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🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約9分

同じ単語を「間をあけて3回」出す小テスト ― 間隔効果を毎週の単語テストに

単語テストは「習った翌日に1回」で終わっていませんか。同じ語を、次の時間・1週間後・数週間後にもう一度。間をあけて思い出す機会を増やす、小さな仕組みです。

⏱ 時間
5分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人
🎯 技能
語彙・復習
📶 CEFR
A1-B2
🛡️
このページのウラ取り 出典 3 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
同じ単語を「間をあけて3回」出す小テスト ― 間隔効果を毎週の単語テストにのイメージ
💡ねらい
  • 単語テストを「1回きりの確認」から「忘れかけたころの思い出し練習」に変える。
  • テスト直前の詰めこみ(一夜漬け)に頼らない語彙の残し方を、クラスの仕組みにする。
  • まちがえた語を翌週にもう一度出す「戻り道」をつくる。

間隔小テストってなに?

ひとことで言うと、毎回の単語小テストに「今週の語」だけでなく「先週の語」「数週間前の語」も混ぜて、同じ語を間をあけて何度か出すしくみです。

同じ回数だけ練習するなら、続けて一気にやるより、間をあけてやる方が長く覚えていられる――これを間隔効果(spacing effect)といいます 1。ふつうの単語テストは「習った翌日に1回」で終わりがちですが、この方法では、同じ語を次の時間・1週間後・数週間後にもう一度出し、思い出す機会そのものも増やします。

🎈たとえるなら

植木の水やりのようなものです。1日にバケツ1杯をまとめてかけても、土にしみこまずに流れてしまいます。それより、日をあけて何度かに分けてやる方が根づきます。大事なのは「一度にたくさん」ではなく「間をあけて何度も」という点です。

似た活動とのちがい

思い出して答える練習(想起練習)という点では、どれも同じ仲間です。ちがいは、同じ語を「間をあけて何度か」出すかどうかです。間隔小テストは、想起練習を時間をあけてくり返す方法です。

ふつうの単語テスト 間隔小テスト 想起クイズ(1回だけ行う例)
出す語 今週(前回)の語だけ 今週の語+先週の語+数週間前の語 前回の語を白紙に思い出して書く
同じ語が出る回数 ふつう1回 間をあけて3回ほど 授業のはじめに1回
まちがえた語 そのままになりやすい 翌週のリストに戻して、また出す その場で確かめる

やり方を3ステップで

  1. 混ぜて出す:10問を「今週5問+先週3問+3〜4週間前2問」にする。
  2. 思い出して書く:日本語→英語を中心に3分で解き、その場で答え合わせ。
  3. 戻す:まちがえた語を書き出して練習し、まちがいの多かった語を翌週の出題リストに戻す。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜0:30 テスト用紙を配る(一人ずつ並びの違う版でも) 名前を書く
0:30〜3:30 「今週5問+前の語5問」とだけ伝え、タイマー3分 日本語→英語を書く
3:30〜4:30 答えを読み上げる(または投影)。自己採点か、隣と交換して採点 採点
4:30〜5:00 まちがいの多かった語を確認し、メモ(挙手は任意、または答案の回収で) まちがえた語を下の欄に書き写す
授業後 まちがいの多かった語を翌週のリストに戻す 家庭学習で練習
同じ単語を「間をあけて3回」出す小テスト ― 間隔効果を毎週の単語テストにの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 1回の小テストを10問にする。 内訳は「今週の語 5問+先週の語 3問+3〜4週間前の語 2問」。ワークシートは A・B・C の3つに分けてあります。
  2. 出題リストを3列で管理する。 Excel やノートに「初出の日」「2回目」「3回目」の列をつくり、出したら日付を入れます。先生の準備はこの表を見て10語選ぶだけ。
  3. 形式は「日本語→英語」中心に。 英語を自分で書けるようにすることが目標なので、書く・言う形式を多めにします(選択式も思い出す練習にはなりますが、手がかりが多い形式です)。授業で習った目標語を答える問題だと伝え、意味の合う別解は認めます(〜に参加する:take part in / participate in + 行事・活動、join + 団体・人)。短い例文の空所補充を混ぜるのも手です。
  4. 時間は3分。 テンポよく取り組み、出てこない語はいったん飛ばして、答え合わせのあとに覚え直します。
  5. その場で答え合わせ。 自己採点か、隣と交換して1分で採点。先生は答えを読み上げるか投影します。まちがいを人に見られたくない生徒もいるので、交換するかどうかは選べるようにします。
  6. まちがえた語を書き写させる。 ワークシート下の欄に書き、各自で練習します。クラスでまちがいの多かった語は、次の週にもう一度リストに戻します。
  7. 定期テスト前の「総まとめテスト」は、新しい語を出さない。 それまでに3回出した語だけで作ると、生徒は「くり返し出る=大事」と学びます。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TToday's quiz has ten questions. Five are this week's words, and five are words from earlier lessons.
TSome words are from three weeks ago. Can you still remember them?
TWrite the English word or phrase for each Japanese item. You have three minutes.
SNumber nine is... look forward to?
TDon't tell me now! Write it down.
TTime's up. Check your own paper, or swap papers with your partner if you both agree.
TNumber six, "decide." D-E-C-I-D-E.
TWhich words in Part B or C were difficult? Circle them. I'll check your papers later.
TIf you missed a word, don't worry. It will come back next week!
🏫そのまま使える素材

中学向け:くり返し出したい基本語(例)

  1. 決める decide / 2. 説明する explain / 3. 経験 experience / 4. 便利な convenient / 5. 人気のある popular / 6. 参加する take part in(participate in)/ 7. 〜を楽しみにする look forward to / 8. 〜をあきらめる give up / 9. 環境 environment / 10. 交通 transportation

高校向け(例) 11. 減らす reduce / 12. 影響 influence / 13. 〜に頼る depend on / 14. 特に especially / 15. 解決する solve / 16. 必要な necessary

出題スケジュールの例(同じ語を3回) 17. 1回目:習った次の時間 → 2回目:1週間後 → 3回目:3〜4週間後 18. 定期テスト前:3回出した語だけの総まとめ

🔁アレンジ
  • 小学校:テストにせず、絵カードの「ぱっと見て言う」活動で、先月の単元の語を1〜2枚混ぜるだけでも同じ考え方です。
  • 中学:教科書の新出語に加えて、前の学年の基本語を毎回1問だけ入れると、学年をまたいだ復習になります。
  • 高校:単語集の範囲テストに「前回範囲から2割」を混ぜるだけで導入できます。
  • 大人数クラス:採点は自己採点か生徒どうしで。先生は答案を回収するか匿名フォームで「まちがいの多かった語」を集め、翌週のリストに戻します。
  • 苦手な生徒が多いクラス:B・C を「英語→日本語」にしてハードルを下げ、慣れてきたら日本語→英語に戻します。
  • オンライン・タブレット:フォームの小テストで、問題をランダムに並べ、前に出した語の一覧から毎回数問を自動で混ぜます。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:成績に入れる場合は、A(今週の語)の得点だけを使い、B・C は練習として扱う方法があります。B・C の点を入れるなら、事前に「前の語も出る」と予告しておきます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:書き写しや翌週の正答は、主に知識・技能と、次の指導に生かす評価(形成的な評価)の資料です。態度を見るなら、まちがえた原因をふり返り(つづり?意味?)、練習のしかたを自分で選び直しているか、といった調整のようすを、ふり返りの記述などいくつかの場面で見ます。

下の表は、生徒の自己チェックと先生の指導のための目安です。

見るところ よくできている できている 手助けが必要
前の語(B・C)の想起 ほぼ書ける 半分くらい書ける ほとんど書けない(間隔や形式を調整し、再学習の時間をとる)
まちがえた語への対応 原因を書き、練習方法を変えて翌週に正答 書き写して練習している 何を練習するか先生と一緒に決める
⚠️よくあるつまずきと対処
  • 過去の語を出すと平均点が下がって生徒が落ちこんだら → 時間がたって思い出しにくくなるのは自然なことで、思い出そうとすること自体が練習になる、と説明します。点が極端に低いときは、間隔を短くする・形式をやさしくする・再学習の時間をとるなど調整します。成績には今週分だけ入れる方法もあります。
  • 選択式ばかりになっていたら → 選択式も思い出す練習になりますが、手がかりが多いので、日本語から英語を自分で書く・言う練習にはなりにくいことがあります。英語を実際に書けることが目標なら、答え合わせつきの書く・言う形式も混ぜます(半分くらいが筆者の目安)。
  • まちがえた語がそのまま放置されていたら → 翌週の出題リストに必ず戻します。リスト管理の表に「戻し」の印をつけるだけで十分です。
  • 先生の準備が続かなくなったら → 10語のうち5語は前のテストの使い回しでよい、と割り切ります。ツールを使って、前に出した語の一覧から自動で混ぜるのも手です。
  • 生徒が「前の語は範囲外」と不満を言ったら → 年度のはじめに「単語テストには前の語も出る」とルールを宣言しておきます。
🔬なぜ効く?

同じ回数だけ練習するなら、続けて一気にやるより間をあけてやる方が長く覚えていられる――これが間隔効果(spacing effect)です。317の実験をまとめた大規模なメタ分析では、覚えておきたい期間が長いほど、練習と練習のあいだの最適な間隔も長くなることがわかりました 1。定期テストや入試まで覚えておきたいなら、翌日の確認1回だけで終えず、そのあとも間をあけて思い出す機会をつくる必要があります。

第二言語の学習に限ったメタ分析(48実験・3,411人)でも、間隔をあけた練習は中〜大の効果がありました。短い間隔は直後のテストでは長い間隔と同じくらい効きましたが、時間がたってからのテストでは長い間隔の方が上回りました。間隔を「少しずつ広げる」方式と「同じ間隔」方式は、統計的にはほぼ同じでした 2。

日本の大学生128人が英単語を学んだ実験でも、間隔を少しずつ広げる方式にはわずかな利点しかなく、むしろ間隔をあけるかどうかの方が大きな差を生みました 3。

このページの小テストは、間をあけるだけでなく、同じ語を出す回数(思い出す機会)も1回から3回に増やしています。ですから期待できる効果は、間隔・くり返しの回数・思い出す練習の組み合わせによるものです(上の研究の多くは、練習の回数をそろえて間隔だけを比べています)。また「3回」は導入の例で、最適な間隔は、覚えておきたい期間や学習の対象、練習の条件によって変わります 12。語ごとの出し方は、実際の正答のようすを見て調整します(筆者の提案)。細かい「1日後・3日後・7日後…」の完璧なスケジュールにこだわらず、まず間をあけてもう一度出し、正答のようすや定期テストまでの期間に合わせて、その後も出し続けましょう。

❓ よくある質問

Q. 間隔効果とは何ですか?

同じ回数だけ練習するなら、続けて一気にやるより、間をあけてやる方が長く覚えていられる、という現象です。317の実験をまとめたメタ分析では、覚えておきたい期間が長いほど、練習のあいだの最適な間隔も長くなることがわかりました 1。

Q. 間隔効果を生かした単語テストは、どう作りますか?

1回10問を「今週の語5問+先週の語3問+3〜4週間前の語2問」にします。出題リストに「初出の日」「2回目」「3回目」の列をつくり、出したら日付を入れるだけで管理できます。形式は、選ぶより思い出す「日本語→英語」中心にします。

Q. 間隔は「1日後・3日後・7日後」のように広げないといけませんか?

その必要はありません。第二言語のメタ分析では、間隔を少しずつ広げる方式と同じ間隔の方式は、統計的にはほぼ同じでした 2。日本の大学生128人の実験でも、差を生んだのは間隔をあけるかどうかの方でした 3。

Q. 前の語を出すと平均点が下がり、生徒が落ちこみます。

時間がたって思い出しにくくなるのは自然なことで、思い出そうとすること自体が練習になる、と説明します。点が極端に低いときは、間隔や形式を調整し、再学習の時間をとります。成績に入れる場合は今週の語の得点だけを使い、前の語は練習として扱う方法もあります。年度のはじめに「単語テストには前の語も出る」と宣言しておきます。

Q. 毎週の準備が大変で続きません。

10語のうち5語は前のテストの使い回しでよい、と割り切ります。採点は自己採点か生徒どうしで行い、先生はまちがいの多かった語を答案やフォームで集めてメモし、翌週のリストに戻すだけにします。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354-380. doi:10.1037/0033-2909.132.3.354 ✔ DOI照合済分散学習(間をあけた復習)の効果を心理学の317実験でまとめたメタ分析
  2. Kim, S. K., & Webb, S. (2022). The effects of spaced practice on second language learning: A meta-analysis. Language Learning, 72(1), 269-319. doi:10.1111/lang.12479 ✔ DOI照合済間をあけて練習する「分散学習」の第二言語での効果をまとめたメタ分析(48実験・3,411人)
  3. Nakata, T. (2015). Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning: Does gradually increasing spacing increase vocabulary learning?. Studies in Second Language Acquisition, 37(4), 677-711. doi:10.1017/S0272263114000825 ✔ DOI照合済日本の大学生128人の単語学習。間隔を少しずつ広げる方式がわずかに有利、間隔をあけること自体の効果は大きい

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら