短い小テストだからです。教室で行われた思い出す練習の研究をまとめたレビューでは、49の効果量のうち57%で中〜大の効果が見られ 1、別のメタ分析でも教室での小テスト形式の練習は成績を中程度(g = 0.50)高めていました 2。ただし、どちらも Quiz Quiz Trade という活動そのものの効果を調べた数値ではありません。
Q. 立ち歩きが難しいクラスでもできますか?
座ったまま行う「回転版」にします。前後の席の2人でペアになり、出し合ったら2人のカードを2枚とも後ろのペアへ送ります(列のいちばん後ろのペアは先頭のペアへ)。相手は替わりませんが、問題は毎回替わります。机を2列の向かい合わせにできるなら、片方の列だけが合図ごとに1席ずつずれると、相手も替えられます。タイマーを大きく表示し、声の大きさの目安を示しておくと落ち着いて進められます。
Q. Quiz Quiz Trade は成績の評価に使えますか?
テスト前に「どこが定着していないか」を生徒と先生が知るための形成的な活動なので、成績のための評価には使いません。カードに番号をつけておき、まちがえた人はその場で番号をふせんにメモし、終わってから問題と答えをワークシートに書かせます。次の授業の最初に同じ問題から小テストを出して定着を確かめます。
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📑 出典(3件)
本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。
- Agarwal, P. K., Nunes, L. D., & Blunt, J. R. (2021). Retrieval practice consistently benefits student learning: A systematic review of applied research in schools and classrooms. Educational Psychology Review, 33(4), 1409-1453. doi:10.1007/s10648-021-09595-9 ✔ DOI照合済学校・教室で行われた思い出す練習(retrieval practice)の研究50実験の系統的レビュー。57%で中〜大の効果
- Yang, C., Luo, L., Vadillo, M. A., Yu, R., & Shanks, D. R. (2021). Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 147(4), 399-435. doi:10.1037/bul0000309 ✔ DOI照合済教室での小テスト(思い出す練習)の効果のメタ分析。成績を中程度(g = 0.50)高めた
- Kyndt, E., Raes, E., Lismont, B., Timmers, F., Cascallar, E., & Dochy, F. (2013). A meta-analysis of the effects of face-to-face cooperative learning. Do recent studies falsify or verify earlier findings?. Educational Research Review, 10, 133-149. doi:10.1016/j.edurev.2013.02.002 ✔ DOI照合済協同学習の効果を教科をまたいでまとめたメタ分析(65本)。学力と態度にプラス
最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら






