🔍
🎲 授業アクティビティ集中学校高校📖 約9分

Read & Look up ― 1文を目で覚えて、顔を上げて相手に言う

本文を黙って読み、顔を上げて、相手の方を向いて言う。それだけで「読む」が「話す」に一歩近づきます。準備ゼロ、教科書があればどの学年でもできる音読の仕上げです。

⏱ 時間
5-10分
🧰 準備
なし
👥 形態
ペア
🎯 技能
リーディング・スピーキング
📶 CEFR
A1-B1
🛡️
このページのウラ取り 出典 4 件 ― 原田英語.comが集めて読んだ論文・専門書・公的資料。DOI・ISBN・公式ページは書誌データベースとも照合済み 原田英語.comと校閲担当が、主張と出典を1つずつ照合・AI(Codex)による独立チェック済み(2026-10-18) ウラ取りの仕組み →
Read & Look up ― 1文を目で覚えて、顔を上げて相手に言うのイメージ
💡ねらい
  • 文字を見ながらの音読から、文字を見ずに言う段階へ橋をかける。
  • 文をひとまとまりで頭にためて言うことで、意味のまとまりで読む力と話す力をつなぐ。
  • 顔を上げて相手に向かって言うことで、音読を「人に伝える練習」に変える。

Read & Look up ってなに?

ひとことで言うと、1文(または意味のまとまり)を黙って読んで頭に入れ、顔を上げてから、文字を見ずに相手に向かって言う、音読の仕上げの活動です。

🎈たとえるなら

料理をするとき、レシピを1行読んでから、目を手元に移して手を動かすようなものです。見ている間に覚え、作業するときはレシピから目を離しています。文字から目を離した数秒間、1文を頭の中にためておくことが、この活動の中心です。

似た活動とのちがい

ふつうの音読 シャドーイング Read & Look up
文字 見ながら読む 見ない(音声を少し遅れて追いかける) 黙読で覚えてから、見ずに言う
お手本の音声 なくてもよい 必要 使わない
言う相手 自分・クラス 自分 ペアの相手

やり方を3ステップで

  1. Read:1文(長ければスラッシュ1区切り)を黙読して頭に入れる。
  2. Look up:顔を上げ、文字から目を離す。
  3. Say:相手の方を向いて言う。ペアは本文を見ながら聞き、言えたら✓。慣れたら区切りを長くする。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 生徒
0:00〜1:00 先生がモデル(黙読→顔を上げて言う)を見せる 見る
1:00〜3:00 全体で1文ずつ「Read」「Look up」の合図 全員で黙読→顔を上げて言う
3:00〜6:00 ペアに切りかえ、机の間を回って様子を見る Aが言い、Bが本文で確認→交代
6:00〜8:00 区切りを長くするよう指示 Level 2・3 に挑戦
8:00〜10:00 教科書を閉じさせる 本文の内容を自分の言葉で言う(リテリングへ)
Read & Look up ― 1文を目で覚えて、顔を上げて相手に言うの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 前提:意味を理解し、段階練習 で何度か音読した本文を使う。長い文にはスラッシュを入れておく。
  2. モデルを見せる:先生が教科書を持ち、黙読(3秒)→顔を上げて生徒の方を見て言う、を2文やって見せる。「下を向いたまま言わない」が大事だと強調する。
  3. 全体で:先生の「Read」の合図で全員が1文(またはスラッシュ1区切り)を黙読、「Look up」で顔を上げて言う。
  4. ペアで:机を向かい合わせにする。Aが言い、Bは本文を見ながら聞いて、言えたら✓。言えなかったら「もう一度 Read から」。2文ごとに交代。
  5. レベルアップ:慣れたら区切りを長くする→1文まるごと→2文続けて。ワークシートの Level 1〜3 を使うと段階が見えます。
  6. リテリングへ:最後は教科書を閉じて、要点を自分の言葉で言う。本文の語句や表現を一部使ってもよいが、本文をそのまま順に言うのではなく、要点を選び、順序や言い方を工夫して伝える(最初は本文どおりに言える文が多くてもかまわない。それは暗唱からリテリングへの橋わたしの段階)。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TWatch me. I read the sentence silently ... Now I look up and say it.
TRead the first sentence silently. ... OK, look up!
TDon't look at the text. Look at your partner and say it.
SI usually get up at six thirty.
TPerfect. Partner B, did A say every word?
TYou forgot? No problem. Read it again, then look up.
TThis time, try the whole sentence, not just half.
TCan you say two sentences? Try Level 3.
TNow close your textbook. Tell your partner the story in your own words.
SKen got up early. He walked to school with his sister.
TNice! You used your own words.
🏫そのまま使える素材

ワークシートの文のほかに使えるオリジナル文(スラッシュは Level 1 の区切りの目安)。

中1レベル

  1. I like music. / I play the guitar / every evening.
  2. Do you have / any brothers or sisters?
  3. We can see / many stars / from my house.

中2レベル 4. I was watching TV / when my mother came home. 5. It will be sunny / tomorrow, / so let's go hiking. 6. I want to visit Canada / to see the beautiful lakes.

中3〜高1レベル 7. I have never seen / such a big fish / before. 8. The boy / who is talking with Ms. Sato / is my cousin. 9. English is spoken / in many countries / around the world.

高校レベル 10. If I had more free time, / I would learn to play the piano. 11. It is important / for us / to think about / what we can do for the environment. 12. The more you practice, / the more confident / you will become.

🔁アレンジ
  • 小学校:絵本の決まり文句や会話文1行を、先生の真似で言ってから「Look up!」で絵を見ながら言う形に。文字を読む負担は小さく。
  • 中学:教科書の会話文で、役になりきって相手に言う。表情やジェスチャーをつけると、自然に「話す」になります。
  • 高校:長文の要点文だけを選んで Read & Look up し、最後に要約発表につなげる。
  • 大人数クラス:全員起立→1文言えたらペアでハイタッチして座る。立っている人の数で、まだ終わっていないペアがひと目でわかるので、次へ進むタイミングを決めやすくなります。
  • 苦手な生徒が多いクラス:Level 1 の短い区切りだけで十分。言えなかったら、ペアが最初の1語だけヒントを出してよいルールにします。
  • オンライン・タブレット:カメラに向かって言う。画面共有で本文を出し、「Look up」で共有を止めると、全員が同時に文字から離れられます。
📊評価のポイント

この活動は練習(形成的な評価)として使い、観察して気づいたことは次の指導に生かします。観点に整理すると次のようになります。

  • 知識・技能:本文の文を、文字を見ずに正確に(語順・語尾を落とさず)、意味のまとまりで区切って言える。
  • 思考・判断・表現:この活動だけでは見にくい観点です。最後のリテリングで、目的に合わせて要点を選び、自分の言葉で言いかえて伝えられるかを見ます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:言えなかった文や区切りを自分で見つけて練習し直したり、区切りの長さを自分で調整したりして、言える文を増やそうとしている。1回の✓の数ではなく、ふり返りやその後の練習の様子も合わせて見ます。
練習の進み方(評定には使わない) 目安
2文に挑戦 1文〜2文を、文字を見ずに相手の方を向いて正確に言える
1文 1文なら言える
短い区切り 区切り(2〜4語)ごとなら言える・まだ文字を見ないと言えない

覚えておける長さは記憶の力や文の長さにも左右されるので、この表は練習の段階を選ぶ目安です。観点別評価は、単元の目標に合わせて、発音や語句・文法の使い方、内容の伝え方などを別の課題で見ます。

パフォーマンステストの前の練習としても使えます。評価はテスト本番で行い、この活動は練習に専念させましょう。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • 区切りが長すぎて言えない → 言えない経験が続くと嫌になります。最初はスラッシュ1区切りから。
  • 下を向いたまま言う → 文字を見ずに言えていれば、まずは合格です。そのうえで「顔を上げて、体を相手に向けて」を合言葉にします。目を合わせるのが負担な生徒もいるので、相手の顔のあたりや肩のあたりを見る、体を向けるだけ、でもよいことにし、目が合ったかどうかは✓の条件にしません。
  • 意味を考えずに音だけ覚える → 言う前に「頭の中で場面を思い浮かべて」と声をかける。リテリングにつなげると意味に戻れます。
  • ペアの一方だけが練習し、もう一方は暇になる → 聞く側にも「本文を見て確認し✓をつける」役割を必ず与えます。
  • 語尾(-s, -ed)を落としても気づかない → 聞く側に「語尾チェック係」を頼むと、細かい形に注意が向きます。
🔬なぜ効く?

心理学には「プロダクション効果(production effect)」と呼ばれる現象があります。8つの再認実験(見た語かどうかを答えるテスト)からなる研究で、黙って読んだ語より声に出して読んだ語の方が、あとのテストでよく見分けられるという効果が、さまざまな条件で確かめられました(ただし、一部の語に対して、その語を言う代わりに同じキー押しや「yes」という同じ発声をさせた実験4では、効果は見られませんでした)。研究者は、声に出した語は記憶の中で「目立つ」ため区別しやすくなると説明しています 1。

ただし、この研究の実験1〜3で効果がはっきり出たのは、同じ人が「声に出す語」と「黙読する語」を混ぜて学んだ場合でした 1。その後、声に出すグループと黙読するグループを分けて比べた研究をまとめたメタ分析では、再認テストに中程度の効果(g = 0.37)が見られ、混ぜて学ぶ場合に限らないことが示されています 2。とはいえ、どれも単語の記憶の実験で、「声に出せば何でも覚えられる」わけではありません。

もうひとつの手がかりは、音読やシャドーイングの理論です。聞いた・読んだ英語を頭の中でくり返す「内なる声」のしくみ(音韻ループの復唱)を鍛えることが、新しい語や決まった言い方を覚える助けになる、と、シャドーイングと音読の研究を長く続けてきた英語教育学者の門田修平氏は、英語の専門書で整理しています 3。Read & Look up は、文字が見えない数秒間、まさにこの「頭の中での復唱」を使わせる活動です。

音読には、プロソディ(英語のリズム・抑揚)を身につけたり、不安の強い生徒が声を出す練習になったりする役割もあると指摘されています 4。顔を上げて相手に言う形にすると、その音読が「人に伝える練習」に変わります。

なお、Read & Look up そのものの効果を比べた実験は、ほとんど見つかりません。上の説明は、関連する研究から考えた「なぜ効きそうか」です。

❓ よくある質問

Q. リードアンドルックアップは、どう進めますか?

先生の「Read」の合図で1文(またはスラッシュ1区切り)を黙読し、「Look up」で顔を上げて、文字を見ずに言います。全体で慣れたらペアにし、Aが言い、Bが本文を見ながら聞いて言えたら✓、2文ごとに交代します。

Q. どんな本文を使えばいいですか?

意味を理解し、段階を踏んで何度か音読した本文を使います。長い文にはスラッシュを入れておき、最初はスラッシュ1区切りから。慣れたら1文まるごと、2文続けて、と区切りを長くしていきます。

Q. 下を向いたまま言ってしまう生徒がいます。

文字を見ずに言えていれば、まずは合格です。そのうえで「顔を上げて、体を相手に向けて」を合言葉にします。目を合わせるのが負担な生徒もいるので、相手の顔のあたりを見る・体を向けるだけでもよいことにし、目が合ったかどうかは✓の条件にしません。言う前に「頭の中で場面を思い浮かべて」と声をかけると、意味にも注意が向きます。

Q. Read and Look up の効果は、研究で確かめられていますか?

この活動そのものの効果を比べた実験は、ほとんど見つかりません。関連する研究として、黙読した語より声に出して読んだ語の方が、あとのテストでよく見分けられたという記憶の実験があります 1。効果は声に出す語と黙読する語を混ぜて学ぶときにはっきり出やすく、グループを分けて比べた研究のメタ分析では中程度(g = 0.37)でした 2。どれも単語の記憶の実験です。

Q. リードアンドルックアップのあとは、何につなげますか?

最後は教科書を閉じて、要点を自分の言葉で言うリテリングにつなげます。本文の語句を一部使ってもかまいませんが、本文をそのまま順に言うのではなく、要点を選んで伝えるのがリテリングです。高校なら長文の要点文だけを選んで行い、要約発表につなげる方法もあります。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(4件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. MacLeod, C. M., Gopie, N., Hourihan, K. L., Neary, K. R., & Ozubko, J. D. (2010). The production effect: Delineation of a phenomenon. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 36(3), 671-685. doi:10.1037/a0018785 ✔ DOI照合済黙って読むより声に出した語の方が記憶に残る「プロダクション効果」を示した心理学の実験
  2. Fawcett, J. M. (2013). The production effect benefits performance in between-subject designs: A meta-analysis. Acta Psychologica, 142(1), 1-5. doi:10.1016/j.actpsy.2012.10.001 ✔ DOI照合済プロダクション効果(声に出した語の方が記憶に残る)を、参加者間デザインの研究でまとめたメタ分析。再認記憶に中程度の効果(g = 0.37)
  3. Kadota, S. (2019). Shadowing as a Practice in Second Language Acquisition: Connecting Inputs and Outputs. Routledge doi:10.4324/9781351049108 ✔ DOI照合済門田修平によるシャドーイングの理論と研究をまとめた英語の専門書
  4. Gibson, S. (2008). Reading aloud: A useful learning tool?. ELT Journal, 62(1), 29-36. doi:10.1093/elt/ccm075 ✔ DOI照合済外国語の授業での音読の役割を見直した論文(文字と音の対応・プロソディ・不安の軽減など)

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら