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ポインティング・ゲーム ― 聞いて指さすだけで、単語から「短い話の中の語」まで聞き取る

先生の英語を聞いて、絵を指さす。それだけのゲームですが、単語から文、短い話へと段階を上げると、言わせなくても「聞いてわかる」経験をたくさん積めます。準備は絵のシート1枚。

⏱ 時間
5-10分
🧰 準備
少し
👥 形態
個人→ペア
🎯 技能
小学校・リスニング・語彙・ゲーム
📶 CEFR
Pre-A1-A1
🛡️
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ポインティング・ゲーム ― 聞いて指さすだけで、単語から「短い話の中の語」まで聞き取るのイメージ
💡ねらい
  • 英語を聞いて、意味のわかる語や文を絵と結び付ける経験を、短い時間でたくさん積む。
  • 単語だけでなく、文や短い話の中から必要な語を聞き取る力へと段階的に進む。
  • 最後は自分の好きな物を伝える活動につなげ、聞いたことを使う場面をつくる。

ポインティング・ゲームってなに?

ひとことで言うと、先生の英語を聞いて、手元のシートの中から当てはまる絵を指さす「聞く」活動です。英語を話すことは求めません。

🎈たとえるなら

駅のアナウンスを聞きながら、路線図の上で次の駅を指でたどるようなものです。声に出さなくても、指が正しい駅にあれば「聞いてわかった」ことが見えます。聞いてわかったことが、指の動きで目に見えるのがこの活動のよいところです。

似た活動とのちがい

ポインティング・ゲーム 英語カルタ リスニング・ビンゴ
子どもの動き 自分のシートの絵を指さす 札を取り合う 聞いた語に印をつける
勝ち負け なし(全員が同時に指す) あり 早くそろえた人が勝ち
聞く量の広げ方 決まった指示+単語 → 文 → 短い話へ段階を上げる 読み札の文による 読み上げ方による

やり方を3ステップで

  1. Level 1(決まった指示+単語):"Point to the banana!" のように毎回同じ形で言い、入れかわる単語だけを聞き分けさせる。"Show me!" で指の位置を確かめる。
  2. Level 2(文):"I like peaches." のように文で言い、文の中からどの物かを聞き取らせる。
  3. Level 3(短い話の中の語):2〜3文の話を聞かせ、その中に出てきた物を順に指させる。話全体の内容を理解させる段階ではなく、話の中から必要な語を聞き取る段階です。最後はペアで Do you like ...? を聞き合う。

授業の流れ(分ごと)

時間 先生 子ども
0:00〜1:30 絵カードを見せながら語を言う(2回ずつ) 聞いてリピート
1:30〜3:30 Level 1:決まった指示+単語(Point to the banana!) すばやく指さす
3:30〜5:30 Level 2:文で言う(I like peaches.) 文の中の語を聞き取って指さす
5:30〜7:30 Level 3:短い話(2〜3文)を言う 出てきた物を順番に指さす/数を答える
7:30〜10:00 ペアで Do you like ...? を聞き合う 好きな物に○をつけて伝える
ポインティング・ゲーム ― 聞いて指さすだけで、単語から「短い話の中の語」まで聞き取るの教室の配置と動き方
🗺️ 教室の配置と動き方(イメージ)
👣手順
  1. 準備:単元の語(12〜16語)の絵を並べたシートを1人1枚。教科書の絵辞典のページや、玉手箱のワードマットで作れる。このページのワークシートはマスに英語の語が印刷されているので、使うときは前の時間の終わりに、語の横へ小さな絵をかかせておくと、文字がまだ読めない子も指させる。
  2. 語の確認:絵カードで1語ずつ聞かせ、リピートさせる。ここで意味がわかっていない語があると、ゲームで指せないので、絵カードを見せて意味を確かめておく。
  3. Level 1(決まった指示+単語):Point to the ... ! と毎回同じ形で言い(聞き分けるのは単語の部分)、指さしたら "Show me!" で先生に見せる。先生は指の位置をざっと見て "Good!" と返す。速さは最初ゆっくり、慣れたら速く。
  4. Level 2(文):I like peaches. / I don't like onions. / It's yellow and sour. のように文で言う。文の中から「どの物か」を聞き取る練習になる。
  5. Level 3(短い話):I went to the market. I bought apples, carrots, and a melon. のように2〜3文。出てきた物を順に指す、または「食べ物は何種類出てきた?」と聞く(How many food words did you hear?)。
  6. ペアで:ワークシートで自分の好きな物に○をつけ、Do you like ...? を聞き合う。相手の答えを聞いて、相手の好きな物を指さして確認。
  7. ふりかえり:どのレベルまでできたかをチェック。次の時間は Level 2 から始める。
🗣️先生の英語(そのまま使える)
TPut your finger on your nose. Ready?
TPoint to the banana! ... Show me!
TGood! Next. Point to the ... melon!
TNow, sentences. Listen carefully. "I like peaches."
S(points)
TYes! Peaches. Next. "It's yellow. It's sour."
SLemon!
TGreat! Now a short story. "I went to the market. I bought apples and carrots."
THow many food words did you hear? Show me with your fingers.
STwo!
TRight! Now, ask your partner, "Do you like ...?"
🏫そのまま使える素材

Level 1(単語):apple / banana / grapes / strawberry / melon / peach / orange / lemon / tomato / carrot / onion / potato / cake / pizza / ice cream / rice ball

Level 2(文)

  1. I like strawberries.
  2. I don't like onions.
  3. It's red and sweet.(strawberry / apple)
  4. It's long and yellow.(banana)
  5. It's orange. Rabbits like it.(carrot)
  6. It's cold and sweet.(ice cream)
  7. Do you like pizza? I do!
  8. It's big and round. It's green and sweet.(melon)

Level 3(短い話・出てきた物を順番に指す) 9. I'm hungry. I want a rice ball and an orange. 10. My mother made curry. She used potatoes, carrots, and onions. 11. For dessert, I want cake. My brother wants ice cream. 12. I went to the store. I bought three lemons and one melon.

ほかの単元にも:動物(It can jump.)、文房具(I have a red pen.)、教室・場所(Where's the cat? It's on the desk.)、曜日・時間割(On Monday, I have math and music.)

🔁アレンジ
  • 小学校3・4年:Level 1〜2 まで。指さしの代わりに、絵の上におはじきを置かせると、全員の答えが一目でわかる。
  • 小学校5・6年:Level 3 を中心に。文字の単語カードを絵の横に並べ、「聞いて文字を指さす」に進むと「読むこと」の準備になる。
  • 中学:前置詞(Where's the cat?)や過去形の聞き取り(He played tennis yesterday.)に。動作の絵を並べたシートが使える。
  • 大人数クラス:指さす代わりに、答えの絵におはじきやクリップを置かせてから、"Hold up your sheet." で全員にシートを持ち上げさせる。指で押さえたまま持ち上げなくてよいので、子どもも扱いやすく、先生も前から、どの列に誤りが多いかの見当をつけやすい。
  • 苦手な子が多いクラス:絵の数を6〜8枚に減らす。同じ語を2回言い、最初はとなりの子のまねをしてもよいことにする。
  • タブレット:絵を画面に並べてタップさせる。ペアの一方が出題者になり、録音した英語を流す形にもできる。
📊評価のポイント
  • 知識・技能:単元の語を聞いて、どの絵かわかる。文の中から必要な語を聞き取れる。
  • 短い話から出てきた物や数を聞き取れているかも、知識・技能として見ます。
  • 思考・判断・表現:見るなら、目的・場面を決めた課題にします(例:「おつかいを頼まれた。メモに必要な物を選ぼう」「友だちの好きな物を聞いて、誕生日のプレゼントを決めよう」)。目的に合わせて必要な情報を聞き取り、確かめているかを見ます。
  • 主体的に学習に取り組む態度:聞き取ろうとして、聞き取れなかったときに One more time, please. と頼んだり、絵や前後の語を手がかりにもう一度確かめたりするなど、聞き方を工夫しながら粘り強く取り組もうとしている。1回の発話だけで決めず、何回かの活動の様子やふりかえりと合わせて見る。

下の表は、次の時間の指導に生かすための診断的なチェックです。Level 1〜3 は課題の中身も難しさも違うので、この表をそのまま◎○△の評価(評定)にはしません。

できたところ(診断用) 目安 次の時間の手立て
Level 3 までできる 短い話から、出てきた物を順番に指せる 話を長くする・文字カードに進む
Level 2 までできる 文の中から、どの物かを聞き取って指せる 短い話は答えの語を少し強く言う
Level 1 までできる 単語は指せる(文はまだむずかしい) 文の中の語をゆっくり・はっきり言う

外国語(5・6年)で「聞くこと」の記録に残す評価に使うときは、単元の目標に合わせて評価規準を1つ決め、同じくらいの難しさの短い話を何問か聞かせて、その規準でA・B・Cを判断します。外国語活動(3・4年)でも、観察した様子は指導の改善に生かし、必要に応じて記録に残す評価の資料にします。ただし外国語科のようなA・B・Cの観点別の記載や数値の評定はせず、指導要録には学校で定めた観点に照らして、目立った学習の様子を文章で短く書きます。

⚠️よくあるつまずきと対処
  • となりの子の指を見てから動く子がいる → 悪いことではありません(それも聞いて見て学んでいる)。ただ、Level 2 からは「目をつぶって聞いて、合図で指す」にすると、自分で聞く時間ができます。
  • 速さ競争になり、雑に指す → "Show me!" で止めてから確認する。速さより正確さをほめる。
  • 文になると急にわからなくなる → 最初の文は、答えの語を少し強く・ゆっくり言う。慣れたらふつうの速さに戻す。
  • 盛り上がりすぎて先生の声が聞こえない → 「先生の声が聞こえる音量」を約束にし、指を鼻に置いて待つ「スタートの姿勢」をつくる。
  • 語が多すぎてシートが見づらい → 1枚に16語まで。単元の途中では8語から始める。
🔬なぜ効く?

学習指導要領では、外国語活動(3・4年)の聞くことの言語活動の例に「身近な人や身の回りの物に関する簡単な語句や基本的な表現を聞いて、それらを表すイラストや写真などと結び付ける活動」が、5・6年の外国語には「自分のことや学校生活など、身近で簡単な事柄について、簡単な語句や基本的な表現を聞いて、それらを表すイラストや写真などと結び付ける活動」が挙げられています 1。ポインティング・ゲームは、まさにこの活動を短い時間でくり返す形です。

研究では、英語を学び始めた6歳の子ども15人に「聞いて動く」タスクを5週間くり返したところ、語彙を聞いてわかる力だけでなく言える力も伸び、比較のグループより成績がよかったと報告されています。話すことを求めていないのに、子どもたちは自分から英語でやり取りに加わり、聞き返しや意味のやり取りも起きていました 2。日本の私立の英語学校で学ぶ6〜8歳36人を対象にした研究でも、聞いて動くインプット型の指導と、言わせる産出型の指導は、語彙の伸びが同じくらいでした 3。ただし対象は英語学校の少人数のクラスで、ふつうの小学校の授業とは条件が違います。また、どちらの研究の「聞いて動く」タスクも、動物園やお店の場面などの目的がある課題を数週間くり返したもので、5〜10分の指さし活動そのものの効果を調べたものではありません。

「言わせる時間を増やさないと言えるようにならない」と思いがちですが、初心者の段階では、意味がわかる英語を聞いて体で反応する時間が、そのまま言える語の土台になっていました。ただ、どちらの研究も少人数なので、聞く活動だけで十分とは言えません。最後にペアで好きな物を伝える段階を入れているのはそのためです。

❓ よくある質問

Q. ポインティングゲームは、どう進めますか?

単元の語の絵を並べたシートを1人1枚配り、Level 1(決まった指示+単語:Point to the banana!)→ Level 2(文:I like peaches.)→ Level 3(2〜3文の短い話の中から、出てきた物を聞き取る)と段階を上げます。最後はペアで Do you like ...? を聞き合います。全体で10分ほどです。

Q. 言わせないで、聞いて指さすだけでも意味がありますか?

英語を学び始めた6歳の子ども15人に「聞いて動く」タスクを5週間くり返した研究では、聞いてわかる力だけでなく言える力も伸びました 2。ただ少人数の研究なので、聞くだけで十分とは言えません。最後にペアで伝える段階を入れるのはそのためです。

Q. となりの子の指を見てから動く子がいます。

それも聞いて見て学んでいるので、悪いことではありません。Level 2 からは「目をつぶって聞いて、合図で指す」にすると、自分で聞く時間ができます。速さより正確さをほめるのもコツです。

Q. ポインティングゲームは、学習指導要領のどの活動にあたりますか?

外国語活動(3・4年)と外国語(5・6年)の聞くことの言語活動の例にある、簡単な語句や基本的な表現を聞いて、それらを表すイラストや写真などと結び付ける活動にあたります 1。

Q. 3・4年と5・6年で、やり方をどう変えますか?

3・4年は Level 1〜2 まで。指さしの代わりにおはじきを置かせると、全員の答えが一目でわかります。5・6年は Level 3 を中心にし、文字の単語カードを絵の横に並べて「聞いて文字を指さす」に進むと、読むことの準備になります。

🎁 玉手箱で使えるツール

原田英語の「英語の先生の玉手箱」の無料ツール。登録なしで授業にそのまま使えます。

📑 出典(3件)

本文の上付き数字に対応。✔ は DOI / ISBN / 公式ページを書誌データベースと機械照合した印です。

  1. 文部科学省 (2017). 小学校学習指導要領(平成29年告示) 公式ページ ✔ リンク確認済小学校の学習指導要領。外国語活動(3・4年)と外国語科(5・6年)の目標・内容を示している
  2. Shintani, N. (2012). Input-based tasks and the acquisition of vocabulary and grammar: A process-product study. Language Teaching Research, 16(2), 253-279. doi:10.1177/1362168811431378 ✔ DOI照合済6歳の初学者15人。聞いて動く(listen-and-do)タスクで、言わせなくても語彙と複数形 -s の理解が伸び、自然なやり取りも生まれた
  3. Shintani, N. (2011). A comparative study of the effects of input-based and production-based instruction on vocabulary acquisition by young EFL learners. Language Teaching Research, 15(2), 137-158. doi:10.1177/1362168810388692 ✔ DOI照合済日本の6〜8歳36人。聞いて動くインプット型と言わせる産出型の語彙指導を比べ、どちらも効果。インプット型の方がやり取りが豊か

最終更新 2026-10-18 ・ 原田英語 まちがいのご指摘はこちら